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ネクスト・メディアとは何か 〜ネット&ライフスタイルの新時代〜 従来のメディアやビジネスに影響を与えながら、日々成長と変化を続けていくネットの世界。その現状と将来の展望を紐解いていきます。 powered by WIRED VISION

テーマ3 インターネットの本当の意味を考える
第4回
グローバル経済を生きるための最強ツール


この連載でここまで見てきたように、既にコミュニケーションも投資も、インターネットを使うことがごく当たり前になりました。インターネットは、世界の経済とビジネスの神経系となっています。

それだけではありません。インターネットは、かつては自他共に認める先進国であった日本を、グローバル経済の中でごく普通の存在にしてしまいました。前回、東京市場の影響力の小ささにちょっと触れましたが、今日では日本の存在は、世界の経済のほんの一部分を占めるに過ぎません。

このような状況に至った要因としては、中国やインドをはじめとするアジア諸国の経済発展などを挙げることができるでしょう。しかし、それよりもむしろ、グローバル経済や企業活動がインターネットをベースにして動いており、世界中の企業や個人がそのボーダレスでフラット化した枠組みの中に否応なく取り込まれた、と見た方が良いのではないかと思います。

それが望ましいことかどうかは別として、その現実に自らをアジャスト(適応)していけない企業や個人にとっては、とても厳しい環境であるということは間違いないでしょう。しかし逆に、そんな環境を最大限に活用できれば、これまでの枠組みとは別の次元の飛躍をすることも不可能ではないと考えられます。

特に個人にとってインターネットは、そんな世界で生きていくために不可欠なツールだと思います。個人を取り巻く環境は、インターネットにつながっていることを前提に、自己の責任でどこまでできるか、ということが問われるようになりました。資産は自己責任での運用が前提になってきていますし、企業と個人の関係においても、在宅勤務のように自己責任を伴う側面が見えてきています。



情報収集とアイディア実現の最強ツール

自己責任ということに加えて、今日の社会的な傾向として、次の様な状況が生まれつつあります。まず、経済環境の変化によって、企業が高度成長時代のような右肩上がりの成長を実現することが難しくなり、それに伴って給料が簡単には上がらなくなってきました。次に、国内の少子高齢化によって、社会のコストが増加しつつある、ということが言えます。さらに、最近特に目立ちますが、原油をはじめとするエネルギー資源や食料の国際市場での価格上昇が激しくなってきていることも、大きな問題と捉えられています。

これらには共通する要因があります。それは、冒頭で触れた「インターネットによって世界がフラット化してしまい、グローバル経済の中での日本の位置づけが大きく変化した」ということです。

こういった厳しい状況の下で生きていくためには、これまで以上に新しいビジネスについて考えたり、そのアイデアを考えるだけではなくリアルに実現させていかなければなりません。そのためには、的確な情報収集が不可欠です。

そして、情報収集とアイデア実現のためのツールとして、インターネットというものの存在を強く意識しなければなりません。例えば、個人にとってインターネットは、投資をはじめとして本業とは別の収入の可能性が考えられるツールです(メディア関係者などの場合は、インサイダー情報に触れる可能性があるため投資等は禁じられている場合もあります)。ワンルームマンションを運用したりアパートを経営したり、といった場合や、個人商店をネット上に開く、あるいは腕に覚えがあるのなら得意なジャンルの「作品」を世に問う、など、さまざまな場面でインターネットは不可欠なツールとして機能するようになっています。以下では、こういったことの例を順に見て行きます。

インターネットで世界に目を向ける

脱オイルマネーを目指すドバイのビジネスタワー(CC)photo by Leonardo Aguiar
脱オイルマネーを目指すドバイのビジネスタワー
(CC) photo by Leonardo Aguiar
前回は、インターネットでの投資ということについて考えました。FX(外国為替証拠金取引)を主な例にしましたが、投資対象のジャンルとしては、為替に限定する必要はありません。もちろん、日本国内に限定する必要もありません。世界に目を向けると、個性的な成長戦略の国がたくさんあります。

例えば、原油埋蔵量が乏しいため、原油があるうちにそのオイルマネーを将来のために使って、脱オイルマネーの経済特区を構築しているドバイ。火山のエネルギーなどを有効利用して、石油エネルギーの消費をゼロにすることを目標にしているアイスランド。このように、日本とは全く違った視点で今後の成長戦略を描いている国がたくさんあります。

こういった国々への投資もそのための情報収集も、日本にいながらにしてインターネットを使ってできてしまいます。実際、海外投資をテーマにした専門のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)もあります。このようなコミュニケーションの場には、しょっちゅう現地に足を運んで「これは」という投資先を探している投資家、自ら海外に投資のための会社を作るほどその土地の事情に精通した投資家などが集まっています。

単にWebで証券会社などの関連情報を収集するだけではなく、こういったコミュニケーションの場に自ら入っていくことで、新しい情報源や人脈などがひらけてくる可能性があります。それらの情報源や人脈のきっかけになるものは、すべてインターネットにあるのです。インターネットを使うことで、収益性の高い海外への投資を個人が行うことも、以前ほど特別なことではなくなり、現実性を帯びてきます。

本当の価格や価値が見える

先にちょっと触れたように、アパート経営やワンルームマンションなどの運用でも、物件や物件の運用管理会社は、インターネットで探すのが一番手っ取り早い方法です。検索で見つけた多数の業者の中から、信頼できる業者を選択するには、ちょっとリテラシやコミュニケーション・スキルが必要かもしれませんが・・・。

とはいえ、インターネットならではのメリットもあります。それは、インターネットが価格や資産価値といったものの本当の水準を教えてくれるからです。インターネットでは、多くの情報を容易に比較することができます。インターネットに公開された情報を調べていくと、不当に高いものや安いものはすぐに分かります。物件価格の査定等をネットで依頼できるサイトもあり、情報がオープンになっていてそれを自由に比較できます。これまで個人ではなかなか持ち得なかった価格や価値についての尺度を誰もが持てるようになりました。

もちろん、これは不動産に限ったことではありません。すでにインターネットには家電や旅行などをはじめとして価格比較サイトがいくつも存在していることからも分かるように、消費者にとって最も安いもの、値ごろ感のあるもの、それはどこで買えるのか、といったことが一目瞭然になっています。つまり、インターネットには、モノやサービスについて余計なノイズをそぎ落とし、価格や価値の本当の姿を浮き彫りにする、という側面があります。個人にとって強力なツールであることは間違いありません。

特技やアイデアをインターネットで事業化する

インターネットにはアフィリエートという考え方もあります。自分のサイトでモノを売りその販売手数料として一部を得るというものです。例えば、アマゾンで売っている書籍を自分のブログで紹介します。アフィリエートID付きのURLを設定することで、その本がそのURLをクリックされて売れた場合にアマゾンから一定額の手数料をもらえるわけです。1件あたりの金額は小さいのですが、実際にアフィリエートではかなりの額を稼いでいる人もいます。

もし、写真やイラスト、あるいは音楽や小説などで、ある程度のレベルに達しているのならば、それをネットで販売するという可能性もあります。自作したオーディオ機器などをオークションに出品している例なども多々みかけます。

例えば、イラストなどのオリジナルのデザインに誕生日や名前などを加えたTシャツなどの子供服を作る、といったネットショップがあります。元々はデザイナーだったオーナーが、誕生日や名前を入れた「世界で一つだけのプレゼント」をネットで販売しよう、と考えたことから始まりました。注文生産や一つひとつ違うデザインを実現するには手間とコストがかかりますが、ネットを使うことと「世界で一つだけ」という他にはない価値観でカバーする、というビジネスです。

このように、インターネット上で個人がお金を稼いでいる例はたくさんありますし、それらの例はネットでいくらでも探すことができます。共通するのは、インターネットを活用することでアイデアを実現させた、ということだと思います。
ここまで4回にわたって、今日におけるインターネットの意味を考えてきました。私自身、普段のコミュニケーションはほとんどがインターネット(メールやSNS)です。Web業界にかかわっていますのでビジネスはもちろんなのですが、生活そのものがインターネットで回っていることを実感させられています。

ネクスト・メディアということをテーマに始まったこの連載ですが、「メディア」という側面に加えて「コミュニケーション」と「投資・ビジネス」という側面を考えていくことで、インターネットというものの価値がより高まってくると思います。

海外のSNSを見てみると、文字通り「ソーシャル」(社会性のある)なサービスになっていることが感じ取れます。そこでのアカウントはあくまで個人のものです。個人が生きていくためにネットにつながり、SNSで人とコミュニケーションし、自らの価値をアピールしながら、より良い条件(良い、という意味にはさまざまな方向性があると思いますが)のビジネスを求めていることが感じられます。個人が自らのブランディングのためにネットを利用し、生きるためにSNSを活用しているわけです。

SNSと言えば、日本の大手SNSの一つであるグリーは、元々は現社長の個人プロジェクトだったといいます。「友達の友達は友達」をネットで表現したらどうなるかと考えて、一人で作り始めたものが第一歩です。現在では、会員数600万(2008年8月)を超えるまでに成長しています。インターネットを前提にした一人のアイデアがここまで大きくなる、という好例だと思います。

インターネットは、情報収集のツールであるだけではなく、コミュニケーションによって人間関係を広げたり深めたりすることが可能です。さらに、国内にとどまらない投資やビジネスを実現できる可能性があります。まさに、「インターネットこそが人が生きていくうえで最強のツールである」ということを強く実感させられます。これからの新しいサービスはすべてがインターネットで始まる、あるいはインターネットなくしては成り立たたない、ということになっていくでしょう。

ワイアード・ビジョン 編集委員 田邊俊雅


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