リモートファーストとは?
ポストコロナ時代に重要視される
企業文化の実現に向けて

新型コロナウイルスの影響でテレワークの普及が進むなか、注目を集める「リモートファースト」についてご存知でしょうか。

この記事では、ポストコロナ時代に重要視される新しい考え方であるリモートファーストについて解説します。リモートファーストの概要、必要とされる背景、実現するためのヒントについて一つずつ見ていきましょう。

新型コロナウイルスの影響でテレワークの普及が進むなか、注目を集める「リモートファースト」についてご存知でしょうか。この記事では、ポストコロナ時代に重要視される新しい考え方であるリモートファーストについて解説します。

新しい働き方でもあるリモートファーストとは?

はじめにリモートファーストの概要、今後の動きについて簡単に紹介します。

リモートワーカーが働きやすい企業文化の形成

リモートファーストはリモート(遠隔地)とファースト(第一)を組み合わせた造語で、“リモートワークを第一に考えること”を表す言葉です。リモートワーカーが働きやすい企業文化を意識的に計画することであり、文化として浸透したリモートワークの実現を目的としています。

リモートファーストは、緊急避難的に実施するリモートワークとは異なります。新型コロナウイルスが流行する前は、オフィスに出社して仕事をすることが当たり前だったように、リモートファーストは、リモートワークを当たり前とする企業文化を形成するものです。

2025年までに30%の企業がリモートファーストへ

米国の大手企業であるガートナージャパン社は、「2025年までに30%の企業がリモートファースト企業へと転換する」との予測を公表しています。

日本でも新型コロナウイルスの影響でテレワークによる働き方が普及し、ポストコロナにおいても以前の状態に完全に戻るとは考えづらいでしょう。テレワークにより多くのメリットがもたらされ、本格的にリモートファーストを検討する企業も少なくありません。

新型コロナウイルスは世界的に流行したこともあり、リモートファーストによる新しい働き方は世界規模で導入の動きが活発になっています。

しかし、同時にガートナージャパン社は「2024年までにテレワークを推進する企業の65%は従業員満足度の向上を含むベネフィットを達成できない」とも公表しています。その要因には、働く意識の変化や企業文化を変える取り組みを認識していない企業が多いことが挙げられました。

実際、テレワークを含むリモートワークを取りやめ、従来どおりのオフィスでの働き方に戻している企業もあります。

参考:ガートナー、日本のテレワークに関する2021年の展望を発表|ガートナージャパン

リモートファーストが必要とされる背景

「リモートファーストが必要とされる背景」イメージ画像

コロナ禍ではリモートファーストの考え方も理解できますが、ポストコロナにおいてもリモートファーストは必要なのでしょうか。ここではリモートファーストが必要と思われる理由について解説します。

テレワーク環境における課題の解決策

新型コロナウイルス拡大の影響により急きょテレワークを導入した企業のなかには、一時的な対策として導入した例も少なくありません。しかしその結果、業務効率の低下やセキュリティトラブルが発生するなどの課題が増えてきました。

テレワークの導入から1年ほど運用を続けた結果、「従来の業務すべてをテレワークで実現できない」「テレワークでの業務は効率性が低下する」といった課題を挙げる企業も出てきたのです。

しかしながら、このような企業はコロナ禍において最低限の事業・組織活動を継続するためにテレワークを導入していたことが考えられます。

テレワークによる働き方は従来の企業文化とは異なる考え方で成り立つものです。テレワーク普及時に話題となった“はんこ出社”は、従来の企業文化の存在が原因です。真にテレワークをはじめとするリモートワークを実現するには、企業文化の改革を行う必要があります。

柔軟で効率的な働き方の実現

テレワークは、オフィスでなくとも働ける環境を実現する働き方です。時間や場所にとらわれないフレキシブルな働き方は、個人の生活にゆとりと豊かさを生みます。

日本社会は慢性的な人手不足が続いています。このままでは状況が悪化すると予想され、改革が必要であることは誰の目にも明らかです。しかし、すぐさま解決するための手段はありません。そのため、業務効率化は企業にとって喫緊の課題の一つとなっています。

テレワークによって労働環境が改善した例も見られます。リモートファーストは、今後の企業文化の形成に重要なものとなる可能性があります。リモートファーストによる企業文化の改革ができれば、真に柔軟で効率的な働き方が実現できる可能性が上がるでしょう。

リモートファーストを実現するためには

リモートファーストの実現には、どのような改革が必要なのでしょうか。ここでは、リモートファーストを実現するためのヒントを簡単に紹介します。

セキュリティ意識の改革

リモートファーストによる働き方は従来とは大きく異なります。その実現のためには、セキュリティ意識の改革が必要不可欠です。

従来は社内環境を内側とし、インターネットとの境界線を中心にセキュリティ対策を施す“境界線型セキュリティ”の考え方が一般的でした。しかし、リモートワークではオフィス外で仕事をすることになり、さらにはクラウドサービスの利用も増えたことで境界線型セキュリティの考え方だけでは不十分といえます。

そこで必要となるものが“ゼロトラストセキュリティ”の考え方や、従業員一人ひとりのセキュリティ意識の改革です。ゼロトラストセキュリティについては、のちほど詳しく解説します。

業務遂行意識の改革

セキュリティ意識の改革と合わせて、企業文化としてリモートワークを定着させるためには業務の遂行方法の改革も必要です。次に挙げるリモートファースト文化を育むヒントは、オフィスでも実現可能であるため、少しずつでも対応を進めるとよいでしょう。

ビデオ会議の積極的な活用

テレワークでZoomなどのビデオ会議を初めて利用した方も多いのではないでしょうか。ビデオ会議は従来の会議室に集まる会議とは異なり、時間も場所も自由でファイルなどを利用した情報の交換もスムーズに行なえます。ビデオ会議が一般的になれば、リモートワークにおいても従来どおりの働き方が実現可能です。

オンライン化されたチームミーティング

ビデオ会議と合わせて、会議中に使用するファイルなどの情報は常に共有しやすくすることがポイントです。デジタル化された文書を利用することは一般的になりつつありますが、さらにオンライン化(OneDriveやGoogleドライブなど)まで進めることで、より効率良く業務を進められるようになります。

徹底したドキュメント化

リモートファーストでは、同じ場所にいない人と仕事をすることが当たり前になります。その際、属人化した情報が存在していると業務の効率性が低下するでしょう。情報は徹底してドキュメント化し、タスクの進捗状況などもチームで共有できる状態を常に維持することが重要です。

これらを中心とした業務の遂行方法に関する意識の改革を行ない、組織一丸となって取り組むことが必要です。

ICTリテラシーの差をなくす環境の整備

リモートワークでは、ICTリテラシーの差が従業員満足度につながることも考えられます。例えば、リテラシーが低い人はリモートワークに関する操作でわからないことがあっても周りに人がいないため、気軽に質問することもできません。

そのような状況が続くと、「リモートワークだから業務の効率性が上がらない」といったような従業員の不満があがる可能性が考えられます。

ICTリテラシーの差に関係なく、すべての従業員が満足できるリモートワークを実現するためには、情報やヘルプデスクの一元化が必要です。“困ったときに参照する場所”がわかっているだけでも、満足度低下の防止に役立ちます。

リモートファーストの実現に欠かせないゼロトラストセキュリティ

「リモートファーストの実現に欠かせないゼロトラストセキュリティ」イメージ画像

リモートファーストを実現する際の障壁となるものが、セキュリティ対策です。従来型のセキュリティ対策では不十分であり、新たなセキュリティの考え方としてゼロトラストセキュリティの存在は欠かせません。

ゼロトラストセキュリティとは、“何も信頼しない”前提で対策を講じるセキュリティの考え方です。リモートファースト環境下では完全に安全とみなせる場所は存在せず、すべての通信を疑う必要があります。

ゼロトラストセキュリティの具体例として、通信経路の暗号化や多要素認証などによるユーザー認証の強化、ネットワークアクセスの最適化などが挙げられます。

リモートファーストの実現のために欠かせないゼロトラストセキュリティは、昨今の多様化・複雑化するICT環境全般のセキュリティ対策としても重要視されている考え方です。従来とは大きく異なるセキュリティの考え方であるため、具体的にどこから手を付ければよいかわからないという企業も少なくありません。

NTTコミュニケーションズでは、そうしたお客さま向けに“ゼロトラストネットワークソリューション”を提供しています。“どこからでも”“どこへでも”“必要なヒトに”“必要なだけ”アクセスを付与して最新のセキュリティレベルを適用することが可能です。

ここでは、リモートファーストの実現をサポートするソリューションの例として、3つ紹介します。

Taniumを活用したエンドポイントマネジメントソリューション

近年では、テレワークやBYOD(自分のデバイスを持ち込むこと)に注目が集まっており、企業が管理すべきエンドポイントの数が急速に増えています。人とコンピューターの関係は、時代とともにN対1から1対N(N=多数のこと)へと変容し、今では一人が複数のコンピューターを扱うことは珍しくありません。

そのため、エンドポイントマネジメントの重要性は大きくなり、企業はリスクマネジメントの観点からもエンドポイントマネジメントが欠かせないものとなっています。

エンドポイントの情報を可視化し、エンドポイントのリスクマネジメントを効率よく実現するための1つのソリューションにTaniumがあります。Taniumは数百万エンドポイントの運用・管理を実現するソリューションです。セキュリティ管理だけでなく、ネットワーク運用や構成管理などの運用管理も実現できます。

NTTコミュニケーションズでは、このTaniumを活用したエンドポイントマネジメントソリューションも提供しており、国内外すべてのエンドポイントセキュリティに関わる運用管理をまるごとアウトソーシング可能です。スピーディーかつ高品質な運用体制を確立する手段として、業務効率化に貢献します。

Taniumを活用したエンドポイントマネジメントソリューション

オペレーターの定着率・応対品質の向上:コンタクトセンターKPI管理ソリューション

コンタクセンター業務の効率化とCX(顧客体験価値)向上を実現するためのソリューションとしてコンタクトセンターKPI管理ソリューションがあります。

コンタクトセンターは、連絡や応対場所としての役割だけでなく、ユーザーニーズの把握や顧客満足度向上の場としても重要な役割を担う存在です。しかし、オペレーターの定着率低下や人員不足、品質の不安定さなどのさまざまな課題を抱えています。

コンタクトセンターKPI管理ソリューションでは、AI感情分析や専門アナリストによる分析などにより、コンタクトセンターの運営状況を可視化します。コンタクトセンターが抱える多くの課題を一手に解決する手段として、業務効率化に大きく貢献するソリューションです。

コンタクトセンターKPI管理ソリューション

ICTの一元窓口“スーパーヘルプデスク”

リモートファーストを実現するにあたり、ヘルプデスクの存在は非常に重要なものとなるでしょう。しかし、ヘルプデスクを簡単に用意することは難しく、企業によっては複数のヘルプデスクが存在することになり、従業員の混乱や不満を招く恐れもあります。

企業の情報部門がヘルプデスクを担当することも少なくありませんが、リモートファースト環境下においては負担が非常に大きくなるでしょう。

そんなヘルプデスクに関するお悩みには、スーパーヘルプデスクがおすすめです。スーパーヘルプデスクは従業員やシステム管理者だけでなく、取引先まで含めた幅広いヘルプデスクの一元化を実現します。

スーパーヘルプデスクは、ICTに関するお問い合わせへの多言語対応による一元窓口(SPOC)の提供、システム構築ベンダーやPCなどの機器メーカーを問わないマルチベンダー対応、Microsoft 365®などの在宅ユーザー向けサポートなど、対応可能な範囲の広さと高品質が特徴です。

スーパーヘルプデスク

まとめ

リモートファーストはリモートワークを第一に考え、リモートワーカーが働きやすい企業文化を前提とすることを目的とした言葉です。

リモートワークから従来のオフィスワークへと戻る企業も存在しますが、リモートファーストはポストコロナ時代の新しい働き方として世界的に注目されています。

日本は慢性的な人手不足が続いており、現状のままでは将来的に解決する見込みも薄いといえます。現在のテレワーク環境における課題の解決や、柔軟で効率的な働き方の実現のためには、リモートファーストが欠かせません。

ガートナージャパン社は、2025年までに30%の企業がリモートファースト企業へと転換すると予測しています。では、10年後はどうでしょうか?変わり続ける企業を取り巻くICT環境の変化に対応するためにも、リモートファーストの考え方を理解し、少しずつでも取り入れていくべきではないでしょうか。

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