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ICT用語ガイド
GUIDE 009 NGN(Next Generation Network)
〜NGNがもたらす近未来ネットワークの世界とは〜

パート1 来年本格稼働を目指す次世代ネットワーク、NGNとは?

1-1:NGNの基本的な概念

「NGN(Next Generation Network)」とは、固定電話のように安心で高い信頼性を持ち、なおかつIPネットワークの自由度を目指した、次世代のネットワークです。

今、私たちの身の回りには、さまざまなネットワークが混在しています。固定電話、携帯電話、専用線、IP-VPNや広域イーサネット、そしてインターネットなど、それぞれが個別の技術に支えられ、機能しています。

例えば、固定電話は「音声」による通信を目的としたネットワークです。クリアな通話が保証され、なおかつ途中で途切れることは、ほとんどありません。しかし、高い品質が保証されているのは音声データに限ってのこと。画像などのデータを扱うとなると、とたんに事情が変わってきます。かつてはダイヤルアップ接続でインターネットにつないでいたのですが、スピードが遅いなど、何かとイライラさせられました。しかし、固定電話網は単に「音声以外の高速データ通信を行うのに不向きだった」というだけのこと。品質の問題ではありません。

では、「データ通信」を目的としたインターネットはどうでしょう。今ではFTTH、ADSLなどのブロードバンドが普及し、手頃な料金で、大容量のデータ転送も高速で行えるようになりました。しかし、インターネットでは通信の品質に対する保証がありません。たとえ「ADSL○○メガ」という契約でインターネットに接続していたとしても、そのスピードはあくまでも「ベストエフォート」。実効速度はそれよりも遅くなってしまうのが現実です。さらに、インターネットはデータが不正に盗み見られる危険性も含んでいます。手頃で高速、大容量というメリットがある反面、保証や安全面では弱いのがインターネットの最大の弱点と言えるでしょう。

そんな危うい部分も併せ持つインターネット。個人の自己責任的な利用ならまだしも、企業が使うとなると、信頼性の部分でどうしても不安がつきまといます。そこで企業は、「多少高くても安全で安定した通信環境」を求めて、専用回線を利用したり、IP-VPN/高速イーサネット、あるいはインターネットVPNを使うなどして、信頼性の高いネットワークを作ることになります。その中でも信頼性が高く安定した速度という点から見れば、専用線にまさるものはないのですがコストが高くなります。そのためIP-VPN/高速イーサネットやインターネットVPNが徐々に浸透してきています。確かに回線使用のコストは抑えられましたが、依然として、ルータやスイッチなど高価なネットワーク機器が必要であったり、かつ煩雑な各機器の設定が必要であったりと、ユーザ側の負担は大きいのが現状です。

「いいとこ取り」のNGNで悩みは解決!

「品質保証と安全性」そして「自由度」。どちらを取るかで、「どの回線を使うか」を選択している企業も多いと思いますが、NGNであればそんな悩みは解決です。

NGNとは・・・

NGNはいうなれば既存のネットワークの「いいとこ取り」をしたネットワーク。専用線のように10Mbpsなら10Mbpsの帯域を常に保証するメニューが用意されているので、インターネットのように、トラフィック混雑による速度が低下する心配がありません。また、基幹データは専用線で、一般のメールは公衆回線を使って…と、今までネットワークサービスを使い分けしていたところを、NGNならすべて通信がひとつのネットワークで可能になるわけですから、ユーザは「今、どんな回線を使っているか」、「インターネットなのか専用線なのか」ということすら、意識することがなくなるのです。

さらに、今までユーザ側の個別のネットワーク機器が行っていた制御を、NGNはネットワーク側で用意することができるので、イントラネットを構成しているルータ・スイッチなどの装置を減らすことができます。また、「何をつなぐか」で、できることも違ってきます。具体的なサービスについては、まだこれからという段階ですが、かなり自由度の高いネットワークになるだろうと言われています。

NGNの基盤技術はIP

NGNでは、次世代IPプロトコルである「IPv6」を採用するため、現在広く普及している「IPv4」と比べると、天文学的とも言える膨大なIPアドレスが使えるようになります。パソコン・家電から携帯端末・センサにいたるまで、ネットワークに接続するすべてのノード(機器)に、個別のIPアドレスを割り当てることが可能になるため、これによって「何が(誰が)」「いつ」「どこに」接続しているかの管理も可能です。つまり何かトラブルが発生した場合でも、その原因解明や対応も速やかに行われるでしょうし、現在問題になっている「なりすまし」や「ユーザ認証詐欺」などのネット犯罪を未然に防ぐ効果も期待されています。

1-2:NGNにおけるNTTの動向

NTTグループ フィールドトライアル

世界に先駆けて、NGN実現に向けてその一歩を踏み出したのは、イギリスのBritish Telecommunications(BT)でした。2004年6月に「21st Century Network Program」(「21世紀ネットワーク・プログラム(21CN)」)として、電話網をIP化することを宣言しました。これを皮切りに、韓国のコリアテレコム(KT)やフランス・テレコムなどが、次々と電話網のIP化を発表しています。

日本ではNTTグループがいち早く動き出し、2006年12月に「フィールドトライアル」を実施すると、今年の3月末に発表しました。実施期間は約1年間。実施エリアは首都圏及び大阪エリアとし、情報家電ベンダやサービスプロバイダ、NTT以外のキャリアなどに向けて、広く参加を募っています。

さて、今回の「フィールドトライアル」で注目すべきは、NTTのネットワークのインタフェースをオープンにしているところです。オープンにしているインタフェースは次の3つ、NNI(網間インタフェース)、UNI(ユーザ網インタフェース)およびSNI(アプリケーションサーバ‐網インタフェース)で、具体的には帯域制御やユーザ/回線認証技術、セキュリティ機能などです。SNIは国際標準として議論されているANIの考え方に沿って、NTTが用意するインタフェース規定です。

NTTはかねてから「NGNはオープンなかたちで作る」と表明していましたが、技術をオープンにしたことによって、大きなビジネスチャンスが生まれます。例えば、今まではインターネット接続サービスをベストエフォートとして提供していたISP事業者も、ユーザの要望によって、細やかなサービスが提供できるチャンスが生まれます。「基本は10Mbps契約だけど、ある期間だけ100Mbpsに増やして」、その逆に「いつもは100Mbpsだけど、1ヶ月だけ半分の速度でいい」といったことも対応できるようになるかもしれません。

NTTの技術がオープンになったことは、これからの通信市場を大きく変えていくでしょう。「NTTはオープンでしっかりしたインフラを構築させて頂きます。皆さんでそれを使ってイノベーションを起こし、新たなビジネスモデルを考えて頂きたい!」というNTT技術陣の問いかけに、今後NGNがどう発展していくかはユーザのアイデアとともに無限の可能性を秘めているといえるかもしれません。

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