雨ニモ負ケズ"Arcs Attack"炸裂!
スクラムでも圧倒し、今季リーグ最多得点&最多得点差で大勝。
国内最高峰の戦い「ジャパンラグビー トップリーグ2017-2018」は、ウィンドウマンス(代表活動期間)直前となる第9節を迎えました。
10月21日(土)、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(以下アークス)が、東京・秩父宮ラグビー場で相まみえたのは、コカ・コーラレッドスパークス(以下コカ・コーラ)です。
大型台風21号による影響で、試合当日はあいにくの荒天。
しかし熱心なファンの皆さまにご来場頂き、この日も特設ブースでは選手達が受付を担当しました。
対戦相手のコカ・コーラはここまでリーグ戦で唯一白星のないチーム。
0勝8敗でホワイトカンファレンスの最下位(総勝ち点2)に沈んでいるとあって、アークスとしては確実に勝利を挙げておきたいところ。
一方のアークスは、4勝4敗でレッドカンファレンスの5位(総勝ち点18)。勝ち星で一進一退が続く中、トップリーグ中断前に白星先行に戻したい局面です。
この日のアークスは、スターターにPR上田竜太郎、HO須藤拓輝、WTB菊池功一郎といったフレッシュなメンバーを揃え、またスタンドオフには前キャプテンの友井川拓、フルバックには10番(スタンドオフ)が本職の小倉順平が入りました。
注目の第9節は、雨が降り続く中、午後2時に大槻卓レフリーの笛でキックオフとなりました。
この日のアークスは序盤からワンサイド・ゲームを展開。
前半2分、アークスは自陣10m付近のラインアウトからアタックを仕掛け、CTB石橋の突進を交えてから左展開。
すると、スタンドオフでの先発はこの日が"入社後初"というSO友井川が、ギャップを見逃さず相手守備網を突破。
抜け出したSO友井川からCTBシェーン・ゲイツ、そして最後はこの日が今季初出場・初先発のWTB菊池へ!そのまま左中間にトライを決め(ゴール失敗)、5点を先制します。
この日はスクラムでも相手を圧倒。
前半9分頃に迎えたファーストスクラムでは、第1列にPR上田、HO須藤、PR三宮累を据えたFW陣が強烈なプレッシャーをかけます。
そしてスクラムでも優位に立って迎えた前半15分。
相手の反則からクイックスタートしたアークスは、ラック周辺で細かい突破を重ねて敵陣深くに侵入。相手陣22mのラックから右展開すると、CTB石橋が接点で粘り、右サイドへオフロードパス。
ボールを受けたCTBゲイツが数的優位を作り出す好走を見せ、そのままCTBゲイツ→FB小倉とつなぎ、ラストパスを受けたWTB鶴田諒が右隅にグラウンディング!
ゴール失敗も10-0とリードを広げます。
チーム3トライ目は、なんとトライ直後のリスタートキックから約15秒後でした。
コカ・コーラのリスタートキックがこぼれ球となり、これをCTBゲイツが確保。裏へ抜け出すと、一人で防御裏へキックを蹴り込み、ドリブルを重ねてさらにゲイン!
そのまま約70メートルを一人で走り切り、プレー再開から約15秒でトライ。FB小倉のゴールも成功してリードは17点となります。
アークスの攻勢に対し、コカ・コーラも出足鋭いディフェンスで対抗。
しかし前半22分、キックカウンターからSO友井川が防御裏へ絶妙なチップキック。みずから捕球して裏へ出ると、CTB石橋→WTB鶴田とつなぎ、ふたたびパスを受けたCTB石橋が走り切ってインゴールへ!
SO友井川の足技から、豊富なサポートランナーにより4トライ目をもぎとり(ゴール成功)、リードは24点に。
この日はSO友井川が「フォワードが勝ってくれたので、すごくコントロールしやすかったです」と振り返るなど、終始フォワードが圧力をかけ続けました。
前半27分には、相手のラックでの反則から敵陣ゴール前に進むと、ラインアウトモールで前進。ここで今季初出場・初先発のHO須藤が、NO8ヴィリー・ブリッツと共にインゴールへなだれ込み、HO須藤がスコア!
さまざまなトライパターンでチーム5トライ目(ゴール成功)を挙げます。
前半30分、SO友井川が接触により倒れた直後の相手ボールスクラム。
ここで8人のアークスFWは、PR上田のトイメン選手(相手3番)がめくれ上がる強烈なスクラム!
試合後にFL金正奎キャプテンが「先週から替わったメンバーが、スクラム、セットピースで頑張ってくれて素晴らしく成長したと思います」と振り返るなど、アークスが強力スクラムで魅せました。
前半最後のトライを飾ったのは、25歳の"アタッキング・ハーフ"。
アークスは前半35分、敵陣右10m付近でのラインアウトからモールで前進。
ここで相手が2度にわたりオフサイドの反則を犯して前進が止まると、SH光井勇人が、相手ディフェンスの間隙を縫ってショートサイド裏へ。
ディフェンダー4人を次々と抜いて、そのまま快足を飛ばし右隅へトライ!SH光井の個人技でトライ(ゴール)を奪い、38-0とリードして前半を折り返します。
後半に入ってもアークスの猛攻は止まりません。
後半4分には、キックカウンターからFB小倉が加速から相手守備網を破って敵陣へ。フルバックとしての適性を示すと、SH光井の球さばきからLOアイザック・ロス、FL金キャプテンらが走り込んでゴール前へ。
ゴール目前の混戦からフィニッシュしたのはHO須藤!今季初出場でこの日自身2トライ目を挙げて(ゴール成功)、後半開始わずか7分で45-0としました。
【HIA/後半 8分→後半14分】HO須藤拓輝→三浦嶺
【選手入替/後半 11分】NO8ヴィリー・ブリッツ→ラーボニ・ウォーレンボスアヤコ
ロブ・ペニー ヘッドコーチが「今日はこの天候(雨)で正確性が良かった」と語った通り、アークスはボールの滑りやすい天候ながらミスが少なく、またペナルティを犯して自陣で後退していったのはコカ・コーラ。
後半13分には、相手のペナルティから敵陣へ入ると、アークスはハンドリングエラーもなく7次攻撃を重ねます。
そしてラッシュしてくるディフェンスの中、8次攻撃目でゲイツ→石橋→鶴田が巧みなハンドリングでボールをさばき、最後はLO鶴谷からパスを受けたFB小倉が難なくインゴールへ!
自身でゴールも決めてリードは52点に。
後半15分にはスクラムで完勝してペナルティを獲得。
この日安定していたラインアウトからモールを組んで前進すると、ここでモールオフサイドの反則を繰り返したコカ・コーラへシンビン(10分間の一時退場)判定。
そして後半20分、14人となったコカ・コーラへ、アークスはインゴール目前でラック脇を猛攻。最後はCTBゲイツがもぐりこんでこの日自身2トライ目!ゴール成功でリードは59点。
【選手入替/後半 21分】PR三宮累→白隆尚/LO鶴谷昌隆→栗原大介/CTBシェーン・ゲイツ→ブラッキン・カラウリアヘンリー/SO小倉順平→小野寛智
さらに4分後、相手の故意のノックオンにより敵陣へ侵入したアークス。連続攻撃から途中出場のブラッキン・カラウリアヘンリーが接点へ走り込んでトライ!
アークスが誇るタレントが、ミス少なくゲインを切る展開でチーム9トライ目を挙げて、こちらも途中出場した小野寛智のコンバージョンキックも成功。リードは大量66点となります。
【選手入替/後半 25分】SH光井勇人→湯本睦
一方、スクラムでの完勝劇はさらに続きました。
後半27分には7人の相手ボールスクラムをターンオーバー。続けて起こった相手ボールでのスクラム戦でも8人が足を掻き、猛プッシュを披露します。
【選手入替/後半 31分】PR上田竜太郎→庵奥翔太
【選手入替/後半 33分】HO須藤拓輝→三浦嶺
さらには後半33分、フロントロー(FW第1列)がPR庵奥翔太、HO三浦嶺、PR白隆尚に替わったアークスは、敵陣左での相手ボールスクラムでも完勝。
ここで相手ボールがインゴール外(デッドボールライン)へ出たことにより、迎えたマイボールでの敵陣ゴール前スクラム。
局面的にスクラムトライを狙える勝負の場面で、アークスFWはここでも力強いプッシュ!そのまま16本の足で前進し、レフリーがペナルティトライのコール。強力スクラムでこの日チーム10本目のトライを挙げ、ついにスコアは73-0に。
しかし後半38分、コカ・コーラも反撃。
アークスのペナルティから速攻で攻め込むと、一瞬の穴を突いたビッグゲインと連続攻撃を重ねて、最後は途中出場の相手17番が左中間にトライ。ゴール成功で7点を返されます。(73-7)
ここで嫌な流れを断ち切ったのは、多彩なキックで魅せるSO友井川でした。
フルタイムを知らせるホーンが鳴る中、敵陣右スクラムを組んだアークス。一度センター付近でラックを作ると、途中出場のSH湯本睦から、ボールはラック真後ろのSO友井川へ。
ボールを受けたSO友井川が右脚を振り抜くと、ボールがHポールを射抜いてドロップゴール成功。3点追加となったところでレフリーがノーサイドの笛。
マン・オブ・ザ・マッチには2トライを挙げたHO須藤拓輝が選ばれました。
最終スコアは76-7となり、これでチームの得失点差は「マイナス21」から「プラス41」へ転換。また1試合76得点は、第9節終了時点での今季リーグ最多得点。69点差も今季最多得点差という大勝で、アークスはウィンドウマンス(代表活動期間)前の最終戦を飾りました。
アークスはこれで5勝4敗と勝ち越し。順位はレッドカンファレンスの5位のままですが、3トライ差以上のボーナスポイントも獲得して勝ち点「5」を積み重ね、総勝ち点は「23」となりました。
約一ヶ月のトレーニング期間を経て迎える12月2日(土)の第10節は、東京・秩父宮ラグビー場で、同じレッドカンファレンス所属の神戸製鋼コベルコスティーラーズ(以下神戸製鋼)と対戦します。
レッドカンファレンスの2位だった神戸製鋼が第9節で今季3敗目を喫したことで、同カンファレンスは混戦に。12月のリーグ戦残り4試合が、さらに重要な意味を持つことになりました。12月は見逃せない、負けられない闘いが続きます。