西武鉄道株式会社 人事部 課長 町田亨氏

西武鉄道株式会社
人事部
課長

町田亨氏

「働きやすい環境、働きがいのある環境をつくることは人財戦略の1丁目1番地です。今回のプロジェクトを、そこにつなげていきたいと考えています」

西武鉄道株式会社 人事部 主任 佐藤愛氏

西武鉄道株式会社
人事部 主任

佐藤愛氏

「現在、アンケートや各種申請をオンラインで回答・申請できるようになったので、手軽になって良かったという声が多いですね」

株式会社西武ホールディングス 情報システム部 課長 吉田晃一郎氏

株式会社西武ホールディングス
情報システム部 課長

吉田晃一郎氏

「私たちユーザー企業の情報システム部はどうしても視野が狭くなりがち。よきパートナーとして客観的な立場からの的確な助言に期待しています」

株式会社西武ホールディングス 情報システム部 主任 佐藤重樹氏

株式会社西武ホールディングス
情報システム部 主任

佐藤重樹氏

「今後もDXを加速する取り組みを進めていきます。ドコモビジネスとしてのシナジーを発揮して、さらに価値ある提案をいただき、共にDXを推進していきましょう」

 

課題

駅などの現場における紙ベースの非効率な業務、
稼働、時間を要する社内連携を改善するデジタル化へ

西武グループでは「アフターコロナの社会における目指す姿を見据え、コロナショックを乗り越え、飛躍への道筋をつける。」をテーマに掲げ、「攻め」と「守り」双方の視点からDXによるデジタル経営の実現などの取り組みを進めている。この流れに乗ってグループの都市交通沿線事業を担う西武鉄道株式会社でも、「守りのDX」としてデジタルを活用した業務効率化と固定費削減を目指していた。なぜなら、長年、本社と現場のデジタル環境に格差があり、これが事業運営上のネックになっていたためだ。

「西武鉄道の全従業員数は約3,600人、うち約3,000人は現場で働く従業員が占めます。現場の従業員たちは、あまり業務での必要性がないことから、パソコンやネットワークといったデジタル環境の整備が後回しになっていました。このため、会社からの伝達を書面掲示して確認したらハンコを押す、会議のたびに人数分の資料を印刷する、アンケートや申請書も用紙に記入するといったアナログな紙ベースの業務運用となっていたため、紙のムダづかいを含めて非常に非効率だという課題がありました」と語るのは、今回のプロジェクトを主導した西武鉄道株式会社 人事部の町田亨氏だ。

現場のみならず、紙ベースの業務の影響は本社の人事部、管理部、経理部などにも及んだ。たとえば、人事部が扱う申請書は123種類あり、すべて紙でやり取りされていたという。「まず申請書を現場の責任者が承認し、それを本社に運んで本社の管理者、さらに人事部が承認するなど、多くの関係者が関わるため申請に時間や稼働がかかっていました。しかも、紙の申請書をデジタル化してシステムに投入する手間も必要で、この情報のやり取りで生じるムダを改善することも大きな目的のひとつでした」と、町田氏とともにプロジェクトを担当した西武鉄道株式会社人事部の佐藤愛氏は管理面での課題を挙げる。

このような課題の解決に向け、西武鉄道の人事部は情報システム部と連携することで、デジタルデバイスを活用した業務プロセス変革というプロジェクトを進めていくことになった。

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対策

全従業員にタブレットを配付し、安全なリモートアクセス基盤を構築
承認プロセスの見直しに向けてワークフローシステムも開発・実装

情報システム部との協議によって生まれた結論は、現場の従業員1人1台のタブレットを配付すること、本社システムにどこからでも安全に接続できるリモートアクセス基盤を構築すること、ワークフローシステムを開発・実装することで決裁権限を見直すことだった。

課題を踏まえて人事部が取り組んだことは3つです。

そこで西武鉄道が最初に取り組んだことは、デジタル化の実現をサポートしてくれるパートナーの選定だ。「パートナーの選択肢はほぼ一択、NTTコミュニケーションズでした。なぜなら、西武鉄道の主要なネットワーク環境はすべてNTTコミュニケーションズのサービスで構築されています。私たちのICT事情を熟知していることに加え、リモートから接続できる親和性の高いサービスを提案していただける期待感もあったためです」と株式会社西武ホールディングス 情報システム部の吉田晃一郎氏は選定の理由を明かす。

こうして、NTTコミュニケーションズの手厚いサポートのもとで約2,600台のiPadを調達し、リモートアクセス基盤には「Flexible Remote Access」を導入。これは社内業務システムや SaaS などの各種 ICT サービスに、現場などのリモート環境から閉域網経由で安全に接続できるサービスだ。ゼロトラストネットワークが実現できる多要素認証やUTMといった各種セキュリティ機能の標準実装も大きな強みとなっている。

「もともと、西武グループではセキュリティの観点からリモート接続時には仮想PCを使用していたのですが、レスポンスの悪さが利用者のストレスになっていました。今回は端末にデータが残らない仕組みにして、そのままブラウザを開いて快適に利用できるようになっています。さらに閉域網で安全にリモート接続ができるFlexible Remote Accessを導入したことで、セキュリティ面の安心感も担保できています」と、株式会社西武ホールディングス 情報システム部の佐藤重樹氏は新たなリモートアクセス基盤を評価する。

並行して承認プロセスの見直しに向けた関係各所との調整、そして新たなワークフローシステムの開発、実装も完了した。タブレット&リモートアクセス基盤の整備を終え、新たなワークフローシステムが稼働するのは検討から約1年が経った頃だった。「新たなID、メールアドレスを付与したiPadを一斉配付しました。一斉配付にこだわった理由は、トライアル的な部分配付でダブルスタンダードが生じて社内や現場が混乱することは絶対に避けたかったためです」(町田氏)

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効果

デジタル化により業務効率化と固定費削減を達成
現場主導の取り組みも生まれ働き方改革の追い風に

今回のプロジェクトにより、さまざまな成果が出ているという。まず、123種類の申請書をデジタル化ししたことで申請のスピード、正確性が向上したことだ。「利用頻度の高い年休申請を優先的にデジタル化したことなどが功を奏し、かなり従業員たちには前向きに受け入れられているようです」(町田氏)

さらに、多くの関係者が関わる書面配達もデジタル化により省力化、複雑な承認プロセスもフローのデジタル化でスピード化、本社からの伝達もiPadで確認できるようになったため情報伝達の効率も上がった。「他にも会議運営の効率化とコスト削減も達成できていますし、アンケートや申請書の集計も効率化できています。現場からも、管理部門からも従業員の評判は上々です」(佐藤愛氏)

評価も上々、いっきに業務プロセスのデジタル化を達成

これらの取り組みにより、西武鉄道では一般事務業務の業務量を50%カットすることを実現した。ペーパレス化による固定費削減についてはA4換算で、年間約250万枚の紙の使用が抑えられた。さらに複合機の稼働も15%ほどカット、年間で約1,200万円のコスト削減を達成している。「各種申請書、会議資料、点検業務のチェックシートなど紙に印刷するのが当たり前の文化がデジタルに移行したことで、今後も継続的に固定費は削減できる見込みです」(町田氏)

業務量50%カット×年間250万枚 印刷費1200万円の削減+α 現場での自発的なデジタル化が進む

今回のプロジェクトで得られた最大の収穫は、現場の従業員たちに生じた劇的な意識の変化だった。「紙ベースの業務がデジタルに変革されたことで、現場の従業員たちに新たな気づきが生まれ、率先的に業務を効率化する動きが出てきたのです。たとえば、事故現場を撮影して関係者で共有したり、点検作業を直行直帰で実施できるようになっています。会議や教育研修をリモート開催したり、まだ動き出したばかりですが、現場主導で効率化を考える良いサイクルが生まれ、効果を感じています」(佐藤愛氏)

現在、プロジェクトが一段落して半年ほどが経過した。人事部では各部署へのヒアリング、アンケートなどで効果検証、課題の洗い出しを進めている。「いま、どんな課題が現場で生まれているのか、ひとつ残らず洗い出し、それを次につなぎたいと考えています。さらに、今後はプロジェクトで蓄積したノウハウをもとに西武グループ各社への展開を呼びかけているところです。前向きな反応も多く、良い流れをグループ全体に浸透させていくことが次のミッションだと考えています」(町田氏)

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ホワイトペーパー

「取り組みを後戻りさせない」、西武鉄道 情報システム部の英断

今回、「デジタルデバイスを活用した業務プロセス変革」で人事部を支えた情報システム部では、かなり果敢なチャレンジを行った。なぜなら、一部の例外を除き、外部からのリモートアクセスで社内システムにつながる仕組みが存在しておらず、それを実現するにはさまざまな課題をクリアする必要があったためだ。「弊社で最大の人数を抱える運輸部の管理職を除く現場従業員は、パソコンはもとより、社内システムにアクセスできるID、個人のメールアドレスを持っていませんでした。今回、全従業員にiPadを配付する際に、アカウントを発行し、個人のログインを可能にする作業は大変でしたが、現場の誰もが申請システムを利用、アンケートにデジタル環境で回答できるようになったことは大きな変革だと思っています」(佐藤重樹氏)

リモートアクセスの手段については、従来はセキュリティを重視した端末にデータを残さない仮想PCを利用していたが、社内のユーザーからはレスポンスが遅い、使い勝手が悪いといった不満の声が上がっていた。「この問題を解決するために、あえて今回はシステム側にデータを集約させず、端末からセキュアなVPNでリモートアクセスする新たなパターンを採用しました。ひと昔前に比べて端末を一元的に監視・管理できるMDMがしっかりしており、端末にデータを残さない機能も実装したことで、セキュリティを担保しつつ快適なリモートアクセスが実現できています。これにより端末でブラウザを立ち上げ、ストレスなく業務で利用できるようになっています。Flexible Remote Access のプロキシを通ってインターネットにも接続できるようになっているため、快適性と安全性を高いレベルで両立できていると思います」(佐藤重樹氏)

「2013年に25台だったiOS系の端末も2017年には450台になり、今回のプロジェクトで一気に4,500台にまで伸びています。いまでは、各部門からさまざまなアプリの利用申請が届きますが、いったん私たちが事前審査を行って許可しています。このプロセスを徹底しているため一定レベルの安全性が担保され、これまで大きな事故は一件も起きていません」(吉田晃一郎氏)

今回の「デジタルデバイスを活用した業務プロセス変革」は、まだ序章に過ぎない。「話題の生成AIや各部の要望に応じたアプリケーションを、安全性を考慮しながらどんどん追加していき、各部門と連携して積極的に攻めと守りのDXを加速していく方針です」(吉田晃一郎氏)

 

コラム

Flexible Remote Accessのここがスゴい!

安全かつ快適なリモートアクセスを実現する「Flexible Remote Access」には、大きく5つの特長があります。まずリモートアクセスとセキュリティ機能を一括提供できること。これによりロケーションを問わずどこからでもセキュリティを保ちながらデータセンターや社内システム、さらにはインターネットやSaaSへのアクセスを分散して接続できること。外部サービスの連携認証への対応によりユーザー単位のセキュリティ強化が図れること。ポータル上で柔軟なポリシー設定、ユーザー管理ができること。そして、ID単位の従量課金制で必要なときに必要な分だけリソースの追加ができることです。これらの特長はリモートアクセスの選択で不可欠となる5つのポイントにもなっています。

リモートアクセスの選択に欠かせない5つのポイント

Flexible Remote Accessを活用することで、自宅や外出先といった場所からでもオフィスと同レベルの安全性を担保したリモートアクセスが可能になります。インターコネクトサービスを経由したセキュアで広帯域なデータセンター、クラウドサービスへのアクセスはもちろん、特定SaaSなどへの通信を直接インターネットから接続することで社内リソースを逼迫せず快適なハイブリットワークが実現できます。

〇Flexible Remote Accessによる安全かつ快適なリモートアクセス

Flexible Remote Accessによる安全かつ快適なリモートアクセス

これまでセキュリティポリシー上、リモートアクセスを禁止していた企業でも安心して導入できます。なぜなら、閉域接続と各種セキュリティ機能、認証連携などでセキュリティポリシーに沿った安全なユーザー管理ができるようになるためです。しかも、リモートアクセスを利用する社内ユーザーはセキュリティで守られていることを意識することなく、オフィスと変わらない快適なネットワーク接続、サービス利用が可能です。まさに安全性と快適性を両立できるハイブリッドワーク時代のリモートアクセスサービスといえるでしょう。

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導入サービス

Flexible Remote Access

オンプレミスやパブリッククラウドに点在する社内業務システムや SaaS など各種の ICT サービスに、在宅勤務環境などどこからでもセキュアに接続。

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西武鉄道株式会社

西武鉄道株式会社

西武鉄道株式会社

事業概要
1912(明治45)年設立、東京・埼玉エリアの通勤・通学・観光などを支える公共交通機関として事業を展開。お客さま・地域の皆さまとのコミュニケーションを通じ、沿線の新しい価値を創造し続けている。

URL
https://www.seiburailway.jp/


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