業務効率に影響するオンラインストレージの転送速度

2021年3月18日公開 (最終更新日:2021年3月18日)

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オンラインストレージを利用していると、ファイル転送の遅さが気になることはありませんか。業務効率を上げるため、ファイルのアップロード速度がオンラインストレージを選ぶ際の重要な要素の1つとなります。そこで本記事では、オンラインストレージ利用時のファイル転送速度の重要性やメリットについて詳しく解説していきます。

1. オンラインストレージのファイル転送速度とは

オンラインストレージのファイル転送速度とは、
①お客さまの足回り回線のスピード、帯域
②サービスの足回り回線のスピード、帯域
③サービスのサーバー処理速度(ウイルスチェックや暗号化処理)
④サーバーまでの距離
といった、さまざまな要素があります。お客さまから見た場合、ファイルをアップロードして、保存されたことが確認できるまで、もっと言うと、保存完了メールがメンバーに届くまでが転送速度に含まれます。

オンラインストレージのファイル転送速度とは 画像

アップロードや送信を「上り」、ダウンロードや受信を「下り」と呼び、1秒間にどれだけのデータ量を転送できるかを示す単位としてMB/sやMbpsが使われます。10MB/sと記載してある場合は1秒間に10メガバイト、20Mbpsと記載してある場合は1秒間に20メガビットの通信が可能という意味になります。数字が大きいほど速度が速いことを示します。

一般的に、容量の大きなデータの転送に時間がかかります。そのため、動画ファイルなどの大容量データのやり取りを頻繁に行う方は、なるべく転送速度が早いサービスを選択した方がよいのです。

サービスによって転送速度は異なりますが、実際に時間にするとどれほどの差になるのでしょうか。転送するファイルが500MBと1GBで、上りの転送速度が「1.3MB/s」「5.6MB/s」「13MB/s」の3つのサービスを利用する場合、伝送効率を100%と仮定して試算すると、以下のようになりました。

500MB 1GB
1.3MB/s 6分43.3秒 13分46秒
5.6MB/s 1分33.6秒 3分11.7秒
13MB/s 40.3秒 1分22.6秒

特に高画質画像や動画などを取り扱っている場合は、500MBや1GBといったファイルサイズは珍しくありません。
500MBのデータを転送した場合は40.3秒~6分43.3秒という結果となり、サービスによって約6分もの違いが出ています。さらに、1GBのデータでは1分22.6秒~13分46秒となり、約12分もの大きな差が発生することがわかりました。ここで計測した1GBというデータサイズは、HD画質で約5分、フルHDで約2分のデータ容量です。業務でこのサイズの動画を1.3MB/sのサービスを利用して転送した場合、1つのデータを送信するのに約13分もかかってしまうことになります。500MBのデータでも1.3MB/sだと約6分もの時間を要しています。
また、この計測値は、PCや通信網の影響をまったく受けないものとして計測した結果です。実際はPCの性能や通信網の状態が関わってくるため、これよりも遅くなる可能性があります。

2. オンラインストレージの転送速度が及ぼす影響

ファイル転送速度は、スムーズな業務を行う上で重要です。具体的にどのような影響があるのかを紹介します。

社内外との情報共有が円滑になる

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社内外との情報共有は、素早くなければいけません。特に近年は、業務効率化が求められる時代であり、速く簡便に情報伝達できることが重要です。
外部とデータ連携をする場面において、送受信のレスポンスが悪ければ作業効率が悪くなってしまいます。さらに、情報のタイムラグによって大きなチャンスを逃してしまったり、トラブルへの対処が遅れてしまったりすることもあるのです。
逆にデータの送受信が速ければ、情報共有がスムーズになることで業務効率が向上します。企業がデータ送受信速度を向上させるためには、前述したファイル転送速度とともに通信速度も重要になります。ビジネス目的の利用であれば、50~100Mbps程度の通信速度は確保しましょう。目安として速度が50Mbpsを下回った場合は、業務に支障が出る可能性も考慮しなければいけません。

転送速度の遅さが利用者のストレスや業務進行の妨げになる

用途によって快適に利用できる通信速度はさまざまです。たとえば、内容がテキストだけのメールを使う場合の目安は下り128Kbps~1Mbps、Webサイトを閲覧する場合の目安は下り1Mbps~10Mbps、動画を視聴する場合の目安は5~25Mbpsと言われています。
前項で触れた通り、大容量ファイルの転送や共有が必要な環境で、ストレスなく業務を進めるための目安は50~100Mbpsです。
ビジネスで取り扱うデータには、その送受信が完了しないと次の業務に進めない性質のデータが多くあります。受注・発注データや会計データなどがこの部類に入ります。このようなデータの転送に時間がかかってしまうとさまざまな業務に支障をきたすこともあるのです。
たとえば、作業が進まないと、社内的には「修正・確認作業の遅延」「伝達の遅れ」「進捗への影響」などの問題を引き起こしてしまう可能性があります。クライアントなどとファイルをやり取りしている場合は、利用するクライアント側でも同じような問題が起きてしまい、大きなストレスを与えてしまいます。
データ転送速度が速いことは使い心地の良さに加えて、スムーズな業務進行に直結するのです。

3. オンラインストレージの転送速度が遅くなる原因

ファイル転送速度が速いサービスを選択したとしても、ほかの要因によってファイル転送が遅くなることがあります。ここではその原因について解説していきます。

複数人で大容量データ通信を行ってしまっている

インターネットでは、同じ回線を複数人で使用すると速度が遅くなるという特徴があります。これは通信ネットワークの混雑が原因です。ネットワークは道路に例えられることがよくありますが、「車=通信」が多くなると道路と同じで渋滞を引き起こしてしまうのです。このようにネットワーク上で発生する渋滞を「輻輳(ふくそう)」と呼びます。たとえば、全社員で1GBを超える動画などのファイルを同時にアップロードすれば、通信が混雑して輻輳が発生する可能性があります。最悪の場合には、通信がストップしてしまうこともあるのです。
輻輳の原因は、各所に設けられたトンネルのような構造にあります。インターネットに接続する際にはルーターやモデムと呼ばれる装置を使用しますが、この箇所がトンネルのようなものになっているのです。これらのトンネルは幅が決まっているため、「大きな車=大容量データ」が通ると混雑してしまい、遅延の原因になるのです。
さらに、ルーターを超えた先にもプロバイダーの網終端装置と呼ばれるトンネルがあります。このトンネルはプロバイダーを契約しているほかのユーザーも利用するため、輻輳が発生しやすくなっています。
これを避ける対策として、なるべく複数人が同時に大きな通信を行わないようにすることが考えられます。
また、プロバイダーによっては、輻輳が発生しにくい回線を提供しているところもあります。業務中に通信量が大きくなって輻輳が発生する場合、このような輻輳が発生しにくい回線を選択するのも1つの手段です。

通信環境が十分ではない

通信速度は、契約する回線によって異なります。年々デジタル技術は向上しており、一昔前の回線を契約していた場合は新しい技術と合わないこともあるのです。近年は、容量の大きなデータ通信やオンライン会議などを業務で行うことも増えています。もし業務中に遅延を感じる場合は、今一度通信環境を見直してみましょう。
たとえば、通信回線には光回線やADSLなどがあり、それぞれの最大通信速度は、「光回線が1Gbps」「ADSLが約50Mbps」です。これらは理論値のため実際の速度とは異なりますが、通信速度に約20倍もの差があります。もしADSLを利用している場合は、光回線に変更することで通信速度が改善される可能性があるのです。
また、光回線を利用していて満足した速度が出ない場合は、利用している接続方式を確認してみましょう。接続方式にはPPPoEとIPoEの二つがあります。PPPoEと呼ばれる接続方式は、従来の接続方式で通信回線の混雑によって速度が低下することもあるのです。一方、IPoEは、混雑がしづらく通信速度もPPPoEと比べて10倍も速いとされています。数年以上前に回線を契約している場合はPPPoEを利用していることがあり、これが遅延の原因になっている可能性もあります。
そのほか、近年はWi-Fiルーターの技術も進歩しています。2019年9月からは、Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)と呼ばれる規格で通信が行われており、それ以前のWi-Fi 5(IEEE802.11ac)と比べると1.4倍の通信速度とされています。さらに、複数台の同時接続でも速度が落ちにくいという特徴があります。Wi-Fiを使用していて遅延がある場合には、一度利用しているルーターを確認してみるのもよいでしょう。

サーバーまでの通信距離

インターネットを利用するユーザーと通信サーバーまでの距離が遠ければ遠いほど、速度の遅延が発生します。これは、これまで紹介した遅延の中でも単純な仕組みです。電波や光などのあらゆる物質は、距離が遠くなるに従って届くのに時間がかかります。インターネット通信網でも例外ではありません。
インターネット上で発生する距離による遅延を「伝送遅延」と呼びます。社内でインターネットを利用しているときでさえ、ユーザーと通信サーバーまでの距離の差によって数ミリ秒以下の伝送遅延が発生しているとされています。どの企業でも遅延が発生しているということになりますが、この程度なら業務に支障が起きるほどではありません。
業務に支障が出てしまうほどの伝送遅延は、主に海外とのデータのやり取りで生じることがほとんどです。たとえば、東京からアメリカの西海岸にあるサンフランシスコとは、約8,280kmの距離があります。日本にデータセンターがあるサービスの場合、東京からファイルダウンロードするにはそれほど時間はかからない一方で、サンフランシスコ拠点からのダウンロードには非常に時間がかかる、ということもあります。そのため、実際に無料トライアルなどを活用し、試しておくことが有益です。

4. オンラインストレージは転送速度の速いものを選ぶ

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前述の通り、オンラインストレージによるデータ送受信において、ファイル転送速度は重要です。しかし、どれほどの転送速度が必要なのかは、企業の業務内容によっても異なります。
そこで、自社に合ったオンラインストレージを選択するために、実際にいくつかのサービスを試用して、実用に耐えるものを探しましょう。たとえば、NTTコミュニケーションズのオンラインストレージサービス「Bizストレージ ファイルシェア」では、無料トライアルを実施しています。
「Bizストレージ ファイルシェア」は、通信事業者としての自社の強みを最大限に活かし、国内最大級のバックボーンを持つOCN通信網や国内データセンターを使用して運用されています。そのため、高速で安定したファイル転送を実現しています。
サーバーやストレージを冗長化し、メインのデータセンターとは遠隔地でバックアップを設けることで、素早いディザスタリカバリ(DR)を実施できるほか、不正アクセスの検知・遮断でサイバー攻撃の脅威からシステムを保護しています。このように、高速な回線を使用しつつ、堅牢で安全性の高いデータセンターにシステムを構築することで、安定したサービス提供が可能となっています。
従業員の多い企業や大容量通信を必要とする企業まで、幅広く対応できるオンラインストレージです。まずはさまざまなサービスと比較して、無料トライアルをぜひお試しください。
・無料トライアルをご希望の方はこちら「無料トライアル申し込みページ」からお申し込みください。
・Bizストレージ ファイルシェアについての資料ダウンロードはこちら「資料ダウンロード」にアクセスください。

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