5G NTT docomo ビジネス×ドコモ5G

新生児医療の現場では医師不足が深刻です。京都大学医学部附属病院総合周産期母子医療センターでは、セキュアでリアルタイム性の高いドコモの遠隔作業支援ソリューション「AceReal for docomo」を活用し、治療が必要な新生児の病院間搬送時や地域病院のNICUへの医療相談の支援強化に向けた試験運用を始めています。

1. 【病院課題】地域全体の新生児医療レベル向上に向けた遠隔医療支援の必要性

京都大学医学部附属病院では総合周産期母子医療センターを設置しています。24時間365日、重症新生児搬送受入体制を整備し、小児科と産科の連携でハイリスク妊娠や重篤な新生児への高度な医療を担っています。

同センター新生児部門では、これまでも地域の中核病院や産婦人科クリニックとの連携を進めてきましたが、電話連絡による少ない情報共有のみのため、時間経過とともに変化する状況の中で「現場での医療ニーズ」に対する「適切な医療支援」のマッチングが困難でした。このような連携方法では、例えば新生児の重篤度によって同センターへ搬送するべきか、地域病院で医療を継続するかの判断が難しく、ドクターカーなどの医療資源投入の適切な判断も困難な状況でした。また新生児搬送の場合は、常に詳細な容態確認を行い、シームレスに治療へ移行できるような準備が必要ですが、実際に搬送されてくるまで新生児の容態を詳しく確認できない点は、患者安全の観点から大きな課題となっていました。

そこで、双方向通信により現場での新生児の容態や処置内容をリアルタイムに確認できれば、新生児搬送の是非判断だけでなく、D to D(Doctor to Doctor)での遠隔医療支援ができ、地域病院の医療レベルも向上が図れると考えられました。同センターでは、2018年からTV会議システムによるD to D遠隔医療支援を導入しています。しかしながら、パソコン運用を前提としたシステムでは、医療支援を受ける地域病院側で、患者治療および処置をおこないながら操作を行うには限界があり、ウェアラブルデバイスを用いたソリューションが必要と考えていました。また、遠隔医療支援における患者さんの個人情報保護のために、十分なセキュリティシステムが必要でした。

現場のイメージ

2. 【技術的背景】セキュア&大容量&低遅延な通信で病院間の情報連携

新生児医療における地域病院へのリアルタイム遠隔医療支援に対し、よりシンプルなウェアラブルグラスでセキュアな通信を可能にするのが、ドコモの遠隔作業支援ソリューション「AceReal for docomo」の「AceReal Assist」です。

「AceReal Assist」はウェアラブルグラスを様々な種類から選択できるため、同センターでは、軽量で視野も広く保てる Glass Enterprise Edition 2 を採用しました。
地域病院内にGlass を配置し、このGlass のカメラでとらえた地域病院内の新生児の状態を、ドコモのネットワークを通じて同センターへ高画質映像と音声でリアルタイム伝送します。同センターから新生児専門医が、地域病院へ、医療支援の資料等の視覚的情報と音声を用いてサポートします。

電話連絡のみでは新生児の状態の確認が難しいため、軽症重症問わず同センターへ搬送するという選択を行っていたケースでも、「AceReal Assist」を活用した遠隔医療支援のもとで地域病院での医療継続ということも可能になり、ドクターカーや高次医療機関のベッド運用など限られた医療資源が有効活用できます。
「AceReal for docomo」 の「AceReal Assist」はデバイスを様々なウェアラブルグラスから選択できるだけでなく、通信においてもセキュアなところも重要なポイントです。「AceReal Assist」は「docomo MEC」を利用しており、ドコモ回線の利用でインターネットを一切介さない高セキュアな通信が可能です。秘匿性が重要な患者様の情報を扱う上で大きな安心材料です。

技術背景 作業の様子

3. 【病院評価】患者のセキュリティを守りつつ、医師のナレッジ強化が実現

「AceReal for docomo」の「AceReal Assist」の試験運用を推進している岩永助教は、様々なウェアラブルグラスの中から軽量なGlass Enterprise Edition 2 を選べること、そして「docomo MEC」を利用したセキュリティの高さを高く評価しています。

「グラス装着者側にとってハンズフリーで映像を送れること、医療支援の資料等を用いて視覚的な支援を受けられることのメリットはもちろんですが、何よりグラス装着者自身の視界は良好に担保されることが重要です。その点 Glass Enterprise Edition 2 は視界を阻害するものが少なくて良いです。さらにアプリ立ち上げから、最速で30秒程度で通信可能となるユーザビリティの高さが本ソリューション採用の決め手となりました。」(岩永助教)
なお、遠隔診療の大前提としてセキュリティの担保が求められます。 Glass Enterprise Edition 2 使用の場合でも、個人情報保護等の観点から医療情報安全管理を遵守する必要があります。この点においてはセキュリティが脆弱な通信プラットフォームを用いたweb会議システム利用は、遠隔診療への転用が不可能でしたが、その課題を解決してくれたのが「docomo MECを利用した「 AceReal Assist」です」(岩永助教)

「 AceReal Assist」を利用した通信では新生児の容態だけでなく、地域病院での各種モニター映像等も共有可能です。
「グラスからの映像もクリアに見えるので地域病院への的確な医療支援が行え、医師のナレッジ強化が図れます」(岩永助教)

4. 【将来展望】連携病院を増やし、本格運用を目指す

京都大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター新生児部門での「AceReal for docomo」の「AceReal Assist」は同センター岩永助教の「地域連携と人材育成を促進する新生児遠隔診療支援システムの有用性検証」という研究の一環で試験運用を始めたばかりです。

「周産期医療に携わる医師の数は少なく、教育環境が十分ではない状態。そのためにもウェアラブルデバイス等を用いた病院間でのリアルタイムな情報連携による遠隔医療支援が、今後ますます重要となると考えています。連携する病院が増えれば同センターと地域病院との間での遠隔医療支援だけでなく、地域病院同士での遠隔医療支援も相互で行い、医師のスキル向上につながるだけでなく、専門医師偏在化解消に寄与すると思います。連携病院を増やし、京都府全体での周産期医療のレベルアップを図りたいです」(岩永助教)
「AceReal Assist」を活用した京都大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター新生児部門の取組みは今後本格運用を目指し、京都全体の周産期医療のレベルアップにつなげます。

現場作業風景・ARスマートグラス

5.導入ソリューション/導入検討資料ダウンロード

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