UBE株式会社 DX推進室長 藤井昌浩氏

UBE株式会社
DX推進室長

藤井昌浩氏

「工場内では石油化学プラントなどの運用もしているため、ドコモビジネスに大規模災害などを想定した災害時優先電話の対応をしていただいています。BCP対策でもスマホが重要な役割を担っています」

UBE株式会社 情報システム部 セキュリティ・インフラグループ 主席部員 山田幸治氏

UBE株式会社
情報システム部
セキュリティ・インフラグループ
主席部員

山田幸治氏

「工場内は設備や配管が多くWi-Fiがつながらない環境ですが、ドコモネットワークであれば問題なくつながります。工場内でPCを利用する際には、スマホでテザリングできるのですごく便利です」

UBE株式会社 情報システム部 セキュリティ・インフラグループ 平木聡氏

UBE株式会社
情報システム部
セキュリティ・インフラグループ

平木聡氏

「最近はリモート会議ツールでのコミュニケーションが主流ですが、PCが手元にない出先などではスマホが活躍しています。状況に応じてコミュニケーションの手段を選べるところがいいですね」

 

課題

工場内にPHSのアンテナを設置しても通話ができないエリアが存在する
内線専用のPHSでは社員間の円滑な連携が図れない。
コミュニケーションの基盤づくりが急務

山口県・宇部地域での石炭採掘を出発点として創業したUBEは、2022年4月に宇部興産から現社名に変更。化学製品、機械などのものづくりを軸に、化学事業持株会社として新たなグループ経営をスタートさせている。2022年度の中期経営計画では「2030年の目指す姿(長期ビジョン)」として、「地球環境と人々の健康、そして豊かな未来社会に貢献するスペシャリティ化学を中核とする企業グループ」を掲げている。「スペシャリティ化学とは、地球環境にいい影響を与える社会価値、お客さまに喜ばれる顧客価値に寄与する製品のことです。スペシャリティ化学への事業構造の転換による成長、そしてカーボンニュートラルなどの地球環境への貢献を両立することが、2030年の目指す姿です。しかし、相反する事業の成長と環境への貢献を両立させるためには改善ではなく変革、デジタル技術などを駆使したトランスフォーメーションが必要になるため、新たに私の所属するDX推進室が立ち上がったのです」と語るのは、DX推進室長 藤井昌浩氏(以下、藤井氏)である。

DX推進室の主導のもと、10の事業領域でDXテーマを掲げ、2030年に事業の中核を担う20代から40代のメンバー約70人が、10のチームで目標達成に向けた取り組みを進めている。「DXは個人、チーム単体で進めても意味はありません。海外拠点との緊密な連携も必要です。そこで重要になってくるのがいつ、誰とでも、どことでも、最適な手段でつながることのできるコミュニケーション基盤の整備です。実は今回のような事業変革を見据えて、10年以上前から準備を進めていたのです」(藤井氏)

遡ること10年以上前、当時、同社では公衆PHSサービスの終了に備え、工場内などで利用する端末のリプレイスが急務になっていた。「すでに工場内では内線通話用のPHSとメールなどのデータ通信用のスマホを併用しており、この機会に電話をスマホに集約する流れになりました。PHSのサービス終了というより、電話だけではなくもっと高度に利用できる端末を導入したい思いがありました。そこで、スマホ1台に電話はもちろん、メールやチャットといったコミュニケーションツールを統合、先々のさまざまなワークスタイルや事業の変革に対応できるコミュニケーション基盤づくりを進めることになったのです」と、情報システム部 セキュリティ・インフラグループ 主席部員 山田幸治氏(以下、山田氏)は当時を振り返る。

 

対策

PHSを廃止、オフィスリンク&社用スマホで電話環境を刷新
どこでもつながる、多様なワークスタイルに
対応したコミュニケーション基盤を構築

当初、スマホに通話アプリをダウンロードして利用するサービスの検討を行った。しかし、期待した音声品質が得られず、しかも煩雑な設定が必要、操作性が複雑といった利用から、あまりITリテラシーが高いとはいえない工場への導入が困難という理由から断念。こうした問題点がクリアできるサービスとして同社が導入を決めたのがドコモビジネスのオフィスリンクだった。「まずドコモネットワークに接続することで高い音声品質が得られること、専用アプリをダウンロードすることなく社用スマホがそのまま電話として使えるようになることが大きなポイントだったと、当時の担当者から伝え聞いています。情報システム部門が各現場に足を運ぶことなく、簡単に導入できることも決め手になったといいます」とサービス選定の理由を明かすのは、情報システム部 セキュリティ・インフラグループの平木聡氏(以下、平木氏)だ。

同社が導入を決めた「オフィスリンク」は、既存の電話交換設備(PBX)とドコモのネットワークをつなぎ、ドコモの携帯電話を内線化できるサービスである。インターネット環境に依存しないクリアな音声コミュニケーションの実現、100種以上のPBXに対応、端末1台に外線・内線番号を集約できるといった特長を持っている。つまり、社用スマホに電話の機能を付与して、メールやチャットといったさまざまなコミュニケーションツールとして利用したいという同社の狙いにフィットしたわけだ。

こうして、同社では宇部本社(現 宇部事業所)への導入を皮切りに、ドコモビジネスとともに細かい調整、改善を加えながら本社(東京)、工場へとオフィスリンクの導入エリアを拡大していった。そして、利用を重ねるうちに想定通りの効果が出てきたという。「とりわけ、工場での効果は絶大でした。従来のPHSは工場内にアンテナを設置しても、どうしてもつながらないエリアがあったのですが、オフィスリンクに切り替えたことでドコモの携帯電話がつながるエリアであれば、どこでも利用できるようになりました。しかも、個人へのダイレクトな連絡ができるようになり取り次ぎの手間も解消。映像や動画撮影用にデジカメを持ち歩く必要がなくなり、コミュニケーションからトラブル対応まで、すべてスマホ1台で賄えるようになっています」(山田氏)

「事業所側でも国内のみならず、海外の拠点から頻繁に電話などで連絡が来るようになり、すっかり距離の概念がなくなりました。距離に関係なく、すぐにコンタクトが取れるようになったことは大きな効果ですね。とにかく使い勝手がいいため、他の拠点にもどんどん広がっていきました」(藤井氏)

 

効果

現場からの情報共有はスマホで完結
確実につながるコミュニケーション基盤として
工場のDX推進を後押し

すでにオフィスリンクが導入されてから10数年が経過し、国内外、ほぼすべての事業所、工場への導入が完了している。試行錯誤を重ね、それぞれの現場に合った活用法が確立されており、効率的な組織運営、業務推進に欠かせないコミュニケーション基盤としてしっかり根付いているようだ。新型コロナ感染症の蔓延で出社が制限された際、リモートワークなどの新たなワークスタイルに速やかにシフトできたことも大きな効果の1つである。「コロナ禍当時、工場のデジタル技術を扱う部署にいました。一部の社員しか出社できない中、工場でトラブルが起きた際には、すぐに社内のチャットアプリで情報共有を行うチャットチームが立ち上がったのです。たまたま出社していた私が現場の写真、動画を撮ってチャットルームに送り、設備管理担当に意見をもらい、速やかに対応できました。これはオフィスリンクやスマホのおかげだと思っています」(山田氏)

「かつては、工場内で通話のできる端末が欲しいという声が多かったのですが、現在は工場内でのデータ通信がメインの目的になっており、ついでに内線をつける流れになっています。現場の写真や映像を撮って関係者で情報共有、迅速なトラブル対応ができるようになったことで、おそらく生産設備のダウンタイムがかなり短縮されたと思っています。加えて、デジタルデータで記録が残せるため業務の属人化が解消され、かつては一子相伝だった職人の技能伝承もかなり効率化されています」(平木氏)

現在、同社ではDX推進室の一環として生成AIの活用にも注力している。この取り組みにおいて1人1台のスマホ、そしてオフィスリンクのコミュニケーション基盤は重要な役割を担う。「たとえば、UBEグループの労災、社内ルール、手順書などの独自データを追加した生成AIをアプリ化した“あんぜんボットくん”を、現場で働く社員のスマホに実装しています。これは作業内容、作業人数、使用器具などを入力するだけで、アプリが作業前の注意喚起を行い、危険予知をサポートするというものです。もう1つ、工場運転管理システムも近々、導入予定です。これはシステム上で作業指示や運転記録などの情報共有を行い業務管理の強化、ペーパーレス化の推進、作業の効率化を実現するものです」(藤井氏)

さらに同社ではMicrosoft Power Platformを導入した市民開発にも取り組んでおり、今後、業務改善に有用なアプリを積極的にスマホに実装していく計画だ。「デジタルツインなどの大規模な取り組みだけでは組織にDXは根付きません。合わせて、スマホアプリなどで社員1人ひとりが効果を実感できるボトムの面積を拡大していくことが重要です。2030年に向けて、さらなる挑戦を続けていきます」(藤井氏)

導入サービス

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UBE株式会社

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事業概要
1897年、宇部での石炭採掘を出発点として創業した化学製品、成形機械などを手がけるメーカー。
現在、スペシャリティ化学を中核とする企業グループへの転換を目指し、さまざまなDX施策を展開中

URL
https://www.ube.com


(掲載内容は2025年4月現在のものです)


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