ポーリング・トラップとは?
SNMP監視との違いやMIB、ツールの選び方も解説!

「ポーリング」や「トラップ」は、ネットワーク監視に欠かせない監視技術の一つで、企業や組織のセキュリティを強化する際も重要な役割を担っています。

しかし、「ポーリング」や「トラップ」はその意味がわかりにくかったり、全体像を理解するのに時間がかかったりするケースもあるでしょう。

この記事では、ネットワーク監視におけるポーリングやトラップの基本的な解説や概要、SNMP監視との違い、失敗しないツールの選び方などを紹介します。

ポーリング・トラップとは?SNMP監視との違いやMIB、ツールの選び方も解説!

ポーリング・トラップは、ネットワーク監視における別々の概念

ポーリング・トラップは、ネットワーク監視における別々の概念

ネットワーク監視における「ポーリング(Polling)」と「トラップ(Trap)」は、別々の概念を指しています。しかし、言葉が混在して「ポーリングトラップ」という用語があるのでは?と勘違いされることもあるようです。

ここからは、ネットワーク監視における「ポーリング」と「トラップ」の意味や役割などの基本知識を解説します。

そもそもネットワーク監視とは?

ネットワーク監視とは、自社のネットワークが正常に稼働しているかをチェックするシステムのことです。

ネットワークは、コンピューター、サーバー、ルーター、スイッチ、スマートデバイスなどが相互に接続している状態をいいます。

監視はネットワークの構成要素について、機器の動作、パフォーマンス、状態を分析してエラーを検出し、通知する機能です。

監視対象

具体的な監視対象は、以下のとおりです。

  • ネットワーク機器(スイッチ、ルーター、ファイアウォールなど)
  • ストレージ
  • 社内PC
  • サーバー
  • 転送データ(ネットワークトラフィック)など

システムのパフォーマンスやセキュリティに関わる重要な情報、異常などをつねに監視することで、サイバー攻撃やシステムトラブルのリスクを軽減し、安全な業務実施につながります。

ネットワーク監視はサイバー攻撃や災害・トラブルなどに強く、安定した事業の運営に直結するため、企業のシステム管理に欠かせない存在といえるでしょう。

監視方法

ネットワークを監視する方法は、大きく「死活監視」「トラフィック監視」「ログ監視やトラップ監視」「API監視」の4つの種類に分けられます。

死活監視(Ping監視)は、ネットワーク機器本体が正常に稼働しているかをチェックする方法です。

トラフィック監視は、ネットワーク帯域のトラフィック量をチェックする方法です。

ログ監視やトラップ監視は、サーバーやアプリケーションの稼働状況などをチェックする方法です。

API監視は、外部アプリケーションと連携しているシステムやサービスが問題なく実際に動いているか、エラーが発生していないかなどをチェックする方法です。

ポーリングとは?

「ポーリング」とは定期的な問い合わせという意味で、ネットワーク監視を行うときに使われるシステムの一つです。みずから定期的に監視対象へ問い合わせを行ない、稼働状態などの内容をチェックします。この一連の監視プロセスを「ポーリング監視」と呼びます。

定期的に同じチェックが繰り返されるため、比較的プログラミングが容易だといわれており、サーバーなどの死活監視に活用されています。

トラップとは?

先述のポーリング同様、「トラップ」もネットワークを監視する際に使われるシステムや方式の一つです。

監視対象に指定したデバイスから異常が検知されると、司令塔である監視システムに通知します。

監視システムは、トラップを受信することで異常の発生を把握しており、ネットワーク監視を円滑に進めるうえで欠かせないプロセスといえるでしょう。

トラップは異常を知らせる役割を担っており、ポーリングは異常の発生がないかを見てまわっています。

ポーリングやトラップが使われるSNMP監視とは?

ポーリングやトラップが使われるSNMP監視とは?

「SNMP」とは、「Simple Network Management Protocol」の略称です。ネットワーク監視を行うためのプロトコル(ルールや規則)の一つで、ネットワーク管理やデバイスモニタリングをする際によく使われています。デバイスモニタリングとは、PCやモバイルなどの動作やパフォーマンスを監視・管理するプロセスのことです。

「SNMP監視」とは、SNMPプロトコルを用いたネットワーク監視手法の一つです。SNMP監視を使うことで、死活監視だけでなくデバイスのCPU使用利率やトラフィック状況なども含めた詳しい状態まで把握できるため、システムを監視する際に重宝されています。

SNMP監視の仕組み

SNMP監視は、「SNMPマネージャー」と「SNMPエージェント」の2つの要素で構成されています。これらの相互作用により、どのネットワークデバイスでどのような異常が起きているかをスピーディーに発見・把握でき、ネットワーク資源の活用促進や迅速なトラブルの解決につながっています。

SNMPマネージャーは中核とされる監視システムで、SNMPエージェントはデバイスのモニタリングと情報提供の役割を担った構成要素だと理解するとわかりやすいでしょう。

SNMPポーリング監視とは?

「SNMPポーリング監視」とは、SNMP監視をする際に使われる監視方法の一つです。

中核であるSNMPマネージャーからSNMPエージェントに対してリクエストを送信し、監視対象からレスポンスを受け取ります。また、対象ネットワーク機器に定期的にSNMPクエリを送り、デバイスの状態や性能などを取得します。

SNMPポーリング監視は問題が発生した際に警告や通知のコマンドを作成する、ネットワーク監視の一般的な手法の一つです。システムの安定性の向上や効率的なネットワーク管理、CPU使用率やパケット数などのパフォーマンス指標を得たいときに活用されています。

SNMPトラップ監視とは?

「SNMPトラップ監視」とは、監視対象のシステムで不測の事態が起きた際、SNMPエージェント経由でSNMPマネージャーに通知する監視方法です。

監視対象のデバイスが異常を検知すると、SNMPエージェントが自動的にSNMPトラップメッセージを監視システムであるSNMPマネージャーに送信します。その後、管理者や運用チームに通知が届く仕組みです。

このリアルタイム通知がスムーズに行なわれなければ、重大なシステムトラブルにつながる可能性もあります。そのため、SNMPトラップ監視はシステム監視プロセスになくてはならない仕組みの一つといえるでしょう。

SNMPにおけるMIBとは?

「MIB」とは、「Management Information Base」の略称で、社内外の利用に登録されたデバイス情報を集めた標準的なデータベースです。

SNMPマネージャーは、SNMPエージェントと通信を行ないながら、MIBの情報をもとに監視業務を行ないます。その過程でネットワーク内の各種デバイスが提供する情報をわかりやすく規格化し、データを一元管理するのが、MIBの役割です。

ネットワーク全体の状況を正確に把握できるため、取得したデータを効率良く解釈して整理し、ネットワークのトラブルシューティングやパフォーマンスの最適化に役立ちます。

SNMPポーリング監視・SNMPトラップ監視・SNMP監視のそれぞれの違い

「SNMPポーリング監視」「SNMPトラップ監視」「SNMP監視」の3つは、すべてSNMPプロトコルを用いたネットワークの監視方法の名称です。

SNMPポーリング監視は、定期的にネットワーク機器を見てまわる役割を担っています。また、SNMPトラップ監視は、ネットワーク機器から異常が検知されたときに中核であるSNMPマネージャーに通知する役割を担っています。

これら2つを包括するのが、SNMP監視です。それぞれの監視方法の特徴は以下のとおりです。

  • SNMPポーリング監視:定期的なデータ収集、設定した時間間隔での情報取得など
  • SNMPトラップ監視:イベント発生時や異常検知時の即時通知など
  • SNMP監視:ネットワーク全体の監視・管理、総合的な状況の把握など

SNMP監視のメリット

SNMP監視を利用する際のおもなメリットは、「導入のしやすさ」や「拡張性の高さ」です。導入検討の判断基準として覚えておくと、のちのち役立つでしょう。

導入しやすい

SNMPプロトコルは、世界共通の規格で、監視対象の販売会社や機器メーカーを問わず使えます。

これまでは各メーカーの機器ごとに個別の監視システムが必要でした。しかし、MIBで標準定義されたSNMPプロトコルの登場により、さまざまなネットワーク機器を一つのシステムで監視できるようになりました。

これにより、初期費用や導入にかかる時間、リソースを大幅に削減でき、導入のハードルが低くなりました。

拡張性が高い

MIBには、「標準MIB」という共通の項目に加え、各ベンダーが特定の機器に合わせてカスタマイズできる「拡張MIB」も存在します。

拡張MIBは、メーカーごとにある機器特有の詳細なデータを収集できるため、自社のアプリケーションやサービスのパフォーマンス、稼働状況といったデータ監視をより具体的に行なえます。また、カスタマイズ性が高く標準MIBの補完的な役割も担っています。

SNMP監視のデメリット

SNMP監視を利用する際のおもなデメリットを解説します。あらかじめデメリットを把握しておくことで、リスクを事前に把握でき正しい監視業務を行なえます。

セキュリティに留意が必要

SNMP監視を行う際は、SNMP通信を利用します。

SNMP通信では、通信内容の確認やセキュリティ機能を持たないUDP(User Datagram Protocol)を使ってデータの送受信を行ないます。そのため、盗聴やパケット改ざん、不正アクセスなどのリスクにさらされる可能性があります。

このような外からの攻撃リスクのある環境では、「SNMPv3」以上を使うなどの対策が必要です。また、SNMPv3では、メッセージの暗号化や認証機能を補完できるため、セキュリティが強化され、データのプライバシーと正確性をより確実に保護できます。

大規模ネットワークに不向き

SNMP監視の弱点は、ネットワークの規模が大きくなるほど通信量も大きくなることです。加えて、ポーリング頻度を増やすほどネットワークへの負荷も大きくなるため、頻繁なデータ収集が難しく大規模なネットワークでのリアルタイム監視には不向きといえます。

これらのデメリットは、NTTコミュニケーションズの総合監視ソリューションサービス「ZABICOM(Zabbix)」を利用することで解決できます。

「ZABICOM(Zabbix)」はデータベースを分離して構成できるため、大規模なシステム監視が可能で、拡張時のパッケージを追加購入する必要もありません。そのため、セキュリティ面も安心です。

失敗しないSNMP監視ツールの選び方

失敗しないSNMP監視ツールの選び方

SNMP監視は導入しやすいものの、さまざまな監視ツールが存在するため、迷う場合もあるかもしれません。ここからは、失敗しないSNMP監視ツールの選び方を紹介します。

以下のポイントに注意しながら選ぶと、SNMP監視導入時のツール選びに失敗しにくくなるでしょう。

選定ポイント

  • 監視できる範囲(クラウドとオンプレミスで統合管理できるかなど)
  • 運用方法(手間がかからないかなど)
  • 通知方法(メール通知など利便性の高いものか)など

必要要件を満たしているかどうかや将来の拡張性を考慮すると、監視できる範囲をチェックすることは必須です。合わせて運用方法や通知方法を確認しておくと、より利便性をアップできるでしょう。

NTTコミュニケーションズの総合監視ソリューションサービス「ZABICOM(Zabbix)」

「ZABICOM(Zabbix)」は、NTTコミュニケーションズが提供する総合監視ソリューションサービスで、さまざまな監視プロトコルに対応しており、クラウドとオンプレミスの統合管理も可能です。

利便性が高く、通知方法のバリエーションも豊富に用意されているため、細かいニーズに応えられる総合的な監視ツールといえるでしょう。

ここからは、「ZABICOM(Zabbix)」の特長を詳しく解説します。自社での監視業務のシミュレーションにお役立てください。

ライセンスフリーで初期費用を大幅削減

OSやミドルウェアなどのITシステムがオープンソース化するなかで、監視システム分野ではまだまだ商用ライセンスの利用が主流です。商用ライセンス料や維持料などの費用がかさむため、企業へのコスト面での負荷も大きくなります。

その点、「ZABICOM (Zabbix)」 はライセンスフリーの監視ソフトウェアのため、初期導入時や継続的な運用時のコストを大幅に削減できるでしょう。

使いやすく洗練されたビジュアル監視画面

「ZABICOM (Zabbix)」は、監視業務の全容をワンスクリーンで表示できます。カスタマイズ可能なWebスクリーンは、グラフやマップからの情報をはじめ、さまざまなデータを自由に組み合わせることが可能です。加えて、不要な情報を排除できます。これにより、監視業務の煩雑性が減り、効率化に役立ちます。

また、関連するシステムごとや拠点ごとに異なる画面を定義できるため、多くの情報を一度にまとめて確認できます。使いやすいビジュアル監視画面は、システム運用者の負担を大幅に減らしてくれるでしょう。

ほとんどの機能を備えたオールインワンパッケージ

「ZABICOM(Zabbix)」は、ネットワーク監視業務に必要だといわれる、ほとんどの機能・設定・警告表示・解析結果の表示までをオールインワンで利用できます。

通常、これらの基本機能を拡張するには、追加パッケージの購入が必要です。さらに使う際の操作などを覚えなければならず、タスクは増えるばかりです。しかし、オールインワンパッケージなら、これらを一括管理でき簡易的なインストール・設定・操作も可能です。

まとめ

ネットワーク監視には、「ポーリング」や「トラップ」という監視方法が不可欠です。これらの技術は、セキュリティを強化するうえで重要な役割を担っています。

ただし、監視する機器が多かったりネットワークが大規模になったりすると、最初の設定や日々の管理業務が複雑になりがちです。

SNMPの仕組みやツールの使い方をしっかり学び、発生するトラブルにも迅速に対応する必要があります。加えて、自社のネットワークに最適な拡張機能を選び最適化するのは大変です。

このような状況をいち早く解決するには、「ZABICOM(Zabbix)」のような総合監視ソリューションが役立ちます。煩雑なプロセスをシンプル化し、ネットワーク監視を効率良く行なえる土台作りができるでしょう。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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