企業情報トップ > CSRトップ > CSR報告書2008 > 第三者意見/ご意見をいただいて

NTTコミュニケーションズグループCSR報告書2008

第三者意見/ご意見をいただいて

NTTコミュニケーションズグループ「CSR報告書2008」を読んで

写真:河口 真理子氏

株式会社大和総研 経営戦略研究所 主任研究員

河口 真理子

一橋大学大学院修士課程修了(公共経済学、環境経済学専攻)。1986 年に大和証券に入社。94年に大和総研に転籍。東京都環境審議会委員、神奈川県「かながわ産業活性化懇話会」委員、環境ビジネスウィメンメンバー、サステナビリティ日本フォーラム評議委員、社会的責任投資フォーラム理事&運営委員などを歴任。青山学院大学非常勤講師。アナリスト協会検定会員。

昨年も第三者意見を述べさせていただきました。そのうち昨年も指摘させていただいたネットワークの信頼性確保について、社員座談会でも「信頼性を確保したネットワークデザインは、社会貢献の要素がある」とあります。確かに情報ネットワークは今の社会に欠くことできない重要なインフラで、信頼性確保は本業そのものでもあります。しかし信頼性確保のための努力は一切社会に知らしめないようにすべきでしょうか? 悪意も善意の情報もすべて平等に扱いかつ世界で共通して使われるインターネットという社会的なインフラの持つリスク、そしてそのシステムを昼夜を問わず動かすための人的・環境的負荷などネガティブな側面(すなわち舞台裏)を通信会社は、社会に見せない努力をしながらマネジメントしているわけです。それは社会として快適なことではありますが、この大変さとリスクもきちんと社会に認識させることは信頼性確保と同様に重要なCSRの一環だと思います。

一方ダイバーシティの取り組みについて「IT産業は、基本的にダイバーシティの取り組みがしやすい業界であり、この分野で業界のリーダーとしての取り組みを期待する」と昨年指摘しました。この4月にはダイバーシティ推進室が設置されており、本腰を入れてこの問題に取り組む姿勢が伺えることは評価できます。女性の働きやすさ、仕事と家庭の両立支援(ワーク・ライフ・バランス) の取り組みを始めたこと、男女社員数の内訳、育児休業取得者数などのデータも開示され、徐々に取り組みが進展していることが読み取れます。ただし、女性の役付け者の全体に占める率など、女性従業員の活用度合いを示す数値がないのは残念です。ダイバーシティの目的とは、多様な価値観・個性を持った多様な人材が活躍できる職場づくりです。「女性活用」はその第一歩にすぎません。障がいのある従業員や外国籍の従業員、派遣や年俸社員などの雇用条件の違う従業員など、多くのダイバーシティの切り口が存在します。女性活用に終わることなく、今後は本当の意味でのダイバーシティのとれた職場づくりを長期目標に取り組んでいただきたいと思います。

なお今年のトップコミットメントにおいて、「現在と未来を“つなぐ” ことを大前提に、情報通信サービスという本業を通じてお客さまや社会の新たな価値創造に努める」とあります。実は持続可能性の問題とは、将来世代と現在世代をどのようにつなぐか、ということでもあります。ネイティブアメリカンの言い伝えに、「我々は自然環境を7世代後の子孫から預かっている」というものがあります。自然は先祖から受け継いだものではなく、子孫から借り受けている。豊かな自然を次世代に渡していく義務が我々にはあるのです。しかしながら現在の我々は将来世代の分まで資源を食いつぶしています。トップコミットメントはこのようなメッセージとして読み取れることを強調したいと思います。

また和才社長は、現場力の重要性を強調するとともに環境問題解決手段としてのICTの重要性を訴えています。社員座談会でも「見える化だけでなく、可視化することが実感につながる」というコメントがあります。人々の行動を起こさせるためには、正確な情報伝達とその「見える化」そして、それを実感するための想像力の強化、があります。いずれもICTが重要な役割を果たす分野です。特にICTは人々の想像力を強化するツールになり得ること、そしてそれは非常に社会的意義のあること、ということを現場の方々も強く認識していただきたいと思います。

最後に地球温暖化対策です。昨年「大胆な環境戦略を経営戦略の一環に組み込む」ことを指摘させていただきました。2004年に策定された長期ビジョンでは「物質的な豊かさを至上とする価値観から自然環境の維持を優先する価値観へ転換が起こらなければなりません。価値観の転換が生まれ、世界が変わりはじめるためには、世界中の人々が対話をし、互いを理解しあうことが最も大切だと考えます。私たちは、(中略)世界に偏在する古今東西の知恵を交換・共有できるプラットフォームを提供するとともに、世界中の人々のコミュニケーションをサポートすることを通じて、心豊かで、永続的な社会の実現に貢献します(下線部筆者)」とあり、会社の本業(ミッション)を即社会の課題解決に結びつけること、がきちんと明記されています。残念ながらこの長期ビジョンは今年からはウェブ上だけの開示になりましたが、これは環境経営を考える上での精神的支柱であり、従業員やその他のステークホルダーと広く共有すべきものなので、常に目に付くところに掲載すべきではないでしょうか。そして、福田ビジョンも提示されたことですし、次のステップとして超長期・中期目標(2020年まで)を策定し、長期的視野にたった環境経営に取り組んでいただくことを期待します。

ご意見をいただいて

NTTコミュニケーションズ株式会社

代表取締役副社長

グループCSR委員長

写真:田村 正衛

田村 正衛

2007年度は、「NTTコミュニケージョンズグループCSR基本方針」に基づき、全員参加型のCSR活動をスローガンとして取り組んでまいりました。オフィス環境対策など、従業員一人ひとりが活動に参加することで、みんなで意義を実感・共感し、ともに考えることができる組織文化浸透の仕組みづくりを手探りながら進めております。

私どもは、社会的に重要な情報インフラであるネットワークの信頼性確保、健全な運用のために、お客さまが安心・安全にご利用いただけるよう日々努めております。地球温暖化や災害などリスクへの対応は、通信事業者だけでは解決できない課題が数多くあります。今回ご指摘いただいた情報インフラのネガティブな側面を意識した上で、事業活動においてリーダーシップを発揮し、ステークホルダーとの継続的なコミュニケーション・協業など全員参加型のCSR活動を拡大していきます。

CSR戦略にもとづく中長期目標の達成に向けて2006年度にCSR指標を策定し、2007年度は実感の伴うCSRの見える化を始めました。今後もつなぐの精神に則り、長期・超長期的な戦略を持ってダイバーシティや環境ビジョンなど、ご期待にお応えできるよう持続可能な社会の実現に向けて邁進していきます。