サン電子株式会社×NTTドコモビジネス株式会社
“安心”を証明し、“価値”を拡張する
――IoTとAIで顧客満足と市場拡大を両立する実事例――
IoTデバイスの普及とともに、セキュリティや故障予兆検知といった新たなニーズが顕在化しています。NTTドコモビジネスは、パートナー企業であるサン電子株式会社(以下、サン電子)とともに、IoTデバイスの安全性向上やソリューションの付加価値向上に取り組み、新たなビジネス創出を目指しています。
2025年11月26日に開催された「ドコモビジネスパートナープログラム IoTセッション2025」では、サン電子とNTTドコモビジネスの担当者によるトークセッションを実施。
両社は、IoTデバイスの「安全性向上」と「ソリューションの付加価値向上」という2つのテーマを軸に、現場の課題解決と新たな市場創出を目指しています。具体的には、IOT*1やJC-STAR*2ラベル取得によるデバイスの信頼性の向上、ノーコードAI開発ツール「Node-AI」を活用した故障予兆検知サービスの創出など、パートナー同士の強みを生かした取り組みが進行中です。
本記事では、NTTドコモビジネスとサン電子がどのように連携し、IoTビジネスを創出しているのか、その全体像と具体的なポイントをご紹介します。
- IOT Inter-Operability Testingの略。相互接続性試験のことを指し、IoTデバイスがネットワークと適切に接続され、正常に動作することを確認するための試験。
- JC-STAR Labeling Scheme based on Japan Cyber-Security Technical Assessment Requirementsの略。経済産業省が主導するセキュリティ適合評価制度。
- サン電子株式会社
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1971年設立。愛知県名古屋市に本社を置き、エンターテインメント事業、グローバルデータインテリジェンス事業、IoT事業の3本柱で事業を展開。IoT事業では、通信機器やセンサーを展開するブランド「Rooster」を提供。2002年からルーターを出荷し、累計130万台以上の販売実績を誇る。故障率0.02%以下という高い信頼性を武器に、IoTの壁を解決するソリューションを提供している。
サン電子株式会社
M2M事業部
事業部長
堀井 昭里 氏
- NTTドコモビジネス株式会社
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5G&IoTサービス部
開発オペレーション部門
担当課長
村田 雄治
イノベーションセンター
テクノロジー部門
主査
中野 将尚
- 役職、所属は取材当時のものです
目次
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- デバイスの安全性を高めるための取り組み:
- IOT認証&JC-STARラベル取得による信頼性の向上
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- AIがIoTデバイスの故障を先読み:
- ノーコードAIの活用によるソリューションの進化
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- パートナーと共に市場を切り拓く:
- 新たな価値創出への挑戦
IOTとJC-STARラベル取得による信頼性の向上
はじめに、サン電子のIoT事業について教えてください。
- 堀井/サン電子:
- IoT事業では「Rooster」というブランドでIoTルーターやゲートウェイ、エッジコンピューターを提供しています。もともとは通信の領域で製品を提供していたのですが、領域がどんどん広がっていき、いまはセンサーやカメラなど、データを収集してクラウド上に蓄積・可視化するビジネスを展開しています。
多くのデバイスを手掛けているサン電子株式会社が取得した「IOT」について教えてください。
- 村田/NTTドコモビジネス:
- IOTとはInter-Operability Testingの略で、日本語では相互接続性試験と呼ばれます。これはIoTデバイスとキャリアのネットワークがきちんとつながり、正常に動作するかを確認する試験です。NTTドコモビジネスでは2つの試験を行っています。ドコモネットワークのサービスエリアで安心してお客さま製品が接続できるかを確認する「アンテナ性能試験」と、さまざまな制御信号を受けた際のお客さま製品の動作を確認し安定した通信が行えるかをチェックする「プロトコル試験」です。
サン電子株式会社がIOTを取得された理由をお聞かせください。
- 堀井/サン電子:
- IOTを取得した理由は、大きく2つのリスクの排除です。それによって、お客さまに安心を提供したい思いから取得しました。1つめは「通信途絶のリスク」です。駐車場の精算機が使えない、機器監視システムの異常検知ができないといった通信途絶はお客さまのビジネスに深刻な影響を及ぼします。こうした事象が起きないよう、事前にドコモネットワークとの接続を確認してお客さまに安全性を示したいと考えました。もう1つは「疑念の払拭」です。サン電子の製品はアンテナ性能が低いというお客さまの疑念を払うために、第三者がアンテナ性能の証明をするIOTの取得は有効です。これをお客さまに示すことで、安心してサン電子の製品を導入いただけると考えました。
「IOT」の取得は広がっているのでしょうか。
- 村田/NTTドコモビジネス:
- IOTを取得するメーカーは年々増加傾向です。同じような価格・性能の製品の場合、IOT取得済と未取得の製品があれば、接続の安定性が証明されている製品が選択されると思います。メーカーにとって、競合製品との差別化や製品の売り上げアップのためにはIOTの取得が必要になりつつあり、こうした要因がIOT取得増加の背景にあると考えています。
NTT ドコモビジネス株式会社では、IOTだけではなく新たな認証制度であるJC-STARも取り扱っていると伺いました。「JC-STAR」とは具体的にどのような制度なのでしょうか。
- 村田/NTTドコモビジネス:
- JC-STARは経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主導し、2025年より運用が開始されたセキュリティ適合度可視化制度です。これはIoT製品のセキュリティ基準を評価し、その結果をラベルとして可視化する日本独自の制度です。JC-STARには★1~★4までのセキュリティレベルがあり、星の数が増えるほどセキュリティ基準が高くなり、取得の難易度も高くなります。
- 堀井/サン電子:
- IoTの普及に伴い、脆弱なIoTデバイスが大規模DDoS攻撃の踏み台にされる事例が増えています。このような脅威に対するお客さまのセキュリティ意識が高まってきており、JC-STARの取得が製品選定におけるマストの条件になりつつあると感じています。そのため製品のセキュリティレベルが一定基準を満たしていることを公的に示すために、JC-STAR取得を急ぐ必要があったのです。
JC-STARラベルの取得は大変でしたか。
- 堀井/サン電子:
- 実は、大変でした(笑)。最大の課題は、開発リソースの確保でした。セキュリティ基準の把握や各製品の設計やコーディングの見直し、さまざまな検証プロセスを組み込む工程で多忙な開発の現場に大きな負荷がかかったのです。とはいえ、取得がゴールではありません。日々、セキュリティの脅威は進化していますので、この安全を継続して維持することが重要です。サン電子では各製品のソフトウェアコンポーネント管理ツールを活用し、問題に即応できる体制を構築しました。さらに総務省が主導する「NOTICE*3」に参加し、最新の脆弱性や脅威の情報を入手し、ここで得た情報をもとに自社製品への影響を評価します。影響がある場合は、迅速に対処できる体制を継続して整えています。
- NOTICE 総務省が主導する、IoT機器のセキュリティ向上を推進するプロジェクト
- 村田/NTTドコモビジネス:
- IOT同様、JC-STARも機器を購入するお客さまに要望されるケースが増えていくと考えられます。我々はJC-STAR制度の★1取得を目指す企業向けに「JC-STARラベル取得アシスト」を提供しています。円滑なJC-STAR適合ラベルの取得支援をいたします。
ノーコードAIの活用によるソリューションの進化
NTTドコモビジネスとサン電子はデバイスの安全性だけではなく、ソリューションの付加価値向上にも取り組まれていますよね。現在取り組まれている故障予兆検知サービスについて教えてください。
- 堀井/サン電子:
- 故障予兆検知に対するニーズは、最近特に高まっています。いままでは異常検知のみでしたが、さらに業務の効率化をするために異常になる前の予兆を検知してほしいというお客さまの要望が、年々増えてきました。現在は半導体装置メーカーのお客さまの工場にある設備に振動と電流のセンサーを取り付けて、故障予兆検知サービスの実装に取り組んでいます。現在、ちょうどNode-AIを活用したPoCを回している段階です
NTTドコモビジネスのNode-AIを選択された理由についてお聞かせください。
- 堀井/サン電子:
- Node-AIを選択した理由は、いくつかあります。まず、確実な異常データが不要であることです。以前から故障予兆サービスの導入を検討していたのですが、多くの場合、確実な異常データが必要になるため、なかなか前に進まない状況でした。そのような状況を打破したのが、正常データでAIの開発ができるNode-AIだったのです。
2つ目の理由は、ノーコードでAI開発ができることです。AIの実装には大きな開発リソースが発生します。すでに開発の現場にはIOT取得やJC-STARラベル取得で大きな負担がかかっていますので、さらにAIの開発にリソースを割く余裕はありませんでした。そんなとき、NTTドコモビジネスからNode-AIの提案を受けました。いいタイミングで、すぐに使えるノーコードのツールを紹介されたことも理由の1つです。
3つ目の理由は、国産サービスだったことです。Node-AIと同等のツールを提供する海外ベンダーもあったのですが、うまくコミュニケーションがとれるだろうか、継続的なサポートを受けられるのだろうかといった懸念から契約を断念した経緯もありました。その点、長年のお付き合いで信頼関係が築かれているNTTドコモビジネスが紹介するNode-AIなら、安心できました。
NTTドコモビジネスのNode-AIの特長を教えてください。
- 中野/NTTドコモビジネス:
- Node-AIは、IoTセンサーなどの時系列データの分析やAIモデルの構築に特化したツールです。データの前処理や可視化、予測や異常検知といった高度な分析にも対応しています。従来、高度な分析はデータサイエンティストに依頼してプログラミングなどを行う必要がありましたが、Node-AIはノーコードで分析フローを構築できるため、プログラミングやAI構築スキルの習熟は不要です。
Node-AIの異常検知にはどういった特徴があるのでしょうか?
- 中野/NTTドコモビジネス:
- 異常検知手法にもいろいろな種類があります。よく使われるのはルールベースによる判定で、何かデータが入ってきたときに、データAが30以上とデータBが10以下といった閾値を設けて異常判定をする仕組みが実用化されています。判定基準が明確で使いやすい反面、いろいろルールが増えてくると管理が複雑になることや、もしくは複雑な異常を見逃すことが課題として挙げられます。
一方でNode-AIの判定は、正常時のデータを集めてAIに学習させます。その学習させたAIモデルを使って、正常との乖離度合いを計算することで異常判定ができる仕組みになっています。ただし、AIによる判定はブラックボックス化しやすいデメリットもあります。そこを解消するためにNode-AIには要因分析機能がありますので、解釈性を高めた上で使っていただけると思います。
新たな価値創出への挑戦
故障予兆検知サービスの今後の展望を教えてください。
- 堀井/サン電子:
- 現在、共同提案を一緒に行う企業を探しています。現在、いくつかのPoCを進めていて、主に私どものセンサーやゲートウェイなどで取得したデータをもとにしたパッケージ化に取り組んでいます。一方で自社以外のさまざまなセンサーを使うことで、故障予兆ができる対象の製品・設備・機器が広がり、既存のIoTデータをさらに活用できると思っています。私たちはメーカーですのでSIは行っておりません。対象機器に合わせたカスタマイズができる、または既存システムと組み合わせるSIを担ってくれる企業など、私どもの不得意なところをカバーして市場を広げていけるパートナーを探しています。
最後に、タッグを組まれる企業の皆さまに提供できる強みについてお聞かせください。
- 堀井/サン電子:
- 当社の強みはIOT、JC-STARの取得とともに、故障率が非常に低く、信頼性の高い安心・安全なIoT製品をラインナップしていることです。また、エッジコンピューターやIoTルータ(Rooster)と連携させ、複数の拠点や遠隔地に設定されたデバイスを、直接現地に行かずに遠隔から保守運用できるデバイス「SunDMS」により、データの収集・可視化できることも強みだと思っています。
- 中野/NTTドコモビジネス:
- NTTドコモビジネスでは、これからのIoTに求められるセキュリティ機能を標準搭載しつつ導入と運用のコストを削減する「docomo business SIGN™」を提供しています。これはIoT環境の構築に必要なネットワークやプラットフォームをテンプレート化することで、専門知識がなくてもスムーズに導入できるサービスです。このサービスとNode-AIを組み合わせ、センサーの追加やお客さまのシステムに組み込むインテグレーションに対応することで、今後はお客さまにさらなる価値を提供したいと考えています。
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