PHSはすでに限界?
医療・介護・学校・企業のための代替手段とDX推進

PHSはすでに限界?医療・介護・学校・企業のための代替手段とDX推進
PHSはすでに限界?医療・介護・学校・企業のための代替手段とDX推進
公衆サービスが終了した現在も、PHSは医療施設をはじめ現場で使われ続けています。しかし維持管理や機能性は限界に達し、今後の法的リスクなど外的要因を抱えており、使用し続けるメリットはほとんどありません。PHS代替は連絡手段を単純に置き換えるだけでなく、現場業務をDX化するきっかけにもなります。コストや通話の品質など、現場に応じた代替手段を検討しましょう。
NTTドコモビジネスでは、「オフィスリンク」を通じて高品質かつ効率的な内線サービスをキーとしたPHSの代替とDX推進を支援しています。
公衆PHSサービスは2023年3月に完全終了し、現在医療機関などで使われているPHSは自前で基地局を設置する構内PHSのみとなっています。機器や端末の生産縮小と著しい価格の高騰が進んでいるだけでなく、今後の規格改定などによっては法律に抵触するリスクもあり、代替手段への移行が推奨されています。
本記事では、PHSの現状と具体的な代替手段、また移行をきっかけにDX化に成功した事例の紹介を通じて、現場のオペレーションを改善するヒントをお伝えします。

PHSサービス終了とその影響

PHSサービス終了とその影響

公衆PHSサービスの終了以降も構内PHSは使用できますが、あくまで延命的な措置で、発展性は見込めません。使用を続けるとさまざまなリスクや損失が発生する可能性も考えられます。

PHSがもたらす「業務リスク」と「潜在的な損失」

PHSの継続利用には維持管理や機能上の限界だけでなく、組織運営上の損失を発生させてしまう可能性も十分に考えられます。

維持管理の限界

PHSに関連する部品の生産は縮小し、部材の維持管理が難しくなってきています。特にアンテナや端末の価格は高騰しており、現在のPHS端末価格はスマートフォンと同程度、中には上回るケースも散見されるようになりました。

機能性の限界

ひとつのアンテナが収容できるPHSの通話の数は数台までと非常に限られており、繁忙時間や災害時に連絡手段として機能しにくくなる危険性があります。また、一方的な通話なので「相手の状況次第でつながらない」「グループ通話ができない」「データの連携ができない」など、現代の情報伝達手段として効率的とはいえません。可視化された記録が残らず、確認の二度手間が使用者の負担になってしまうことにも気を付ける必要があります。

人材不足や働き方改革への逆行

非効率な情報伝達手段はいたずらに利用者を拘束し、大きな負荷となってしまいます。あらゆる業界で時間外労働規制が厳しくなっていく中、コミュニケーションを効率化することは経営の観点でも無視できません。

法的なリスク

自営のPHSであっても、旧スプリアス規格の機器は今後の規格などのさらなる改定によって使用できなくなるなど制限される可能性が十分に考えられます。もともと旧スプリアス規格の使用期限は2022年まででしたが、コロナ禍の影響などで“当分の間”移行期限が伸びている状態です(2026年1月現在)。しかし、いつ期限を迎えるかは不明であり、期限切れのあとも使い続けると電波法をもとに罰則が科せられるリスクがあります。

業界別 PHS代替で考えるべき課題

PHSの継続利用による問題や代替手段の検討には、業界ならではのポイントがあります。

医療機関・介護施設

患者の情報を安全に管理・運用するため、厚生労働省により「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」が定められています。ナースコールの連携の維持といった物理的な体制のみでなく、セキュリティ面でも高度な水準を満たせるかが重要です。また、看護業務においてはおよそ2~3割を電子カルテ入力の稼働が占めるともいわれています。PHS代替を機にスマートフォンによる高度なモバイル連携を導入し、業務効率化を検討するチャンスとなるでしょう。

一般企業・工場・学校

広大な敷地の中で確実に連絡を取れることに加え、近年では外出先や別拠点との内線化ニーズが高まっています。また、従来のPHSでは自前でアンテナを設置・管理するインフラ構築が必要であり、その保守は大きな負担となってきました。PHS代替を機に柔軟な運用や、保守管理の負荷軽減を実現しましょう。

PHSに代わる4つの「連絡手段」。主要な選択肢の比較

PHSに代わる4つの「連絡手段」。主要な選択肢の比較

PHSの置き換えは単に連絡がつながればよいというものではなく、それぞれの代替手段によって特徴があるため比較が必須です。本章では現在主流となっている4つの選択肢を解説します。

FMC

携帯電話キャリアの通信網を使い、スマートフォンを固定電話としても利用できるようにするサービスです。キャリアの電波が届く場所であれば、全国で内線通話ができます。自前でのアンテナ設置や複雑な配線工事が不要であり、比較的少ない設備費用で導入可能。既存の主装置を活用すればPHSと併用しながら移行でき、現場の混乱を抑えられます。音声通話でもキャリアのデータ通信用回線を使う(VoLTE)ので、遅延や音切れの少ないクリアな音質が特徴です。キャリアの統一が必要なことや、通信基地局の稼働に依拠する点に注意が必要です。

sXGP

プライベートLTE(自営4G)と呼ばれる、PHSと同じ周波数帯を利用する規格です。自営ネットワークなので通信規制の影響を受けにくく、通話料が発生しないためランニングコストの点でメリットがあります。一方で専用の基地局やコアネットワークを構築しなければならず、イニシャルコストは非常に高額となります。構外との内線通話には追加の設定が必要になるほか、インターネットを経由するVoIP(IP電話)の場合はFMCと比較して音声品質が非常に不安定になりやすい点がデメリットとして考えられます。

クラウドPBX

物理的な電話交換機(PBX)を設置せず、クラウドで通話を制御する方式です。PBXの保守が不要で、設定変更がWebで完結するなど運用管理の容易さが特徴です。短期間・低コストで導入でき、利用人数や機能の拡張性にも優れます。一方で、通話の品質がネットワーク回線によって大きく左右されます。災害による物理的なダメージには強いものの、回線が混雑すると通話の品質が劣化しやすく、医療施設など常に音声品質が重要な現場では必ずしもBCP対策として最適にならない場合があります。

IPコードレス

既存の構内LANやWi-Fiネットワークを活用する方式で、既設のインフラをそのまま使える点が魅力です。しかし、構外で使用することができないという制限があるほか、外部電波の干渉も受けやすく、4手法のなかでは最も通話品質が不安定になりやすいデメリットを抱えています。

医療・介護現場に最適化されたNTTドコモビジネスのDX戦略

PHS代替では通信や通話の安定性・品質が高い水準で確保されるかということと、コスト、メンテナンス性のバランスが大切です。NTTドコモビジネスでは、全ての要素を高水準で満たせるFMC方式によるソリューションを提供し、全国の数多くの病院さまから支持を受けています。

FMC方式「オフィスリンク」による高い信頼性

医療・介護の現場において通話の途切れや音質の悪さは人命にも関わります。インターネットを利用するVoIP(IP電話)はベストエフォート方式と呼ばれ、通信品質が回線の混雑状況に左右されるので常にカタログスペックを維持できるわけではありません。FMC方式を使うオフィスリンクはドコモのモバイルネットワーク内で音声通話専用の帯域を優先して確保するため、安定してクリアな音質を実現。電波が届く場所であれば全国で内線として利用でき、構内外の移動中もシームレスにつながります。構内の通信環境がよくない場合でも、施設専用の屋内アンテナを事業者負担で敷設します。信頼性が評価され、すでに全国393の医療機関へ導入されています(2025年12月時点)。

医療DXをワンストップで実現する「メディカルパック」

PHS代替は連絡手段を置き換えるだけでなく、DXを進めるきっかけにもなります。NTTドコモビジネスでは、医療・介護の現場が抱える課題を包括的(ワンストップ)に解決するための「メディカルパック」を提供しています。

業務に必要な機能をスマートデバイスに一本化

端末をPHSからスマートフォンに切り替えることで、音声通話に加えてチャットなどを活用した多人数でのリアルタイムな情報共有ができるようになります。コミュニケーションツールだけでなく、ナースコール連携やモバイル電子カルテ、記録作成や勤怠管理など現場で必要なアプリケーションを1台に集約。連絡に留まらず、非効率な業務の課題をまとめて解決します。アプリケーションはそれぞれの施設で必要性に応じて取捨選択できます。

NTTドコモビジネスによる一括サポート体制

複数のシステムやアプリケーションを導入しようとする場合、通常はアプリベンダー、端末メーカー、通信事業者など、多数の事業者と個別の契約・調整が必要になります。「メディカルパック」ではNTTドコモビジネスが窓口となり、調達・契約・保守まで一括で対応。医療専属チームも在籍しており、調整時間やコストの圧縮だけでなく、既存システムにあわせたスムーズな連携を実現します。

詳しく見る

PHS代替でオペレーションが改善した病院・介護施設の事例

「オフィスリンク」によるPHS代替を機に現場のオペレーションを根本から見直し、業務の質を向上させた事例を紹介します。

HITO病院さま―働き方改革と離職率の改善―

HITO病院さま(愛媛県)では全職員へ1人1台のiPhoneを貸与し、PHSから全面的に移行しました。1対1の音声通話からチャットでの情報共有がメインになり、コミュニケーションが階層型の対面からフラットなオンラインへとシフトしました。これにより、多職種協働セルケアシステム®と呼ばれるベッドサイドでの業務を主体とする病棟体制が実現、ある1年間で、看護部門全体で時間外労働を6,000時間削減しました。また、新人看護師全員に教育用iPadminiを貸与し、1年以内の離職ゼロを4年連続で達成しました。
1日3回の申し送り廃止や効果的な情報伝達の実現により、看護師が患者のそばにいる時間も1日あたり約100分創出。PHS代替を機に働く側にとっても患者にとっても環境を大きく改善しています。また、HITO病院さまではスマートフォン化にとどまらずにICT機器を積極的に導入し、施設と病院間や訪問看護でのスマートグラス活用で効率化による業務改善を推進し続けています。

参照:ニュース 2025年3月10日:HITO病院とNTT Com、テレビを活用した訪問看護のオンコール業務効率化の実証を開始|NTTドコモビジネス 企業情報

<実証イメージ>

<実証イメージ>

<スマートフォンで電子カルテの音声入力効率化や、記録の質向上を実現>

<スマートフォンで電子カルテの音声入力効率化や、記録の質向上を実現>

相澤病院さま―リアルタイムな情報共有でオペレーション効率化―

相澤病院さま(長野県)では、PHSを運用していたときには情報のリアルタイム性に課題を抱えており、チーム医療の障壁となっていました。端末をPHSからiPhoneへ切り替え、「オフィスリンク」を導入。高品質な内線通話、モバイル電子カルテ、クラウド電話帳を各端末で一元管理できるようになりました。手術室ではインカムアプリ「Buddycom」を採用。タイムリーな連携がハンズフリーで実現し、患者の移動や体位変換のサポートがスムーズとなるなど、オペレーションが劇的に効率化されました。窓口においても、AIとiPadを活用したデジタル問診によって初診の問診時間を大幅に削減し、月間約120時間の業務効率化を達成しました。相澤病院さまは院内に基地局を設置し、専用アンテナを通じて端末に電波を届けるシステム(IMCS)により安定した通信品質を実現しています。日本病院会の会長病院でもある相澤病院さまの事例は、他病院さまからも多く参考にされています。

<インカムを活用したオペレーション改革>

<インカムを活用したオペレーション改革> 現場の声から検討が始動した、インカムプロジェクト。現場の声をカタチにすべく相澤病院DX推進室とドコモビジネスが協働して、運用からソリューションまで整備し実行

<デジタル問診にAI+iPadを活用>

<デジタル問診にAI+iPadを活用>

まとめ

  • PHSの継続利用にはリスクが伴う

    現在も構内PHSは使えるものの、延命的なフェーズといえます。維持管理のためのコストが跳ね上がっているだけでなく、機能性は現代の現場オペレーションに求められる基準を満たしていません。働き方改革や法的な観点からも、PHSを継続して利用することにはリスクが伴います。

  • PHSの代替手段はコストだけでなく音声の品質にも注目

    PHSの代替手段として、現在は4つの方法が主流となっています。それぞれにメリット・デメリットはありますが、検討する際は初期費用やランニングコストといった費用面の比較以外にも、現場オペレーションの観点から音声の品質や安定性も考慮に入れておく必要があります。

  • PHS代替はDXを加速させるチャンス

    PHSからスマートデバイスに切り替えると連絡手段が充実することはもちろん、さまざまなメリットを享受することができるようになります。医療現場では電子カルテなどアプリケーションや情報を端末上で一元管理できるようにして業務時間を大きく短縮した事例も生まれています。時間外労働の削減は離職率の向上や本質的な業務に割く時間を増やすことにもつながります。

NTTドコモビジネスは、NTTグループならではの通信サービスをワンストップで提供することで、お客さまのPHS代替とDXを推進するパートナーとなっていきます。

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