家賃は経費として計上可能?家賃を経費にする場合のポイントを解説

家賃は経費として計上可能?家賃を経費にする場合のポイントを解説

公開日:2023/5/25

家賃は経費として認められる費用です。経費として計上することで、節税効果につながります。しかし、経費として処理したいものの、具体的な計上方法や勘定科目などがわからないという方も多いでしょう。

そこで今回は、自宅・事務所・バーチャルオフィスの家賃の計上方法と計上する際のポイントについて解説します。

家賃を経費にすることは可能

基本的に事務所の家賃を計上する場合は、経費として認められます。節税につながるため、忘れずに経費の計上を行いましょう。

ここでは、自宅・事務所・バーチャルオフィスの家賃を経費として計上する際に気を付けたいポイントについてみていきます。

自宅

賃貸住宅の自宅を事務所として使用している場合、家賃の一部は経費として認められます。経費として認められる家賃は全額ではない点を知っておきましょう。

計上において家賃は、事業用とプライベート用のスペースに分かれます。経費処理ができるスペースは事業用のみであり、勘定科目は家事関連費を用います。事業に関係ないプライベート用のスペースの家賃は経費への計上は認められません。

また、事業用とプライベート用の割合を求めることを家事按分といいます。

事務所

自宅ではなく賃貸事務所の場合、基本的に経費として全額が認められます。しかし、事務所の賃貸契約を結んでいる相手によっては、経費として認められない可能性もあるため注意が必要です。たとえば、親や配偶者などの親族が所有する事務所を借りているケースでは、親族と生計が同一かどうかがポイントになります。

賃貸契約を結んでいる親族と1つの家計でやりくりしている場合、家賃は経費にならない点を把握しておきましょう。契約相手が同一の生計ではない親族の場合、経費処理が可能です。

バーチャルオフィス

バーチャルオフィスとは住所のみを利用できるサービスです。物理的な場ではないものの、事業用として利用する場合は経費として認められます。また、電話の転送サービスや郵便物の受取代行などの付随サービスも利用できます。

事業目的で付随サービスを利用している場合、利用料金も経費として処理可能です。バーチャルオフィスの家賃や付随サービスの勘定科目は、一般的に次の2つから選択します。

・支払手数料
・外注費

支払手数料とは、事業の取引において発生する費用や手数料を処理する勘定科目です。バーチャルオフィスの利用料金は事業運営に必要なサービスに発生した費用であるため、支払手数料になります。

付随サービスは、外注費を用いるケースも少なくありません。外注費とは外部に業務委託する費用を計上する勘定科目です。バーチャルオフィスのサービスはオフィス業務を外部に委託しているという考え方から外注費を用いるケースも多くあります。

しかし、外注費では外注先に支払った消費税を課税仕入取引として処理するため、税務調査が入った場合に確認されるケースが多くあります。税務調査の手間を考慮すると、外注費よりも支払手数料が合理的な処理方法といえるでしょう。

家賃を経費にする場合のポイント

持ち家や賃貸物件、事務所の家賃だけでなく駐車場代も経費として認められます。しかし、持ち家の場合、住宅ローン控除の対象外になるため注意が必要です。節税効果や利益を考える上では、気を付けたいポイントを意識し、家賃の計上方法について理解を深めましょう。

扱いは同様だが、白色申告と青色申告で考え方が異なる

白色申告と青色申告では扱いは同様であるものの、考え方が異なります。白色申告と青色申告における家事関連費の考え方は次のとおりです。

項目 所得税法施行令 家事関連費の考え方
白色申告 第96条1項 主たる部分が業務上必要で、かつ必要部分を明確にできる場合に経費として計上可能
青色申告 第96条2項 取引の記録に基づき、業務上の必要部分を明確にできる場合に経費として計上可能

青色申告では、事業用スペースが事務所面積の半分以上(主たる部分)を占めていない場合でも、事業用のスペースとして明確に分けられていれば経費として処理することが可能です。

一方、白色申告の場合、所得税法第96条1項には主たる部分という記載があるものの、所得税法基本通達第45条2項によると事業用のスペースが事務所面積の半分以下の場合でも明確に区分できていれば経費処理ができる旨が記載されています。

青色申告・白色申告ともに、事業用スペースが事務所面積の半分以下であっても、事業に必要であるスペースを明確に区分できていれば経費として認められることがわかります。

適用されるのは賃貸物件のみ

基本的に、適用されるのは賃貸物件のみです。計上の根拠となる資料として、賃貸借契約書を保管しておく必要があります。

賃貸借契約書とは、賃貸契約の締結を証明する契約書です。紛失した場合、契約条件が不明になり、契約更新時や退去時だけでなく、トラブル発生時に困ってしまいます。そういった場合に契約内容を確認できる賃貸借契約書を保管しておかなければなりません。

また、税務申告でも根拠の資料として提出する必要があります。そのため、契約後には契約書の重要箇所のコピーを取っておきましょう。

駐車場代は含められる

事業用に使用している車両を停める駐車場代も経費として認められます。勘定科目は事業の状況によって次の3つのいずれかを用います。

・車両費
・駐車場代
・賃借料

また、駐車場だけでなく、レンタルスペースやレンタルオフィスを利用した場合、事業に必要な費用であれば経費として処理可能です。レンタルスペースやレンタルオフィスは長期的に契約するケースがほとんどです。

長期契約の場合、後になって根拠となる資料を探すのは面倒になります。そのため、契約後、すぐに契約書のコピーや按分の根拠をコピーし保管しておきましょう。

持ち家のローンは家賃とは別

持ち家の場合、住宅ローン控除について確認する必要があります。住宅ローン控除は居住を目的とした住居に対する優遇措置です。そのため、半分以上のスペースを事業用として使用してしまうと、住宅ローン控除の対象外となるため注意が必要です。

節税対策として住宅ローン控除を用いたい場合、経費計上と比較した上で不利益がないかを慎重に検討しておきましょう。加えて、どのくらいの割合で事業用とプライベート用に区分するかを判断する必要があります。

社宅の家賃も経費として計上できる

社宅の家賃も経費として認められます。経費計上の処理ができる社宅の例をみていきましょう。

・借上げ社宅の家賃
・持ち家を社宅とする場合
・会社が購入した社宅

賃貸物件を会社名義で契約し従業員に借上げ社宅として貸した場合、経費の処理ができます。計上するためには、会社が家賃の一部を負担しなければならない点を知っておきましょう。

また、物件に住む従業員が一定額の家賃を支払った場合、給与にはならず課税対象にはなりません。節税対策としても活用できるでしょう。

個人事業主が法人成りする場合、現状の契約を一旦解約する必要があります。新たに法人名義で賃貸借契約を結び直すことで、社宅として認められます。

次に、持ち家を社宅とみなすケースです。役員が持ち家を役員社宅とする場合、経費にするためには役員と会社で賃貸借契約を締結する必要があります。

会社が購入した社宅の費用も認められます。会社が購入した社宅は会社の固定資産になり、毎年減価償却を行わなければなりません。社宅の購入費用に対し減価償却費として処理できます。また、次のような費用も経費処理が認められます。

・火災保険
・住宅ローンの支払利息
・建物の修繕費
・固定資産税

まとめ

事業用として使用している場合、自宅や貸事務所などの家賃は経費として認められます。しかし、条件によって家賃全てが認められるわけではないため注意が必要です。

たとえば、自宅の場合、事前に事業用とプライベート用のスペースを明確に区分します。経費として認められる範囲は事業用スペースのみです。プライベート用のスペースは事業に関係ないため、認められません。

また、持ち家の場合、経費処理をすることで、住宅ローン控除の適用外となる点を知っておきましょう。事務所の場合、賃貸契約を締結した相手によって経費として処理できるかが決まります。契約相手が生計を同一にしている親族の場合、経費として計上できません。

家賃の計上では賃貸や持ち家、事務所など家のタイプによってポイントが異なるため、それぞれのルールを把握することが大切です。

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