Select Language : English 日本語
Global Site : NTT Ltd.

インダストリー4.0とは?
日本の製造業への応用やドイツの狙いをわかりやすく解説!

IoTの普及にともない、日本の製造業において、ドイツ発のインダストリー4.0が注目を集めています。しかし、そもそもインダストリー4.0について詳しくは把握していないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、今後の日本のものづくりにとって重要視されるインダストリー4.0の概要や特徴、ドイツが政策を打ち出した背景、日本版インダストリー4.0について説明します。

ドイツ発のインダストリー4.0は、日本の製造業を中心に各業界の注目を集めています。この記事では第4次産業革命を起こす取り組みであるインダストリー4.0の概要や特徴、ドイツが政策を打ち出した背景などを解説していきます。

インダストリー4.0とは?

インダストリー4.0は、ドイツ政府が2011年に発表した産業政策です。和訳すると「第4次産業革命」。製造業においてIT技術を取り入れ、改革することを目指すというものです。

まずは、第1次産業革命から第3次産業革命までを簡単に振り返ってみましょう。

18世紀後半にイギリスで起こった第1次産業革命では、人の手で行なっていた軽工業を水力・蒸気機関を動力として機械化しました。当時のイギリスでは綿花を加工した綿織物を輸出していましたが、織機と紡績機を蒸気機関により動かすことで作業能率が上昇し、イギリスは『世界の工場』と呼ばれるまでに発展します。この第1次産業革命は、ベルギーやフランス・アメリカ・ドイツへと広がっていきます。

その後、19世紀後半に起こったアメリカやドイツを中心とした第2次産業革命では、製鉄業や造船業といった重工業を、石油と電力を活用して機械化。製造業の大量生産化が進みました。背景には、ドイツが蒸気機関より小型化できるガソリンエンジンを発明し自動車や飛行機が実用化されたことや、アメリカにおいてエジソンが電球を多くの人に使ってもらうために発電所を作り、電気が産業化されたことにあります。このころには、アメリカが世界経済において首位に躍り出ています。

続いて、20世紀後半に起こった第3次産業革命は「デジタル革命」とも呼ばれています。IT技術を活用したコンピューターによる単純作業の自動化が進み、製造業や流通業などにIT技術が導入され、生産ラインを人間の指示により自動化できるようになりました。この時期に著しい成長を見せたのが、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などのIT企業です。

インダストリー4.0の設計原則

現代に第4次産業革命を起こす取り組みであるインダストリー4.0には、以下4つの設計原則があります。

  • 相互運用性
  • 情報の透明性
  • 技術的アシスト
  • 分散的意志決定
相互運用性

相互運用性とは、モノ・人・システムを問わず、生産に関連するものすべてをつなぐことを意味します。モノ・人・システム間で情報を密接にやりとりし、さまざまなセンサーやデバイスを連携してリアルタイムにデータを収集することで、自律的な意思決定を可能にします。

情報の透明性

情報の透明性とは、集めたデータをもとに仮想モデルを作成し、可視化することです。集めたデータは製品開発や需要の分析など、さまざまな方面に活用できます。

技術的アシスト

技術的アシストとは、センサーやデバイスを使ってデータ収集をサポートすること、重労働や危険な作業を産業ロボットで代替することなどを意味します。

分散型意思決定

分散型意思決定とは、現実世界で収集したデータをサイバー空間で分析し、現実世界へフィードバックするCPS(Cyber-Physical System:サイバーフィジカルシステム)と呼ばれる仕組みを用いて、生産ラインの意思決定をできる限り自律化することです。

インダストリー4.0を導入することのメリット

インダストリー4.0が進めば、工場の完全な自動化に近づく可能性が高いでしょう。また、収集したデータを管理することで生産性の効率が向上すると考えられます。

インダストリー4.0の中核となるコンセプトは「スマートファクトリー」、和訳すると「考える工場」です。スマートファクトリーを実現した工場では、センサーによりデータを適切に把握することで、人間の指示がなくても自律的に機械が判断し、最適なオペレーションを実施することが可能です。

インダストリー4.0のメリット
  • 工場の自動化
  • 収集したデータを活用することにより生産性向上
  • AIによる最適なオペレーションの実現

メリットがある一方で、インダストリー4.0によって生産工程が自動化されれば、生産ラインの大幅な省力化が見込まれることから、雇用機会の消失や失業率の上昇が懸念されています。

インダストリー4.0をドイツが推し進める背景

「インダストリー4.0をドイツが推し進める背景」イメージ画像

ドイツが国を挙げてインダストリー4.0を推進する要因としては、まずアジア諸国などドイツの競合となる国の技術力が向上していることへの危機感があります。また、ドイツにおける既存システムが、スマートファクトリーに最適な構造となっていることも理由の一つです。

安くて高品質のアジアやアメリカの商品への危機感

アジア諸国では、ボトムアップ型のトヨタ生産方式が導入され、短納期・高品質・低価格の製品を世界に届けています。

一方でアメリカなどでは、トヨタ生産方式にトップダウン型の考えを取り入れ再構築したリーン生産方式で、成果を上げています。

このように、競合国がそれぞれ独自の施策が実施していることに対し、一歩出遅れているという危機感が、ドイツがインダストリー4.0を推進している背景として考えられるでしょう。

ドイツのマイスター制度がスマートファクトリーを促す

インダストリー4.0の中心的なコンセプトであるスマートファクトリーは、ダイナミックセル生産を新たな生産方式としています。ダイナミックセル生産とは、同じ製品を大量生産するライン生産と、一人もしくは一つのチームが最初から最後まで一貫して生産する少量生産に適したセル生産を組み合わせたものです。

ドイツではかねてよりものづくりが盛んであり、現在でも徒弟制度やマイスター制度で技術が受け継がれています。また、ドイツの工場は全体の7~8割が中小規模です。そのため、熟練職人のいる複数の中小規模の工場を、IT技術でつなぐスマートファクトリーに対応しやすいといえるでしょう。

インダストリー4.0が進めば、ドイツの強みを活かしながら品質を向上させ、国内の製造業をレベルアップしていくことが可能になります。

インダストリー4.0の軸となるテクノロジー

「インダストリー4.0の軸となるテクノロジー」イメージ画像

インダストリー4.0は、6つのテクノロジーを柱としています。ここでは、インダストリー4.0の大枠を知るために、各テクノロジーの特徴を確認しましょう。

IoT(モノのインターネット)

モノとモノをつなぐインターネットであるIoTは、スマートファクトリーを実現する要ともいえます。工場内に設置された機械のIoT化が進むことで、大量のデータを収集・分析することが可能です。

エッジコンピューティング

データが生成される場所でデータを分析するエッジコンピューティングを使用することで、データ分析をリアルタイムで行うことが可能になり、業務効率が向上します。また、エッジコンピューティングを使用すればデータは生成される場所付近にとどまるため、セキュリティリスクを低減する効果も期待できます。

クラウドコンピューティング

スマートファクトリーを実現するうえでは、複数のデータを統合する必要があります。それを可能にするのがクラウドコンピューティングです。クラウドを使用することで、大量のデータを保存できるほか、コスト効率も上がります。

AI(人工知能)

機械学習などのAIにより、取得したデータを最大限に活用できるようになります。ビジネスにおけるプロセスの可視化や将来的な予測を可能にします。

セキュリティ

インダストリー4.0ではモノをインターネットに接続することから、セキュリティ対策が必要になります。悪意のある攻撃や、ウイルスの侵入などを防ぐことが重要です。

デジタルツイン

インダストリー4.0では、現実世界のモノから収集したデータをサイバー空間上にコピーして再現する「デジタルツイン」が実現可能になります。サイバー空間でさまざまなシミュレーションができるため、新製品のスムーズな設計や生産性の向上が見込まれるでしょう。

日本版インダストリー4.0「Connected Industries」とは

日本でも、IoTやAIなどのデジタル技術を使って、新たな価値を創出する取り組みを支援する戦略「Connected Industries」を提唱しています。ここでは、日本版インダストリー4.0ともいえるConnected Industriesの概要を解説します。

Connected Industriesとは

Connected Industriesは、2017年3月に経済産業省が打ち出した概念です。具体的には、人・モノ・技術・組織などがつながることで、新たな付加価値の創出や社会的課題を解決する産業を目指します。

Connected Industriesでは、「データの共有・利活用」「データ活用に向けた基礎整備」「さらなる展開」の3つを横断的な政策としています。

データの共有・利活用

大手・中堅企業とAIベンチャーの連携および開発支援

データの共有・利活用

研究開発・人材育成・セキュリティ

さらなる展開

国際・ベンチャー・地域・中小企業への展開

また、Connected Industriesは5つの重点的な取り組み分野を柱としています。具体的には「自動走行・モビリティサービス」「ものづくり・ロボティクス」「バイオ・素材」「プラント・インフラ保全」「スマートライフ」の5分野です。

自動走行・モビリティサービス

技術開発に加え、制度整備や担い手となる事業者の発掘、社会受容性の向上を推進する

ものづくり・ロボティクス

企業が所有するデータが流通する仕組みなどを構築することにより、現場の良質なデータの価値を最大化する

バイオ・素材

生物資源などからの豊富なデータを活用し、生産プロセスの革新および新たな価値を創造する

プラント・インフラ保安

工場内のデータの協調・活用により、高度かつ効率的なスマート保安を実現し、その技術・サービスを海外展開する

スマートライフ

データを活用した高付加価値サービス市場を創出し、社会課題先進国としていち早くサービス市場を確立する

日本とドイツの違い

ドイツのインダストリー4.0は国家を挙げて推進している一方、日本のConnected Industriesはどちらかというと企業主体で推進しています。日本でも、Connected Industriesの概念を普及させるために動いてはいるものの、ドイツと比べるとまだそれほど浸透していないといえるでしょう。

インダストリー4.0の導入例について

世界の製造業、特にアメリカにおいては製造業が急速に成長している一方で、その成長を支える人材獲得がままならない状況です。また、さまざまな業界でDXが進んできていることから、製造業においてもDX実現の圧力が高まっています。

ここでは、具体的に2社の製造業分野での事例を確認していきましょう。自社のDX推進だけでなく、インダストリー4.0実現に向けて前進していることがわかります。

IBMはAIの積極的な活用で生産性を向上

IBMでは、インダストリー4.0を実現するソリューションの提供を行なっています。具体的には、AIとIoTによる生産の効率化とIT技術による分析です。

IBMのAIを活用した自動検査により不良品を削減し、生産効率が向上するほか、リアルタイムで得られるデータにより機械の状況把握、大量のデータ分析のスピードアップなどが可能です。

BMWが2030年に向けスマートファクトリーを採用

BMWは2030年に向けて、工場や社内のITシステムにおけるクラウド化・エッジ化を推進しています。これにより、大量のデータを低コストで保存できるほか、データ分析をリアルタイムで行うことが可能になります。

また、現場においてはアプリの開発を活発に進め、スタッフが必要に応じてアプリをインストールできるようにしました。現状ではさまざまな課題が残っているものの、生産効率は25%向上したといいます。

まとめ

インダストリー4.0(第4次産業革命)は、ドイツ政府が2011年に発表した産業政策で、製造業にIT技術を取り入れた改革を目指すというものです。

インダストリー4.0が進めば、工場の完全な自動化に近づいていく可能性が高いでしょう。また、収集したデータを管理することで生産性の効率が向上すると考えられます。

ドイツが国を挙げてインダストリー4.0を推進する要因としては、まずアジア諸国などドイツの競合となる国の技術力が向上していることへの危機感があります。加えて、ドイツにおける既存システムが、スマートファクトリーに最適な構造となっていることも理由の一つです。

インダストリー4.0を導入すれば、IoTやビッグデータの分析などIT技術を駆使し、生産性の効率化や原料・エネルギーのロス削減を実現できるでしょう。ただし、インダストリー4.0を導入しても、技術革新の根本となるICTの運用環境が整っていない場合は、効果を最大限に発揮できません。

NTTコミュニケーションズの「X Managed(クロスマネージド)」を活用すれば、ICTの運用環境を整えることが可能です。「X Managed」は、複雑化・グローバル化するICTオペレーションを、デジタルの力でシンプルににRe-Designすることで、ビジネスのスピードに追随するアジリティの高いITへの変革を支援し、インダストリー4.0の導入を後押します。

「X Managed」はコンサルからデリバリまでのオペレーションをワンストップで提供し、自動化や人工知能(AI)の活用により、システム運用のダウンタイム最小化を実現し、可用性とパフォーマンス維持を提供します。

インダストリー4.0の導入を検討している企業様は、NTTコミュニケーションズの「X Managed」をぜひご活用ください。

コラム一覧へ

このページのトップへ