2017-2018シーズン最終戦を勝利で飾る。
総合順位決定トーナメント2連勝で、最終順位は9位でフィニッシュ。
いよいよ迎えた2017-2018シーズンの最終戦。
勝てば参加トーナメントで最高の9位が確定する総合順位決定トーナメント2回戦で、NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(以下アークス)は、1月14日(日)、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場でキヤノンイーグルス(以下キヤノン)と相まみえました。
アークスにとって、パロマ瑞穂ラグビー場が舞台となるのは今シーズン2度目。前回はリーグ第12節でトヨタ自動車ヴェルブリッツに悔しい逆転負け(15-22)を喫しました。
シーズン最終戦を迎えた今こそ、チーム一丸の勝利で記憶を上書きしたいところです。
決戦の相手となったキヤノンは、シーズン開幕前にヘッドコーチが辞任するという波乱があり、序盤こそ連係ミスが目立ちましたが、尻上がりに調子を上げていました。
安定したセットピース(スクラムやラインアウト)が強みの一つで、アークスとしては注力するセットピースの腕試しをする格好の相手。前回の対戦では8-3(第11節/東京・秩父宮)で接戦をものにしており、連勝を狙います。
快晴ながら1月の寒風が吹きつける状況のなか、真継丈友紀レフリーの笛で、今シーズン最後の80分間がついにキックオフを迎えました。
序盤から相手のブレイクダウン(ボール争奪局面)の圧力に抵抗しながら、アークスはボールを積極的に左右へ展開。
先制点は前半7分、アークスが自陣で反則を犯し、キヤノンがペナルティーゴール(PG)を決めて3点を先制。
しかしこの日は、ハンドリングエラーでたびたびボールを失うキヤノンに対し、アークスは比較的ミス少なくボールを保持。スクラムやラインアウトも好調で、試合の主導権を握り、随所で魅力を披露しました。
相手の猛攻をしのいで迎えた前半10分、アークスは自軍ボールのファーストスクラムで重圧をかけて相手の反則を引き出します。
同14分には敵陣左でのマイボールラインアウトを確保してアタック開始。右大外から大きく左へ振ると、この日フルバックで先発した小倉順平のグラバーキックを2人で追いかけ、こぼれ球を確保。
ここでボールを手にしたFL金正奎キャプテンから、フォローしていたHO三浦嶺へボールがつながり前半16分に逆転トライ。FB小倉のゴールキックも成功して、7-3と逆転に成功します。
アークスはこの日絶好調のNO8アマナキ・レレイ・マフィのライン突破、WTB小泉将のジャッカルなどを起点に敵陣へ攻め込みますが、相手ディフェンスの抵抗もあって仕留め切れない時間帯が続きます。
【出血/前半20分→前半27分】LOヴィリー・ブリッツ→アイザック・ロス
自陣でディフェンスを続けていた前半24分、相手のノックオンから攻撃権を得たアークス。ボールを左展開したところでCTB石橋拓也が、防御網の隙間を縫ってビッグゲイン。
嗅覚鋭いダッシュでフォローしていたFL金キャプテンへボールはつながり、最後はパスを受けたFB小倉が一瞬の加速で相手を抜き去り、ゴール下にチーム2トライ目!
自陣から切り返すトライを挙げ、ゴール成功で14-3とリードを広げました。
試合のリスタート直後には、NO8アマナキが塞がっていたディフェンスラインをこじ開けてゲイン。直後のSO友井川拓のキックを3人でチェイスし、囲まれた相手はやむなくボールをタッチへ蹴り出します。
しかしキックでの応酬後、キヤノンが攻勢を仕掛けていた前半32分。
相手10番の防御裏へのショートキックを確保したキヤノンは、すぐに右展開して数的優位を相手8番が仕留めました。ゴールも成功し、14-10と詰め寄られます。
アークスはアタックを仕掛けていた前半37分、相手7番にパスをインターセプトされ独走を許しますが、CTB石橋が懸命なタックルで止めきります。
ここでキヤノンはすぐ右大外へ展開してインゴールへ持ち込みますが、直前のラストパスがスローフォワードの判定となりノートライに。
すんでのところで逆転を免れ、終了間際のキヤノンの猛攻もしのぎ、4点リード(14-10)のまま前半を折り返します。
迎えた後半は、アークスの攻撃力が爆発しました。
キックオフ直後、アークスはSH光井勇人のボックスキックを確保。ボールを左右に振って敵陣22mへ入ると、ショートサイドでSH光井→WTB鶴田諒→PR上田竜太郎とつないでさらにゲイン。
最後はSO友井川がゴール前で突破し、鮮やかなノーホイッスルトライ!ゴール成功で21-10とリードを広げます。
後半7分には敵陣でのマイボールスクラムを力強くプッシュ。相手の反則を引き出し、ここでショットを選択。同9分、FB小倉のPG成功で3点を追加します。24-10。
アークスの攻勢は続きます。
ハンドリングエラーでチャンスを失うキヤノンに対し、後半13分、相手キックのこぼれ球を捕球したSH光井が、細かいステップからスピードを活かしてラインブレイク。
右でフォローしていたNO8アマナキへボールは渡り、そのまま無人の相手インゴールで難なく押さえました。ゴール成功で31-10となります。
【HIA/後半 14分→後半24分】FL金正奎→栗原大介
さらに“劇場”は続きます。
後半17分、センター付近のマイボールスクラムでFW陣が真っ直ぐ押すと、SH光井が左へ配球。ループプレーからCTB石橋が突破し、ここで巧みなオフロードパスを受けたのはWTB小泉。
そのまま大きなストライドで力強く快走し、スクラムからの一次攻撃で左隅へトライ(ゴール成功)!
後半は怒涛の3連続トライで、38-10と大量28点のリードを得ます。
【選手入替/後半 21分】CTBブラッキン・カラウリアヘンリー→エルトン・ヤンチース
【選手入替/後半 29分】PR三宮累→小野慎介/NO8アマナキ・レレイ・マフィ→アイザック・ロス
しかし前節の豊田自動織機戦でもリードした状況から追い上げられるなど、勝ち切れない試合が続いていたアークスは、ここから相手に3連続トライを許します。
この日が引退試合となった元日本代表キャプテン・菊谷崇が投入され、勢いを増したキヤノン。
スクラムではレフリーの笛に苦慮したこともあり、後半19分、27分、31分と3連続トライを許し、9点差(38-29)まで追い上げられてしまいます。
【選手入替/後半 32分】FL山下弘資→石神勝
【選手入替/後半 35分】SO友井川拓→溝口裕哉
【選手入替/後半 40分】PR上田竜太郎→楢山直幸
突如パスが乱れ始めるなど、ペースを乱したアークス。後半39分にキヤノンがPGを決めて、ついにリードは1トライ1ゴールで逆転可能な6点(38-32)となります。
逆転劇を狙うキヤノンは試合終了間際、ボールを継続してラストアタック。
しかし最後はノックオンでゲームが止まり、80分間の終了を知らせる笛。最終スコアは38-32で、見事シーズン最終戦を勝利で飾りました。
カンファレンス制が導入された2017-2018シーズン。
アークスが所属したレッドカンファレンス全8チームの総勝ち点が「277」であるのに対し、もう一方のホワイトカンファレンス所属8チームの総勝ち点は「220」。
明らかな激戦区となったレッドカンファレンスを戦い抜いた結果、リーグ戦の最終順位は5位(総勝ち点31)でした。
9位決定トーナメントに回りましたが、最後は2連勝で飾り、アークスの2017-2018シーズンの最終順位は9位となりました。
総合順位決定トーナメントを含めた勝敗は8勝1分6敗でした。
この日の試合後には石神勝選手のリーグ通算120キャップ達成記念表彰がありました。
シーズン最終戦を勝利で終えたアークスは、最後にチームで記念撮影。
FL金キャプテンは「自分たちが望んだ結果ではなかったのですが、チームが成長するために必要なことは一つひとつできてきています。来季にもっと成長するためにハードワークしていきます」と、前向きな抱負で2017-2018シーズンを締めくくりました。