快調な出だしも逆転負け喫す。
スクラムで劣勢強いられ今季4敗目。
約1か月のトップリーグ中断期間まで残り2試合。
第8節を迎えたトップリーグで、我らがNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(以下アークス)は、10月14日(土)、静岡・エコパスタジアムで、ヤマハ発動機ジュビロ(以下ヤマハ発動機)と対戦しました。
会場となったのはヤマハ発動機のホームとなるエコパスタジアム。
2019年ラグビーワールドカップ日本大会の会場にもなっている敵地へ乗り込み、今季5勝目を目指しました。
対戦相手のヤマハ発動機は、ここまで5勝2敗でホワイトカンファレンス2位。昨シーズンのトップリーグで準優勝している手強い相手です。
ヤマハ発動機の強みは、トップリーグ最強とも謳われるスクラム。2011年シーズンからスクラムの本格強化に着手し、過去2度にわたりスクラムを組むためだけにフランスへ遠征するなど、徹底的にスクラムを強化。強いこだわりを持つことで知られています。
アウェイゲームとなったアークスは、前節でNTTドコモレッドハリケーンズとの"NTTダービー"を制して4勝3敗。レッドカンファレンスの4位につけていました。
試合直前になって雨が降り、芝生も濡れてハンドリングエラーの起きやすい状況に。ノックオンやスローフォワードの反則を犯せば、ヤマハ発動機の強みであるスクラムからのプレー再開となります。
暗雲が垂れ込めるなか、試合は午後2時にキックオフを迎えました。
序盤戦で輝きを放ったのは、アウェイのアークスでした。
試合開始早々、相手がオフサイドの反則を犯して前進したアークス。ここでさらに相手6番がラインオフサイドの反則を犯します。
ここでアークスはペナルティーゴール(PG)を選択。SO小倉順平が冷静に決めて、幸先良く3点を先制します。
そして立て続けに前半7分、アークスにトライが生まれました。
相手のキックを捕球したWTB鶴田諒が、キックカウンターからチップパント。これをみずから捕球してディフェンスの裏へ。ここからFL金正奎キャプテン→LO鶴谷昌隆とつないで敵陣へ。
さらに連続攻撃を重ねて相手インゴールへ迫ると、SH光井勇人がラック脇のスペースを見逃さずにランを選択。
さらにサポートしていたCTBシェーン・ゲイツが力強くゲインして、左隅に先制トライ!SO小倉のゴールも成功し、アークスが10-0とリードを広げます。
しかしスクラム戦にこだわるヤマハ発動機が次第に反撃。
前半11分、アークスはファーストスクラムを押し切られてペナルティを与えてしまいます。しかし直後のアタックで、インゴールを割られながらもFBブラッキン・カラウリアヘンリーが相手にグラウンディングを許さない"トライセービング"を披露。
さらに続くヤマハ発動機のアタックで、今度はNO8アマナキ・レレイ・マフィがラックで相手に絡みつき、ノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘います。
アークスはその後もスクラムでプレッシャーを受けますが、FL金キャプテンがタックルから相手4番のノックオンを誘うなど、ディフェンスで粘り失点を防ぎます。
しかしヤマハ発動機は前半27分、相手陣左のラインアウトから12番がラインブレイク。そのまま突進を許して、ゴールも決められ10-7と迫られます。
【HIA/前半29分 → 前半39分】WTBマックス・ウッドワード→小野寛智
この辺りから雨は本降りとなり、本格的な雨中戦に。
強力スクラムを起点に攻勢をかけるヤマハ発動機ですが、ラインアウトではこの日ルーキーのLO牧野内翔馬が再三スティールで攻撃権を奪うなど、ラインアウトの攻防ではアークスが優位。
ハイパントを捕球したことで前半33分頃から始まったヤマハ発動機のアタックに対しては、FL金キャプテンをはじめPR庵奥翔太、PR三宮累ら若手フォワード、CTB石橋拓也らのバックス陣も運動量豊富にディフェンスで粘ります。
ところが前半37分、自陣ゴール前スクラムからヤマハ発動機の13番がインゴールへ突進。
ここはFL金キャプテンらが3人掛かりで止めきりますが、すぐ走り込んできた相手8番にトライラインを割られ、相手15番のゴール成功で10-14。
4点のビハインドで前半を折り返します。
【選手交替/前半 39分】WTBマックス・ウッドワード→小野寛智
盛り返したいアークスですが、後半はFL金キャプテンが「規律の部分は前半良かったのですが、後半は良くありませんでした」と語った通り、ラックなどでの反則が増えてしまいます。
後半5分にはラックでの反則を取られて自陣ゴール前へ後退。ヤマハ発動機の連続攻撃を受けるなかでさらにラックで反則をしてしまい、ここでヤマハ発動機はスクラムを選択。
スクラムを押しきられ、アークスが反則でトライを防いだとして認定トライ(7点)を与えてしまい、スコアは10-21に。
【選手交替/後半 16分】LO鶴谷昌隆→アイザック・ロス/FBブラッキン・カラウリアヘンリー→友井川拓
さらに後半20分、アークスは自陣のラックで反則を犯し、相手15番がPGを成功させて10-24。リードを広げられてしまいます。
【選手入替/後半 20分】PR庵奥翔太→楢山直幸/HO三浦嶺→種本直人/PR三宮累→白隆尚
【選手入替/後半 27分】WTB鶴田諒→鶴谷知憲
後半31分には途中出場の相手20番にビッグゲインを許してしまい、ふたたび走り込んできた相手8番にゴール下を奪われ(ゴール成功)、10-31とされます。
【選手入替/後半 33分】FL栗原大介→杉浦直人
この日は両チームにノックオンが増え、必然的に増えたスクラム戦でたびたびペナルティを与えてしまったアークスの攻撃機会は少なく、後半はほとんど敵陣深くでプレーをすることができませんでした。
しかし、ヤマハ発動機がいわば雨中戦でのセオリー通り、自陣ではキックを使い、敵陣深くでは少ないパスでゲインを目指したのに対し、アークスは積極的にボールを動かすアタックを展開。得意のスタイルを貫く姿勢を見せます。
後半終了間際、アークスはふたたびスクラムで劣勢を強いられるも、ボールを確保して自陣から左展開。
トライを目指してSO小倉がビッグゲインを切ると、80分を知らせるホーンのなかで波状攻撃。
しかしパスミスを確保されて自陣へ後退すると、後半ロスタイムとなる44分、2度にわたるスクラム戦を起点にインゴール左隅を奪われてしまい(ゴール失敗)、ノーサイド。
アタックでは雨のなか積極的にボールを動かし、ディフェンスではラインアウトやフィールドなど随所で奮闘するも、スクラムでの劣勢から自陣へ。最後はパワーで押し切られる形で、最終スコアは10-36となりました。
これでアークスは4勝4敗の五分に戻り、レッドカンファレンス5位へ。
次戦は10月21日(土)、東京・秩父宮ラグビー場で、今シーズン唯一の未勝利チームであるコカ・コーラレッドスパークスと対戦します。