ICT運用の最前線!熱きプロフェッショナルたちの物語 vol.03「日本全国の店舗で毎日問題は起きています。だから対処と合わせた再発防止策が必要なのです」 ICT運用の最前線!熱きプロフェッショナルたちの物語 vol.03「日本全国の店舗で毎日問題は起きています。だから対処と合わせた再発防止策が必要なのです」 ICT運用の最前線!熱きプロフェッショナルたちの物語 vol.03「日本全国の店舗で毎日問題は起きています。だから対処と合わせた再発防止策が必要なのです」

NTTコミュニケーションズのソリューションサービス部では、さまざまな業種・業態の企業や組織のIT運用をサポートするソリューションを提供しています。時には、日本中に張り巡らされた多拠点間ネットワークシステムのIT運用を担うケースも少なくありません。

今回は日本全国に幅広く店舗を構える大手小売業のIT基盤運用を手がける2人のサービスマネージャーの業務にフォーカス。浅井義之サービスマネージャー、渡邉雄心サービスマネージャーの取り組みを追います。

事後的なトラブル対応ではIT運用の品質は上がらない

NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の浅井義之と渡邉雄心は、ソリューションサービス部 第二マネージドソリューション部門 第五グループのサービスマネージャーです。二人が所属するチームは、長く大手小売業のIT基盤運用を手がけてきました。本社と拠点間を結ぶ基幹系に加え、全国で10,000拠点を越える店舗を結ぶ店舗系のネットワークシステムを担っています。

NTTコミュニケーションズ株式会社
ビジネスソリューション本部
ソリューションサービス部
第二マネージドソリューション部門
第五グループ
主査 浅井義之

1996年入社、10年のSE経験を経て、2011年より現在の大手小売業のIT基盤運用にサービスマネージャーとして携わっている。日々の仕事で大事にしていることは、お客さま側の社員の立ち位置で考え、動くこと。趣味はアウトドア全般、まとまった休みには家族と一緒に遠出してアウトドアライフを楽しんでいる。仕事柄、休みであっても意識のどこかでお客さまを思っている・・・!!

浅井サービスマネージャーは、プロジェクトにおける自身の役割を次のように考えています。

「私たちのお客さまは1万を越える店舗を抱え、毎日どこかの拠点で通信に関するトラブルが起きています。お客さま自身が1件、1件対応することは難しいでしょう。そこで、お客さまが策定した方針にもとづき、トラブル対応はもとより、ネットワークの新設、撤去などの細かいフォローをトータルに行うのが私たちの仕事です。品質や信頼性が重視される基幹系とは異なり、店舗系の運用では対応のスピード感が第一。また、コストも重視しながら毎日の対応にあたっています」(浅井サービスマネージャー)

お客さまに、スピード感を持った対応だけでなく、お客さまの負担を最小化する取り組みの実績が評価され、10年近くの信頼関係が築かれています。

全国規模で店舗運営するお客さまに対し、NTT Comの連携力、展開力が強みになると語るのは渡邉サービスマネージャーです。

「お客さまには、Salesforceなどを利用した情報連携フローにより、現地店舗の調整を行い、迅速に人を派遣しNW施工を完遂できる連携力、展開力の高さを評価いただいています。

なお、運用保守の体制は、全店舗の状況を把握する保守部隊、NTT Comと協力会社のタッグ体制で全国の店舗で工事を行う施工部隊、そして復旧・開通状況をリアルタイムに把握する統制部隊で編成されます。ネットワークの開通工事であれば、1日100拠点単位という展開力が最大の強みです」(渡邉サービスマネージャー)

浅井サービスマネージャーは、事後的にトラブルに対応していくだけでは、IT運用の品質は上がらないと考えています。「トラブルに対応後、しっかりと取りまとめを行い、どこに問題があるのかを分析することが重要です。そこで得た知見をもとにトラブルを未然に防ぎ、運用の品質を高めるツール開発、正しい使い方のトレーニングといった改善策を考える、それが我々サービスマネージャーの役割です」

社会インフラとして業務を止めない覚悟で挑む

現代において小売業の店舗は、社会インフラの一角を担っているといっても過言ではありません。食品、日用品の販売だけではなく、郵便・宅配便の依頼、公共料金の支払い、チケット購入、銀行ATMの利用など、取り扱うサービスも増え続けています。店舗がこうしたサービスを提供する上で欠かせないのが、安定した有線・無線ネットワークです。

浅井サービスマネージャーは、新たなサービスが増えるたびに、店舗のネットワーク構成は見直しが必要になると明かします。

NTTコミュニケーションズ株式会社
ビジネスソリューション本部
ソリューションサービス部
第二マネージドソリューション部門
第五グループ
渡邉雄心

2015年の入社時から、マネジメントサービス部に在籍。2年半にわたり大手メーカーのIT基盤のSEを務め、現在のチームへ。仕事で大切にしていることは、運用で気づいた課題をすぐに構築チームに展開し、改善の検討、提案につなげていくスピード感。趣味は2年前に始めたゴルフで、最低でも月1ペースでラウンドを回るほど。ただ、まだ腕を磨いている段階で、お客さまとゴルフの話をするのはもう少し先と決めている。

「例えば、私たちが導入を手がけたWi-Fi環境は、当初は主に店舗の業務用タブレットで利用されていました。

最初は快適だった通信環境も、新たなサービスやアプリ、業務用端末が導入されるたびに利用環境が変わり、不具合に悩まされる店舗が増えていきます。こうした問題の予兆を早期に検知し、対処する仕組みづくりを心がけています。風邪気味の時、早めに薬を飲んで健康を維持するのに近いかもしれません」(浅井サービスマネージャー)

渡邉サービスマネージャーは、Wi-Fi環境の最適化、運用の安定化プロジェクトに関わってきた経験を語ります。

「Wi-Fi環境の導入から7年程経つのですが、ここ2年間で接続状態の悪いと申告のでてきた店舗が累積で数百件を超えました。もちろん、そうした店舗に対しては個別に切り分けを行い、迅速に処置を施しました。現在は、積み重ねてきた個別対応の結果をベースに、仕様、手順を標準化して新規店舗のLAN施工に反映する抜本的な改善提案も行っています。”Wi-Fiトラブルの起きない店舗”を設計し予めその状態でつくるスキームを実現することが目標です。一方で、既存の店舗に対してはWi-Fi環境の見える化によるプロアクティブな運用を実現できるよう検討を進めています。」(渡邉サービスマネージャー)

昨今、日本では自然災害が増加傾向にあり、被災地のライフラインとして小売店舗は非常に重要な役割を担うようになっています。

「自然災害により、被災地域にある店舗の業務が停止するケースが増えています。そのような非常時には、チーム一丸の総力戦で復旧対応にあたります。店舗の収益のみならず、社会インフラである店舗を利用するお客さまの利便性が損なわれてしまうことが、いちばん心苦しく感じるからです」(浅井サービスマネージャー)

自然災害のような非常時すらも想定した強靭な運用体制を目指し、二人のサービスマネージャーはトラブルの再発を防ぎ、不慮の災害に耐えうる強靭なIT基盤の仕組みづくりに取り組んでいます。

「つねに守備範囲を超えた対応に注力しています」

浅井サービスマネージャーと渡邉サービスマネージャーは、プライベートで担当の店舗を訪れた際に、店内のシステム環境をチェックする習慣が身に付いているといいます。そこで、仕事の成果を目の当たりにすることは、二人の密かな楽しみのひとつです。

浅井サービスマネージャーは、本店舗の優れている点を挙げます。

「私たちのお客さまの店舗は、通信環境の機能とコストのバランスが秀逸です。莫大なコストをかければいいものは構築できますが、費用対効果も考えなければ、お客さまとのビジネスを長く続けていくことはできません。。自画自賛するようで恥ずかしいのが、お客さまの店舗に行くと、常々必要な機能を最適なコストで実現することを心がけた結果が、最適なバランスとして形になっていると誇らしい気持ちになります」(浅井サービスマネージャー)

渡邉サービスマネージャーも「1店舗あたり1,000円のコストを削ることができれば、1万拠点で1,000万円のコストダウンです。少しでも安く、いい機能を提供するために、いかに妥協せずに粘るかの泥臭い取り組みを積み重ねています。」と続けます。

いま、小売業界は大きな変革期を迎えています。海外では無人店舗の商用化がスタート。日本でも、その実現に各社がしのぎを削っている状況です。浅井サービスマネージャーは、小売業界に訪れた変革の機運に、仕事のやりがいを感じていると語ります。

「現在、AI、IoTなどの豊富な技術を持つNTT Comの強みを活かし、お客さまの導線分析や防犯を実現するAIカメラ、フレンドリーな接客が行える3DアバターなどのDX(デジタルトランスフォーメンション)領域の提案をしています。お客さまと一緒に考えた新たな施策が動き出すとわくわくしますね」

その他にも、お客さまとの情報連携を強化するServiceNow、基幹系システム更改に合わせたLBOの提案、5G実装を見据えた情報共有など、さまざまな取り組みが日々の運用業務と同時進行で動いています。

渡邉サービスマネージャーは、このような運用の守備範囲を超えた攻めの姿勢こそが、NTT Comの強みだと分析します。「大規模なIT基盤は複数ベンダーが関わっていることが多く、それぞれが決まった責任範囲だけの仕事をしていると、しばしば誰も守っていない三遊間を抜かれるエラーが起きます。そんな運用の穴をいち早く見つけてカバーしながら、お客さまに改善提案を行ってきました。その積み重ねが一介の運用保守ベンダーを越えた信頼を獲得し、お客さまのパートナーとして、新たなプロジェクトでの協働につながっていると思います」

契約上の業務範囲というのは、あくまで「タテマエ」であり、トラブルが範疇外で起きても深く関わり対応するところに「ホンネ」があると浅井サービスマネージャーは考えています。

「私たちは決して守備範囲にとらわれることなく、常にお客さまの立場で一緒にスクラムを組む気持ちでやってきました。その積み重ねが今日の守備範囲の拡大につながっているのです」(浅井サービスマネージャー)

IT基盤の運用という「守り」からDXを実現する「攻め」の領域へ、スクラムを組んで泥臭く未来に突き進む。これからも二人の挑戦は続いていきます。

※肩書き、プロフィールは取材当時のものです

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