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IoTを導入する際の課題と解決策
メリットや活用できるサービスも紹介

近年、国内ではさまざまな産業でIoTの導入が加速しており、第4次産業革命の実現に欠かせない情報通信技術として注目を集めています。しかしIoTは企業に多くのメリットをもたらすものの、導入に伴う課題も少なくありません。
本記事ではIoTを活用する利点を紹介するとともに、導入する際の課題や解決策について解説します。

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企業がIoTを導入するメリット

データの見える化・分析ができる

企業がIoTを導入するメリットの1つはデータの可視化と分析の効率化です。IoTは「センサー」「ネットワーク」「デバイス」「アプリケーション」という4つの要素で構成されており、これらの相互作用でモノの状態や動きを自動的に検知し、遠隔地から対象をリアルタイムでモニタリングしたり設備機器を操作したりできます。

たとえば製造分野ではIoTが製造ラインの稼働状況を監視し、生産量や歩留まり率、直行率、不良品率などのデータを収集・蓄積してグラフやチャートに変換します。このプロセスによって言語と数値の羅列でしかないデータが見える化され、視覚的・直感的に理解できるとともに、課題の抽出や分析手法の適用が容易になる点が大きなメリットです。

生産性や品質の向上につながる

IoTの導入によって得られるメリットは生産性と品質の向上です。とくに製造分野では製造ラインの効率化による生産性の最大化と、検品作業の自動化による品質の向上が期待できます。IoTの導入によって人間が行っていた作業を効率化できれば、従来と同等以上の生産量を維持しつつ人的資源の投入量を削減できるため、生産性の向上につながります。

また、検品作業や設備保全などは熟練技術者のスキルに対する依存度が高く、人為的なミスやエラーの発生も少なくありません。IoTが搭載されたセンサーやカメラを導入できれば、人間の目視とは比較にならない高精度な検品作業や設備保全が可能となります。それによってヒューマンエラーを削減しつつ、製品や作業の品質を一定以上に保てる点がメリットです。

人材不足を解消できる

IoTを活用して特定の業務領域を省人化・自動化することで、人材不足の解消に貢献する点もIoT化のメリットです。国内では少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、就業者の高齢化や労働力不足に悩まされている企業が少なくありません。IoTの導入によって一部の単純作業や監視業務などを自動化できるため、人材不足による生産性の低下を補えるという利点があります。

また、IoTの導入によって単純作業や保全業務を省人化することで、品質向上とともに人的資源に関する諸経費を削減し、その分を成長領域に投資できる可能性も高まります。

異常や故障の予兆検知ができる

IoTを導入するメリットの1つに挙げられるのが予兆検知の実現です。予兆検知とは、IoTなどを活用して設備機器に不具合が発生する予兆を検知することです。従来は保全業務によって異常や故障へ対応してきました。保全業務は、定期的なメンテナンスによって不具合を防止する「予防保全」と、異常や故障の発生後に対処する「事後保全」に大別されます。

予防保全は定期点検によって設備機器の寿命を延長できるものの、相応の保全工数が必要です。事後保全は突発的な復旧作業に多大なリソースを消費しなくてはなりません。IoTを活用した予兆検知は設備機器を常時モニタリングし、不具合の予兆を検知した場合にアラートする仕組みのため、保全業務の工数とリソースを最小限に抑えられるという利点があります。

企業がIoTを導入する際の課題

消費電力

IoT化を推進する課題として挙げられるのが電力の確保です。IoTが搭載されたセンサーやカメラを稼働するためには導入規模に応じた電力が必要であり、デバイスの設置数に応じて消費エネルギーが増大します。また、物理的な電源ケーブルの接続が適さないシーンもあり、その場合はデバイスのバッテリーで長時間駆動させる必要があります。

ネットワークの負荷

IoTの導入における課題の1つがネットワークキャパシティです。IoTデバイスの設置数が増加するほど収集するデータの総量が増大するため、それに伴ってネットワーク負荷も高まります。ネットワークキャパシティを超過するとレスポンスの低下を招くため、リアルタイムな大規模通信が求められるIoTにとって極めて重要な課題となります。

とくにデータを集約するプラットフォームが中央集権的なシステムの場合、ネットワーク負荷の増大によって大幅な混雑や遅延が生じかねません。また、大量のトラフィックを不正に送信するDDoS攻撃に対する脆弱性にもなり得ます。

セキュリティ対策

IoTを活用する際の懸念事項の1つはセキュリティインシデントです。IoTは常時インターネットに接続されており、不正アクセスによる乗っ取りやマルウェアによる情報漏洩などのリスクが懸念されます。デフォルトの認証情報をそのまま使用しているケースも多く、その脆弱性を足がかりとして社内ネットワークに侵入される可能性があります。

IoTの脆弱性を突くサイバー攻撃の代表格といえるのが「Mirai」です。Miraiは1つのIoTデバイスを乗っ取り、それを起点として社内ネットワークに侵入し、サーバーに大量のトラフィックを送り込むDDoS攻撃を仕掛けます。こうしたインシデントを防止するためには、セキュアなデータ通信サービスの選定や厳格なセキュリティ体制の整備が必要です。

IoT人材の不足

事業領域にIoTを導入する上で課題となるのがIoT人材の確保です。たとえば製造工場にIoTを導入する場合、課題の抽出とそれにもとづく要件定義、IoTソリューションの選定、投資リスクを踏まえた予算計画の立案や導入プロジェクトの策定、プロトタイプの設計、実際の使用を想定した実地検証、データ分析基盤の構築・実装といった工程を経る必要があります。

また、導入後もITインフラの継続的な保守・運用スキルや、収集・蓄積したデータを分析するスキルなども必要です。こうした分野に精通する人材を自社のリソースでまかなうのは容易ではありません。そのため、IoT人材を自社で採用・育成する、もしくはIoTソリューションプロバイダーに委託する必要があります。または、専門知識がなくても扱えたり、サポート体制が充実していたりするシステムを選定することも有用です。

コスト

IoT化を推進する上で無視できない課題の1つが、導入規模に応じて増大するコストです。たとえば製造分野や運送業界に携わる企業がIoTを導入する場合、大規模な設備投資が必要になる場合が多く、想定収益や返済計画、減価償却を含めた経費の増加額、リスク分析などの綿密なシミュレーションが欠かせません。

また、IoTは導入して終わりではなく、ITインフラの保守・運用に継続的なコストが必要です。大型の設備投資は、判断を誤ると資金繰りが悪化する要因となりかねません。過大な設備投資は企業にとって命取りになる可能性があるため、投資利益率法や回収期間法などにもとづいて妥当性を慎重に判断する必要があります。まずは最低限のコストで効果を試せるように、スモールスタートで始められるシステムを選ぶことも1つの手です。

IoT導入における課題の解決策

長期的な計画を立てる

IoTの導入はプロジェクト規模に応じた投資リスクを伴います。とくに初期費用の大きさから短期的なキャッシュフローの悪化を招く場合が多いため、現状の財務状況や設備投資の採算性を考慮し、長期的な視点にもとづく資金計画を立案・策定しなくてはなりません。想定される収益や金融機関への返済計画、投資回収期間、減価償却費、設備機器の法定耐用年数などを考慮するのはもちろん、参入市場の将来性や競合他社の動向なども踏まえた計画の立案・策定が必要です。

消費電力やネットワーク負荷を考慮したシステム設計とする

消費電力の問題を解決するには、低消費電力に対応したIoTデバイスや通信規格を採用することが有効です。最近では、工作機械やモーターなどの振動を電力に変換する、または廃熱を利用して発電するIoTデバイスが登場しています。また、低消費電力に対応した通信規格であるLPWA(Low Power Wide Area)を採用するのも一つの方法です。
ネットワーク負荷を軽減するには、分散型のネットワークシステムや大量のデータ通信に耐えうる通信サービスの選定が重要です。

セキュリティ対策を徹底する

IoTのセキュリティ対策を推進する場合、まずIoTの脆弱性を把握することが大切です。IoTデバイスの多くは限られた処理能力しかなく、強固なセキュリティソリューションを搭載することが難しいケースが多くあります。また、IDやパスワードなどの認証情報を出荷時のまま変更しない場合、攻撃者に容易に推測されるリスクがあります。そのため、セキュアな通信回線を導入するとともに、データガバナンスに関する人材教育を徹底するといった対策が必要です。

人材を育成する

事業領域でIoTを戦略的に活用するためには、デジタル人材の知見が不可欠です。アウトソーシングを活用する方法もあるものの、企業の持続的な発展にとって、やはりIT分野に特化したデジタル人材を採用・育成する仕組みの構築が欠かせません。そのためにはIoTやAI、クラウドコンピューティングなどに関する社内研修を推進するとともに、IT分野の資格取得や企業内でのキャリアアップを促進する制度を整えることが大切です。

企業のIoT活用事例

製造業でのスマートファクトリー

スマートファクトリーとは、「AI」「ロボティクス」「ビッグデータ解析」「クラウドコンピューティング」「環境配慮技術」などのデジタル技術を駆使した工場を指します。機械学習を活用した検品作業の高品質化、産業用ロボットによる作業の自動化、ビッグデータ解析を活用した高精度な需要予測、ITインフラのクラウド化による事業継続性の向上、再生可能エネルギーの活用による二酸化炭素排出量の低減など、生産性や品質の向上とともに地球環境にも配慮した先進的な工場がスマートファクトリーです。

このスマートファクトリーを実現する上で欠かせない技術がIoTです。AIによる検品作業や産業用ロボットによる作業の自動化には、IoTが搭載されたセンサーやカメラなくして成立しません。また、環境配慮技術にはIoTによる温度変化の検知や消費電力の見える化が不可欠です。これらのデジタル技術とIoTデバイスを介して収集したデータをクラウド上に蓄積し、ビッグデータ解析によって得た知見を生産管理や在庫管理、需要予測、設備保全、人員配置の最適化などに活用します。

物流業界でのスマート物流

スマート物流とは、IoTやAIのような最先端のデジタル技術を活用し、サプライチェーン全体の最適化を図る取り組みです。産学官連携にもとづく「戦略的イノベーション創造プログラム」の一環であり、物流業界が抱える人材不足や長時間労働などの課題解決を目指して政府主導のもと推進されています。具体的な取り組みとして挙げられるのが、IoTによるセンシング技術の活用やトラッキング、ロボティクスによる作業の自動化などです。

商品の温度や湿度を監視するIoTセンシング技術、運送車両をリアルタイムで追跡する貨物追跡システム、そしてピッキング作業を自動化する産業用ロボットなどの技術が採用されています。国土交通省の調査によると運送業界は他の産業よりも労働時間が長く、賃金が低い傾向にあるのが現状です(※1)。そのような中で2024年4月1日より、ドライバー業務に時間外労働の罰則付き上限規制が適用されるため、物流業界の現状を打破すべくスマート物流の実現が喫緊の課題となっています。

(※1)参照元:トラック運送業の現状等について(p.2)|国土交通省(https://www.mlit.go.jp/common/001242557.pdf
(※2)参照元:時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html

IoT化に活用できる「IoT Connect Mobile® Type S」

IoTはさまざまな場所に設置されるため、広範囲においてセキュアなデータの送受信を実行する通信機能が必要です。「IoT Connect Mobile® Type S」は、NTT Comが提供するIoT向けのモバイルデータ通信サービスです。通信はLTEの他、LPWA(LTE-M)にも対応しており、低消費電力で稼働するIoTデバイスにもご利用いただだけます。また、閉域接続やクラウドサービスへのセキュアな暗号化プロトコルでの通信にも対応しており、セキュアなネットワークを構築することができます。1回線から購入することができるため、初期投資を抑えスモールスタートしたいお客さまにもおすすめです。

関連サービスとして、IoTに必要な機能がパッケージ化されたプラットフォーム「Things Cloud®」も有用です。データの収集や可視化、分析、管理といったIoTに必要な機能をパッケージとして提供するサービスで、スモールスタートから本格運用までスケールを自由に変更できるので、用途に合わせてIoTプラットフォームを構築することが可能です。汎用的な設計を採用しているため、コーディングの知識がなくてもIoTに必要な機能とプロセスを短期間に構築できます。また、目的や導入環境に適したIoT機器の提供をはじめ、IoTの導入を検討する段階から設計・構築、保守・運用までのサイクルを総合的にサポートする体制もあるため、高度なIT人材が不在でも問題ありません。

・IoT Connect Mobile® Type Sのお申し込み (https://bizmall.ntt.com/products/detail/a42bf37c-afbd-11ec-9930-c2bf750ee556)

・IoTプラットフォームThings Cloud® (https://www.ntt.com/business/services/ai-iot/iot/things-cloud.html)

まとめ

IoTの導入は、データの可視化と分析の効率化、生産性と品質の向上、人件費の削減、そして予兆検知の実現など、企業に多くのメリットをもたらします。ただ導入の際、厳格なセキュリティ体制の構築を心配する企業も少なくありません。NTT Comの「IoT Connect Mobile® Type S」なら、IoTクラウドサービスへのセキュアな接続、VPNを利用したプライベートな接続も可能です。IoT導入における課題を解決するために、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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