【TikTok】広告スキップされない
1分動画の作り方

【TikTok】広告スキップされない1分動画の作り方

今やユーザー数が世界で月間10億人を超えるショート動画(ムービー)プラットフォームの「TikTok」。近年、プロモーション分野で「マストハブツール」と認知されつつあります。 一方、多くの企業から「自社の商材と合うイメージがない」「どのようなコンテンツを発信するのがいいのかがわからない」と戸惑いの声も。 TikTokを活用して企業のマーケティング支援をしている朝戸太將さん(株式会社Natee取締役COO)がこのほど、NewsPicks +dのオンラインイベントでショートムービーの現在地や活用法を解説しました。

目次

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朝戸太將さん(株式会社Natee取締役COO)

YouTubeと似たブーム到来

TikTokは数秒〜数分のショートムービーを投稿できる動画投稿アプリ。世界中で利用することができ、日本でも若年層だけでなく幅広い世代に人気で、LINE、YouTube、Twitter、Instagramと同じように利用されています。
TikTokに限らず、YouTube ShortsやInstagram Reels、LINE VOOMとプラットフォーマーが参入して、ショートムービーの分野は急成長。朝戸さんはこの現象について、YouTubeの流行と似ていると説明します。

YouTubeと似たブーム到来

朝戸「約5年前、多くの人がYouTubeは『どうなの?』と話していました。その後、YouTuberが小学生の将来就きたい職業ランキングの1位になりましたが、『やんちゃなプラットフォーム』というイメージも強かったことと思います」
「しかし、いつの間にか、YouTubeは、認知率が96.2%にもなりました。そして、あらゆる企業のプロモーションで動画を作ろうとなった時に、YouTubeを抜きにディスカッションや意思決定が進むということはなくなっています」

5./15 WEST / iStock
5./15 WEST / iStock

朝戸さんは、スマートフォンの登場でインターネットが持ち運べるようになり、5GのサービスやAIの伸長で「人が好きなコンテンツを選ぶ時代」から「AIがコンテンツを選ぶような時代」になったと指摘しました。
広告市場が低迷しているなかでも、動画広告は圧倒的に伸びている市場で、その中でもTikTokが躍進していると強調します。
朝戸「TikTokは今、国内外で、最も成長率の高いプラットフォームになっています。国内外の月間のアクティブユーザー数も増えています」
「ほとんどの動画が30秒から1分に収まるものにも関わらず、平均視聴時間が延びています」
「芸能人が参入し、TikTokで登場した人がテレビに出始めたりもしています。まさに、4〜5年前のYouTubeで見てきたような世界観をたどっています。これがTikTokの現在地です」
朝戸さんは、すでに浸透したYouTubeやInstagramといった他のプラットフォームでも、ショートムービーのコンテンツが増えてきていると説明します。

(右から)朝戸太將さんとモデレーター・吉永庄吾
(右から)朝戸太將さんとモデレーター・吉永庄吾

朝戸 「YouTubeを見れば、ショートムービーを制作しているクリエイターが再生回数を伸ばしています。再生回数のトップ10人のうち8人がショートムービーのクリエイターです」
「スマートフォンを使って、短い時間で最適化された情報の価値がどんどん高まってきているのが、今の市場全体の動きです」
クリエイターによるマーケティング市場規模は、2025年までは150%成長で推移すると見込まれています。

クリエイターマーケティング市場規模推計グラフ。2025年までは150%成長で推移すると見込まれている。(朝戸太將さん提供)
クリエイターマーケティング市場規模推計グラフ。2025年までは150%成長で推移すると見込まれている。
(朝戸太將さん提供)

広告「面白くなければスキップ」

朝戸さんはTikTokの特徴を知ることで、活用法の理解が深まると説きます。
朝戸 「テレビCMやインターネット上で流れてくる広告は見たいか・見たくないか、好きか・嫌いかどうかにかかわらず、流れています。(本編の番組など)自分が見たいものを阻害されたという経験から、広告を嫌なものとして視聴していた人も多いかと思います」
「TikTokで流れる広告は自分の好きなタイミングで、次々にスキップすることができます。広告コンテンツも面白くなければスキップされてしまいますし、逆に面白ければ、楽しければ、自分に合うと思われれば、視聴されるというわけです」
「これまで以上に、視聴者に合うコンテンツを制作することやエンタメ性を追求していく必要があります」

広告「面白くなければスキップ」

レコメンドシステムがコンテンツ選び、個別に届ける

既存のSNSでは、企業やインフルエンサーらのアカウントを登録している「フォロワー」と呼ばれるユーザーやコミュニティに向けて、コンテンツを届けるのが基本的なSNSマーケティングの考え方でした。
一方、TikTokをはじめ、ショートムービーのプラットフォームでは利用者の興味や関心が高そうな物やサービスを推薦する「レコメンド」の技術が優れているのが特徴です。コンテンツをレコメンドシステムが学習し、ユーザーの嗜好に合わせて届くような仕組み(アルゴリズム)になっています。
「このコンテンツは、こんな人に届けたいな」といった具合に、プラットフォーム側が判定して、一つ一つを届けていく仕組みになっています。言い換えれば、コンテンツを好みそうなユーザーに、ちゃんと届くようになっています。
朝戸 「TikTokでは、独自のレコメンドシステムにより、企業など発信側が既に抱えているコミュニティから外れて、ニーズに合った多くの人たちにコンテンツを届けることが十分可能です」
「見ている側にとっても、自分に合うコンテンツがどんどん流れてくるので、嫌な思い、体験をしません。コンテンツを好みそうな相手や潜在的なユーザーにもコンテンツを届けられるっていうところが、大きな利点でもあります」

metamorworks / iStock
metamorworks / iStock

1分動画でウェブページ3600枚分の情報量

朝戸さんは、TikTokなどのショート動画は「情報量が圧倒的だ」と説明します。
例えば1分の動画でも、ウェブページで3600枚分の情報量があるといいます。情報密度が高く、動画を初めて見ただけで、内容や狙いを深く理解し、店まで足を運ぶようなマーケティングを一気通貫で起こせると解説します。
朝戸 「深い情報を届けられる強みを生かすことで、TikTokの活用が非常に有効であることがあります。私が支援しているクライアント企業でも、TikTok効果で『店頭のPOS(による売り上げ)が上がりました』『サイト上でのコンバージョン(期待した行動)の確率が上がりました』といった声もよく聞かれます。
「顧客が商品を認知してから購入に至るまでの行動ステップ『ファネル』の突破にショート動画が役立つ力を感じています」

TikTokの説明をしている朝戸さん
TikTokの説明をしている朝戸さん

TikTokの世界に没入して探る

TikTokコンテンツ作成のポイントは何でしょうかーー。
朝戸さんはコンテンツの量を増やしながら、PDCAで検証していくことが大切だと説明します。
朝戸 「TikTokユーザーのトレンドや流れに合わせながらコンテンツの制作や配信を変えられるかが、成果を出すための非常に重要なポイントです」
「たくさんTikTokのコンテンツを見て、TikTokの世界に没入した時に、世界観に合わせるにはどうしたらいいかという観点が次第にわかってくるはずです」

Urupong / iStock
Urupong / iStock

質問「TikTokで売れやすい商品は?」

続くパネルディスカッションでは、花王のDX戦略部門でマーケティングを担当する廣澤祐さんも登壇し、朝戸さんと対談しました。
視聴者から「TikTokで売れやすい商品は?」「BtoBビジネスでTikTokを生かすには?」といった質問も寄せられました。

パネルディスカッションで対談した朝戸さん(中央)と廣澤祐さん(右)
パネルディスカッションで対談した朝戸さん(中央)と廣澤祐さん(右)

TikTokで売れやすい商品については、化粧品やスキンケアなどの日用品。比較的単価が安く、コンテンツを見たらすぐに店舗に買いに行ける商品は成果が出やすいと、朝戸さんと廣澤さんは口をそろえました。
TikTokユーザーはZ世代のイメージが強いですが、朝戸さんは若年層のユーザーを対象にした安い商品だけしか売れないというわけではなく、マーケティングや販売の可能性は広がっていると話します。
朝戸 「高級商品に関しては今後の可能性として大前提にはなりますが、視聴者が『知らないけど興味がある、見たくなる』といったトピックであることが重要だと思います」
「例えば自動車が半導体不足で、納車がすごく遅れているなかで、『この店舗なら、こういう車を置いている』といった情報をTikTokで発信すると、車を買いに行きたくなるインセンティブが生まれてくるかもしれません」
「化粧品のような売れやすい商品は存在しつつも、今の時代はユーザーが非常に多様化しているので、それぞれのニーズに合わせてコンテンツを作って発信をしていくことで、興味を喚起することにつながってくると思います」

視聴者の質問に答える朝戸さん
視聴者の質問に答える朝戸さん

「手に取りやすく、思い出しやすい」

廣澤さんは買いやすさには「メンタルアベイラビリティ」と「フィジカルアベイラビリティ」という考え方があると説明します。アベイラビリティ(availability)とは、「入手可能や有用性、可用性」と訳されます。 人が何かをしようとした時に、準備万全な状態をどれだけ維持できているか、といった意味です。

「手に取りやすく、思い出しやすい」

購買行動での「フィジカルアベイラビリティ」とは、人が物理的に買える、手に取りやすい距離に商品があるのかどうか、という意味です。
一方、「メンタルアベイラビリティ」というのは、何かを購入する際にブランドやサービスを思い出しやすいかという意味です。
この2つのキーワードは、マーケティング用語で、学者のバイロン・シャープ氏が著書「ブランディングの科学」(邦訳)で説いた概念だそうです。

パネルディスカッションで対談した朝戸さん(左)と廣澤祐さん
パネルディスカッションで対談した朝戸さん(左)と廣澤祐さん

廣澤 「やっぱり買いやすい物やサービスには、メンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティのどちらの考え方もちゃんとあります」
「弊社で取り扱っている商品は幸い、日常的に使っていただくことが多い商品(化粧品、スキンケア、ヘアケア商品など)なので、メンタルアベイラビリティもフィジカルアベイラビリティもリンクします」

日常的に使う商品やブランド、サービスは思い出しやすく売れやすい

仮説起点で「流行の手応え」をつかもう

朝戸さんは、マーケットやブランディングなどを考えるビジネスパーソンが多い中で、自分が大切にしていることを紹介しました。
朝戸 「情報を集めて、仮説を立てて、情報を集める。そして、最後は自分が決めるっていう、このサイクルを早くたくさん実践していくことが重要だと考えます」
「何より面白いのは、次の時代に何がはやるのかという手応えを感じながら、挑戦することです。そこに楽しさを感じています。私にとって、TikTokもその一つです」

(右から)廣澤祐さん、朝戸太將さん、モデレーター・吉永庄吾
(右から)廣澤祐さん、朝戸太將さん、モデレーター・吉永庄吾

この記事はドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております。
取材・文:比嘉太一
撮影:飛塚倫久
デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)
編集:野上英文

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