開発背景
現在、化学プラント業界を取り巻く状況は著しく変化してきています。
環境問題への対応、サプライチェーンの多様化に伴い、多品種少量生産、変種変量生産の必要性が増し、既存の自動制御技術では対応できずに手動操作が必要なプラントが増えています。
日本のプラント運転員のオペレーション技術は非常に高く、手動操作は、多様化する生産形態に対応するために欠かせない技術となり、海外事業者との差別化要因にもなってます。
しかし、近年、日本国内の労働人口は激減し、日本の強みをいつまで維持できるかも大きな課題です。そのような中、横河ソリューションサービスとNTTコミュニケーションズは、日本の強みを生かし、手動操作を支援するソリューションの開発を共同で行いました。
手動操作における課題
プラント運転の手動操作における課題は、以下の通りです。
【スタッフ・運転員の課題】
オペレーション品質における課題
- 運転員毎に操作パターンが異なるので運転品質にムラがでる
- 複雑化した運転をする際に勘やコツに頼っている
労働人口減少における課題
- 明文化が困難で、若手に教えることが難しい箇所がある
改善活動における課題
【DX部門、生産技術部門の課題】
データ活用の課題
- データを活用する仕組みは作ったが手動操作支援を行う技術への活用方法が見つからない
展開の容易性の課題
- 手動操作を支援するためにAIの検討を行ったが、手間とコストがかかり過ぎて、社内展開が容易ではない
AIプラント運転支援ソリューションの提供価値
手動操作を支援
状態が頻繁に変化する複雑なプラントでも、運転員の操作をAIが学習し適切な値を推奨することで運転品質のバラつきを軽減します。
説明可能なAI
独自の可視化技術によりAIの予測値の根拠が提示されるため、納得感を持って制御が可能になります。
若手育成に貢献
通常運転時の暗黙知化される運転技術が可視化されるため、AIにより形式知化され、若手運転員の育成に最適です。
専用ツールによりスピーディーに導入可能
導入検証プログラム実施後、設定済みのエッジ端末を用意させていただきますので、既存のDCSに接続し、すぐに利用できます。
現場のニーズを永続的に反映
現場の声をフィードバックいただき、アジャイル開発により、新しい機能と価値を継続的に提供します。
お客さまの声
AIプラント運転支援ソリューションは、開発時に実プラントでの実用化検証により有効性を確認しており、その際のお客さまからは、下記の評価を頂いております。
- AIが提示する推薦値が実際の運転員の操作と高い精度で一致した。
- なぜそのような値をAIが推奨したのか、要因が示されるため理解がしやすく、実際の要因についても納得できるものであった。
- オペレーションの改善活動や、技能伝承の効率化にもつながる可能性があり、状態的には自動化を期待できると感じた。
システム利用イメージ
Edge端末(SDPF Edge)にAIモデルと実行環境のソフトウェアをインストールし、DCSと接続して利用いただきます。
運転員のオペレーション業務で利用する画面イメージ
- 要員可視化機能による推奨根拠の提示
- プラントの状態変化や経年劣化に追随するJIT(Just-In-Time)機能搭載
※JIT機能によりAIメンテナンス稼働、メンテナンスコストを低減