個人事業主も電子帳簿保存法の対象!知っておきたい対応方法

個人事業主も電子帳簿保存法の対象!知っておきたい対応方法

公開日:2023/5/9

2022年1月に施行された電子帳簿保存法により、電子取引情報のデータ保存が義務化されています。

移行期間中につき、2023年12月末日までは従来通り紙での保存が認められていますが、移行期間終了後は法人も個人も、電子取引した情報をデータで保存しなければなりません。

本記事では法人だけでなく個人事業主も対象となる電子帳簿保存法について解説します。

雑所得と経費の概要

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類を電子データで保存する際の方法について定めた法律です。

国税に関する書類は多くの場合10年程度の保管が義務付けられています。従来は全て紙で保存していましたが、一定の条件を満たした場合にデータでの保存が認められました。

法人・個人事業主どちらも対象

電子帳簿保存法の対象者は法人だけでなく、個人事業主も含まれています。これまではペーパーレス化やデジタル化を考えていなかった事業者も必ず対応しなければなりません。

電子データ保存が義務となる

2022年1月の改正により、電子取引を行った際の取引データについて電子保存が義務化されました。該当するものは電子情報のまま保存しなければなりません。

なお、2023年12月末までは、猶予期間となっています。この期間であれば、従来通り情報を紙に印刷して保存しておいても構いません。

しかし、2024年1月1日からは電子データ保存が義務化されます。

この法律の2年間の猶予について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。

電子データの保存は要件を満たす必要がある

電子情報保存方法には一定のルールがあり、次の要件を満たしておかなければなりません。
・訂正・削除・追加の履歴が残るシステムを使う
・使用するシステムの説明書を備えておく
・ディスプレイやプリンタなどを準備しておく
・一定の検索機能が必要

税務署の調査が入った場合にすぐに利用できるよう、システムの説明書を備えておかなければなりません。また、現在パソコンやプリンタなどがない場合、すぐにデータが見られるように、機器を備えておく必要があります。

データが自由に改ざんできないように、履歴の残るシステムが必要です。加えて、すぐに検索機能を備えておかなければなりません。必要な検索要件については後述します。

個人事業主が電子帳簿保存法に対応する方法

2024年4月1日からは、電子取引を行った場合、全ての事業で電子データの保存を行わなければなりません。

・電子取引の主な例は次の通りです。
・PCやスマホを利用したオンラインショッピング
・Eメールやクラウドサービスを通した場合の電子データ受領
・クレジットカード・交通系ICカード利用時に受領する電子データによる明細

用紙ではなく、電子データで書類を発行・受領したものはすべて電子取引です。IT化が進んでいる今、多数の事業主が業務上何らかの電子取引を行っていることでしょう。ここからは、必要となる対応方法について解説します。

個人事業主の経費扱いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。

ファイル名の徹底

電子データはすぐに検索できるよう保存しておかなければなりません。

・検索要件は次の3つです。
・取引年月日・取引額・取引先で検索
・検索時、日付または金額の範囲指定
・2つ以上の項目を組み合わせて検索

ファイル名に検索条件を付与しておくと、検索時の利便性が向上します。

例えば、「20××0101.企業名.内容」など、社内でファイル名の付け方のルールを決めると、利用しやすくなるでしょう。

それぞれの保存要件を把握しておく

保存要件は次の2つです。
・真実性の確保:改ざん防止
・可視性の確保:スムーズな検索・表示

可視性については先述した通り、ファイル名に検索条件を付与することで確保できます。

真実性の確保のために次のいずれかの措置を行わなければなりません。
・タイムスタンプの付与
・訂正や削除の履歴が残るシステムの利用

真実性を確保するためには、改ざんできないように環境を整えておく必要があります。

業務フロー・システムの見直し

業務フローやシステムの見直しが必要となる事業主は少なくありません。

電子帳簿の作成に関するルールやデータの送受信時のルールを定めておきましょう。これまで全て用紙で行っていた場合、同じ業務の流れではカバーできないこともあるでしょう。必要に応じて、現在の業務フローを見直すと効率の良い運用が可能になります。

特に見直すべきは、電子データの「受領時」「発行時」「保管時」の3点です。

特に、受領時のルールは経理担当者だけでなく多くの社員にも該当します。社員が電子データで領収書などを受領した場合、会社としてどのように受領・精算するのかルールを定めておきましょう。

これまでの稟議書による経費精算の仕組みとは大きく変わる場合、社員への周知徹底が必要です。必要に応じてツールの導入を検討してみましょう。

あわせて、データの受領時・発行時に会計システムと連携して自動仕分けを行うようにしておけば、経理の手間や負担の大幅な削減につながります。

また、自社でタイムスタンプの準備、情報の修正や削除履歴が残るシステムの導入を負担だと感じる場合は、法律に対応したツールの導入も検討してみましょう。

タイムスタンプについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。

なぜ個人事業主が電子帳簿保存法に対応する必要があるのか

この法律に対応する必要性が今一つわからないという方もいるでしょう。実は、紙でなくデータとして情報を保存することは事業主側にもメリットが生じます。

ここでは、電子データ化に対応する必要性について解説します。

業務効率化

紙で情報をやりとりする場合、書類の郵送、ファイリングなど多くの時間を取られてきました。データ保存に変更すると、そのような手間が不要になります。書類管理の時には欠かせなかった手間や負担の軽減が可能です。

加えて、電子データを会計システムと連携すると仕訳業務、経理業務の効率化につながります。

業務の効率化に役立つDXについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。

ペーパーレスの促進

電子データ化に対応すると、ペーパーレスが促進できます。

これまで国税に関する全ての書類を紙で保存・管理しています。紙による保存は場所を取ります。レシートに使われている感熱紙は時間がたつと文字が消えてしまう点がデメリットです。

加えて、火事や水害などで、書類が消失するリスクも生じていました。

電子データ化すると、紙のような物理的な消失リスクは軽減します。ただし、必要な情報が簡単に消失してしまわないよう、保存場所や保存方法には一定のルールを設けておきましょう。

コスト削減

書類の郵送には、郵送料がかかります。同じ情報をEメールで送信する場合、郵送料はかかりません。書類発行には用紙代・インク代・保管ファイル費など多くのコストがかかっていました。また、書類で契約書や領収書を発行する場合、収入印紙が必要となる場合があります。

場合によっては書類の整理や管理のために、事務員などを雇う必要があるでしょう。

電子データでのやり取りに変えると、これらのコストが大幅に削減できます。

まとめ

2024年1月1日から、電子取引を行った場合、電子データの保存が義務化されます。法人だけでなく個人事業主もこの法律に対応しなければなりません。

これまで、用紙でのみ情報を保存していた場合、新たな法律に対応するための準備が必要です。場合によっては、条件を満たしたシステムの導入やプリンタ・PCなどを購入しなければなりません。業務フローや社内ルールの見直しが必要となることもあります。

電子データ保存への対応は、負担が増加するだけではありません。一方で、業務効率化やコスト削減にもつながります。ぎりぎりになって慌てることのないよう、早めに準備しておくと良いでしょう。

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