5G NTT docomo ビジネス×ドコモ5G

移動に不安を抱える方々が、自由に外出していきいきと活躍できる社会基盤を創りたい。
高齢化と人手不足で深刻な課題を抱える医療福祉分野のスタッフの負担を軽減したい。
そんな想いをかなえる遠隔支援システム“リモート手助け”の実現にドコモの5G+docomo MEC™を活用した事例を紹介します。

1. 【大学課題】自動運転車いす サービスの安心安全を高めたい

久留米工業大学は地域の技術基盤を担う大学として、建学から強みとしてきた自動車技術をベースに、人工知能技術などを融合したモビリティ分野の研究で高い評価を受けています。 同大のインテリジェント・モビリティ研究所では、2015年から自動運転車いす パートナー・モビリティの開発に産学官連携で取り組んできました。

パートナー・モビリティとは、移動に不安を抱える方々の、外出や社会参画をサポートするための先進モビリティです。AI対話で行き先を相談すると、利用者と施設の情報に基づいて最適な目的地とルートを提案し、自動運転でご案内します。このように、介助者に遠慮することなく移動できる自動運転車いすの普及は、高齢者や障がい者の活躍の機会を増やすだけでなく、人手不足の深刻な介護現場における医療介護スタッフの負担軽減や、労働人口減少という社会課題の解決にもつながるとして、福祉分野で期待されています。

実証試験と技術検証を進めるなかで、走行する通路の状況によって自動運転が困難になる場面があることがわかり、実用化の大きな課題となっていました。たとえば人ごみや遮蔽物によって現在位置の認識が不能となる場合や、デジタルマップが存在しない場所で車いすがその場から動けなくなってしまうケースなどです。また、乗車されている方の体調が突然悪くなった際の緊急サポートも課題となっていました。

ドコモの5Gと「docomo MEC™」を活用し久留米工業大学が実現した“リモート手助け”は、まさにこうした課題に取り組むために生まれたシステムといえます。

リモート手助け

2. 【技術的背景】5G+docomo MEC™を活用した柔軟で多様な遠隔支援

久留米工業大学とドコモの連携は、まず「ドコモAIエージェントAPI®」による音声対話で2019年に実現しました。
これは、車いすに装着されたスマホやタブレットなどのスマート端末を通して、行き先の相談などを音声でやりとりできるシステムで、あらかじめ登録した個人情報や 施設情報に基づき、AI対話でシステムが応答するサービスです。

久留米工業大学 インテリジェント・モビリティ研究所所長 東大輔教授は、「この時から次の段階として5Gによる遠隔支援を視野に入れてドコモさんと取り組んできた」と語ります。

2020年、音声対話のサポートに加え、新たに5Gと「docomo MEC™」ならびにエッジAI対応5Gデバイスを活用する遠隔支援サービスの取組みがスタート。この取組みの鍵となったのが「MECダイレクト™」です。車いすの接続端末とエッジAI対応5Gデバイスを直結してクラウド基盤への通信経路を最適化し、ダイレクトにつなぐことで伝送の遅延の低減と高セキュリティ通信を実現。これにより、課題であった自動運転が難しい場面では、車いすに取り付けた360度カメラの映像を高精細かつ低遅延でサポートセンターに伝送することで、 支援スタッフによるスムーズな遠隔操縦が可能になり、利用者の安心と安全性を大幅に高めることができました。

また、エッジAI対応5Gデバイスの物体検知機能は、歩行者や障害物との衝突回避性能を高めるため、自動運転車いす サービスの安全性をさらに向上してくれます。なお、このエッジAIは遠隔操作の映像伝送時に映り込む周囲の人の顔にぼかし処理をすることもでき、プライバシー保護への配慮も可能にしています。さらに、これらの通信は「MECダイレクト™」 を通じて「docomo MEC™」と行うため、より高いセキュリティを確保できます。

技術背景 作業の様子

3. 【大学評価】大学とドコモが質の高いコラボレーションで数々のハードルを越える

東教授は、安全性と信頼性の確保こそがモビリティサービスの要だと話します。「乗車している人は、急に車いすが止まったり、体調が悪くなったりした際に不安になります。しかし、いざという時にスタッフがテレビ通話で直接お声がけできることや、遠隔操作でいち早く安全な場所にご案内できることは、大きな安心感につながると思います。こうした遠隔サポートには高精細映像の低遅延通信が不可欠です」

また、「幅広いエリアで移動支援サービスを展開するには、ドコモの強い電波がその安心感を高めてくれる」とも語っています。

5Gと「docomo MEC™」、エッジAI対応5Gデバイスの採用で、自動運転車いす のサポート基盤は整ったといってもいいでしょう。それは、検討の初期段階から久留米工業大学の研究チームとドコモの法人営業部門および開発部門とが、課題解決のミッションと新たなチャレンジへの熱意を共有し、ともにハードルを乗り越えてきた成果といえます。

「ドコモの担当の方は、本当に親身なサポートをしてくださった。自動運転中に車いすが動かなくなる状況はさまざまで、遠隔操作に欠かせない高精細映像と低遅延伝送の技術によって乗り越えられたことは多く、さらにはプライバシー保護といった社会的取り組みを含め、多様な課題をともに解決することができたと感じています。いよいよ社会実装が見えてきていると実感しています。」(東教授)

東 大輔 教授
久留米工業大学
インテリジェント・モビリティ研究所 所長
東 大輔 教授

4. 【将来展望】日常生活において、誰もがいきいきと活躍できる社会へ

“リモート手助け”を備えた自動運転車いす パートナー・モビリティは、5Gエリアでのフィールド検証を重ね、屋内外での社会実装が目前となっています。

研究チームが第一に思い描いているのは高齢者の明るい未来です。パートナー・モビリティが高齢者の快適な移動手段となることはQOL(Quality of Life=生活の質)向上のためだけではなく、高齢者の人生経験を活かす活躍の機会を創出するということ。外出を促進することで知的好奇心を呼び起こし、健康寿命の延伸にも貢献します。

また今後は、高齢者や障がいのある方だけでなく、老若男女すべての人々を対象としたサービスにも発展すると見込んでいます。たとえば、自動運転と組み合わせた観光や販売の新たな価値の創出や、災害対応、さらには宅配業務や巡回業務など、5Gと「docomo MEC™」の持てるポテンシャルがモビリティに与える近未来は、福祉の枠組みを大きく飛び越えていくに違いありません。

自動運転車いす

5.導入ソリューション/導入検討資料ダウンロード

docomo MEC™
  • docomo MEC™
  • 移動や人口密集などで生じる無線帯域の変動でも独自の帯域推定技術によりスムーズな映像伝送を実現
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