
第5世代移動通信システム(5G)が社会を変えていきます。デジタル技術・基盤整備の飛躍的な進歩に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大が、新しい働き方やオンラインを活用した事業を後押しし、産業構造すら変えようとしています。5Gを活用したビジネス、その先に広がる世界とは。福岡市に本社を置く「正興電機製作所」の古賀事業所では、5Gの未来に向けた挑戦がはじまっています。

1.実証実験エリアを古賀事業所に開設
正興電機製作所は、1921年創業。電力の監視制御システムや、上下水処理の監視システム制御機器の開発など社会インフラの構築を支える企業で、国内外に21か所の事業所がありグループ全体の従業員数は約1000人です。2018年には東証1部に上場しました。
福岡県古賀市にある「古賀事業所」は、同社のモノづくりの拠点です。約2212平方メートルの敷地には工場棟が幾つもあり、同社の製品が製造されているほか「グリーンイノベーション」の開発拠点として、省エネなどさまざまな実証実験を行っています。
そこに昨年11月下旬「正興電機製作所」と、総合警備会社「にしけい」、「NTTドコモ九州支社」、地元自治体「古賀市」の4団体による5Gの実証実験エリア「SEIKO ELECTRIC INNOVATION FIELD」が開設されました。
専用のアンテナを設置し、古賀事業所を5G対応エリアにしました。5Gに関するさまざまな実証実験を行う方針です。その現場を訪ねました。

2.遠隔作業支援やリモート監査、空間コンピューターも
正興電機製作所が取り組むテーマは、遠隔地と結んだ作業支援や会議など「リモートファクトリー」に関する実証実験です。ドコモが提供するパートナーソリューションサービスを活用しています。機密性の高いドコモのクラウドサービス「docomo MEC™」※1 に、高精細で低遅延の5Gを組み合わせ、新しいビジネスモデルの創出をめざしています。

その一つが、「REFLECT Remote」※2ソリューションを使った遠隔操作支援です。スマートフォンなどの端末を使い、ビデオ通話機能やAR(拡張現実)技術を組み合わせ、画像を共有することで、遠隔地からの作業支援を可能にします。
訪れた日は、屋外の変電設備前に現場作業者が立ち、会議室にいる支援者からサポートを受ける研究が行われました。
現場作業者がスマホで機器を撮影し、支援者は会議室のスマートボード(電子黒板)でチェック。「ここを見せてください」とスマートボードに丸を書き込むと、現場作業者のスマホに反映されます。5Gネットワークを活用することで画像も高精細で遅延もなく、作業は滞りなく進行しました。



二つ目は、工場向けのリモート監査ソリューション「UMリモート監査™」※3の研究です。新型コロナウイルスの感染拡大により、人の移動や工場入場などが規制されるなかこのシステムを使えば発注者は遠隔地から製品の監査ができます。スマホと専用URLがあれば映像を共有できるといい、簡便さも魅力です。

三つ目は、空間コンピューター「Magic Leap 1」です。ゴーグル型のヘッドセット(頭部装着)ディスプレイを装着すると、目の前の風景にデジタルデータを重ねることができ「遠隔地にいても会議に参加可能です。3DCADデータを使った設計シミュレーションやチーム会議などいろいろな用途に活用できます」と担当者。近未来の会議の姿を身近に感じることができました。


3. 創業100周年、社会的使命さまざまな可能性を模索
正興電機製作所では、実証実験の成果をもとに独自のソリューションを構築し新規ビジネスにつなげていく考えです。そもそもなぜ5Gに取り組むことになったのでしょうか。正興電機製作所の取締役常務執行役員、本多慶昭・古賀事業所長は「当社は今年創業100周年。社会インフラの整備に取り組む企業であり、事業継続が社会的使命だと思っています。未来を見据え新しい技術に取り組んでいくことは重要で、実証実験を通じてさまざまな可能性を模索したいと思っています」とお話ししてくださいました。

同社オープンイノベーション室の牛島章貴氏は「製造業にとっての5G、その可能性の開拓」というミッションに取り組んできました。「今までできないと思っていたことが5Gを使えば可能になる。つまり発想を転換していくことが重要だと感じています」。実験や検証を重ね「操作性を高め、使い勝手のいいシステムを開発していきたいと思います」とおっしゃっています。

4.5Gでビジネスに変革ドコモが手厚くサポート
5Gを活用することで、ビジネスへの新たな付加価値を高めることができます。ドコモは「お客さまがどのような課題を解決したいのか、お客さまごとのニーズをもとに最適な5Gエリアを構築し、多彩な5Gソリューションとネットワークカスタマイゼーションを通じて総力をあげてサポートします」と話し、「担当者による手厚いサポートが当社の特長です。ぜひご相談ください」と呼びかけています。

5Gとは未来への希望だ。飛躍的に変わっていくであろうこれからの未来に注目だ。

5.導入ソリューション/導入検討資料ダウンロード

- docomo MEC™
- 移動や人口密集などで生じる無線帯域の変動でも独自の帯域推定技術によりスムーズな映像伝送を実現
- 詳しく見る▶

- REFLEKT Remote
- XR 遠隔作業支援
- スマートフォンで共有された画面に対し、音声・マーキング・画像での遠隔支援ができます。またAR追跡機能により、画面を動かしても指示箇所を見失わず作業が可能。
- 詳しく見る▶

- UMリモート監査
- 映像伝送 遠隔作業支援
- リモートで工場監査を実施するソリューションです。リモートコミュニケーション機能に加え、報告書の自動作成や監査証拠を簡単に保存する機能などを提供。
- 詳しく見る▶
- ※1「docomo MEC™」は、ドコモのネットワーク内に構築されたクラウドサービスです。
5G時代に求められる低遅延、高セキュリティー通信を実現しました。 - ※2「REFLEKT Remote」は、スマートスケープ株式会社のクラウドサービスです。
- ※3「UMリモート監査™」は、株式会社シナプスイノベーションの登録商標です。
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