法人のお客さま総合 > 経営課題とICT(ITトレンド) > ネクスト・メディアとは何か > BBCのディレクターが語る「ネットがニュースメディアに与えた影響」

| David: | どうもありがとう。 さて、メディアの権威というものは、その大部分が、社会が知るべきことは何かを取捨選択する能力の優秀さに支えられていました。しかし、その社会の中に、コンテンツを生みだす個人個人が含まれるようになった現在、情報を人々がより分けていく際に、ニュースメディアは助けになることができるのでしょうか? できるとしたら、どのような形でできるでしょうか? |
| Richard: | そうですね、私はできると思います。いろいろな意味において、それはニュースメディアの従来の役割を拡大あるいは強化するものでしょう。 私は、「私たちはもはやニュースを所有していない」と言ったことがあります。そして確かに、メディアが担ってきた、ニュースの選別役としての役割はまったく失われました。 私がかかわってきたニュース事業は、情報へのアクセスが限られていることが前提になっていました。現場で何が起きているかを伝えるレポーターや特派員を擁する力のある組織で、印刷や放送など、なんらかの手段で情報を広めることができたものたちだけが、ニュース事業に携わっていられたのです。 ですから、運営には非常に高いコストと大規模なリソースが必要でした。ニュース機関が情報を収集し、重要なものを選び、それを広く伝えました。世界で何が起きているのかを知りたければ、新聞を買うか、午後6時のイブニングニュースを聴かなければならなかったのです。 こうした時代は終わりました。1つはインターネットのおかげです。インターネットがすべてのリソースを提供し、情報は日用品並みの存在になりました。誰でも手に入れられるようになったのです。 技術によって加速度をつける形で、情報がはるかに手に入りやすくなったわけですが、一方で、その当然の帰結として、手に入る情報の量も格段に増大しています。そして現在の問題は、それらの中から自分が求める情報をどうやって見つけるかにあります。 もちろん、新聞やニュース機関はつねにそういった役割を担ってきました。つまりニュース機関は、編集における独自の価値体系にしたがって、何を伝え何をとりあげるかについての判断を示してきたのです。 BBCのような組織の場合、つねに世界に焦点を当て、客観的な分析に価値をおいています。しかし、他の新聞に関して言うと、英国には非常に党派的な新聞があります。保守的な価値観もあれば、リベラルな価値観もあるでしょう。さまざまな新聞やニュース機関は、何を扱うかについてそれぞれ独自の感覚があり、何を提供するかについての独自のフィルターを持っています。 これは今後ますます重要性を増してくると思います。手に入る巨大な情報の沼のなかで、人々はまだ自分が大事だと思うものがどこで見つかるのかがわからないでいるのです。 また、ニュース・アグリゲーターやRSSフィードに関していえば、自分の知り合いすべて、あるいは、信用できて、そのブログ投稿を読んでいる人のすべてをリストアップすることは簡単にできます。 だから、人々はニュース機関に向かうのです。それが印刷媒体であるか、オンラインであるか、電波媒体であるかには関係ありません。自分と価値観が似ているニュース機関や、あるいは、自分が尊重できる価値観や自分が関心のある価値観を持つようなニュース機関に向かうのです。独自の選択を示し、手に入る情報について独自のフィルターを提供するようなニュース機関に、ですね。 こうした存在の価値は、情報に対する一次フィルターとして、重要性がどんどん大きくなってくると思います。なぜなら、RSSフィードといったものはとてつもなく便利なものですが、ほとんどの人は利用していなかったり、利用しやすく情報を整理することもしていません。 ニュースサイトから生み出される情報の流れにおいて、今のところRSS技術は、個人が求めるだけの十分なレベルの提供になっていないと思います。 |
| David: | つまり、ニュースメディアが担ってきた役割には2つあるということですね。1つはコンテンツを送り出す役割で、もう1つが編集上の判断を提供するという役割だと。 |
| Richard: | そうです。 |
BBCのディレクターが語る「ネットがニュースメディアに与えた影響」
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