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パート2 総務省のご担当者にインタビュー「ICT政策の今後の展開」

今回は、総務省情報通信政策局総合政策課の山碕良志課長補佐に、ICT政策の今後の展開について、いろいろとお話を伺った。
2004年に総務省は「u-Japan政策」を発表した。政府はこれまでも「e-Japan戦略」(※2)を打ち出してきているが、e-Japanとu-Japan。どのような違いがあるのだろうか?
「政府の戦略と総務省の政策という違いはありますが、いずれも我が国の情報通信政策の方向性を示したものです。今後のICTの利活用の仕組みを考えればu-Japanと捉えるのが適当だろう、と考えています」(山碕氏)
u-Japan政策を推進するため、「ユビキタスネットワーク整備」、「ICT利活用の高度化」、「利用環境整備」を3つの柱とした政策パッケージが設定されている。こちらの中ではICTの利活用の仕組みが盛り込まれた内容となっていて、ICTを推進する立場にとってu-Japanは重要な政策なのだ。
では、「u-Japan」の「u」にはどのような意味合いがあるのだろうか。そこには以下のような「4つの『u』」が込められている。
【1】 Ubiquitous ----- 「いつでも」「どこでも」繋がるユビキタス
【2】 Universal ----- 誰でも使える
【3】 User - Oriented ----- 利用者視点に立っている
【4】 Unique ----- いろいろな使い方ができる
まずは「いつでも」「どこでも」。これはユビキタスの基本だが、従来のe-Japan戦略に基づき、日本国内のブロードバンド基盤が整備され、都市部ではそれなりのインフラも整ってきている。しかし、地方の市町村まではまだまだ浸透していないのが現状で、ブロードバンド基盤が全くないという地域も少なくはない。
「2010年までには、全国的なブロードバンド基盤を整備し、日本全国『どこでも』つながるよう、取り組んでいきたいと思っています」と山碕氏。
また、「使いやすさ」も大切なポイントだ。お年寄りや障害を持った方、また外国人でもすぐに使えるようなユニバーサルデザインを目指すためには、利用者の視点に立っての開発が欠かせない。従来の供給者中心の政策ではなく、「国民・利用者の意見を取り入れる」ことが、この政策全体の基本概念となっている。
これからますますパソコン、携帯電話、テレビといった端末の垣根は取り払われていくことだろう。現時点でもテレビ付き携帯電話や、地上デジタル放送のインタラクティブ性など、注目すべきサービスが展開されている。
「e-Japan戦略によって、従来紙と鉛筆で行ってきた業務が電子化された。u-Japan政策では更に、人とモノ、モノとモノの結びつきや利用者視点の重視により、ICTで新たな価値を創発する社会を目指しています」(山碕氏)
要するに「技術の進化とともに、政策もまた進化してきている」のだ。
u-Japan政策は、2010年には日本が世界最先端のICT国家として先導することを目標としている。パソコンの中で情報処理が行われるという仕組みだけではなく、情報のやりとりをするコミュニケーションが重要という意味でITからICTへと一歩進んだ考え方だ。
ただし医療・教育・電子行政など、ICTが必ずしも充分に利活用されていない分野があることも忘れてはいけない。
「国民の皆さまの暮らしに深く関わる分野ですので、ICTの利活用が進めば、それだけ効果も大きいと考えられます」と山碕氏は述べる。
例えば医療機関が審査支払機関を通じて医療保険者に対して「こういう診療をこれくらいしたので報酬を請求する」という診療報酬請求(レセプト)の手続きがある。山碕氏によると「まだ日本では全くオンラインで行われていない」そうだ。
現在紙ベースで行われている処理をすべて電子化し、かつオンラインで完了するような取り組みが行われているという。
「遅くとも2011年度当初までに、オンライン以外の診療報酬請求は認めないという方針が決まりました」(山碕氏)
国が動けばそのシステムは末端まで浸透する。あと5年でどこまで変革できるか、注目していきたい。
他にも医療現場で電子タグを使って患者の取違いや投薬ミスなどをなくす、安心・安全な医療を実現することを目標に研究を進めているとのことだ。
教育分野では学校現場にまだインフラが整っておらず、これから学校を光ファイバーなどで接続してブロードバンド環境を整備しなければならない。また教員が個人のパソコンを家から持ち込んで校務を行っている例もあり、ウィルスに感染してデータを紛失・流失した事件も発生している。総務省や文部科学省が運営参画している「e-ネットキャラバン」では、保護者や教職員向けにインターネットの安心・安全利用に向けた啓発を行っている。
電子行政では、2010年度までに全申請に占めるオンラインの割合を50%以上にするという目標が掲げられている。手続きによって異なるが、現在1%未満という例もあり、重点的な取組が必要である。今後はオンライン利用の促進のために、所得税、法人税の電子申告など制度や運用を改善するための検討が行われていく。
最後に山碕氏から皆さまに対し提言を頂いた。「技術やサービスを提供する側は効率化だけに眼を向けるのではなく、サービスの質を向上させ顧客満足度を上げるようと努力することが求められるようになるのではないでしょうか。また利用する側も『これを変えてほしい』『こういうのがないか』をいうことを提供者や行政に伝えることが、利用者視点の社会に繋がっていくのだと思います」
よりよいユビキタスネット社会を実現するためには、提供する側と利用する側で率直な意見の交換が今まで以上に必要となっていくのだろう。
●NTTコミュニケーションズのICT関連サイト
