BEFORE
万一の時にも店舗運営に影響を与えないために、
情報システムのBCP策定が喫緊の課題でした。
2009年、西鉄ストアは創業40周年を迎えた。福岡県の西鉄沿線を中心に、スーパーマーケットや衣料専門店、コンビニエンスストアなど地域に密着した店舗展開を行っている。景気の低迷やデフレなど流通小売業界を取り巻く環境は厳しさを増しているが、西鉄ストアでは「安全・安心で価値ある商品の提供」を第一に、経営の効率化やお客さまニーズに迅速に対応できる体制づくりに取り組んでいるところだ。
そのような経営課題解決において、重要になるのが各種情報システムである。 情報システムの重要性や課題について、情報システム部の濵田さんと石田さんにお話を伺った。
情報システム部
濵田孝洋さん(右)
情報システム部
石田里美さん(左)
店舗運営の要となるPOSシステム、仕入れ・販売戦略の立案に不可欠なPOSデータ分析システム、会計・給与等の業務システム、顧客管理システムなどなど、スーパーマーケットでは多様なシステムが運用されています。ですから、情報システムが絡まない業務はほとんど存在しないといっていいほどです。
情報システム部としては店舗を開けている以上、POSシステムをはじめ多様なシステムが安定的に稼働し続ける必要があります。そのような状況のもと、新型インフルエンザ問題に端を発し、BCP(事業継続計画)を策定しなければならないという経営判断がなされました。そのため、事業継続のためのシステム運営は、情報システム部にとって喫緊の課題となったのです。新型インフルエンザなどによってスタッフが出勤できなくなった場合でも、自宅などから社内システムにアクセスし、システムの運用・管理が継続可能な体制を、早急に整えなければなりません。
それまで弊社では、情報システム部員といえども、外部ネットワークから社内システムへはアクセスできませんでした。そのため緊急のシステムトラブルという場合でも、いちど会社へ出社して作業をする必要がありました。
現場担当者の声
「会社を休む必要があるときに不安でした」
また、商品の仕入れを担当するバイヤーからも、外部から社内システムにアクセスすることで業務を効率化したいという要望が出ていました。バイヤーの多くは、市場に常駐したり、商談のために遠方に出張するなど、社外に出ていることが多いのです。従来は、新たに仕入れた商品データをPOSに登録するといった作業を行うためには、いちど外出先から会社に戻らなければなりませんでした。
情報システム部だけでなく、バイヤーも外部からアクセスできるように、リモートアクセスの環境を整備することが我々の課題でした。
なお、情報システムの運用・管理は、西鉄グループ共通のセキュリティポリシーに基づいて行われています。社外へのデータ持ち出しなども認められていません。新たにリモートアクセス機能を導入するにあたっては、こうしたセキュリティポリシーに則った手法を選ぶ必要がありました。
AFTER
低コストかつ高セキュリティなこと。
グループ会社の先行導入を知って即決
グループ共通の高いセキュリティポリシーもクリア。
リモートアクセス機能の導入にあたって、弊社が重視したのはセキュリティとコストです。セキュリティを確保する観点から、一時はシンクライアントやブレードPCの導入も検討してみました。しかし、いずれも導入コストが非常に高価になってしまうこと、それに導入に大きな稼働を要することから、見送られました。
そんな時、同じグループの西鉄旅行が「リモートアクセスのためにリモートデスクトップ「Biz Communicator」を導入した」という情報が、情報システム部に伝わってきました。西鉄旅行も同じ西鉄グループとして、厳しいセキュリティポリシーのもと導入しています。それを聞いてさっそく検討すると、リモートデスクトップ「Biz Communicator」はシンクライアントに求めていた情報漏洩対策などのセキュリティを確保しながら導入に手間がかからないこと、使い勝手が非常に簡単であること、コストが安いことなどがわかったのです。それまで考えていたシンクライアントなどに比べ、はるかにメリットのあるツールであることがわかりました。
現場担当者の声
「バイヤーも非常に喜んでくれています」
何といっても導入の決め手となったのは、グループ共通のセキュリティポリシーをクリアしていたことです。社内の共有サーバーやPC上にあるデータをコピーしたりダウンロードしたりすることができないなど、グループのセキュリティポリシーに則した仕様となっていることが、大きなポイントでした。同じセキュリティポリシーでシステムを運用するグループ会社が導入済みであることで、リモートデスクトップ「Biz Communicator」の導入を即決することができました。
効果
BCPに有効なことを実証。
バイヤーも社外からのアクセスで業務効率化。
リモートデスクトップ「Biz Communicator」を導入したのは2009年8月。まずは情報システム部内から導入しました。それから3カ月後の11月、BCPのために導入したリモートデスクトップ「Biz Communicator」が早くも真価を発揮しました。石田里美さんが子供のインフルエンザのため、1カ月という長期の在宅勤務が必要になったのです。
石田さんは基幹業務アプリケーションにアクセスし、特売商品の売価や配荷数を設定する仕事を任されていました。お店のチラシに掲載される大事な情報なので、誤りなどもってのほかですし、商品点数も多いので処理量もかなり膨大です。
出勤できなかった1カ月の間、石田さんはリモートデスクトップ「Biz Communicator」を使って自宅のPCから会社のPCにリモートアクセスし、自分の業務を通常どおりスムーズにこなすことができました。これまでであれば、社内にいる同僚に自分の代わりに仕事をお願いするしかなかったのですが、リモートデスクトップ「Biz Communicator」を導入したおかげで、同僚に余計な負担をかけることもなく、情報システム部全体の業務効率低下を避けることができました。
他の情報システム部のスタッフも、出張先等から自分が担当するシステムにリモートデスクトップ「Biz Communicator」でアクセスし、業務の処理を行えるようになりました。これも大きな業務効率改善です。システムトラブルなどの緊急時に社外にいた場合でも、社内にいる時と同じように迅速な対応が可能になりました。
いまはリモートデスクトップ「Biz Communicator」を利用しているバイヤーもいます。リモートデスクトップ「Biz Communicator」を導入したおかげで、バイヤーは市場から直接、商品マスターの登録をすることができるようになりました。おかげでその登録のためにわざわざ会社に戻る必要がなくなり、業務効率が大幅に向上しました。加えて、それまで社外から直接アクセスできなかった売上分析などの情報にも市場から直接アクセスできるので、販売状況に応じた機動的な商品仕入れが可能になりました。