少人数でも安定運用できる?
中小企業におけるシステム運用の課題と解決策
「システム運用担当者がひとり情シス状態になっている」
「システム故障が起きてからエンドユーザーに指摘されたことがある」
このような課題に直面していませんか?中小企業においては、限られた人員でシステムをいかに安定運用するかが鍵を握っています。
本記事では、社内ITシステム運用を少人数で担っている情シス・IT担当者さま向けに、中小企業におけるシステム運用の課題を整理しつつ、課題への対策アプローチをまとめています。おすすめの運用監視ツールも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

目次
中小企業のシステム運用はなぜ難しいのか
中小企業のシステム運用は、「課題に直面しやすい」「難しい」といわれることが少なくありません。システム運用の難易度が高いとされる背景には、中小企業を取り巻く環境が深く関わっています。
情シス担当が少人数/兼務のケースが多い
中小企業では、特定の担当者がシステム運用を一手に引き受ける「ひとり情シス」が常態化しているケースが多く見られます。情シス専任ではなく、他の業務と兼任しながらシステム運用を担当していることもめずらしくないのが実情です。
担当者が一人であれば、あらゆる判断を一人で下し、業務を遂行しなければなりません。情シス担当者に負担が集中しやすく、求められる知識やスキルも多岐にわたることから、中小企業のシステム運用は難しい・厳しいといわれているのです。
システムが多様化・複雑化している
近年、システムが多様化・複雑化していることも要因の1つです。従来のオンプレミスに加え、クラウド/SaaSを組み合わせて活用するケースが増えています。多様なシステムが混在し、構成が複雑になりがちです。
企業によっては、専門知識やノウハウが社内に十分蓄積されているとは言いがたいケースもあるでしょう。本来求められる技術的知見の水準に対して、組織や担当者の知識・ノウハウが追い付いていないことが、システム運用をますます困難にしています。
予算上の制約が厳しい
予算上の制約から、専属のシステム監視チームを設置するほどの人件費を割り当てられないケースもあるでしょう。ITシステムは「止めない」「インシデントには即対応」が前提となるため、本来であれば強固な運用体制を整える必要があります。しかし現実には、必要最小限の運用担当者の配置に留まっているケースが少なくありません。
社内での対応が困難であれば、アウトソーシングを活用する方法もあります。ただし、予算上の制約から外部委託も現実的ではないケースが多いのが実情です。
少人数運用が抱える5つの課題
システム運用を少人数で担う環境下では、さまざまな課題に直面することが想定されます。主な課題として挙げられるのは次の5点です。
課題1:故障の検知が遅れやすい
システムに何らかの故障が発生した際には、本来であれば速やかに検知し対応する必要があります。しかし、少人数運用の場合はユーザーから不具合の指摘を受けてはじめて事態を把握するなど、事後通報問題が生じがちです。
故障の検知が遅れれば、初動対応も遅れる可能性が高まります。結果として、問題が深刻なレベルに達した段階で対処せざるを得なくなるリスクを抱えているのです。
課題2:運用が属人化しやすい
システム運用が属人化しやすいことも大きな課題といえます。特定の担当者しか運用ノウハウを把握していないために、業務の流れや判断基準がブラックボックス化しがちです。
結果的に、担当者が不在の際には誰も対応できない・引継ぎができていないといった事態を招きかねません。運用の属人化は、持続可能な経営を実現する意味においても解決しておきたい重要な課題といえるでしょう。
課題3:監視・管理に労力を要する
システムの監視や管理が大きな負担になりやすいことも課題の1つです。複数のダッシュボード管理や手動によるツール確認、ログの目視チェックなどが積み重なり、担当者に高い負荷がかかっている可能性があります。
高負荷な就業環境が常態化すれば、ひとり情シス担当者が突然休職や退職を申し出ることもあり得ます。少人数による運用体制だからこそ、監視・管理に要する労力を十分に考慮する必要があるでしょう。
課題4:セキュリティリスクへの対応が手薄になりやすい
システム運用上欠かせないルーティンワークに追われてしまい、セキュリティリスクへの対応が手薄になりやすいことも重要な課題といえます。とくに専任者が不在の場合、脆弱性の把握や異常ログの検出まで手が回っていない状況は十分に想定されるでしょう。
セキュリティリスクへの対応が不十分ということは、脆弱な状態のままシステムを運用していることを意味します。近年はサプライチェーン上の中小企業を標的としたサイバー攻撃も増加していることから、企業規模を問わずセキュリティリスクへの対応が不可欠です。
課題5:コスト・スキルのバランスの見極めが困難
システム運用にかかるコストと、求められるスキルのバランスの見極めが難しいことも課題の1つです。オープンソースのツールを採用すれば、導入コスト自体は抑えられます。しかしながら、システム運用の仕組みを自社で構築するには専門スキルが必要です。
一方、高機能なマネージドシステムやアウトソーシングを利用すれば、外部の知見や技術を活用できます。こうしたシステムやサービス導入には相応のコストがかかるため、予算を超過してしまうケースも多いでしょう。コストとスキルの適正なバランスの見極めは、少人数運用において直面しやすい課題といえます。
課題を放置することで発生し得るリスク
少人数運用が抱える課題を放置していると、どのような問題に直面し得るのでしょうか。想定される4つのリスクは次のとおりです。
故障の長期化
1つめのリスクは故障の長期化です。常にシステムを監視し続けるほど人員の余裕がないために、異常検知が遅れる可能性があります。結果として初動対応が遅れてしまい、故障の度合いや影響範囲が深刻化した段階で気づくことにもなりかねません。
故障の長期化は、業務停止や売上損失をもたらすほか、顧客の信頼毀損にもつながります。故障をいち早く検知し、適切な初動対応を講じるための仕組みや体制を早急に整える必要があるでしょう。
担当者の離職・休職
システム運用が属人化・ブラックボックス化したまま放置していると、担当者が離職・休職した際に後任者が対応できなくなってしまいます。現状、業務の流れや注意点が言語化・可視化されたマニュアルや手順書が存在しない場合や、簡素な内容のものしか用意されていない場合は注意が必要です。マニュアル・手順書の有無だけでなく、記載事項を十分に精査し、第三者が理解できる・業務に対応できる水準に達しているか確認しておくことをおすすめします。
セキュリティ事故発生時の対応漏れ
セキュリティリスクへの対応が手薄になっている環境では、早急に対処すべき事故が発生した際に対応が遅れがちです。対応が遅れれば遅れるほど情報漏えいが続くことにもなりかねません。
脆弱性への適切な対策が講じられていなかったり、初動対応が著しく遅れたりした結果、被害が拡大するようなことになれば、法的問題に発展するおそれがあります。脆弱な状態のままシステム運用を続けることは、より重大なリスクに対して無防備な状態といえるでしょう。
本来の業務に集中できない
システム運用担当者がインシデント対応に追われてしまい、本来の業務に集中できないことも看過できないリスクの1つです。DX推進など、より重要な業務に注力できない状況が続いた結果、省力化・効率化が進まず、ますますインシデント対応に追われ続ける悪循環に陥りかねません。
このように、少人数運用が抱える課題は各要素が独立しているのではなく、連鎖的にリスクを増大させています。各課題に対して場当たり的に対処するのではなく、根本的な解決に向けた改善策が求められているのです。
課題解決に向けた3つのアプローチ
少人数運用で発生しやすい課題の解決策として、想定されるアプローチを紹介します。効果が見込めるアプローチは「人員・リソース増」「ツールによる自動化」「ルール整備」の3つです。
アプローチ1:人員を増やす/外部リソース活用
システム運用担当者を新たに採用することは、直接的な解決策になり得ます。ただし、適任者を必ず採用できる保証はありません。生産年齢人口が減少に転じた現代においては、求めるスキルや経験を備えた人材を確保するのは至難の業です。
あるいは、外部リソースを活用する方法もあります。外部のマネージドサービスプロバイダーへシステム運用を委託すれば解決する可能性がありますが、相応のコストがかかる点に注意が必要です。
アプローチ2:ツールによる自動化
システム運用をサポートするツールを導入し、自動化するのも1つの考え方です。監視・通知・運用を自動化することで、少人数でも無理なく成立する運用体制を確立できます。SaaS型ツールであれば導入のハードルも比較的低いことから、現実的な解決策といえるでしょう。
アプローチ3:ルールの整備
システム運用のルールを再整備するのも有効な解決策といえます。手順書やエスカレーションフローを整備し、業務の属人化解消を目指すアプローチです。担当者が不在の際にも他の社員が業務を代行できるようになれば、担当者自身も休暇を取得しやすくなり、結果として離職・休職リスクを抑えられる可能性もあります。
ここまでに紹介した3つのアプローチのうち、中小企業にとって「アプローチ2(ツールによる自動化)」と「アプローチ3(ルールの整備)」の組み合わせが現実的な解決策となるでしょう。
監視ツール導入前に確認しておきたいこと
監視ツールの導入は、システム運用の負担を軽減する上で効果的な対策です。一方で、監視ツールには多くの種類があるため、自社に合ったものを選定しなければなりません。監視ツール導入前に確認しておきたいポイントは次の6つです。
1. インストール不要で自社運用できるか
第一に確認しておきたいのは自社運用の可否です。運用に際して高度な技術的知見やスキルが必要なツールを導入した場合、外部の事業者や技術者に支払うコストが発生し続けることになります。インストール不要ですぐに自社運用を開始できるツールに絞るのであれば、SaaS型ツールを選ぶのが得策でしょう。
2. 監視対象が自社環境に適合しているか
サーバーやNW機器など、自社のシステム構成を監視できる仕組みになっていることも重要な条件です。ツールによって監視可能な機器や範囲は異なります。自社のシステム構成を整理し、監視が必要な対象を洗い出しましょう。その上で、自社が求める条件に適合するツールを選ぶことが大切です。
3. アラート通知の手段と受け取り方は実用的か
異常を検知した際に発出されるアラート通知の手段と受け取り方も必ず確認しておきましょう。重要度・緊急度の低いアラートが大量に発出され、常に通知が表示され続けることにならないか、十分に確認しておく必要があります。自社にとって重要度が高いアラートに関しては、メールなど即時性の高い方法で受け取れるツールを選ぶことが重要です。
4. 運用自動化の機能が備わっているか
システム運用の自動化に役立つ機能が備わっているかどうかもチェックしておきたいポイントの1つです。監視・通知・運用の自動化が実現すれば、担当者の負担が軽減される可能性が高まります。担当者による見落としや不注意といった人為的ミスを防止できることも、運用の自動化によって得られる大きなメリットです。
5. 専門スキルがなくてもオペレーションが可能か
専門スキルを備えた人材でなくても、操作や設定が可能なツールかどうかも確認しておくことをおすすめします。特定の社員でなければオペレーションを担当できないツールでは、属人化・ブラックボックス化の根本解決につながらないからです。ポータル上で状況確認や各種設定の変更が可能なツールを選ぶことで、技術的知見を問わず運用可能な環境を構築できるでしょう。
6. 少人数・中規模システム向けに価格が設定されているか
自社の規模に合った機能・価格帯のツールを選ぶことも大切です。大企業での利用が想定されている監視ツールの場合、機能が充実している反面、価格帯が高くなりやすい傾向があります。自社にとって不要な機能や性能を備えたツールではないか、価格とのバランスは適切か、といった視点に立って費用対効果を検討しましょう。
X Managedエコノミーで解決できること
監視ツールを活用してシステム運用の効率化・省力化を図りたい事業者さまには「X Managedエコノミー」がおすすめです。SaaS形態の監視ツールのため、インストール不要でお使いいただけます。X Managedエコノミーでどのような課題を解決できるのか、具体的に見ていきましょう。
故障を自動で検知&通知
X Managedエコノミーの基本メニューは「機器監視」「故障検知」「通知」です。システムに故障が発生した際、自動で故障を検知・通知します。故障の状況や対応が必要な箇所をポータルですぐに確認できるため、迅速な初動対応が可能になる点が大きなメリットです。エンドユーザーからの通報で事態が発覚する事後通報問題の解消に役立ちます。
ポータル上で設定・確認・作業依頼が完結
オペレーションに専門的な知識や技術を必要としないことも、X Managedエコノミーの大きな特徴です。各種設定や確認、作業依頼はポータル上で完結できます。社内に技術的知見を備えた人材が不在の場合も、NTTドコモビジネスが培ってきた運用ノウハウのベストプラクティスをスピーディーに取り入れられます。故障発生通知はポータルもしくはメールにて通知されるため、システム運用ご担当者さまの監視・管理の労力も軽減されるでしょう。
基本メニューをリーズナブルに利用可能
X ManagedエコノミーはSaaS形態のため、フルマネージドサービスや大規模システム向けのツールと比べて低コストで導入できます。監視(1〜50台)、自動メール通知、ポータル提供の基本メニューの提供価格は、月額65,000円〜(税別)です。初期設定後はお客さまにて自社運用が可能になるため、専門スキルを備えた人材を確保するためのコストもかかりません。
ニーズに応じて選べるオプション
X Managedエコノミーには、基本メニューに加えて柔軟にお選びいただけるオプションが充実しています。
- 【オプション①】
- 初報自動電話通知(メール通知に加えて電話通知)
- 監視追加①(サービス/プロセス監視)
- 監視追加②(ログ監視・Trap監視)
- 自動オペレーション(playbook)
- 【オプション②】
- (簡易)サポートデスク
- 監視対象サーバー/VMへのエージェントインストール代行
- 監視設定代行・相談
監視を自動化したい対象や必要なサポートに応じてオプションメニューを選択することで、自社にとって最適なシステム運用体制を確立できるでしょう。
X Managedエコノミー導入に際してよくある質問
X Managedエコノミーの導入に際して、よくある質問をまとめました。疑問点や不明点の解消に役立ててください。
Q1:X Managedエコノミーは専門知識がなくても使えますか?
A1:X Managedエコノミーはポータル完結型SaaSのため、専門知識不要で運用できます。各種設定や確認、作業依頼は、いずれもポータル上で完結できるからです。なお、初期設定に関しては代行オプションがありますので、社内での対応が難しい場合はこちらのオプションをご活用ください。
Q2:X Managedエコノミーは既存のネットワーク環境に適していますか?
A2:機器の状態・リソース情報を収集するために、以下の要件があります。既存のネットワーク環境との適合をご確認ください。
- (1) ネットワーク機器の監視要件
- リソース情報の収集に SNMP を利用します。SNMP通信が利用できない機器は、リソース監視(取得)ができません。
- SNMPは v1/v2c/v3 に対応し、コミュニティ名はお客さま指定(Read only)です。
- 監視のため、ICMPおよびSNMP関連ポートの疎通許可が必要です(例:SNMP Polling 161/UDP、Trap 162/UDPなど)。なお、NW機器のリソース監視は 標準MIBの範囲(Traffic収集)が基本です。
- (2) サーバー(VM)の監視要件
- サーバー監視では 監視エージェント(Zabbixエージェント2) のインストールが必要です。
- 対応するエージェントは Zabbixエージェント2で、エージェントの通信要件(例:10050/TCP、10051/TCPなど)があります。
- サポート対象OS(サーバー)(例):
- Windows 10 (32bit)/Server 2016以降
- Red Hat Enterprise Linux(8.10以降、9.0以降、10.0以降)
- Rocky Linux(8.10以降、9.0以降、10.0以降)
- (3) 接続形態に関する前提
- 監視対象環境とサービス間は 閉域接続が前提で、接続回線の契約が別途必要です(対応回線種別:Arcstar Universal One、docomo business RINKなど)
- 一方、ポータルサイトへの接続はインターネット経由です
Q3:X Managedエコノミー導入にどのくらい期間がかかりますか?
A3:既存回線(Arcstar Universal One、docomo business RINK を既にご利用中)の場合は1〜2カ月程度が導入期間の目安です。新たにネットワークサービスをご契約いただき、X Managedエコノミーを導入する場合は3カ月程度が想定されます。監視回線の新設に要する期間は、お客さまの現状(既存回線の有無、接続形態、工事要否)により変動するため、詳細は弊社営業担当にご確認ください。
Q4:監視対象台数が少ない場合でもX Managedエコノミーを導入できますか?
A4:X Managedエコノミーは、50台までの小規模システムに最適化されています。監視対象台数が限られている環境でも導入可能です。高コストのマネージドサービスや、管理・運用に手間のかかるツールなどの導入に踏み切れなかった事業者さまに適しています。
Q5:PCもX Managedエコノミーの監視対象ですか?
A5:X Managedエコノミーの監視対象は、IPアドレスを有するNW機器(ルーター/スイッチ/無線AP/FW・UTMなど)およびサーバー(クラウド上のVMを含む)です。死活監視(Ping/ICMP)は定期的に監視通信を行うため、原則として 常時稼働している機器を想定しています。利用者PC(クライアント端末)は通常、監視対象には含まれません。
まとめ
中小企業のシステム運用は、まず「現状の見える化」から始めるのが得策です。その上で、導入ハードルが低いSaaS形態のツール導入を検討してみてはいかがでしょうか。少人数でも安定したシステム運用を無理なく実現させたい事業者さまは、NTTドコモビジネスの「X Managed エコノミー」の導入をぜひご検討ください。

