IoTデバイスとは?
「とりあえずつなぐ」が招く重大なリスクと対策
IoTデバイスとは、インターネットなどのネットワークに接続してデータの送受信や制御を行う機器の総称です。センサー・カメラ・ゲートウェイなど多様な種類があり、製造・物流・医療・農業など幅広い分野で活用されています。IoTデバイスを正しく理解しておくことが選定・導入段階でのリスクを防ぐ第一歩です。
IoTデバイスとはPCやスマートフォンと異なり、特定の用途に特化した組み込み機器であることが多く、画面や操作インターフェースを持たないものがほとんどです。この特性がセキュリティリスクとも深く関わってきます。
| 種類 | 主な用途 | 具体例 |
|---|---|---|
| センサー | 温度・湿度・振動・CO2などの計測・監視 | 温度センサー、振動センサー、CO2センサー |
| カメラ | 映像の取得・記録・解析 | 監視カメラ、赤外線カメラ、産業用ビジョンカメラ |
| ゲートウェイ | センサー等のデータをクラウドへ中継 | LTEルーター、エッジゲートウェイ |
| 車載・移動体機器 | 位置情報・走行データの取得 | 車載テレマティクス機器、ドライブレコーダー |
| ウェアラブル | 作業者の状態・位置・バイタルの取得 | スマートウォッチ、位置情報タグ |
IoTデバイスは単なるIT機器ではなく、設備・車両・インフラに直結する「現場資産」です。一度設置すると容易に交換できず、工場の生産ラインや屋外・地下のインフラ機器は交換のたびに業務停止や施設工事が必要になります。
導入後に発生するトラブルの多くは、選定段階で通信方式・セキュリティ設計・運用前提が検討されていなかったことに起因しています。「とりあえずつないだ」IoTデバイスが数年後にセキュリティホールになる事例は現実に起きており、選定の失敗は後から取り返しがつきません。
IoTデバイスはサイバー攻撃の入口になりやすい状況です。その背景にはデバイス特有の3つの弱点があります。その弱点と、実際に起きている被害パターンを理解することが適切な対策の前提となります。
IoTデバイスがサイバー攻撃に狙われやすい構造的な理由は次の3点です。
IoTデバイスが攻撃の入口になった場合、被害はデバイス単体にとどまりません。選定・導入段階でセキュリティを考慮していなかったデバイスが、企業全体を巻き込む事故の起点になるケースが増えています。
IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」でも、ランサムウェア攻撃やサプライチェーンを狙った攻撃が上位にランクインしており、その標的にはIoTデバイスも含まれています。
| 順位 | 「組織」向け脅威 | 初選出年 | 10大脅威での取り扱い(2016年以降) |
|---|---|---|---|
| 1 | ランサム攻撃による被害 | 2016年 | 11年連続11回目 |
| 2 | サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 | 2019年 | 8年連続8回目 |
| 3 | AIの利用をめぐるサイバーリスク | 2026年 | 初選出 |
| 4 | システムの脆弱性を悪用した攻撃 | 2016年 | 6年連続9回目 |
| 5 | 機密情報を狙った標的型攻撃 | 2016年 | 11年連続11回目 |
| 6 | 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む) | 2025年 | 2年連続2回目 |
| 7 | 内部不正による情報漏えい等 | 2016年 | 11年連続11回目 |
| 8 | リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 | 2021年 | 6年連続6回目 |
| 9 | DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃) | 2016年 | 2年連続7回目 |
| 10 | ビジネスメール詐欺 | 2018年 | 9年連続9回目 |
【引用元】IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」
https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html (2026年1月29日公開)
「性能」だけでIoTデバイスを選んだ結果、導入後にセキュリティリスクや運用コストが増大するケースが後を絶ちません。よくある誤った選定基準を把握しておくことが、失敗を防ぐ第一歩です。
IoTデバイスの選定で見落とされがちな誤りは次の3点です。
IoTシステムは、IoTデバイスが収集したデータを通信でクラウドに送り、アプリケーションで活用して初めて機能します。あくまでIoTデバイスは、IoTシステムを構成するパーツの1つにすぎません。
この4つの要素のどれか1つが欠けても、システム全体が破綻します。精度の高いセンサーを導入しても通信が閉域化されていなければ攻撃リスクが残り、セキュリティが万全でも運用体制が整っていなければインシデント発生時に対応できません。
「デバイスを選ぶ」ことは「システムを選ぶ」ことと同義です。選定段階でこの全体像を意識することが、導入後のトラブルを防ぐ最大の近道となります。
IoTデバイスに求められるセキュリティ設計はデバイス側だけで完結するものではありません。デバイス側に求められる最低限の要件を把握したうえで、その限界をネットワーク側で補完する設計が必要です。
| セキュリティ要件 | 内容 | 留意点 |
|---|---|---|
| なりすまし防止 | デバイス認証・電子証明書の実装 | 低スペック機器では証明書管理が困難なケースがある |
| 通信の暗号化 | TLS等の暗号化通信の採用 | 処理能力が不足すると実装できない場合がある |
| 認証情報の管理 | デフォルトパスワードの変更・ハードコード禁止・安全な保管 | 設定変更の手段がないデバイスは事後対応が困難 |
| ファームウェア更新 | 定期的なセキュリティパッチの適用 | 更新の仕組みを持たない機器は長期運用でリスクが増大 |
【参考】経済産業省・IPA『IoT製品に対するセキュリティ要件適合評価・ラベリング制度(JC-STAR)』
☆1要件(2025年3月運用開始)を基に編集部整理
https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2024/press20240930.html
IoTデバイス選定時にセキュリティ要件を確認しても、デバイス側だけでは対応しきれない構造的な限界があります。導入前に把握しておくことが、後悔しない選定につながります。
IoTデバイスの限界をネットワーク設計で超えるとは、デバイス側の処理能力・ファームウェアの制約に縛られず、ネットワーク側でセキュリティ機能を実装するアプローチです。具体的には「閉域通信による接続制御」「不正通信の可視化・遮断」「通信ログによるフォレンジック対応」という3つのアプローチで、デバイスの限界を実質的に超えることができます。
ネットワーク側で補完する発想とは、デバイスで防ぎきれないリスクを通信の段階で検知・遮断・管理することです。具体的には次の3点で機能します。
「デバイスで防げないなら、通信側で補う」——この設計思想が、IoTセキュリティの現実解です。
IoTデバイスに適した通信方式はユースケースによって異なります。デバイスの特性と用途に合わせた通信方式の選定が、システム全体のセキュリティと安定稼働に直結します。
| 通信方式 | 特長 | 向いているユースケース |
|---|---|---|
| LPWA(LoRa/NB-IoT) | 長距離・省電力・低コスト。通信量は少ない | 環境センサー・農業IoT・インフラ監視など低頻度データ収集 |
| LTE(4G) | 安定した広域接続・汎用性が高い | 汎用型IoT・中量データ送受信・移動体管理 |
| 5G | 超低遅延・大容量・高信頼性 | 映像系IoT・工場の自動化・リアルタイム制御 |
用途別のIoTデバイス選定では、デバイスの特性に応じたセキュリティ要件と通信設計が異なります。センサー系・カメラ系・移動体の3つの用途別に、押さえるべきポイントを整理します。
センサー系デバイスは長期運用を前提にした選定が必須です。5〜10年の現場稼働を想定し、以下の3点を事前に確認しておくことが導入後のリスクを防ぎます。
バッテリー寿命と交換コスト
電源供給が困難な屋外・地下環境では、バッテリー寿命が運用コストに直結します。交換頻度が高いと現場作業のコストが膨らむため、選定時に稼働期間の目安を確認しておくことが重要です。
ファームウェア更新の仕組み
無線(OTA)アップデートに対応しているかを必ず確認します。対応していない機器は設置後のセキュリティパッチ適用が困難になり、長期運用でリスクが拡大します。
省電力通信との組み合わせ
低頻度・小容量データの収集にはLPWA(NB-IoT等)との組み合わせが有効です。省電力設計のデバイスとLPWAを組み合わせることで、バッテリー寿命を最大化しながら安定した通信が実現できます。
カメラ・映像系デバイスは情報漏えいリスクがとくに大きい用途です。映像データはプライバシーや機密情報に直結するため、選定段階からネットワーク側での制御設計を組み込む必要があります。
通信帯域とリアルタイム性の確認
高解像度映像のリアルタイム転送には5G/LTEが主に利用されます。通信帯域が不足すると映像品質が劣化するだけでなくセキュリティ機能にも影響が出ます。選定時に用途に合った通信方式を検討しましょう。
ネットワーク側での不正アクセス遮断
カメラへの不正アクセスはプライバシー漏えいに直結します。デバイス側だけの対策では限界があるため、ネットワーク側での通信の暗号化・不正アクセス遮断の仕組みを組み合わせることが重要です。
アカウント管理の徹底
デフォルトの管理者アカウントを必ず変更し、外部からの管理画面への直接アクセスを遮断します。デフォルトパスワードのまま運用されたカメラが外部から閲覧可能になった事例は国内外で多数報告されています。
移動体・車載デバイスは、移動中でも安定した認証と通信の継続が求められます。位置情報のなりすましや改ざんへの対策が車載IoTの選定における重要ポイントです。
移動中でも途切れない認証設計
移動体IoTはハンドオーバー(基地局間の切り替え)が頻繁に発生します。SIMを活用した機器認証(5G/LTE)を採用することで、移動中でも途切れない安定した認証が実現できます。
位置情報のなりすまし・改ざん対策
GNSS(GPS等)の位置情報はなりすまし、改ざんのリスクにさらされています。位置情報の暗号化・改ざん検知の仕組みをデバイス選定時に確認しておくことが重要です。
通信途絶時の動作設計
移動体では通信が一時的に途絶えるケースがあります。ローカルへのデータ保存・再送信の仕組みをあらかじめ設計しておくことで、通信途絶による業務への影響を最小化できます。
IoTデバイスの用途・規模・通信要件は現場によって異なります。NTTドコモビジネスは多様な通信サービスを組み合わせることで、最適な構成をトータルにご提案します。
NTTドコモビジネスは長年、通信キャリアとして培ってきたIoTの通信専門知識に加え、さまざまな業種・業態のお客さまへの数多くの導入支援実績を持ちます。個別最適ではなく全体最適の視点でIoT設計をサポートできる体制が強みです。なかでもSIMを起点にしたセキュリティ機能を標準搭載した『docomo business SIGN™』は、デバイス・通信・セキュリティを一体で提供する現実的な解決策です。
【引用元】SeizoTrend掲載記事「なぜ『IoT化』は失敗するのか?」(2026年1月13日公開)
https://www.sbbit.jp/st/article/sp/176613
docomo business SIGN™は、以下の通信サービスと組み合わせることで、デバイス×通信×セキュリティの全体設計をワンストップで実現できます。
docomo business SIGN™は、SIMを起点としたセキュリティ機能を標準搭載したIoTサービスです。デバイス認証・通信の暗号化・閉域接続・脅威検知遮断(特許取得済み)という一連のセキュリティ機能をネットワーク側でワンプラットフォームとして提供。不正な通信を検知すると管理者へ通知し、SIM単位で該当デバイスの通信を遮断できるため、被害の拡大を迅速に防ぐことが可能です。


IoTデバイスの選定からネットワーク構築、データ活用までを一体的に検討することで、IoTの投資効果を最大化できます。まずは自社でどのようなデータを取得し、どのような価値につなげたいのかを整理することから始めてみてはいかがでしょうか。
NTTドコモビジネスでは、IoTデバイスの安全な接続・運用を支援する「docomo business SIGN」や、収集したデータを可視化・活用できるIoTプラットフォームを提供しています。IoT活用やDX・GX推進をご検討中の方は、自社の課題や目的にあわせた最適な環境づくりについて、ぜひご相談ください。
セキュリティ機能を標準搭載したIoTサービス
製品データを活かし、継続的な収益や新たなサービス創出
パートナーとNTTドコモビジネスの強みを活かした連携強化により、お客さまへの提供価値向上を実現し、新たなビジネス創出・拡大を目指します。パートナーにおける一連の販売プロセスを支えるプログラムを提供しています。
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