群馬県前橋市
職員2600名分の Chromebook を導入し、
自治体DXを飛躍させる
Chromebook

前橋市 未来創造部 情報政策課 副主幹
神保 明彦氏
「セキュアで持ち運びやすい Chromebook ならば、職員一人ひとりに合わせた多様な働き方を提供できると感じました」

前橋市 未来創造部 情報政策課 主任
佐藤 萌恵氏
「従来の端末は、セキュリティアップデート対応が本当に大変だったのですが、Chromebook に搭載されている ChromeOS では自動的に更新してくれるので、管理の手間が少なくなりました」
課題
DXで住民サービスを向上させるために
群馬県の県庁所在地である前橋市。関東平野の北西端に位置し、利根川の流れる同市は総人口約33万人と、県内では高崎市に次ぐ規模である。2000年にピークを迎えた前橋市の人口は緩やかな減少傾向にあり、『前橋版人口ビジョン』によれば、高齢者人口がピークに達する2040年には、現在のおよそ8割、うち4割近くを高齢者が占めると推計されている。
働き手が少なくなり、自治体職員も減っていく中で、社会の複雑化・多様化は止まらない。総務省は『自治体戦略2040構想研究 二次報告』において、「従来の半分の職員でも自治体として本来担うべき機能が発揮でき、量的にも質的にも困難さを増す課題を突破できるような仕組みを構築する必要がある」と述べている。
こうした社会状況の中、前橋市は自治体DXにいち早く取り組んできた。高齢者の移動困難支援として、マイナンバーカードでタクシー費用助成を行う「マイタク」の実施。無料子育てアプリ「OYACOplus」の提供。一部の行政手続きもオンラインで可能になっている。
これらの施策の屋台骨となっているのが『前橋市DX推進計画』だ。「住民サービスの向上」が目的に掲げられ、デジタル技術活用とデータ活用の推進、DX人材育成、民間企業との連携をおこなうことが明記されている。そして、重点事業の一つに挙げられているのが「市役所のDX推進」だ。前橋市 未来創造部 情報政策課 副主幹の神保 明彦氏は、行政自身が業務のデジタル化・働き方改革を進めていく意義についてこう語る。
「我々の活動はすべて、住民サービスを向上するためにあります。従来は紙とマンパワーで業務を回していましたが、社会構造が変わっていく今、その方法は限界を迎えています。これからはデジタル技術を駆使していくことによって、住民本位の行政および地域社会を実現していけると考えています」(神保氏)
業務プロセスを再構築する一環として、NTTコミュニケーションズ支援のもと前橋市が導入を進めてきたのが、画像からテキストデータを認識するAI-OCRや、業務実行を自動化するRPAである。ここでは、「スマート自治体プラットフォーム NaNaTsu」が活用されている。
AI-OCRを使えば、紙で提出された申請書でも、わざわざ打ち直すことなくテキストデータ化できるので、窓口業務を大きく効率化することができる。また、情報の入力・検索・出力といったルーティン作業をRPA化すれば、職員はより重要な業務に専念することができるようになる。
これらのデジタルツール導入を皮切りに、市役所業務のDXを進める前橋市。時代がコロナ禍に突入する中、次に取り組まれたのは、職員が使用する業務端末の見直しだった。
多くの自治体がそうであるように、前橋市役所でも「業務端末を持ち運んで仕事をする」ことは想定されていなかった。端末を自席に置き、有線LANを経由して業務システムにアクセスする。会議や外出する際は、資料を紙に印刷して持ち運ぶ。それが常識だった。しかし、働き方が社会的に問い直される中、こうした常識も再考されている。時間や場所の制約を超えれば、市役所全体で、より生産性の高い働き方が可能となる。
このページのトップへ
対策
働き方を革新するデバイスとして Chromebook を選択
前橋市の次なる革新は、ほぼすべての職員2600名の業務端末を Chromebook に刷新することだった。導入を担当した前橋市 未来創造部 情報政策課 主任の佐藤 萌恵氏は、端末選定の一番のポイントは「セキュリティ」だったと言う。
「市役所の仕事は重要な個人情報を扱いますから、厳格なセキュリティが求められます。しかし、すべての業務端末をセキュリティアップデートする作業に、多大な労力がかかっていました。その点、Chromebook に搭載されている ChromeOS はバックグラウンドで自動的に更新してくれるため、職員の時間をとられずに、最も安全な状態で使うことができます。さらに、端末内のファイルはデータが暗号化されますので、紛失や不正アクセスによる情報流出リスクを激減することができます」(佐藤氏)
運用の負担を減らしつつ、行政情報を守ることのできる端末。そんな前橋市のニーズに、Chromebook はぴたりと一致した。佐藤氏はさらに、初期設定の利便性やクラウドサービスとの親和性にも触れる。
「従来使っていた端末の場合、行政の仕事に使えるようにするためには、セキュリティ対策を含めさまざま初期設定が必要でした。しかし Chromebook ならば、あらかじめ管理者側で設定しておくだけで、ユーザーがログインすれば自動的に設定をしてくれます。また、併せてMicrosoft 365のクラウドサービスを利用しているのですが、Chromebook はクラウドサービスと非常に相性が良いと考えました」(佐藤氏)
「これまでの前橋市は、オフィスに来て、自席の端末で仕事をすることが当たり前でした。しかし、実際におこなう仕事は職種に応じてさまざまですし、ライフステージも人それぞれです。セキュアで持ち運びやすい Chromebook ならば、職員一人ひとりに合わせた多様な働き方を提供できると感じました」(神保氏)
多角的な検討を経て、前橋市はNTTコミュニケーションズから2680台の Chromebook 調達を決定した。
「こちらのスケジュールに合わせて、柔軟な納品対応をしていただき、大変助かりました。2023年1月から職員に配布を開始し、4月から全庁で利用を進めています」(佐藤氏)
このページのトップへ
効果
新たなツールで、地域のために価値創出を続けていく
Chromebook を使った新たな働き方が、前橋市役所で始まりつつある。まず、幹部職員が市政運営について話し合う庁議が、オンラインで開催されるようになった。部長級以上が率先して自席でオンライン会議をすることによって、「これからの働き方」を周りの職員に示すことが狙いの1つだ。そして各課の会議もオンライン化・ペーパーレス化が進み、業務データのクラウド移行がおこなわれつつある。
コミュニケーションツールがクラウド化したことによって、外出先や各拠点間からも、チャットや通話で迅速に連絡を取り合ったり、資料を修正したりすることが可能となった。Chromebook の魅力の1つはこうした持ち運びやすさにある。
「実機に触ったとき、『凄く軽い』とびっくりしたことを覚えています。起動も速くて、どこでも持ち運んで使えるイメージがすぐに湧いてくる端末でした」(佐藤氏)
セキュリティ運用に関しても、想定通りの効果を上げていると佐藤氏は続ける。
「従来の端末は、セキュリティアップデート対応が本当に大変だったのですが、Chromebook に搭載されている ChromeOS では自動的に更新してくれるので、管理の手間が少なくなりました。また、情報の多くはクラウドにあり、Chromebook 内にあるファイルも暗号化されているため、安心して持ち運ぶことができます。私は、AI-OCRやRPAなど、ツール導入の打ち合わせで各課に出向く際は端末を持ち歩いてしますし、外部拠点で仕事をする際にも助けになっています」(佐藤氏)
前橋市では今後は、庁内での活用をさらに浸透させていく計画だ。
「クラウドサービスを賢く活用し、より効率的な仕事のやり方を実現していきたいと考えています。その一方で、職員が新しい環境や道具を使い慣れるのには一定の時間が必要です。『将来的に今の半数の職員で業務を回す』ためには、これまでの延長線上にない新たな働き方が必須ですから、NTTコミュニケーションズには組織文化改革の面でも、引き続きサポートいただければと思います」(神保氏)
前橋市のDX推進は、Chromebook を原動力としてさらなる飛躍を見せそうだ。
※Google、Chromebook は Google LLC の商標です。
このページのトップへ

群馬県前橋市
プロフィール
群馬県の中南部、赤城山のふもとに位置する市。群馬県の県庁所在地であり、約33万人の人口を抱える。「めぶく。」というまちづくりのビジョンを掲げ、リアルとデジタルが融合し、新たな価値を芽吹かせ続けるまちを目指している。
(PDF形式/204 KB)
(掲載内容は2023年10月現在のものです)
関連リンク