5G NTT docomo ビジネス×ドコモ5G 「5G×ARスマートグラス」で劇的に保守作業が効率化 AceReal® for docomo 遠隔作業支援ソリューション「AceReal Apps」活用レポート

1.【企業課題】保守作業の効率化と安定的な技術継承

富山県高岡市に本社を構えるキタムラ機械株式会社(以下、キタムラ機械)は1971年、世界でも類がない工作機械、マシニングセンタを開発しました。マシニングセンタは、金属に対して「削り」「中ぐり」「穴あけ」「ねじ立て」などの加工を、いくつもの工具を自動で交換しながら1台でこなす工作機械で、1,000分の1mm単位で金属加工を行います。キタムラ機械はその後、日本でも稀なマシニングセンタ専業メーカーとなり、世界52か国の自動車、航空機、医療機器などの生産現場に製品を送り出しています。

キタムラ機械本社(富山県高岡市)

マシニングセンタの保守作業(メンテナンスや修理)には、膨大な知識と経験が不可欠です。しかし東京や大阪などの営業所にいるエンジニアの6割以上は経験が10年に満たず、古い機械に対する知識と経験が十分でないため、保守作業に時間を要するという課題を抱えていました。

「マニュアルだけで正しい判断ができない時は、本社の熟練者に電話で指示を受けたり写真を撮ってメールで確認したりしますが、その分時間がかかりユーザーさまの機械の復旧が遅れます。支援する側も、電話やメールでは詳細かつ必要な情報が確認できないため、適切な指示を出せないケースがありました。」(生産管理部品質保証係 係長 森田虎男氏)

熟練者が若いエンジニアに同行して保守作業にあたるのが理想ですが、人手不足もあり現実的ではありません。

定期的に研修も行っていますが、保守依頼の中心である10年以上前のマシニングセンタは本社にも在庫がなく座学のみなので、教育にも限界があります。加えて新型コロナウイルスの影響でその研修も実施できない状況が続いており、安定的な技術継承への不安は募る一方でした。

マシニングセンタ(左)は、いくつもの工具(中央)を自動で使いわけて複雑な形の部品(右)を作る

2.【技術的背景】遠隔地からリアルタイムで詳細情報を共有

AceReal for docomo 遠隔作業支援ソリューション「AceReal Apps」(以下、AceReal Apps)は、ARスマートグラスと業務支援アプリケーション、サポート、5Gがセットになったサービスで、遠隔地から作業現場をリアルタイムでサポートできるソリューションです。

現場作業者が装着するARスマートグラスにはカメラが搭載されていて、映像や音声を遠隔支援者にリアルタイムで伝送します。遠隔支援者は現場作業者の視界を共有しながら、あたかも自分が現場にいるかのように現場作業者をサポートできます。

ARスマートグラス

ARスマートグラスには、テキストやチェックリストの情報も表示できるので、現場作業者に対して瞬時に的確な作業指示を行うことができます。また高速大容量・低遅延の5Gネットワークを介しているため、高解像度の画像や動画の伝送も可能。遠隔支援者は現場の映像をキャプチャして具体的な指示を書き加え、即時フィードバックすることもできます。現場作業者も、熟練者がすぐ近くにいるようなあんしん・安全な環境のなか、ハンズフリーで作業を進めることができます。ARスマートグラスには防滴防塵加工が施されていて高温耐性もあるため、ヘルメットに着用することも可能です。また、高セキュリティも強みの一つ。クラウドサーバーを「ドコモオープンイノベーションクラウド」上に構築することにより、インターネットを一切介さずに秘匿性の高い情報の伝達が行えます。

キタムラ機械では、この「AceReal Apps」によって多くのメリットが生まれると判断し、2021年初頭の導入に至りました。

リアルタイムに技術支援を実現する『遠隔支援』

3.【法人評価】保守作業と技術継承の効率化を実現

「AceReal Apps」の効果は、運用をはじめてすぐに表れました。

「遠隔支援者が、現場の状況をリアルタイムで正確に把握できるので原因追求の時間が短縮され、的確な指示を出せるようになりました。言葉では伝わりにくい内容も、現地の画像に印をつけて送ることで容易に伝達できます。現場作業者も、マニュアル確認や支援者との連絡などで手を止めることがなくなり、保守作業の時間短縮につながりました。
また粉じんなどが飛散する工場内で使用することでARスマートグラスが故障しないかという懸念もありましたが、防滴防塵加工がしっかりされているので全く問題ありませんでした。」(森田氏)

「AceReal Apps」は、技術の継承においても極めて有効なツールになりつつあります。

「熟練者が若いエンジニアに同行しているような理想に近い環境を作り出せるので、確かな技術向上につながります。また現場の作業を録画できる機能を使い、その動画データを社内で共有することで実践的なマニュアルとしても活用しています。古い製品は本社にも在庫がないため、実施トレーニングが行えなかったり、コロナ禍で研修そのものが実施できなかったりする状況ですが、こうした工夫で技術を受け継いでいきたいと考えています。」(森田氏)

「AceReal Apps」は保守作業の効率化・施工品質の保持、そして安定的な技術継承においても確かな成果をあげています。

【左】保守作業にあたる現場作業者 【右】本社の遠隔支援者
遠隔支援者が共有する視界

4.【将来展望】5Gの高速大容量・低遅延性がもたらす近未来

すでに「AceReal Apps」の新たな活用法も検討しています。その一つが、ARスマートグラスのチェックリストに対応した作業マニュアルを作成し、施工品質の保持・向上を目指すことです。また、ARスマートグラスの音声による数値入力機能を活用したり、そのデータをクラウドに保存したりすることで、現場作業員の記録・報告業務の省力化にもつながると考えています。コロナ禍で自粛している研修も、「AceReal Apps」を活用すればリモートで行えるとの期待があります。

「その際には熟練作業者がARスマートグラスを装着し、その視点を若いエンジニアが共有することで、内容の濃い遠隔研修が可能になります。将来的には、ユーザーさまにもARスマートグラスを所有してもらうことで、簡単な保守作業はエンジニアを派遣せずとも遠隔で行うことができます。保守作業時間は圧倒的に短縮されエンジニアの派遣費用も抑えられるので、ユーザーさまにとっても大きなメリットになります。」(森田氏)

さらに現在、キタムラ機械とドコモは共同で「Auto-Part-Producer 5G」という次世代工作機械の開発に取組んでいます。キタムラ機械が2018年に世界ではじめて開発した「Auto-Part-Producer」は、工作機械を自動運転する機能。AIが3Dモデルをもとに加工に必要なプログラミングを自動で作成し、加工まで行えるようにしたものです。複雑な加工プログラムを作成する必要がなく、誰でも簡単に加工できるのが大きな特徴です。この機能に5Gを活用することで、さらなる高機能化を目指しているのです。

「自動車や航空機、医療機器などの複雑化する加工部品のモデルデータはとても大きなものです。そこに5Gの大容量通信を活かすことで、瞬時にデータを転送しストレスなく機械を動作させることを目指しています。加えて自動運転や遠隔操作における課題であったリアルタイム性も5Gの低遅延を活かすことで解決できるのではないかと期待しています。」(森田氏)

科学技術の進歩に伴い複雑化が進む部品加工。他方で労働人口の減少が深刻化するなか、5Gを活用した技術開発によってさまざまな課題が解決される未来は、もうすぐそこまで来ています。

遠隔支援者が共有する視界
キタムラ機械 生産管理部品質保証係 係長
森田虎男氏

5.導入ソリューション/導入検討資料ダウンロード

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  • AceReal® for docomo 遠隔作業支援ソリューション「AceReal Assist」
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