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IoT機器とは?
定義・具体例・
活用されている分野や課題

近年、IoTは多くの分野で急速な発展を遂げています。IoT機器を導入することで、従来は人が行っていた作業を自動化でき、多種多様で膨大なデータを利活用することも可能です。
ここでは、IoT機器の概要をはじめ、分野別の活用事例、導入時の課題などを解説します。

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IoT機器とは?

IoT機器の定義

「IoT(Internet of Things:アイオーティー、モノのインターネット)」は、さまざまなモノをインターネットに接続することで、データの収集や交換などを行う技術です。

そしてIoT機器は、文字どおりIoTの機能を備えたモノのことを指します。IoT機器には、無線通信をするためのモジュールだけでなく、カメラ、センサー、GPS、2次元コードリーダー、AIなどを搭載できます。産業機器や建設機械をはじめ、家電製品や自動車、医療機器など、IoT機能を搭載できるモノはここ数年で急速に増えてきました。

代表的なIoT機器の種類

IoT機器の種類は多岐にわたります。スマートフォンやタブレットはもちろん、スマートウォッチ、スマートロック、スマートスピーカーなどのスマート家電もIoT機器です。自動運転の技術などを備えたコネクテッドカー、産業用ロボットや農業用ロボットなども、IoTなくしては成り立ちえません。

IoT機器でできること

モノの状態を把握する

各種センサーを搭載したIoT機器を活用することで、遠隔地をはじめ、騒音の激しい区域、危険な区域、人間が容易に立ち入れない区域などの情報も収集・測定できるようになりました。放射線量の常時モニタリングなども可能です。

このような、センサーを搭載したIoT機器から得られた膨大なデータをセンシングデータと呼びます。センシングデータはクラウドやサーバー上に蓄積し、AI(人工知能)で分類・分析することにより、高精度な状況把握、画像・音声認識、将来予測、リスク感知などを行えます。

モノを操作する

IoT機器を活用すれば、離れた場所からモノを操作することも可能です。身近な例は、スマート家電です。スマートスピーカーは、本体の操作を直接しなくとも、音声のみで家電操作や音楽の再生、検索などを行えます。

また、工場の設備・機器などの遠隔操作・遠隔保守なども可能です。その技術の発展はめざましく、デジタルツインなど別の先端技術を組み合わせることで、より高度なIoTシステムも実現できるようになりました。デジタルツインとは、サイバー空間に現実世界の各種データにもとづいたコピーを構築する技術です。例えば、デジタルツイン上のデータセンターの状況を確認しながら、現実のデータセンターに配置されたロボットを遠隔で動かすシステムなども、実用化が進められています。

モノと通信する

ビッグデータの分析にも、IoTは欠かせません。ビッグデータは「多種多様で膨大なデータ」のことで、音声、位置情報、温度など、さまざまなデータが該当します。センシングデータもビッグデータに分類されます。ビッグデータはリアルタイム性が高いことも特徴の1つで、AIの解析・分析結果に対して、より迅速で高精度なアプローチをすることも可能になりました。

また、IoT分野の1つである「M2M/MtoM(Machine to Machine)」も注目を集めています。このM2Mは、人を介さず、モノ同士が直接データをやり取りすることで、さまざまな制御を自動で行える技術です。あらかじめ決められたプロセスを機械が実行するため、ヒューマンエラーを大幅に削減できる点がメリットです。故障・障害の早期検知も、人間の目視よりも高精度で行えます。

M2Mで得られた情報は、IoTによりビッグデータとして収集・蓄積できます。近年ではIoT機器に直接AIを組み込み、デバイス上でデータの分析・判断まで行える「エッジAI」も急速に発展してきました。

【分野別】どのようなIoT機器が活用されている? 具体例を紹介

【製造分野】センサーデバイスやIoTカメラの活用

経済産業省では、先端技術を駆使し、機械・設備、生産プロセス全体をDX(デジタルトランスフォーメーション)した工場を「スマートファクトリー」と称し、強く推進してきました。

このスマートファクトリーの構想でも、IoTは不可欠です。例えばIoTを設備・機械に組み込み、センサーやカメラを活用することで稼働状況の遠隔監視、遠隔点検、設定値の遠隔操作などが行えるようになります。その際に得られた情報はすべてがデータとして蓄積・分析の対象となるため、製造プロセス全体の可視化・最適化、生産性・品質の向上、コスト削減にもつなげられます。また、M2Mの技術によって機械同士が連携して作業を行えば、これまで人が行っていた作業を大幅に削減可能です。人材配置が最適化されるため、深刻な人材不足にも柔軟に対応できるようになります。

また、作業員の生体情報や気象情報、リスク情報などを収集・分析し、安全点検や作業計画の策定、作業負荷の分析を行い、より適切な安全対策を取れるようにするソリューションも生まれています。

【医療分野】遠隔治療ロボットやウェアラブルデバイスの活用

医療分野では、IoTは「IoMT(Internet of Medical Things)」という名称で呼ばれています。名称は異なりますが、本質に大きな差異はありません。医療機器・設備にIoTを導入することで、慢性的に不足している医療従事者の負担を軽減し、医療サービスの向上につながることが期待されています。

よく知られているのが、コロナ禍で普及が進んだリモート診療です。このリモート診療を平時も継続し洗練させることで、普段から持病などでクリニックにかかれない人、過疎地や被災地で暮らす人なども、よりスムーズに医療にアクセスできると期待されています。遠隔地からの触診・手術を行える環境も整ってきました。触覚が伝わる遠隔治療用の手袋、遠隔治療ロボット、手術室の医療機器を接続・連携させる「スマート治療室」などの研究も着々と進められています。

また、普段から手首に巻き付けるウェアラブルデバイスを使えば、日常の心拍数や血圧などをモニタリングできます。異常を検知しアラートが表示されることで、受診のタイミングを逃しにくくなります。医療機関や薬局、介護施設などで服薬データを共有し、薬の副作用を防ぐ取り組みなどもあります。妊婦と胎児の命を守るために、陣痛と心拍などを測定し医師とデータ共有するシステムも開発されました。

【物流分野】RFIDや物流ロボットの活用

IoTやAIなどを活用して人が介在する作業を大きく減らそうとする取り組みは、物流業界でも行われています。これは、ロジスティクス(物流)における歴史上の4番目のイノベーションとして「ロジスティクス4.0」と称されました。

すでに、AIによる画像認識でピッキング・仕分けなどを行う物流ロボットなどが活躍しています。RFタグを非接触で読み取れるシステム「RFID(Radio Frequency Identification)」が物流センターや倉庫で積極的に導入されています。遠くにある複数のタグでも一括で読み取れるため、バーコードと比較して大幅に作業効率が高まります。

また、日本ロジスティクスシステム協会の報告書「ロジスティクスコンセプト2030」の中でも、「標準化」「全体最適」がポイントとして挙げられています。各社が独自の最適化を行うと同時に、国を挙げた計画を進めることで、物流の課題を根本的に解消することが目的です。すでに、高速道路への自動運転車専用レーンの設置、深夜時間帯の自動運転トラックの実証運行などが進められてきました。

参照元:「ロジスティクスコンセプト2030」(https://www.logistics.or.jp/2030/LC2030.pdf

【防災分野】水位センサーやモニタリングシステムの活用

防災への備えにもIoTは活用されています。内閣府が提唱するSociety5.0の中でも、IoTで得たビッグデータをAIで解析することで、個人への避難情報の提供、被災者の救助、救援物資の最適配送を実現することが課題として挙げられています。すでに運用されている全国瞬時警報システム(Jアラート)も、IoTが応用されています。

また、水位センサーやカメラなどのIoT機器が常時モニタリングを行い、豪雨、土砂崩れ、津波、火災、人混みによる群衆雪崩などの自然・人的災害の兆候があればアラートを通知するシステムなども、防災・減災に活用されています。IoTやAIを駆使した情報収集の高度化、災害状況の高精度な把握、災害時の初動対応の迅速化が見込まれています。また、NASAなどがオープンソース化した膨大な衛星データをAIに学習させて、将来の自然災害のリスクを算出する取り組みもスタートしました。

【農業分野】環境センサーや圃場モニタリングの活用

農業ではIoTやロボット、AIなどを活用して生産性を向上させる「スマート農業」の取り組みが推進されています。「作業動線をシンプルにした上で、自動収穫ロボットを導入する」など、先端テクノロジーの導入を前提に今までのプロセスを再構築することで、大幅な生産性の向上が見込まれています。

無人のロボットトラクタやコンバインをはじめ、自動操舵システム、リモコン草狩り機、スマートフォンで操作できる水田の水管理システムなどを導入すると、農業従事者一人あたりの作業量が減少します。作業可能範囲が増えることで、農場の大規模化も可能です。また、データを蓄積・分析し、土壌や水田、ハウスなどの環境を制御することで、安定した収穫につなげられます。ドローンや各種センサーがモニタリングして得た作物の生育状況、日射量、土壌水分量、温度、病害虫の発生予測などを踏まえて、最適量の追肥や水の自動供給などを行うことも可能です。それらを合わせて導入することで、新たに農業を始める人でも熟練者とそん色がない精度での作業ができるようになると期待を集めています。

IoT機器導入での課題

多種多様な規格があり、システム構成やサービス選定に時間がかかる

IoT市場では、多様な通信プロトコル(IP)などの規格が存在していることが大きな課題として認識されています。MQTTやCoAPなどが主流ではあるものの、各メーカーが独自にアーキテクチャを設計しているのが現状です。そのため、メーカーの異なるIoT機器同士でデータを送受信する場合に、互換性がなく接続できないという問題が生じる恐れがあります。また、データを受け取る側のクラウドサービス側の規定に合わせるため、IoT機器側で対応プロトコルやデータ形式への変換が必要となり、IoT機器側での処理負荷が課題となる場合もあります。

そのため、IoT機器のシステムを構築・選定するにあたっては、運用の容易さとスケーラビリティを考慮しながら、自社のニーズや目的に適した通信プロトコルなどを見極めることが非常に重要です。

専門の知識を持った人材が不足している

IoT機器の導入と適切なセキュリティ対策も含めた運用をするにあたっては、幅広い領域の専門知識を持った高度なIT人材を確保しなければなりません。しかし、高度なスキルと知識を持つIT人材は、世界中で獲得競争が激しく繰り広げられており、確保することは非常に困難です。限られたリソースを有効に配分するためにも、IoT機器の中核を成す部分は専門知識を備えたサードパーティーに依頼し、実操作やルーティンの比較的簡単なメンテナンスを行う担当者は自社で育成するといった方法も検討する必要があります。

PDCAを上手く回すことが難しい

IoT機器を導入した後は、得られたデータから導いた仮説を起点に、PDCAサイクルを積み上げていくことが欠かせません。予測と実績の乖離を比較し、新たな気づきを得ることなどによって、より洗練されたシステムとなります。しかし、IoT機器の場合は、PDCAサイクルが回しにくいという課題があります。IoT機器で得られた多様で膨大なデータには、ノイズや欠陥、偏りも多く含まれています。データを処理・分析するための前処理にも時間がかかります。そのため、仮説検証に時間がかかり、PDCAがスムーズに回らないことも課題として挙げられます。

IoT化に活用できる「IoT Connect Mobile® Type S」

前述した課題に対して、ドコモビジネスではネットワーク、プラットフォーム、そしてIoT機器まで、多種多様なIoTソリューションを提供しています。その一つである「IoT Connect Mobile® Type S」は、IoT機器を対象とするモバイルデータ通信サービスです。IoT機器を導入する目的や用途、セキュリティ要件に合わせた接続方式を選択できます。SIMは1枚から購入できるため、コストを抑えたスモールスタートにも最適です。

また、IoT機器から送るデータの暗号化プロトコルへの変換や、クラウド側で規定されるデータフォーマットへの変換は、関連サービスである「IoT Connect Gateway」にオフロードすることが可能です。これによりIoT機器側の実装を簡易にし、暗号化通信に対応していない安価なIoT機器を活用することもできます。

関連サービスとして、IoTに必要な機能がパッケージ化されたプラットフォーム「Things Cloud®」も有用です。データの収集や可視化、分析、管理といったIoTに必要な機能をパッケージとして提供するサービスです。スモールスタートから本格運用までスケールを自由に変更できるので、用途に合わせてIoTプラットフォームを構築することが可能です。汎用的な設計を採用しているため、コーディングの知識がなくてもIoTに必要な機能とプロセスを短期間に構築できます。また、目的や導入環境に適したIoT機器の提供をはじめ、IoTの導入を検討する段階からから設計・構築、保守・運用までのサイクルを総合的にサポートする支援する体制もあるため、高度なIT人材が不在でも問題ありません。

また、50社を超えるIoTセンサーデバイス/IoT-GWの提供パートナーが集う共創プログラム「Things Partner®プログラム」を通じ、お客さまが実現したいIoTユースケースを具現化し、IoTビジネスの課題解決につながる最適なデバイスと活用方法をパートナー企業とともにご提案します。

IoT Connect Mobile® Type Sのお申し込み(https://bizmall.ntt.com/products/detail/a42bf37c-afbd-11ec-9930-c2bf750ee556)

まとめ

クラウドの普及やAIの高度化などにより、IoTの実用化が多くの分野で進んでいます。IoTを活用することで、従来は人が行っていた作業をロボットなどが代行できるため、今後の人材不足への強力な備えとなります。

しかし、IoT機器の導入にあたってはシステム構成やサービス選定に時間がかかったり、PDCAサイクルを回しにくかったりするという課題があります。

そうした課題を解消し、IoTを活用したビジネスを着実に展開するためには、「IoT Connect Mobile® Type S」などのサービスを活用するのが有効です。企画段階から一貫したサポートが受けられるため、仮説検証なども効果的に行いながら、スムーズにIoT機器を導入できます。

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