年末調整の重要性を解説。従業員と経理担当者の対応の違いとは?

年末調整の重要性を解説。従業員と経理担当者の対応の違いとは?

公開日:2023/3/8

企業に所属している場合、年末調整を行うケースは比較的多いと想定されます。
従業員からすれば、決まった時期に年末調整用の書類が渡され、期日までに提出することで手続きが完了するという流れになります。

では、年末調整という手続きそのものをしていたとしても具体的な内容まで知らないケースもあるのではないでしょうか。本記事では、年末調整の概要から対象となる人々、忘れた場合の対応などについて解説していきます。

年末調整の概要

ここからは、年末調整がどういったものなのかについて詳しくみていきましょう。年末調整は、企業が従業員の代わりに源泉徴収として、所得税を回収し収めるための仕組みです。企業に所属する全従業員が行う必要があり、仮に回収した所得税が多かった場合は年末調整後に還付されます。

従業員の所得税を確定させる

年末調整は従業員の所得税を確定させ、翌年の源泉徴収を行うために実施する手続きです。仮に、企業に所属している状態で年末調整を行わなかった場合は、確定申告を別途行う必要があります。また、次のような場合は年末調整の他に確定申告を行う必要がある点も知っておきましょう。

・個人事業を行っており20万円以上の所得がある
・源泉徴収義務のない雇い主から報酬を得ている
・10万円以上となる高額医療費や手術代などの医療費控除を反映したい

そのため、従業員の状況によっては確定申告を個別に案内する必要もあります

年末調整が不要な場合もある

次のように年末調整の対象にならないケースもある点も知っておく必要があります。

・年収2,000万円以上
・2か所以上から給与を受け取っておりすでに年末調整をおこなっている(扶養控除等(異動)申告書を)
・日雇いなど継続的な雇用がない

上記の条件に当てはまる場合は、企業として対応しなくても問題となることはありません。
しかし、 個別に確定申告を行ってもらう必要があります。企業も個人も申告納税方式に従って納税を行わなければ法律的な罰則を科せられるといえます。

年末調整は必ず全員が対象となる制度ではないものの、対象とならなかった場合は確定申告を必ず行いましょう。

忘れた場合は確定申告が必要

年末調整の対象となっているものの、忘れた場合は確定申告が必要となります。あくまでも年末調整は「企業が従業員の代わりに税務署に申告する」仕組みであるため、年末調整書類を期限まで提出しなかった場合は、確定申告で個人の所得を計算し報告しなければなりません。

報酬や所得の報告が必要な理由は、税法で定められているためです。また、確定申告をおこなわなかった場合の罰則は以下のようになっています。

・無申告加算税
・重加算税
・延滞税

どの罰則に該当するのかはケースバイケースではあるものの、収めなければならない税金が割増になってしまう点は知っておかなければなりません。

年末調整で従業員が行う対応

ここからは、年末調整で従業員が行う対応についてくわしくみていきましょう。配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除などさまざまな控除の料金も含めて所得を確定させる必要があります。

年末調整書類を受け取り記入する

従業員が企業から渡される年末調整書類は、次の通りになります。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
源泉徴収額の決定に対して影響力を最も持つ書類。扶養家族の人や氏名を記入する
・給与所得者の基礎控除申告書 兼  給与所得者の配偶者控除等申告書  兼  所得金額調整控除申告書
名前で勘違いしそうだが、1枚で3つの控除を申告できる書類。収入が2,500万円を超える基礎控除がなくなり、配偶者控除は収入が1,000万円を超える場合は受け取れない。所得金額調整控除申告書は年収850万以上でなければ記入は不要。
・給与所得者の保険料控除申告書
生命保険控除料金や地震保険の料金、iDeCoの料金などが含まれる

扶養家族や生命保険の支払い料金など、一人ひとり料金が異なるため、年末調整によって正しい金額を申告することが大切です。

源泉徴収の仕組みについてより詳しく知りたい方はこちらの記事へ。
源泉徴収の仕組みから源泉徴収票との関係性までを解説

条件によっては確定申告の準備を行う

年収2,000万以上の方や個人事業主として給与以外に20万円以上の所得がある場合は、確定申告を行う必要があります。 確定申告に関しては次のような書類が必要です。

・給与を受け取っている企業の源泉徴収票
・生命保険の控除証明書や小規模共済の掛金支払証明書など
・住宅ローン控除初回の場合は登記事項証明書、残高証明書など
・ふるさと納税でワンストップ特例を使用できなかった場合の寄付金控除
・雑損控除、医療費控除があった

年末調整と申告する内容に似ているものの、確定申告でしか申告できないものもあるため、自分のライフスタイルに合わせて必要な手続きを行いましょう。

確定申告の医療費控除は10万円以上の医療費が発生した場合のみ適用できます。そのうえで、医療費控除について詳しく知りたい方はこちらの記事へ。
確定申告の医療費控除とは。セルフメディケーション税制との違いを解説

年末調整で経理担当者が行うこと

ここからは年末調整で経理担当者が行うことについて詳しくみていきましょう。経理担当者の場合、時期によって次のような対応になります。

・11月~12月初旬では年末調整書類を配る
・12月中旬からは年末調整書類の計算
・法定調書の作成、提出

年末調整書類を配る

年末調整書類に関しては、基本的に必要な書類が決まっているため、誰が対象になるのかを把握できていれば苦労することはないでしょう。ただし、転職者がいる場合は前職の源泉徴収を本人経由で回収する必要があるため、早めの準備が必要です。場合によっては、入社した時点で源泉徴収票を回収しとておくとスムーズな処理ができます。

計算し法定調書を提出する

法定調書を作成する流れは次のようになります。

1.課税所得金額の計算
2.年末調整所得金額の計算
3.年末調整による年税額の計算

その上で、誰がどのような内容で誰に支払ったのか明確にする支払い調書や給与・退職所得徴収票、給与支払報告書、全ての金額を記載した法定調書合計表などを作成して税務署に提出する必要があります。

年末調整のポイント

ここから年末調整を実施するポイントについてみていきましょう。とくに、経理担当者でなくてもそうであっても控除の種類を把握しておくとスムーズな年末調整が可能となります。

控除の種類と計算方法を把握しておく

詳しい計算方法は渡された書類に記載されているため、計算そのものは難しくありません。
総収入から住宅や生命保険料の控除額などを差し引いていくと、最終的な課税所得が明確になります。

ただし、年末調整では寄付金控除・雑損控除・医療費控除は申告できないため、確定申告によって所得税の金額を明確にしましょう。

従業員と経理担当者の書類を把握しておく

従業員と経理担当者では必要な書類が違うため、把握しておくことが大切です。経理担当者が用意しなければならない書類は次のようなものがあります。

・給与所得の源泉徴収票
・支払調書
・所得税徴収高計算書
・法定調書合計表

この他に、給与支払報告書を1月31日までに企業の所在地の市町村に提出しなければなりません。

マイナンバーの扱い

マイナンバーは必ず記載する必要があります。特に従業員に渡す書類に関しては、全てマイナンバーを記載しなければなりません。
しかし、従業員から拒否される可能性もあるため、その場合は従業員にどのように提出を促したのかを記載し、企業の義務に違反していないことを証明しましょう。

まとめ

年末調整は、企業が従業員の代わりに源泉徴収として、所得税を回収し収めるための仕組みです。企業の義務としてかせられているだけでなく、従業員側としても忘れてしまった場合は確定申告を行う必要があります。

また、年末調整を行わず、確定申告を忘れた場合には罰則も想定されるため、従業員・経理担当者どちらの立場でもどういった対応が必要なのか把握しておくことが大切です。

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