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家と家をつなぐ
「H2H(Home to Home)」はビジネスの突破口になる!?

出口の見えないコロナ禍の中、従来のビジネススタイルを抜本的に見直す企業が増えています。その指針となるのが、家と家をつなぐ「H2H(Home to Home)」という新たな考え方です。マーケティングの世界で定着している「H2H(Human to Human)」との違いを含め、H2H実装のポイントを解説します。

従来のビジネススタイルを抜本的に見直す際の指針となるのが、家と家をつなぐ「H2H(Home to Home)」という新たな考え方です。本記事では実装のポイントを解説します。

事業者も顧客も「オフィス不在」の時代が到来

新たな変異株の登場などで出口の見えないウィズコロナ、アフターコロナ、もしくはポストコロナ時代において、もはや従来のビジネスモデルではこの局面を打破することは困難です。とりわけ、コロナ禍で大きく変化したのは働き方です。オフィスに出社しない在宅勤務、テレワーク、リモートワークなどのワークスタイルが広く浸透しました。最近の東京都の調査では、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は55.4%に至っており、感染者の減少により実施率はやや下がってはいるものの、いまだに高い数値を保っています。

このようなニューノーマル時代において、「オフィス=仕事場」の概念は古いといえるかもしれません。半ば強制的に働き方改革が実施され、フレキシブルワークスタイルともいうべき、新しい働き方が浸透しつつあります。おそらくここ数年でオフィスの在り方、仕事の回し方などのビジネス環境は確実に転換していくと考えられます。

たとえば顧客のオフィスを訪問する対面営業、顧客をオフィスに招いての対面接客、さらにはオフィス(またはコンタクトセンター)から顧客への電話の発着信といった従来のビジネススタイルは先細りになるでしょう。なぜなら、事業者側のテレワーク、在宅コンタクトセンター対応が進む一方で顧客側のオフィス不在も進んでいくと考えられるからです。相手を訪問するフィールドセールスからインサイドセールスへシフトする、あるいはそのための組織改革を行うことも検討すべきでしょう。

もはや従来のワークプレイスやオフィス主体の考え方では、ビジネスの成長は望めません。コロナ禍の中、推進された働き方改革による新しい働き方への対応が求められているのです。

これからのビジネスでは、事業者の社員と顧客の家(ホーム)と家(ホーム)をつなぐアプローチが重要になります。ここでポイントになってくるのが、「H2H(Home to Home:ホームツーホーム)」という新たな考え方です。たとえばコロナ禍において、相次いで中止になったイベントに取って代わり、講演者も視聴者も自宅のPCから参加するオンラインセミナー(Webセミナー、ウェビナー)などがわかりすい例といえるでしょう。

H2Hに似た言葉として、「H2H(Human to Human)」がありますが、これは2014年に米国のマーケティングエージェンシー、PureMatter社のCEOであるブライアン・クラマーが提唱した考え方です。B2B、B2Cに関わらず、実際のやりとりをしているのは一個人であり、企業同士であっても「顔の見える感情のある対応」を顧客一人ひとりに対して行うべきというものです。まず次項にて、H2H(Human to Human)を解説します。

H2H(Human to Human)の軸は「誠実さ」にある

最初にH2H(Human to Human)を語る上でクラマーとともに欠かせないのが、現代マーケティングの第一人者、フィリップ・コトラーです。コトラーの提唱した「マーケティング 4.0」とは、製品中心のマーケティング「1.0」から、顧客中心の「2.0」、人間中心の「3.0」へと時代とともに変化し、進化したものです。企業と顧客のオンライン交流とオフライン交流をシームレスに一体化させるマーケティングアプローチとなっています。生産現場の「インダストリー 4.0」と同様、マーケティング分野における最先端の考え方となっています。

この「マーケティング4.0」という考え方をアップデートしたフィリップ・コトラーの近著が『コトラーのH2Hマーケティング 「人間中心マーケティング」の理論と実践』です。『市場という文脈における「誠実さ」と「人間への敬意」を主題に掲げる本書は、経済活動の基盤は日用品や高級品の販売ではなく、「信頼」と「他者への奉仕」という人間の価値であることを強調する。何より大切なのは商品や収益ではなく、人間そのものであることを明言し、人間の抱える重要な問題の解決方法としてマーケティングを捉え直す』(序文より)とあるように、「人間の役に立つとともにしっかり利益を生み出す」ことを主題としています。

いわばヒトとヒトをつなぎ、人間を中核に据えた人間主体のマーケティングがH2H(Human to Human)だと説いているわけです。

コトラーは最新のマーケティング概念に、「デザイン思考」「サービス・ドミナント・ロジック」「デジタライゼーション」という3つの神器を組み合わせることでH2H(Human to Human)マーケティング理論を組み立てています。ちなみに、デザイン思考とは人間を中心に据えて顧客に関する深い洞察をベースにした思考法を指します。サービス・ドミナント・ロジックは、無形財である事業(コト)や有形材である商品・製品(モノ)をすべて「サービス」として包括的にとらえる視点です。さらにカスタマー・エクスペリエンスを重視して、協働エコシステムで価値づくりする狙いもあります。

ちなみにサービス・ドミナント・ロジックでは、市場取引を企業と顧客という従来のB2C枠組みでとらえず、すべての取引プレイヤーをアクターと呼ぶ「A2A(Actor to Actor)」でとらえています。全アクターの共通目的はサービスとサービスの交換、あるいは資源統合を通じた価値の共創であるという主張です。そして3つ目のデジタライゼーションは、ICTなどを駆使する技術的な前提条件であり、顧客やマーケターに新たな選択肢を提供するといったイノベーションの創出には不可欠の要素になります。

人間中心、人間主体の考え方であるH2H(Human to Human)は、ものづくりにおける「ヒューマンインタフェース」や「人間工学」、産業システムの事故分析にもとづき人間の特性を考慮して安全なシステムを設計・運営する「ヒューマンファクター工学」にも通じます。ヒトとヒト(Human to Human)とつなぎ、さらには気持ちと気持ちをストレスなく通じ合わせる(Heart to Heart)のケアが大前提となるのかもしれません。従来の「タスク志向」を捨て、「人間関係志向」でビジネスモデルを再構築する必要があります。企業が事業活動を続ける意味や目的である、パーパス・ドリブンにも影響を及ぼすかもしれません。

H2H(Home to Home)の肝は「安全」「効率」にある

ヒトとヒトを強く結びつけるH2H(Human to Human)は、すでにマーケティングの世界を中心にかなり認知度が高くなっています。一方、家から家、家と家、自宅にいる企業の社員と顧客を結びつけるH2H(Home to Home)の認知度は、H2H(Human to Human)には及びません。しかし、2つのH2Hはビジネスにおいてヒトとヒトとを結びつけるという点では、相通ずる点があります。つまり、ヒトとヒトとをつなぐための手段の1つとして、家から家、家と家をつなぐという思想、考え方なのです。

コロナ禍により突入したニューノーマル時代では、リアルなイベントに代わるオンラインセミナー(Webセミナー、ウェビナー)や、対面営業、対面接客が困難な状況で打ち合わせや商談を行うリモート会議、あるいは在宅コンタクトセンターによる顧客対応もH2H(Home to Home)の例といえるでしょう。

しかしコロナ禍において「急場しのぎ」で導入したテレワーク対応、在宅センター対応のままでは、H2H(Home to Home)の本格的な実装は早計です。さらには、デジタルシフトや、DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応も求められます。そのためには、運用面におけるいくつかの課題をクリアする必要があります。そのカギはICTシステムにおける運用面での「安全」と「効率」にあります。

たとえば、H2H(Home to Home)の安全面でいえばゼロトラスト・セキュリティへの対応は急務です。ゼロトラストとは「何も信頼しない」を前提に対策を講じるセキュリティの考え方です。従来のセキュリティ対策は、信頼できる「内側」(社内LANやVPNで接続されたデータセンターなど)と信頼できない「外側」(インターネット)にネットワークを分け、その境界線にファイアウォールやプロキシー、IDS/IPSなどのセキュリティ機器を設置し、通信の監視や制御を行うことで外部からのサイバー攻撃を遮断するものでした。

しかし、現在はコロナ禍によるテレワークの浸透、所有からアクセスして利用するクラウドへのシフトが進んだことなどにより、「外側」に多くの保護すべきものがある状況です。守るべき対象が点在するようになったことで境界が曖昧になり、従来の考え方では十分な対策を講じることが難しくなりつつあり、さらなるガバナンスの強化やリスクマネジメントが求められています。

ちなみにコロナ禍において、セキュリティインシデントは増加し続けており、JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)の「インシデント報告対応レポート」によると、2021年のセキュリティインシデントの報告件数は、12月の4,866件が最大値となっています。

そこで広まっているのが、すべての通信を信頼しないことを前提に、さまざまなセキュリティ対策を講じていくゼロトラストの考え方です。具体的には、ネットワークの内外に関わらない通信経路の暗号化や多要素認証の利用などによるユーザー認証の強化、ネットワーク、接続される各種デバイスの統合的なログ監視などが挙げられます。さらに踏み込むのであれば、セキュリティエンジニアによるプログラムの脆弱性をカバーするセキュリティ言語の導入も有効です。

とはいえ、あまりにセキュリティを固めてしまうと、テレワーク主体のH2H(Home to Home)における業務やコミュニケーションの「効率」が低下するおそれがあるため注意が必要です。オフィスと同等の「効率」を実現するのであれば、まず検討したいのが瞬断なくつながり続けるネットワーク環境の整備、つまりコネクティビティの改善です。

インターネットに代わって安全、高品質なVPNを要所で導入するのも一手ですし、あるいは家から家、家と家をつなぐのであればLBO(Local Break Out)の導入も有効です。これは信頼できる特定のクラウドサービス向けのトラフィックについては、データセンターなどに設けられたインターネットとの接点を使わず、各拠点から直接アクセスするネットワーク構成です。

違った視点から「効率」を高めるのであれば、十分に安全性にも配慮した上でサイロ化した社内システムの統合も検討すべきでしょう。あるいはコンタクトセンター運営の目線でいえば、在宅オペレーターの応対を一括管理して業務効率、カスタマー・エクスペリエンスを向上する方法もあります。

要するにH2H(Home to Home)を実装する「安全」と「効率」を両立するには、デジタライゼーションを駆使した既存ICT環境の抜本的な見直し、リプレースが欠かせません。ウィズコロナ、アフターコロナ、あるいはポストコロナの時代を勝ち抜くために、さらにはDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために、解決すべき課題の優先順位を決め、何かしらの一歩を踏み出すべき時期なのです。

どこから手を打つH2H(Home to Home)、まずは頼れるパートナー選びから

H2H(Home to Home)の本格実装に向けたにファーストステップは、ICTの有効活用によるデジタライゼーションの加速を安心して託せるパートナーの選定にあるといえます。自社の課題に対して柔軟な提案ができる豊富なICTに関する知見を持っていること、さまざまな業種への導入実績があること、加えて「手玉の多さ」、つまりソリューションのラインナップが充実していることなどが重要です。できれば、窓口の分散は業務が煩雑になるため、1つのパートナーにすべてを集約したほうが家と家、家から家をつなぐH2H(Home to Home)のスムーズな実装には好都合でしょう。

たとえば、NTT Comはこれらの条件を満たすパートナー候補の1つとなっています。上記の条件を高レベルでクリアしていることに加え、H2H(Home to Home)の実装にあたっての「安全」と「効率」の課題を解決するソリューションも豊富に用意しています。

まず「安全」に関するソリューションについては、エンドポイントの状況をリアルタイムで把握できる「エンドポイントマネジメントソリューション」が挙げられます。セキュリティ運用、ネットワーク、構成管理を一元的にアウトソーシングすることで、インシデント時の迅速な対応、ICT全体の運用の効率化にも活用できるようになります。ゼロトラスト・セキュリティを実現したいのであれば「トータルマネージドセキュリティ」が有効でしょう。これは端末からインターネット、そしてクラウドにいたる資産管理やエンドポイントのセキュリティ対応に加え、24時間365日体制、多言語対応でインシデントハンドリングを実現するものです。

続いて「効率」に寄与するソリューションとしては、安全なVPN環境でシステムを統合してサイロ化を解消できる「ServiceNow Secured over VPN」が挙げられます。セキュリティポリシー上、インターネット接続が難しい場合であっても全世界で導入実績のある「ServiceNow」を活用したサイロ化の解消などDX推進が可能です。コンタクトセンターの運営環境を効率化するのであれば、「コンタクトセンターKPI管理ソリューション」もあります。AI感情分析の活用や専門アナリストによるコールリーズン分析などにより、コンタクトセンター運営状況を可視化、オペレーター定着率の向上や顧客応対の品質改善などが図れます。

ここに挙げたソリューションはほんの一例に過ぎません。NTT Comにはヒトとヒト、家と家を結びつけるH2H(Home to Home)を本格実装するための課題をクリアにするソリューションが豊富にそろっています。まずは自社の解決すべき課題を明確化して、相談してみてはいかがでしょう。

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