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2019年10月24日(木)UP

グランドセイコーの感性価値訴求のART的アプローチ
~役に立つだけのものから、意味のあるものへ~

 

セイコーウオッチ株式会社 デザイン部長 兼 高級品ディレクター 種村 清美 氏

私からはセイコーウオッチにとってとても大切な「グランドセイコー」というブランドについてお話をさせていただきます。
私どもは、インハウスのデザイン部で腕時計のプロダクトデザインをしています。ブランドの発信は一般的にPRやマーケティング部門が行いますが、グランドセイコーの海外アプローチの1つとして、デザイン部が主管となりミラノデザインウィークへ出展しました。

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セイコーウオッチ株式会社 デザイン部長 兼 高級品ディレクターの種村 清美 氏

     

 

セイコーというと、腕時計や銀座の和光のイメージが強いと思いますが、スポンサーとしてスポーツ支援なども行っています。1881年に創立され、今年で138周年になります。

「時計が時計として美しく輝くこと」を追求したグランドセイコー

セイコーの長い歴史のなかでも、グランドセイコーというブランドは、伝統もフィロソフィーもセイコーという会社を体現していると言っても過言ではありません。グランドセイコーは「世界の最高峰の腕時計をつくる」という想いのもと1960年に誕生したブランドで、来年で60周年を迎えます。精度や機能面では実用時計の最高峰と言われるほど、世界レベルに昇りつめました。

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腕時計の業界ではムーブメントの製造から組み立て、デザインまで一気通貫でできる物づくりを「マニュファクチュール」と言います。グランドセイコーは世界でも数少ないマニュファクチュールのひとつで、フルメイドインジャパンの物づくりを行っています。圧倒的な機能や性能も、マニュファクチュールと言われる物づくりが支えています。

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グランドセイコーのデザインはマニュファクチュールの一部として存在しており、腕時計の本質を「正確さ」「美しさ」「見やすさ」「長く愛用できること」「使いやすいこと」と因数分解しています。これらを徹底的に追求しようと日々研鑽を積んでいます。

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例えば、私たちは1/100ミリに拘って、ケースの陰影やインデックスのカット角度を追求していて、「虫の視点でデザインして、人の目で感動するものをつくる」をスローガンにしています。これは見た目の美しさだけでなく、薄暗いところでも確実に時間が読めるなどの使用シチュエーションや、腕に載せたときのスタイリングまで考慮してデザインしています。うん蓄はまだいろいろありますが、最終的には「時計が時計として美しく輝くこと」を目指しています。

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機能価値から感性的価値への大転換

日本では高い評価をいただいている一方、世界的な認知はまだ低く、マーケティング戦略としてグローバル展開の指令が下りました。しかしグローバルに展開するにあたり、単純に商品や品質が良いという機能的な価値だけを伝えてももはや立ち行きません。感性的な価値を伝えられるかがポイントだと気づきました。

実はセイコーという会社はこの感性的価値を伝えるのがものすごく下手です。なぜかというと、機能的価値が圧倒的に強かったので、それだけで物が売れていたんです。
しかし、デザインにしてもマニュファクチュールの物づくりにしても、世界に誇れるものはあるのに発信できていない。そういった悔しい想いもあり、感性価値を伝える場としてミラノデザインウィークの出展を思いつきました。

 

ミラノデザインウィークは毎年イタリアのミラノで開催される世界最大規模のデザインの祭典で、世界中から数万人が訪れます。グローバル企業がブランディングの指針を発表する場になっているため、商品をただ並べるのではなく、ブランドの世界観を体感してもらうための仕組みや展示を各社打ち出しています。

しかし、出展はとてもお金がかかるうえにセイコー内でのミラノデザインウィークの認知度が低く、社内の説得が本当に大変でした。そのため、グローバルなラグジュアリーブランドを目指すなら世界中に感性的な訴求ができるミラノデザインウィークへの出展がもっとも効果的であるということをアピールしました。

また展示をミラノだけで終わらせず、グランドセイコー全体のプロモーションに落とし込むという提案もしました。なぜなら、単発のイベントだとKPIや費用対効果などの成果が毎回求められるため、コンテンツをグローバルプロモーションに横展開させるという提案をしました。

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グランドセイコーの全てが詰まった「スプリングドライブ」を世界へ

4回目の社長プレゼンでようやくGOが出たわけですが、具体的に何をアピールするかというのが次の課題です。 グランドセイコーは、コアコンピタンスが大量にあります。しかし、時計の本場のヨーロッパで他社ブランドと同じことで訴求しても仕方ないので、グランドセイコーのフィロソフィーを一番反映している「スプリングドライブ」という独自機構に辿り着きました。

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スプリングドライブは、ぜんまいの力で動くという点では機械式と同じですが、機械式だけれどもクオーツと同等の精度を持ったセイコーオリジナルの世界唯一のキャリバーです。20年以上かけて精度や本質を突き詰めた結果、クオーツや機械式とは違う針の動きを手に入れました。

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機械式やクオーツはチッチッチと秒針を刻みますが、スプリングドライブはダイヤルの上を音もなく滑らかに滑ります。「スイープ運針」と呼ばれるこの動きは、「時というのは刻むんじゃなくて流れるもんじゃないのか」と職人も唸らせるほど情緒的価値が詰まった、世界の時計ファンから愛される時計です。このスプリングドライブをミラノデザインウィークのテーマに掲げました。

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2018年のタイトルはそのまま「THE FLOW OF TIME」です。幅24メートルほどもある大きいスクリーンに時の流れを情緒的に写す映像を流し、手前に展示したアクリルのオブジェにはスプリングドライブのムーブメントを封入しました。 全部で12個ありますが、手前につれてだんだん組み上がってきて、最後腕時計の形になる。抽象的なアート的アプローチです。

非常に日本的な内容なのでイタリアでウケるのか最初はすごく心配でしたが、結果は入場制限が出るほど大好評でした。それから、時計業界とは直接縁がないようなデザイン誌に多く取り上げてもらえたことが、大きな収穫でした。

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帰国後、このインスタレーションをグローバルプロモーションに展開しました。東京の表参道やデザインマイアミ、タイのデザインイベントなど世界各地に出展しました。結果として、日本空間デザイン賞金賞や日本サインデザイン賞銀賞などの賞までいただき、大変良い結果だったと思います。

1年目はミラノ郊外でしたが、2年目はラグジュアリーブランド戦略に則り、モンテナポレオーネ通りの側にある高級ブティック街にステップアップしました。タイトルは「THE NATURE OF TIME」です。 ポルディ・ペッツォーリ美術館というルネサンス後期の古い邸宅美術館に蓮池のような池をつくり、水のなかに光を蓄光する粉を溶かしました。発光源の真上にスプリングドライブのムーブメント部品を設置し、光る度にスプリングドライブが浮かび上がります。 壁面にはこより和紙を繭のように使用して結界を張り、ルネサンス期から続くイタリアの建物のなかで日本のスプリングドライブの時間とがクロスし、「移ろい流れ続ける時間とその永続性」というコンセプトを空間として表現しました。

このような日本的かつ情緒的なインスタレーションを今年も展開しましたが、非常に多くの方にご来場いただき、大好評でした。メディアからの取材も去年より多かったと思います。

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いままでインハウスのプロダクトデザイナーは、品質やスペックという技術的価値を時計に落とし込んでデザインするまでが仕事でした。しかし、技術を感性価値に転換することで、ブランドのストーリーやメッセージを発信できる。

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結果として、ミラノデザインウィークへの出展はグランドセイコーの世界観をグローバルに発信する大きな第一歩となりました。イベントとしてだけでなく、インハウスデザイナーのプレゼンスや価値を社内外で上げることにも繋がり、総じて大成功のアプローチとなりました。。

 

→ 講演4 ― スプリングバレーブルワリー株式会社 ―
「ワクワクするビールの未来~キリンビールのクラフトビール戦略~」 へ

2019年10月24日(木)

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