IoTゲートウェイとは? 役割や活用事例を紹介

IoTゲートウェイとは? 役割や活用事例を紹介
IoTゲートウェイとは? 役割や活用事例を紹介
複数のIoTデバイスを同時に運用するIoTの環境構築において、各デバイスの管理体制やネットワーク接続の安定性・安全性の担保は重要な要素と言えます。そこで役立つのが、複数のIoTデバイスと接続し、ネットワークを介してサーバーとの通信を行うことで、上記の課題を解決する「IoTゲートウェイ」という機器です。

ドコモビジネスでは、IoTゲートウェイの有効活用も含めた、お客さまのIoTシステム構築を一気通貫でサポートする「ドコモIoTマネージドサービス」や、IoTゲートウェイを採用できない場合の代替案として「IoT Connect Gateway」をご提供しています。
ICTにおけるゲートウェイとは、「異なる通信プロトコルでデータをやり取りする際の『データを中継する機能』や『中継する機能』を持った機器」を指し、複数のIoTデバイスを束ね、サーバーとのデータのやり取りを行う機器が「IoTゲートウェイ」です。
今回のコラムでは、モノから得られた情報を分析・活用するIoTプラットフォームの構築において重要な役割を担うIoTゲートウェイの役割や導入時の注意点、活用事例を解説していきます。

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IoTゲートウェイとは?
IoTの運用を支える重要な機器

IoTゲートウェイとは? IoTの運用を支える重要な機器

IoTゲートウェイは、複数のIoTデバイスから取得したデータを取りまとめ、ネットワークを介してサーバーに送信するIoTの運用に欠かせない中継機です。

IoTゲートウェイの役割

IoTゲートウェイは、主に「インターネット接続機能」「デバイスの管理・制御」という2つの役割を担っています。
IoTでは、数十台から数百台にも及ぶIoTデバイスを同時に運用することもめずらしくありません。そのため、それぞれのデバイスが直接インターネットに接続してしまうと、通信費用にかかるコストは膨大になってしまうでしょう。また、小型のデバイスにはそもそも接続用の装置を搭載できない場合もあります。
IoTゲートウェイは「インターネット接続機能」を肩代わりすることでそれらの課題を解決し、さまざまな通信規格のIoTデバイスを一元管理することができます。パスワードの更新や特定機能へのアクセス許可、通信状況の確認といった各デバイスの制御も、IoTゲートウェイを介して行えるので、個別に操作する必要がなくなるのも魅力です。

IoTゲートウェイの特徴

IoTゲートウェイは「複数のIoTデバイスとネットワーク」をつなぐ特徴を持ち、サーバーやインターネットの負荷を軽減するほか、セキュリティ状況を可視化することができます。
有効活用するためには、モバイル回線の安定性や複数のセンサーを連携させた際のシナジーにも留意する必要があるでしょう。

IoTルーター、エッジゲートウェイとの違い

IoTゲートウェイと意味合いが近しい用語に「IoTルーター」と「エッジゲートウェイ」があります。どちらの用語もIoTゲートウェイと同義として扱われることがありますが、それぞれには下記の違いがあり、区別されて使われるケースも少なくありません。

IoTゲートウェイの接続方式

IoTゲートウェイの接続方式には、有線と無線の2タイプがあります。それぞれのメリットとデメリットを把握し、接続先によって使い分けることで、より強固なIoT環境の構築が可能になります。

IoTデバイスとの通信は無線接続が使いやすい

IoTデバイスとの接続で多く使われているのが、無線方式です。そのメリットは、有線方式で必要になる膨大な配線工事を必要とせず、入り組んだ場所でも問題なくデバイスを設置できる点にあります。
一方、有線と比べて通信が不安定になりやすいデメリットがあります。この課題を解消するためには、IoTゲートウェイの同時接続数やセンサーとの距離を適切に管理して、負荷を軽減する必要があります。

サーバーへの通信は有線接続で安定性を

サーバーやクラウドとの接続は有線方式が一般的です。IoTゲートウェイは、複数のIoTデバイスから得られた情報を取りまとめてサーバーに送信するため、データ伝送量が多い場合にも通信が安定する方式を選ぶ必要があります。配線工事の都合などから無線を採用したい場合には、IoT環境に最適化されているかを事前に確認しておきましょう。

IoTゲートウェイの
セキュリティ対策に注意!

IoTゲートウェイを選ぶ際の留意したいのが、セキュリティ対策の有無です。インターネットやIoTデバイスを介してマルウェアに感染するリスクを考慮し、暗号化や異常検出の機能を備えたものを選びましょう。
IoTのセキュリティについては、下記の記事で紹介しています。

IoTゲートウェイの活用事例

IoTセキュリティの対策方法

IoTゲートウェイは、IoTを導入しているさまざまな業界で活用されています。具体的な利用シーンについて、数十〜数百台のIoTデバイスを同時に運用する業界にフォーカスし、メリットや注意点を解説します。

製造業:通信規格が異なるデバイスを一元管理

通信規格が異なる、大小さまざまなIoTデバイスを並行して運用している製造業は、IoTゲートウェイが有効活用される代表的な業界と言えます。管理の一元化やセキュリティ対策はもちろん、各デバイスの稼働状況をリアルタイムで監視できることから、予知保全・予防保全に貢献します。
工場で使用するIoTゲートウェイは、設置される場所の環境を考慮する必要があります。高温高湿、電磁波による障害、揺れや衝撃による破損のリスクがある場合には、堅牢性の要件を必ずチェックするようにしましょう。

インフラ:エネルギーの最適化に貢献

発電所や変電所などのインフラを担う施設では、IoTゲートウェイによってエネルギーの供給状況が管理されています。また、電気・ガス・水道の利用状況をスマートメーター化する取り組みが広がっており、次世代のインフラを担う産業用IoTゲートウェイの開発も盛んです。
インフラ事業は市民の生活と直結しているため、他の業界にも増して安定性の高さが求められます。選定や運用においては、防塵・防水性能や機器の寿命、稼働コストがポイントになるでしょう。

医療:治験薬の温湿度保管を一元管理

医療現場では、広くIoTシステムが利用されており、IoTゲートウェイは治験薬の温湿度管理にも利用されています。薬品を保管するための、冷蔵庫内の温湿度計センサーにIoTゲートウェイを設置すれば、オンラインでの一元管理が可能になり、全国の病院への現地対応が減少するでしょう。
設置場所は冷蔵庫や冷凍庫内になるため、低温度への耐久性があるセンサーや機器を選ぶ必要があります。特殊な条件下でのIoT環境の構築にお困りの際は、ドコモIoTマネージドサービスなどのオールインワン型ソリューションがおすすめです。

IoTゲートウェイを活用したサービス

ドコモビジネスでは、通信事業のノウハウを活かしたIoT・DX化支援に取り組んでおり、お客さまのIoT導入にあたって、IoTゲートウェイを活用した新たなビジネスモデルの創出をサポートしています。

ドコモIoTマネージドサービス

IoTのシステム構築には、IoTデバイスをはじめ、モバイル回線やIoTゲートウェイ、回線の制御装置、セキュリティ対策などさまざまな準備が必要になります。ドコモビジネスでは、そのようなコストを必要とするIoTのシステム構築をワンストップでサポートする、ドコモIoTマネージドサービスをご提供しています。
ドコモIoTマネージドサービスは、単にIoTゲートウェイやモバイル通信回線のプランをご提案するだけではなく、お客さまとの協業による新たなビジネスモデル創出を目指す総合的なサービスです。
たとえば、家庭用蓄電池メーカーさま向けには、IoTゲートウェイを使った蓄電池の充電・使用状況監視システムを提供しておりますが、この設置済のIoTゲートウェイを活用し、お子さま向け「見守りサービス」を蓄電池メーカーさまと共同で開発しました。これはIoTゲートウェイ経由でお子さまが身に着けている見守りタグの情報を把握し、また合わせて玄関ドアと連動する開閉センサーの情報を取得することで、お子さまの帰宅や外出を検知、あらかじめ登録された保護者の方のメールアドレスへお知らせするサービスです。
また、2022年12月からは、複数の通信キャリア冗長化をワンストップで提供するソリューションを提供しています。通信障害への備えとしてお客さまご自身でサブ回線を調達・保守することなく、より手軽に強固なネットワーク構築を実現いたします。

業界別 IoTセキュリティのポイント

Things Cloud®

IoTゲートウェイを通して収集したデータを蓄積し、価値ある情報に変換する必要があります。

ドコモビジネスでは、Smart Data Platform* (略称SDPF) の中でIoTデータの収集機能を提供するプラットフォームとして「Things Cloud®」を提供しています。 センサーからの環境情報や、生産、製造にかかわるデータ、設備の稼働情報などさまざまなデータを蓄積、分析できるクラウドサービスで、簡単な操作でデータの可視化が可能です。また、ユーザー管理・アラート通知・デバイス管理などIoT に必要な機能一式が揃っていますので、IoTの実装や管理を容易に行うことができます。

Things Cloud®

*Smart Data Platformとはデータ利活用に必要なすべてを集約したプラットフォームです。
 詳しくはこちら:
https://www.ntt.com/business/sdpf/about.html

IoT Connect Gateway

上記のようにIoTゲートウェイを用いて複数のセンサーを連携させることで、新たなサービスのご提供が可能になります。しかし、IoTシステムによっては、IoTゲートウェイを採用できないケースもあるでしょう。代替案としては、「製品にモバイル機能を直接組み込む」「安価なIoTルーターを採用する」といった方法がありますが、データ通信の負荷やセキュリティ面のリスクが発生してしまうことも考えられます。
ドコモビジネスでは、そのような課題を解決すべく、IoT Connect Gatewayのご提供を行なっています。IoT Connect Gateway は、IoTデバイスとクラウドサービスの間の仕様差分を吸収するゲートウェイとして、フレキシブルな相互接続機能を提供するサービスです。
IoTクラウドサービスに合わせたセキュアな通信プロトコルへの変換や各種クラウドサービスへの接続認証情報の管理など、本来デバイス側で設定しなければならない工程を代行処理します。デバイス実装の手間や、設定変更時の作業工程を大きく低減することが可能です。また、リモートアクセス機能によりIoTデバイスをセキュアにメンテナンスすることも可能です。

IoT Connect Gateway

SDPF Edge®

クラウドサービスの利用や接続のハードルが高いお客さまもいらっしゃるのではないでしょうか。SDPF Edge®ではアプリケーションをオンプレミス環境で実行するためのハードウェアと仮想化基盤、それらを一元的に管理するコントローラーを提供します。可視化のためのアプリケーションもSDPF Edge®にのせることができ、インターネット上で通るのは管理する通信のみのため、カスタマープレミスに閉じた形で一元的な管理・可視化が可能になります。また、お客さまは資産を持つことなく、ハードウェアの保守運用もお任せいただけます。

SDPF Edge®

まとめ

  • IoT ゲートウェイの役割と特徴

    IoTゲートウェイはIoTデバイスから得られた情報を取りまとめ、ネットワークを介してサーバーに送信する機器です。データの中継だけではなく、複数のIoTデバイスを管理・制御を行う点に特徴があります。

  • IoTゲートウェイの接続方式は2種類

    IoTゲートウェイの接続方式には、有線と無線の2タイプがあります。設置場所を選ばない無線方式はデバイスとの接続に多く、安定性の高い有線方式はネットワークとの接続に多く用いられます。

  • IoTゲートウェイのセキュリティ対策に注意!

    IoTの運用は、さまざまなセキュリティ上のリスクを抱えています。IoTゲートウェイはデバイスとインターネットの双方に接続するため、事前にセキュリティ対策の有無を確認しておきましょう。

  • IoTゲートウェイの活用事例

    複数のIoTデバイスを用いる業界ほど、IoTゲートウェイを導入するメリットは大きくなります。製造業やインフラ、一次産業では、業種の性質に合わせたIoTゲートウェイが導入され、実績を上げています。

ドコモビジネスは、これからも社会やみなさまの普段の暮らしが、より一層豊かで充実したものとなるよう、IoTを通じて貢献してまいります。

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