テーマ / Theme

ビジネスを加速させるための取り組みをご紹介

データ利活用の最終解

コスト削減 売り上げ拡大 データ利活用 クラウド/サーバー ネットワーク

データが、「新しい石油」と言われるようになって久しい。しかし、いまだ、「そもそも、どのようなデータが組織内のどこにあるのかさえ分からない」、という課題を抱えている企業も多い。

課題/ Issue

有用なデータが各部門に散在している

データの利活用を始めようと意気込んでも、有用なデータが各部門に散在し、取り組みが一向に進まないというケースは珍しくない。データを探すためには、各部門のシステムを一つひとつあたり、場合によっては人づてに聞いて回る……と、地道で手間のかかる作業が必要になるためだ。

概要/ Overview

散在するデータを統合するハブを構築

課題を解決し、データの利活用を前進させるためには、「データ統合ハブ」の構築が効果的だ。

「データ統合ハブ」は、複数の異なるソースからデータを自動で吸い上げる機能に加え、データの形式などを合わせて利用しやすい整然データを生成する機能、さらに、必要なときにデータを検索できる機能も備えている。また、データを独自のレイヤと捉えるアーキテクチャ(基本設計思想)であるため、データがオンプレミスサーバーにある場合でも、VPN内にある場合でも、パブリッククラウドに移し替えることなく構築が可能だ。

ユースケース / Use Case

業務の変化・メリットをご紹介

Use Case 1

研究・開発を加速

研究・開発の分野では、さまざまなデータが使用されている。それ故、データを探すのに膨大な作業時間が奪われることも珍しくない。
「データ統合ハブ」を設けることで、データを探す作業時間を短縮し、研究・開発に集中できるようになる。

Use Case 2

開発・保守の費用削減

データが各部門に散在している場合、データ連携が複雑化し、その管理に必要なシステムの数も多くなる。さらに、その分の人的リソースを割く必要もある。
「データ統合ハブ」は、データ間の関係をシンプルにしてくれる。そのため、データの連携に要するシステムの開発や保守に要する費用を削減できる可能性がある。

リファレンスアーキテクチャ / Reference Architecture

システム構成をご紹介

主な前提・要件/ Assumptions & Requirements

  • さまざまなデータ源からデータを自動で吸い上げる機能、データの形式を合わせて整然データを生成する機能、必要なときにデータを検索できる機能を備えた「データ統合ハブ」を構築する。
  • 機密性の高いデータもあると想定し、データはオンプレミスサーバーやプライベートクラウドにもあるものとし、インターネットを経由することなく統合できるものとする。

アーキテクチャ上のポイント/ Point

各機能説明

1VPN、相互/中継接続基盤

VPN(仮想私設通信網)と相互/中継接続基盤とは、お客さま拠点のオンプレミスサーバー、クラウド型オブジェクトストレージ、有事の際に起動するクラウドサーバーの間を接続します。インターネットのみを利用する場合に比べて、一定の情報セキュリティを確保しながら、安定した速度で通信が可能です。

[ポイント]

  • ・VPNの種類として、大きく「IP-VPN」と「インターネットVPN」との2つが挙げられます。取り扱う情報に応じて、VPNに求めるセキュリティ、品質(速度、遅延、利用可能時間など)、費用などを考慮し、最適なVPNを選択する必要があります。
  • ・IP-VPNは通信業者が独自に保有するIP通信網を利用するVPNです。メリットは、専用の通信設備を使うため、セキュリティレベルが高く安全な環境を構築することができる点です。サービス品質保証(SLA)があることが多く、複数拠点で大容量のデータのやり取りをするときでも通信が安定します。デメリットは費用が大きい点です。
  • ・インターネットVPNは、インターネットと、IPsecやSSLといった通信の暗号化技術とを組み合わせたVPNです。メリットは、共用のインターネットを活用することで費用を低減できる点です。デメリットは、共用の設備が混雑して通信が遅くなったり、大幅な遅延の変動が生じたりするなど、サービス品質が安定しない点です。
  • ・通信が途切れると業務に大きな影響が生じると想定される場合には、バックアップ設備をあらかじめ用意し冗長構成をとることが重要です。冗長構成の要素には、アクセス回線(例えば光回線と無線(LTE)との併用)、お客さま建物内の回線終端装置(ルータ、ONU等)などが挙げられます。構成要素ごとにどこまで冗長化するかを費用との兼ね合いで検討する必要があります。
  • ・現在の業務だけでなく、リモートワークや、Microsoft 365、Salesforce.comなどSaaSの利用といった今後の業務の変化も考慮し、柔軟なVPNを選択することが望ましいといえます。
2データ統合ハブ

データ源から自動でデータを吸い上げ、統合し、必要なときに引き出すことができるシステムです。

[ポイント]

  • ・「データ統合ハブ」と総称されるシステムには「法人・団体向けiPaaS(Enterprise integration Platform as a Service)」「データ統合ツール」「データ品質管理」「マスターデータ管理」「メタデータ管理」「データカタログ」「データ活用準備」などの機能から成り、提供事業者によって位置付けが微妙に異なります。
  • ・「法人・団体向けiPaaS」「データ統合ツール」は、ハブ・アンド・スポーク型のデータ流通によるデータの統合を行う部分です。データ抽出・変換・積み込み(ETL: Extract/Transform/Load)ツールは「データ統合ツール」に含める例が多くあります。
  • ・「データ品質管理」「マスターデータ管理」「メタデータ管理」は、複数のデータ源からのデータを関連付け、変換し、関係するシステムが共有できる「ゴールデンマスター」を作成する部分です。例えば「○○株式会社」と「○○(株)」との変換や、住所の「二丁目3番1号」と「2-3-1」との変換などを行うツールが開発されています。
  • ・「データカタログ」「データ活用準備」は、データをカタログの形で可視化し、検索可能にし、組織内の利用者が扱いやすいようにする部位です。
  • ・各機能を総合的に提供する米Informaticaは、データを水の流れにたとえて、「法人・団体向けiPaaS」「データ統合ツール」の部分を「配水池」、「データ品質管理」「マスターデータ管理」「メタデータ管理」の部分を「浄水場」、「データカタログ」「データ活用準備」の部分を「貯水池」と説明しています。
3クラウドサーバー

通信網を経由して利用するサーバーです。

[ポイント]

  • ・クラウドサーバーには、大きく分けて占有型と共有型とがあります。一般に、占有型はVMware、SAPなどのシステムを丸ごと構築する場合に、共有型は低費用で迅速なシステム開発が必要な場合に適しているとされています。近年は、目的に応じてオンプレミス設備と複数クラウドサーバーとを併用する「マルチクラウド」や、複数のクラウドサーバーを連携させるいわゆる「オムニクラウド」という使い方が台頭しています。
  • ・クラウドサーバーには、サーバー、ストレージ、ハイパーバイザーの各機能をクラウドサービス事業者が一元管理するサービスが存在します。これにより、ソフトウェア・ファームウェアのバージョンアップやパッチ適用などのインフラストラクチャ管理の負担が大幅に軽減します。
  • ・クラウドサーバーは、通信網を経由して利用するため、通信網の信頼性も考慮する必要があります。インターネットを経由して利用するクラウドサーバーは、データの出し入れに対してデータ転送料金を要する場合があります。
  • ・クラウドサーバーをインターネットと接続しておく場合には、世界中から接続できる状態になるため、セキュリティが極めて重要になります。特に、複数のコンピューターから特定のサーバーに一斉に負荷をかけるDDoS攻撃(Distributed Denial of Service attack、分散型サービス拒否攻撃)を受けると、サーバーが使えなくなるため、DDoS攻撃の対策は必須といえます。セキュリティの水準を示す業界認証がいくつかあり、クラウドサーバーを選択するときに参考になります。
  • ・クラウドサーバーは、仮想化されているといっても、どこかに物理的な設備が存在します。そのため、特に重要なデータを扱う場合には、物理的な設備の堅牢性も考慮します。
  • ・クラウドサーバーは、オンプレミス設備と異なり、手元に設備がないため、設備の状態をモニタリングする機能も重要です。

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