ビジネスを加速させるための取り組みをご紹介
日本の製造業は、ものづくり大国と世界から評価された時代から環境が大きく変化しており、現在多くの課題を抱えている。
このような課題に対して、積極的に変化を受け入れ、先手を打って変革を成し遂げていくことが、競争力の強化に繋がり、新たなビジネスチャンスをつかむ原動力となる。
製造業では、安定的に一定の品質を担保した製品を作り続けていく必要がある。
品質管理部門は品質の維持・改善・保証のエキスパートとして、製品毎に基準を設け、品質を担保するために製品に対し検査を日々行っているが、現場では多くの課題が存在している。
例えば、ニーズの多様化により製品は複雑化するが、複雑化に応じて検査範囲も拡大する必要があるため、一定の品質を保つことは難しくなる。
このような状況の中で、これまでは熟練の技術者の目により品質を担保してきたが、熟練技術者の大量退職と後継者不足により、従来の方法による品質の担保が難し状況に陥ることが想定される。
実際の製造現場では、製造設備の劣化、気温・湿度などのさまざまな要因が不良品を発生させる原因となっている。このため、品質検査において不良品の割合などの生産状況をモニタリングし、基準値以上の不良品が検出された場合は、一度製造ラインを停止させ、原因を調査し、取り除くといった対応が必要となる。しかしながら、原因の特定と解消には時間を要することも多い。
こうした品質管理の問題に対し解決策を検討し、対策を講じていくことが、日本の多くの製造業に求められている。
このような製造業を取り巻く環境において、限られたリソースの中で品質を維持・管理し、さらに品質を高めていくためには、これまでの取り組みの延長線だけでは解決することが難しく、新たな品質に対する考え方や仕組みを取り入れていく必要がある。
その1つとして、“デジタル技術”と“品質に関するスキル・ノウハウ”の融合が挙げられる。限られた人員の中で、品質管理に関わる作業負荷軽減と品質維持の達成が見込めるだけでなく、AI(人工知能)に関連する技術を活用することで更に高度な品質管理の実現に期待が高まってる。
センサーやカメラから取得したデータの解析やAI(人工知能)の機械学習技術を活用することで、これまでの検品時(製品完成時の検査)ではなく、製造途中において、不良品発生を予測することが可能となる。さらに、不良品発生の原因特定とアクション候補の通知により、製造ラインの停止時間最小化と歩留まり向上を達成することが期待できる。
具体的には、製造設備には、関連する情報(温度、湿度、圧力、流量、加速度、変位、振動、電圧、電流など)を取得するためのさまざまなセンサーが取り付けられている。これらのセンサーから取得した値はデータロガーでロギングしたり、人手による目視確認と記録などを行うことで、時系列の数値データとして収集・蓄積することができる。
このようにして収集・蓄積したデータと品質検査結果をもとに構築した不良品発生の予測モデルを用いることで、製造途中における不良品発生の予測および不良品判定時の発生原因をタイムリーに特定することができる。
なお、予測モデルの作成は自動化することも可能となっている。予め保持している大量の機械学習アルゴリズムから最適な予測モデルを自動的に構築するソフトウェアも存在しており、このような技術を活用することで、高度な品質管理が実現可能となる。
テーマを実現による業務の変化・メリットをご紹介
各製造工程においては異常がないが、完成品の検品で不良と判定されるケースが存在する。不良品の発覚が遅れると、手直し工程が必要となり、生産性の悪化や、納期遅延の原因にもつながる。
このような問題に対し、各工程にセンサー・カメラを設置。これらから取得した情報を組み合わせ、AIで分析することで、完成品の検品前に不良品の発生を予測することが可能となる。
AIが、完成品の検品前に不良品の発生を予測し、各製造工程の品質管理担当者に通知。品質管理担当者は通知された情報にもとづき、製品を取り除くことができる。結果として、不良品となる仕掛品への製造コストを削減することができる。
効果
EFFECT不良品が発生した場合、さらなる発生抑止のため、製造ラインの全工程を停止し、原因の特定と対処を講じる必要がある。
これまでは、熟練技術者の経験にもとづく勘に大きく依存してきた。今後、熟練技術者の減少により、経験が少ない中堅・若手技術者が、不良品発生時の対応を行う機会が多くなると、試行錯誤を繰り返しながら対応することとなるため、原因の特定と対処に時間がかかる。
この問題を解決するために、熟練技術者は、経験や実績にもとづいた不良品の発生原因とそれに応じた対処法を、予めデータ化し蓄積する。不良品判定時に、AIが各種センターから取得したデータをもとに不良品の発生原因を予測し、予め用意した対処法の候補を提案する。
品質管理担当者は、不良品が発生した場合、製造ラインの全工程を停止した後、 AIから受けとった原因箇所と対処法の候補から、特定の工程・設備から調査し、対処を講じていくことで、製造ライン復旧までの時間を短縮できる。
効果
EFFECTユースケース1のように、不良品発生などの現象を予見するためには、データサイエンティストの協力のもと、品質保証担当者が、予測モデルを構築する必要がある。予測モデルは、学習データ(=過去データ)にもとづき、統計手法などを活用し、最も精度の高いモデルを採用・構築する。しかし、構築した予測モデルの運用を開始すると、モデル構築時には十分考慮できていなかった条件(設備の摩耗等)について変化があった場合、予測モデルの精度は低下する。精度を維持させるためには、データサイエンティスと品質保証担当者が、定期的な条件の見直しとモデルの再構築を行わなければならず、非常に手間がかかる作業となる。
予測モデルをより手間をかけずに精度を維持する方法として、予め予測精度のモニターにより精度劣化を検知する仕組みと、精度劣化を検知した場合は、分析モデルの再構築とモデルの置き換えを自動化することで、精度を維持することができる。
データサイエンティストと品質保証担当者は、AI導入による効果が正しく期待する効果を得られているか確認するのみにとどまる。予測精度低下のモニターやモデル再構築・置き換えといった作業を軽減できる。
効果
EFFECTテーマを実現するシステム構成をご紹介
データインテグレーション さまざまなデータの統合を行うiPaaS機能をクラウドにて提供
信頼性と俊敏性を両立した企業向けクラウドサービス
大容量データを低コストに保管するオブジェクトストレージ
トップデータサイエンティストのノウハウを凝縮した機械学習プラットフォーム
マルチクラウド環境を簡単・柔軟に接続可能な次世代サービス
各工程の設備に設置されたセンサーやカメラ等から稼働データなどを取得します。
センサーより測定した数値データ(構造化データ)やカメラで取得した画像などのデータ(非構造化データ)は、独自形式を含むさまざまなフォーマットで記録されます。
[ポイント]
検品(製造工程を全て終え、完成した製品の品質を判定する工程)における品質確認結果を記録します。
各工場(データ発生源)、クラウド(データ統合・蓄積・分析等の基盤)、本社(可視化・分析結果の判断等)といった拠点間通信について、セキュリティを確保し安全に接続します。
[ポイント]
メタデータとは、そのデータを表す属性や関連する情報を記述したデータのことを表します。メタデータの種類は以下の通りです。
非構造化データの場合、例えば、各工場でセンサーにより収集した数値データは、分析のためにデータの取得時間やどの設備で取得したデータなのかなどの情報が必要になります。以下のような項目が該当します。
これらの項目は、データ取得時やデータ整備時に付加されます。
メタデータ管理とは、メタデータを一元的にカタログ管理することです。データを大量に集めても、必要なデータがどこにあるか探し出せなければ利活用することは困難です。そこで予めメタデータを一元管理し、データ利用者が検索できる状態にしておきます。こうすることで、予測モデル構築に必要なデータを特定したいなど、データを利用したいと思った時に検索し、直ぐに必要なデータを特定することができます。
[ポイント]
「1.センサー/カメラデータ」および「2.検品結果」のデータを、クラウドに転送します。
本機能のデータの転送・取得間隔が、後続機能処理のボトルネックとなります。(例:リアルタイムによる不良品発生予測の可否)
[ポイント]
「5.データ取得」でクラウドに転送した生データ(ローデータ)は、データ処理・データ分析前にフォーマット変換、データの補正・修正、データセットの統合などを行い、データ形式の標準化、属性データの付与、異常値の除去などを実施する必要があります。これらのデータ精度を高める一連の作業は、一般的にはデータプレパレーションと呼ばれています。
データプレパレーションは、整備ルールを決定するところに非常に多くの時間がかかりますが、精度の高い分析をするためには避けて通れない、重要なプロセスです。代表的なデータ整備の例を以下に列挙します。
代表的なデータ整備の例を以下に列挙する。
[ポイント]
「6.データ整備」において整備した各データを蓄積するためのデータプールです。主に、リレーショナルデータモデルとして管理されているデータを対象とします。リレーショナルデータベースにより実装されます。
[ポイント]
「6.データ整備」において整備した各データを蓄積したデータプールです。主にリレーショナルデータモデルとして管理されていないデータを対象とします。主にデータレイクにより実装されます。
[ポイント]
各種センサ等から収集した数値データや画像データなどの情報をもとに、統計手法や機械学習手法を駆使し、最も高い精度で不良品発生を予測するモデルを構築します。
[ポイント]
蓄積データを「9.予測モデルの構築・評価」で構築した予測モデルで判定し、不良品の発生を予測します。予測結果は、「11.予測結果」に蓄積します。
[ポイント]
「10:異常検知処理」において判定された予測結果を蓄積しているデータベースです。
保持している「11:予測結果」に基づき、予測モデルの精度劣化を検知します。
[ポイント]
AIによる予測モデルの精度劣化を検知した場合、予測精度を維持するために予測モデルの更新が必要となります。この予測モデルの更新を自動的し、高い頻度で行うことで、予測精度の維持・向上を実現します。
[ポイント]
熟練技術者の経験や実績にもとづいて、不良品の発生原因とそれに応じた対処法をあらかじめデータとして蓄積したデータベースです。
「10:異常検知処理」において、異常(不良品発生の予測)が検知された場合、対応すべきアクションを「14:対応アクション」より取り出し、リアルタイムで担当者に通知します。
BIとは「Business Intelligence」の略です。蓄積された大量のデータを分析して、分析結果を経営の意思決定に活用するための仕組みであり、データを利活用していくためこのBIをシステム化したものが「BIツール」です。
現場のデータをタイムリーに分析して、ビジネス施策を実施したり、改善策・対策を講じたり、経営に生かしたいという考えのある企業に向いております。まず現状を見える化するためにモニタリング、その結果を踏まえて、今後の対応を検討、新たな分析軸や指標でトライ&エラーを実施することができます。
BIツールには主に以下の機能が存在します。
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