都築電気株式会社×Arcstar IP Voice(Universal One) クラウドプラン
双方向番号ポータビリティ開始を機に“脱オンプレミス”を決断
NTTドコモビジネスとの協業でクラウド電話システムを全国展開
都築電気株式会社は、2025年を「クラウドPBX元年」と位置付け、自社のクラウドPBXサービス「TCloud for Voice」と、グループ会社のクラウドCTIサービス「CT-e1/SaaS」の導入による、顧客企業の音声基盤のクラウド化を推進しています。同社はNTTドコモビジネスの「Arcstar IP Voice(Universal One) クラウドプラン」(以下、IP Voice クラウドプラン)を活用することで、従来は地域限定だったクラウドPBXサービスを全国展開可能な仕組みへと進化させています。2025年1月の双方向番号ポータビリティ制度※の開始を追い風に、オンプレミスPBXをクラウドシフトする取り組みについて、プロジェクトに関わった4名に伺いました。
- 利用者が現在の電話番号を維持したまま、クラウド電話サービスなどの異なる通信事業者のサービスに乗り換えできる制度
- 都築電気株式会社
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1932年(昭和7年)創業。ネットワークシステムと情報システムの設計・開発・施工・保守までを一気通貫で提供する、総合ICTソリューションプロバイダー。
第一コミュニケーション営業統括部
第一営業部
担当副部長
川岸 威允 氏
ボイスクラウドビジネス統括部
クラウドコミュニケーションビジネス推進部
副部長 兼 ビジネスデザインチームマネージャー
岡上 健太郎 氏
- NTTドコモビジネス株式会社
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ソリューション&マーケティング本部
パートナービジネス部
パートナーセールス部門・第二グループ
担当課長
赤羽 裕一
ソリューション&マーケティング本部
パートナービジネス部
パートナーセールス部門・第二グループ
加藤 みる
- 役職、所属は取材当時のものです
目次
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- プロジェクト着手の経緯:
- 電話システムのクラウド化需要と地域展開の課題
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- NTTドコモビジネスとの共創の経緯:
- IP Voice クラウドプランによる全国展開の実現
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- 今後の展望:
- 協業がもたらす新たな価値創出の実現
電話システムのクラウド化需要と地域展開の課題
都築電気が、電話システムのクラウド化に取り組まれた背景を教えてください。
- 岡上/都築電気:
- 従来、我々はマルチベンダーの製品やサービスを扱い、お客さまに最適なオンプレミスPBXの電話システムをご提案してきました。しかし、コロナ禍を機に働き方が大きく変わり、リモートワークやハイブリッドワークが急速に普及する中で、従来の固定電話を前提とした電話システムでは対応が困難になっていました。コロナ禍が収束して出社が増えた現在でも「事務所にいなければ電話を取り次げない」という状況に、違和感を覚えるお客さまは少なくありません。
- 川岸/都築電気:
- 営業担当としても、別の側面から大きな変化を感じています。そもそも若い世代は固定電話になじみがなく、電話の取り次ぎをしたことがない方も増えています。スマートフォンが主流の時代になり、従来のオンプレミスPBXを基盤とした固定電話が時代にマッチしていないのです。「いまの固定電話の番号はそのままで、クラウド化したい」という、お客さまからの要望も確実に増えつつあります。
クラウドPBXにおける課題は、どのようなものでしたか。
- 岡上/都築電気:
- 当初、TCloud for Voiceはクラウドベースの電話を提供する事業者と組んで固定電話の電話番号を持ち運べるサービスを展開していたのですが、提供エリアが限定的でした。このため、対象エリア外では現地に回線を残すために物理的な収容機器を設置する必要があり、クラウド化のメリットを最大限発揮することが難しいケースもありました。全国に約2万社のお客さまを持つ我々としては、地域を問わずに電話番号を持ち運べるサービスを提供できる手立てが必要でした。風向きが変わったのは、2025年1月に双方向番号ポータビリティ制度がスタートするということでした。そこに合わせて、IP Voice クラウドプランの活用、NTTドコモビジネスとの協業を決断しました。
IP Voice クラウドプランによる全国展開の実現
NTTドコモビジネスのIP Voice クラウドプランの選定理由を教えてください。
- 岡上/都築電気:
- IP Voice クラウドプランは、弊社で多くの導入実績を持つIP電話サービスArcstar IP Voiceをクラウドベースで利用できるプランです。我々のTCloud for Voiceとの連携により、全国津々浦々に既存の電話番号を持ち運べるサービスが展開できることが最大の決め手でした。
- 加藤/NTTドコモビジネス:
- 従来のArcstar IP Voiceでは各拠点のPBXをクラウド化しても固定電話回線は別途拠点ごとに管理する必要がありましたが、IP Voice クラウドプランでは複数拠点の電話回線をクラウドに集約可能です。このため拠点や店舗ごとにPBXや電話回線などの外線通話用設備を設置することなく、各拠点や店舗で0ABJ番号※を利用できるようになります。たとえば10拠点を展開する企業なら、1つのデータセンターや主要拠点に外線通話用設備を置けば、すべての拠点で電話が利用可能です。設備や稼働にかかるコストが抑えられ、スピーディに導入できることが特長となっています。
- 市外局番から始まる一般的な固定電話番号(03-xxxx-xxxxや06-xxxx-xxxxなど)のこと
- 川岸/都築電気:
- NTTドコモビジネスを協業パートナーとして選定した理由を一言で説明するなら、長年のお付き合いで培った信頼関係でしょうか。NTTコミュニケーションズ時代から一緒にプロジェクトを組んできた実績があり、お互いのことをよく知る関係です。何より日頃からフットワークが軽く、迅速に対応していただけることに頼もしさを感じていました。
- 赤羽/NTTドコモビジネス:
- 都築電気さまは、2023年の中期経営計画で音声のクラウド化を成長戦略の1つとして掲げられました。このタイミングで我々も協業の具体的な検討を開始し、早い段階から本格的にアプローチできたことも功を奏しました。
実装プロセスはどのように進んだのでしょうか。
- 川岸/都築電気:
- 実際の導入は“ユーザーありき”で進めました。既存のお客さまから「いまの電話番号を残したままクラウド化したい」という要望があり、それに応えるかたちで、TCloud for Voice ×IP Voice クラウドプランをご提案しました。ファーストユーザーのため、細かい調整が必要でしたが、NTTドコモビジネスとの密な連携により導入自体はスムーズに進んだと感じています。
協業がもたらす新たな価値創出の実現
協業後のお客さまの反応はいかがですか。
- 川岸/都築電気:
- 反響は非常に大きいと感じています。特に双方向番号ポータビリティ制度開始以降は、既存のお客さまからの引き合いが多く、ポジティブな反応が増えています。また、新規のお客さまからも都築電気とNTTドコモビジネスという両社のネームバリューで信頼感が醸成できており、展示会などでも多くの方々に立ち寄っていただいている状況です。
- 岡上/都築電気:
- とはいえ、業種によって反応が異なるのも事実です。パブリッククラウドに理解のあるお客さまは各拠点のPBXが不要になるメリットをすぐに理解していただける一方、製造業のお客さまでは構内PHS(工場内専用の無線電話システム)との連携など、クラウドPBXとの相性が良くないケースもあります。そこで、対策を独自に準備し、工場をクラウド化するアプローチも行っています。
協業の相乗効果について教えてください。
- 川岸/都築電気:
- 都築電気単独では提供できない領域についても、NTTドコモビジネスに補完していただけるという関係が心強いです。たとえば営業現場で「こういう機能が欲しい」という声が上がった際には、TCloud for Voiceですぐに対応できない領域をNTTドコモビジネスのサービスで補完できたりします。先日、フリーダイヤルやArcstar IP Voiceと連携し、AIが自然な発話でご案内先を振り分けしたり、通話の録音・テキスト化、さらには顧客体験や通話内容の可視化・分析を行えるSaaS型のサービス「docomo business ANCAR™」のご提案をいただいたのですが、我々がやりたいことを察知して先回りしてフォローしていただき、非常に助けられています。
- 加藤/NTTドコモビジネス:
- 協業を開始する際には、都築電気の営業担当者さま向けにIP Voiceクラウドプランの勉強会や都築電気さまと共催セミナーを開きました。さらにTCloud for Voiceの提案資料にもIP Voice クラウドプランの紹介資料を差し込んでもらうなど、スムーズな共同営業のための取り組みを続けています。
- 赤羽/NTTドコモビジネス:
- このような地道な取り組みを続けたことで、両者の販路を生かした共同営業ができていると思っています。現在はNTTドコモビジネス側で都築電気さまのTCloud for VoiceとCT-e1/SaaSを提案する案件もあります。音声品質に課題を感じるお客さまに、インターネット環境ではなく、NTTドコモの携帯電話を用いてクリアな音声コミュニケーションを実現する「オフィスリンク」を提案するケースもあり、両社の製品やサービスを組み合わせて最適なソリューションを提供できる関係が築けています。
今後の展望についてお聞かせください。
- 岡上/都築電気:
- 現在、都築電気はIP Voice クラウドプランの取り次ぎという立ち位置ですが、今後は直販できる体制を整えたいと考えています。弊社サービスと電話回線やスマホなどを一気通貫で提供できるようになれば、我々のプレゼンスはさらに強くなるでしょう。また、より協業体制を深め、AIを活用したコンタクトセンターソリューションといった音声分野でのAI活用も進めていきたいですね。
- 赤羽/NTTドコモビジネス:
- NTTドコモビジネスには数多くのAI関連サービスがあるため、音声分野のAI活用でもお力になれると思っています。さらに電話まわりの音声分野に限らず、新たなセキュリティ一体型のネットワークサービス「docomo business RINK」を活用したデータネットワーク分野など、他分野での協業も視野に入れた取り組みを進めていく計画です。加えて、現在の協業体制は首都圏が中心ですが、両社とも全国に拠点を持っているので、全国規模での協業体制づくりも進めたいと考えています。
- 加藤/NTTドコモビジネス:
- 他分野での協業や、協業の全国展開に向け、これまでの取り組みを深掘りして、我々の思いをダイレクトに届ける機会を設けたいですね。これからも都築電気さまの営業担当の方々のモチベーションやエンゲージメントに届く施策を打っていきたいと思っています。
- 岡上/都築電気:
- NTTドコモビジネスには、これまで同様スピード感のある対応に期待しています。全国の営業担当への支援強化はもちろん、他分野での協業拡大も望むところですし、これから共に成長していけるWin-Winのパートナーシップを深めていきたいと考えています。
- 赤羽/NTTドコモビジネス:
- ドコモビジネスパートナープログラムには、営業担当だけではなくプロダクト担当も関わっています。そのため、先ほど川岸さんがおっしゃった「docomo business ANCAR™」のように、協業の中で見えてきた課題に対して迅速かつダイレクトな対応が可能です。都築電気さまのような自社ソリューションとNTTドコモビジネスのプロダクトを組み合わせ、さらなる事業成長を図りたい企業の皆さまは、ぜひともドコモビジネスパートナープログラムにご参加ください。
加入のご案内
本プログラムは無料でご参加いただけます。
ドコモビジネスパートナープログラムで新たなビジネス創出・拡大をお考えの企業さまは以下よりお問い合わせください。
加入条件
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- ドコモビジネスパートナープログラム規約に同意いただくこと
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- 上記を踏まえ、加入をお断りさせていただく場合がございます