講演レポート

IT運用の未来-
AIで進化するマネージドサービス最前線

X推進やクラウド活用が加速する中、企業のIT運用現場は複雑化と人材不足という大きな課題に直面しています。NTTドコモビジネス株式会社 担当部長 神崎 誠氏の講演からNTTドコモビジネスが提供する「X Managed」サービスの最新情報と運用現場の効率化・標準化の実現事例を交えて、AIインフラへの対応やAIエージェントの活用など、AIによる自動化・高度化がI&Oチームにもたらす新たな可能性について紹介します。

NTTドコモビジネス株式会社
担当部長
神崎 誠 氏

ITマネージドの現状と限界――「人月モデル」の行き詰まり

国内のITマネージドサービス市場は、DX推進やクラウド移行の本格化を背景に、2025〜2034年にかけて年平均8.51%成長が見込まれるなど、引き続き拡大が予測されています。

レガシーシステムからの脱却やAI活用への投資拡大に伴い、運用をアウトソースしたい企業ニーズは高まる一方です。

しかしその裏側では、「人が足りない」「スキルが追いつかない」といった構造的課題が深刻化しています。2030年には最大約79万人のIT人材不足が見込まれており、ビジネスが伸びれば伸びるほど人員を増やさざるを得ない“人月モデル”から抜け出せていない現状があります。

神崎氏は、こうした状況をITマネージドの成長を阻む「3つの壁」として整理しました。1つ目は人材不足の壁、2つ目はベテランへの依存やナレッジ継承の断絶といった属人化の壁、3つ目はクラウドやAIなど新技術へのキャッチアップが間に合わないスキルギャップの壁です。

人工型ビジネスモデルの課題

これまでの運用現場では、手順書やSOPの整備による標準化、スクリプトやRPA、ジョブスケジューラによるルールベース自動化といった取り組みにより、一定の生産性向上・品質平準化が実現されてきました。

しかし、顧客ごとに環境や要件が異なるため標準化しきれない例外が多く、自動化が失敗したときの最終判断や例外対応は、結局「経験豊富な担当者の勘と経験」に頼らざるを得ません。暗黙知が形式知化されないままでは、運用規模の拡大に合わせて人員とコストが比例して増えてしまう構造から抜け出せないのです。

神崎氏は、この状況を「作業の自動化は進んだが、“判断”の自動化はまだ道半ば」と捉え、次のブレイクスルーとして意思決定・高度な分析・レポーティングといった“判断領域”の自動化に踏み込む必要があると指摘します。

残るスケール課題と学び

AI時代の到来とパラダイムシフト――インフラも運用も「AI前提」に

こうした中で急速に存在感を高めているのが、AIを前提とした新しいインフラと、それを活用する運用モデルです。AI半導体(GPU等)の世界市場は2025〜2032年に年平均15.7%の成長が見込まれており、大規模言語モデル(LLM)の学習・推論需要の爆発を背景に、オンプレミスとクラウドGPUを組み合わせたハイブリッド構成が標準化しつつあります。

加えて、ネットワークも「必要なときに必要なだけ使う」NaaS(Network as a Service)型へのシフトが進んでいます。NTTドコモビジネスが提供する「docomo business RINK」は、ネットワークとセキュリティ機能をクラウド上で統合提供するセキュリティ統合型NaaSとして、Gartnerのレポートやイノベーションアワードでも評価を得ています。

しかし、GPUやNaaSといったAIインフラは、リソース利用量やトラフィック量の変動が大きく、コストの予測が難しいという新たな課題も生み出します。神崎氏は、「どこまで使っていいのか」「思わぬコストジャンプが起きていないか」と企業側の不安を紹介し、AI時代にはFinOps(クラウド・AIインフラのコスト最適化サイクル)を回すことが不可欠になると強調しました。

もう1つの大きなパラダイムシフトが、生成AIの普及です。従来のAIOpsは、機械学習モデルを扱える専門人材や複雑なツール操作が前提で、導入・運用のハードルが高いものでした。

これに対し、生成AIは自然言語UIにより「日本語で質問すれば応えてくれる」世界を実現し、誰でも高度な分析や操作にアクセスできる環境をもたらしています。ログの要約やレポートの自動生成、コードや設定案の提案などにより、運用タスクの劇的な短縮と“AIの民主化”が一気に進みつつあります。

生成AIがもたらす変革

こうして、運用の対象はサーバーやネットワークといった従来のIT資産だけでなく、GPUをはじめとしたAIインフラやAIモデル・データへと拡大し、運用の手段も「人が中心のオペレーション」から「生成AI×自動化」を前提としたものへと大きく転換し始めています。

パラダイムシフトの要点

本記事の内容をもっと詳しく知りたいという方のために、日本におけるDX推進の成熟度の現状など、講演内容をさらに詳しくまとめた「ホワイトペーパー」を用意しております。ぜひダウンロードの上ご覧くださいませ。

このページのトップへ