講演レポート

IT運用からサービス企画へ
~ 立場が変わって見てみたITIL ~

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスマネジメント(ITSM)の成功事例(ベストプラクティス)をまとめた世界的なガイドラインで、ITサービスの企画・設計から運用・改善までの手順を標準化し、高品質かつ効率的な運用を実現するフレームワークです。

“型”は地図であって現場の道そのものではないこと。どのツールを、どの深さで、どの順番で使うかは、事業や顧客の文脈、そして「今扱うプロダクト/サービス」の性質によって変わります。

本講演はIT運用畑で長年ITILに携わってきたユニアデックス株式会社 齋藤 寛氏が、サービス企画の立場に移り、ITILやDITS(Digital & IT Strategy)を“企画の現場”へどうあてはめたかを、NaaS(Network as a Service)の新サービス立ち上げ事例を通じて語ったものになります。

ユニアデックス株式会社
齋藤 寛 氏

DITSの戦略ジャーニーに当てはめてみる

講演の冒頭、齋藤氏は、昨年10月にITIL®4を取得し、その際にDITS(デジタル・アンド・IT・ストラテジー)の研修も受講したことを説明し、今回の講演では、DITSの書籍に倣って自身が今年度担当した企画業務、新サービス「Network as a Serivce」(以下、NaaS)がDITSの戦略ジャーニーのフレームワークにどのように当てはまるかを分析していくこと、前半では戦略のジャーニー(V3の継続的サービス改善のアプローチに相当)を、後半では事業戦略におけるデジタル戦略とAI活用について説明していくことを伝えました。

本日の内容

ネットワーク案件の従来の提供形は機器販売、設計・導入構築、運用・保守を案件ごとに個別設計・個別契約で組み合わせるものでした。これに対し、NaaSでは機器も含めて“一括の標準サービス”となるため、お客さまは機器を持っていただく必要がなく、月額料金のみでサービスが利用できます。まずはWiFi(無線LAN)領域から開始し、その後LANやWANへとネットワーク対象範囲を拡大していく予定とのことです。

新サービス企画概要

戦略のジャーニー その1-ビジョンは何か

齋藤氏は、ブランドイメージについてユニアデックスが昨年春に発表した「マネージドサービスのGASSAI」を事例に挙げて説明しました。セキュリティリスクに備え、多様な可能性を広げる各種マネージドサービスを提供していて、領域としては、クラウド、ネットワークセキュリティ、DWP(デジタルワークプレイス)など、特定分野に絞らず幅広く展開しているものになります。AIやサービス提供で収集できるデータを活用して自律運用を実現するというコンセプトは、今回のWiFi NaaSに限らず、サービス設計を考えるうえで基になるものであると述べました。

ビジョンは何か?

戦略のジャーニー その2-我々はどこにいるのか?

次にDITSの書籍に記載されている環境分析、機械分析、デジタル準備状況アセスメントのうち、環境分析について説明がありました。

DITSの書籍には外部環境分析と内部環境分析のツールが記載されており、齋藤氏のチームも「NaaS」のサービスについて、PEST分析(Political、Economic、Social、Technological、ただしLegalとEnvironmentalは除く)やSWOT分析を実施し、実際の分析結果は機密情報のため非表示でしたが、DITSで触れられている内容と合致していたことを確認できたとのことです。

ただ、齋藤氏は自分たちの実践をDITSに当てはめる一方で、逆の立場からDITSの書籍だけで実行できるかについても検証しており、DITSのコア書籍には確かに外部環境や内部環境のツールが記載されているが、説明は簡単なものに留まっている。どのツールを選べばよいか、どの程度の内容を作成すればよいかの判断が難しく、自分一人かつDITSのコア書籍だけでは実行困難であるという所感を述べました。

戦略のジャーニー その3と4-我々はどこを目指すのか?どのようにして目標を達成するのか?

「我々はどこを目指すのか」「どのようにして目標を達成するのか」というステップについて、DITSではこの2つのステップを1つの章として記載しており、戦略計画立案、戦略を構成するアーティファクト、財務的側面での課金モデルなどが含まれています。齋藤氏のチームも戦略計画立案は「NaaS」の企画書として、ビジネスモデルキャンバス、STP分析、採算計画(月額料金体系を含む)を検討し、ほぼ網羅できていたと振り返ります。しかし同時に、デジタル戦略としての中身が十分ではなかったとも明言します。

我々はどこを目指すのか?どのようにして目標を達成するのか?

続いての章は、齋藤氏はデジタル戦略の一環として、AIを活用したサービス機能について詳しく説明していきます。

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