前半は苦戦も、後半は修正。
昨季敗戦の豊田自動織機から価値ある3勝目!
1週間の中断を挟んだ「トップリーグ2017」は第5節へ。
2勝2敗の我らがNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(以下アークス)は、9月23日(土)、敵地の愛知・ウェーブスタジアム刈谷に乗り込み、0勝4敗の豊田自動織機シャトルズ(以下豊田自動織機)と対戦しました。
昨季は豊田自動織機に悔しい敗戦(●19-33/第11節)を喫したアークス。
昨季の雪辱を果たすべく臨んだアウェーゲームは、好天もあって約4000人収容のスタジアムに4933人が来場。雪辱戦の舞台は整いました。
会場になったウェーブスタジアム刈谷は、刈谷市に本社を置く豊田自動織機のお膝元。
開幕4連敗でホワイトカンファレンス6位(総勝ち点1)の豊田自動織機ですが、同会場では今季唯一のトップリーグ開催とあって、チームの気合は十分。
しかし決勝トーナメント進出(各カンファレンスの上位2チーム)を狙うアークスは、ここで負けるわけにはいきません。
所属するレッドカンファレンス4位(総勝ち点10)から、4戦全勝中の1位サントリーと2位神戸製鋼、そして3位トヨタ自動車を追いかける展開だけに、ここは着実に勝ち星を重ねておきたいところ。
必勝の課されたゲームは夕方5時、小川朋弘レフリーの笛が鳴り、アークスボールでキックオフとなりました。
キックオフボールを確保したアークスは、小泉将、鶴田諒の両ウイングまでボールを回すアタックを展開。
序盤から他チームとは一線を画すダイナミックな攻撃を見せ、キックカウンターではCTB石橋拓也がライン突破。それぞれが持ち味を発揮します。
しかし前半7分、先制点を挙げたのは豊田自動織機でした。
アークス陣内に攻め込んで7次攻撃を重ねた豊田自動織機は、ショートサイドで相手11番が内に切れ込んでラインを突破。
そのまま左中間にスコアされ、トライ後のゴールキックは不成功も、豊田自動織機に5点を先制されます。
追いつきたいアークスは前半15分。ゴール前ラインアウトのチャンスを得ると、チームはNO8アマナキ・レレイ・マフィの突進を交えながら前進。
そしてこの日絶好調だったCTB石橋がディフェンスを切り裂くと、運動量豊富なPR庵奥翔太へ内返しのラストパス。そのままPR庵奥がインゴールへ突進して右中間にグラウンディング!
SO小倉順平のゴールキックも成功し、7-5と逆転に成功します。
ホームの声援を受けた豊田自動織機も反転攻勢し、前半20分頃から14次攻撃を展開。
しかしアークスの粘り強いディフェンスに、最後は相手9番が防御裏へキック。ボールはタッチラインへ出て、自陣ゴール前ながら攻撃権を奪い返します。
ここで得たマイボールラインアウトから左へ展開したアークスですが、相手13番が狙いすましたインターセプト。
目の前のインゴールへ走り込んでタッチダウンし、相手10番のゴールも決まって7-12。思わぬ形で失点を喫しました。
悪い流れを断ちたいアークスですが、チャンス時でのノックオンやターンオーバーもあってスコアにつなげることができず。
このまま後半突入と思われた、前半40分でした。
相手のハーフウェイライン付近のラインアウトが乱れ、ここまで全試合スタメンのHO三浦嶺がこぼれ球を確保。生まれたラックからNO8アマナキが一瞬のスキをついてピック&ゴー。
無人の右サイドを疾走し、相手11番に掴まれながらも同点トライ!ゴールは失敗も、前半終了間際に貴重な追加点を手にしました。
前半を同点で折り返したアークスですが、「2年前に同じプレーをしていたら負けていたと思いますが、今年は違います」とは、ロブ・ペニー ヘッドコーチの試合後コメント。
陽が落ちて照明の色濃くなった後半は、しっかりと修正し、アークスらしさが光りました。
後半最初のスコアはアークス。
後半1分、キックゲームに勝利して敵陣に入ったアークスは連続攻撃を開始。
ここで豊田自動織機がオフサイドの反則を犯し、ショットを選択したアークスはSO小倉がHポールを射抜いて3点追加。幸先よく15-12と勝ち越します。
さらに相手ボールのキックオフで再開された直後の後半3分、ボールをつないだアークスは、自陣からCTBブラッキン・カラウリアヘンリーがビッグゲイン。
タックラーに触れられず突破した回数を示す「クリーンブレイク数」が12回でリーグ単独トップ(第5節終了時)の29歳が実力を披露。
さらに大外ではSO小倉のキックパスをLOアイザック・ロスが空中キャッチ。アークスの多彩な個性が会場を沸かせます。
しかし直前のプレーでFL栗原大介がシンビン(10分間の一時退場)となり、不運な形で14人になると、一転、豊田自動織機が波状攻撃。
最後はクイックリスタートから相手10番がトライ(ゴール成功)を決めて、15-19と逆転を許します。
流れを戻したいアークスは後半15分。
相手のキックからカウンターを仕掛けると、CTB石橋からパスを受けたLOアイザック・ロスがラックを飛び越えて前進!チーム7年目、身長201センチの大型LOのジャンプにスタンドからどよめきが起こります。
さらにオフロードパスを受けたCTBカラウリアヘンリーが、そのまま左タッチライン際を疾走!インゴールへ駆け上がってスコアし、SO小倉のコンバージョンも成功。
14人のアークスが22-19と逆転します。
【選手入替/後半16分】FL栗原大介→鶴谷昌隆
さらに3分後の後半19分。
ルーキーSH湯本睦のビッグゲインからチャンスメイクしたアークスは、さらにCTB石橋、WTB鶴田とつないで敵陣へ。
すると豊田自動織機がオフサイドの反則。ここはSO小倉がペナルティゴールを成功させて、リードを6点(25-19)に広げます。
引き離すか、接戦に持ち込まれるか――。追加点の欲しい6点リードのアークスは、後半21分でした。
WTB小泉の粘り強いゲインなどを足場に、敵陣でボールを右展開したアークス。LOアイザック・ロスがふたたびライン突破を見せ、さらにオフロードパスを受けたCTB石橋がそのまま右中間へ!
日本代表4キャップ、慶應大出身のCTB石橋のトライ(ゴール)が決まり32-19。リード拡大(13点)に成功します。
【選手入替/後半23分】FB小川優輔→マックス・ウッドワード
【選手入替/後半25分】HO三浦嶺→種本直人
ホームで負けられない豊田自動織機も諦めません。
後半25分にはWTB鶴田がレイトタックルでシンビン判定を受け、アークスはふたたび14人に。
チャンスと見た豊田自動織機ですが、アークスはFL金正奎キャプテンが「苦しい場面があったが意識高く守り切った」と振り返ったディフェンスを披露。
スクラム戦でもコラプシングを犯すなどした豊田自動織機を、敵陣へ追いやります。
【選手入替/後半29分】PR三宮累→小野慎介/SH湯本睦→友井川拓
逆にアークスは後半30分、マイボールスクラムを強烈にプッシュ。ペナルティを獲得した状態でNO8アマナキが流石のビッグゲインを見せます。
【選手入替/後半34分】PR庵奥翔太→楢山直幸/LOアイザック・ロス→ラーボニ・ウォーレンボスアヤコ
後半終了間際、逆転の望みをつなぎたい豊田自動織機に攻め込まれ、スクラムを基点に1トライ(ゴール失敗)を返されますが、最後は相手をタッチラインに引きずり出して、ノーサイド。
前半は苦しみながらも後半に魅力的なアタックを見せたアークスが32-24で勝利。マン・オブ・ザ・マッチには再三のライン突破で魅せたCTB石橋が選出されました。
3勝2敗となったアークスは、レッドカンファレンス4位残留も、勝ち点4を上積みして3位トヨタ自動車ヴェルブリッツとの勝ち点差を「1」に縮めました。
次戦は10月1日(日)、宮城・ひとめぼれスタジアム宮城で、開幕5連勝中のパナソニックワイルドナイツと対戦します。