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2019年10月24日(木)UP

“アート≒志”から考える新規事業開発

 

株式会社カネカ
Foods & Agris Solutions Vehicle乳製品事業開発
Strategic Unit販促企画チーム チームリーダー
天川 隼人 氏

本日のテーマは「アートとビジネス」ということで私なりに意訳して、“アート≒志”と書きました。化学メーカーがなぜ乳製品事業を手がけたのか。その“志”や“想い”をお話ししたいと思います。

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株式会社カネカ Foods&Agris Solutions Vehicle 乳製品事業開発StrategicUnit 販促企画チーム チームリーダーの
天川隼人氏

 

まずは、カネカについてお話させていただきます。「カガクで、ネガイを、カナエル会社」というCMでご存知の方も多いと思います。売上としては約6000億円で、化成品や樹脂、飛行機の素材、いま注目の海水の温度でも分解される生分解性プラスチックといった化学メーカーらしい商品はもちろんのこと、南アフリカで大ヒットしたウィッグやサプリメントなど幅広く手がけている会社です。実は売上の4分の1は、食品事業です。世界で初めて工業化に成功した還元型コエンザイムは、主力商品のひとつとなっています。

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新たな市場を開拓した、乳製品業界への“想い”

2018年4月に「パン好きの牛乳」を発売し、カネカとして初めて個人向けの乳製品事業に参入しました。化学企業が考える乳製品というのは、当然、普通の乳製品ではありません。事業としての目標は、現在約1500億円の食品事業の売り上げに、5年後までに200億円を上乗せすることです。現在、「パン好きの牛乳」のほかにバリスタと開発した「パン好きのカフェオレ」、今年の8月から日本で初めて発売した「ベルギーヨーグルト ピュアナチュール」などがあります。

ところで皆さん、牛乳ってどれも同じと思っていませんか? 実は、まったく違います! なぜこんなことを申し上げるのかというと、牛乳市場は年々シュリンク(減少)しています。2003年に4347億円だった牛乳の販売額は、2017年には3411億円。78パーセント減と、2割以上減っています。数字だけ見るととても魅力的な市場とは言えません。

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また、新規のユーザーも入ってこないまま固定化されています。下の表を見てください。牛乳の一番のボリュームゾーンは、点線の枠で囲っている40、50、60代です。一方で、若い人はほとんど飲んでいません。

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しかし、われわれがターゲットとしているのはボリュームゾーンではなく、上の表で赤い線でくくっている20〜40代のDINKSや、未婚の女性です。牛乳市場に刺激を与えながらニューエントリーを取り込みたいと、あえてメインユーザーを狙わないという商品戦略を取りました。

また、新たなマーケットユーザーを開拓するもうひとつの意図として、牛乳市場がコモディティ化(同質化)していると考えています。製法や産地の拘りを売りにしている従来型のマーケットと、キャッチコピーや広告戦略を強化しているものに二分されているような現状で、後発組のわれわれが真っ当から入っても勝ち目がありません。

そのため、他社との異質化を図り、新たな需要を生むマーケットインの発想が必要だと思いました。成熟市場では「これまでにない消費のスタイル」が流行ると考え、女性たちに牛乳を消費するための新たなスタイルを提案できれば、マーケットに刺激を与えられるのではないかと思いました。

パン好きの牛乳開発の発端は、ベーカリー業界への“想い”

われわれがパン好きの牛乳を開発したきっかけは、実はパン業界を盛り上げたいという想いが発端でした。カネカは
これまでも業務用としてイースト菌、ショートニング、マーガリン、冷凍生地などの業務用食品素材を展開しており、ベーカリー業界でトップクラスのシェアをもっています。そこで、これまでお世話になったベーカリー業界に恩返しをしたいと、ベーカリー業界を盛り上げるための何か取り組みができないかと開発を始めた経緯があります。

そのため、「パン好きの牛乳」の競合は既存の牛乳製品ではありません。先ほど申し上げた通り、牛乳市場はコモディティ化しているため、乳製品・ベーカリー業界ともに新しい市場を開拓するためにはまったく新しい発想が必要だと考えました。そこで注目したのがパンと牛乳の親和性です。牛乳を飲むときは7割近くの方が一緒にパンを食べる一方で、パンを食べるときに牛乳が選ばれる割合はわずか3割です。

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ということは、パンを食べるときに牛乳が飲まれるような逆説的なフックがかけられれば、牛乳市場を開拓できると考えたわけです。そこで、パンのおいしさが引き立つような牛乳がつくれないか、味や製法を追求し始めました。

「パン好きの牛乳」の最大の特徴は、「コクがあるのにスッキリ」ということです。しかし、このある意味真逆の味覚を達成するには高い技術力が必要です。 牛乳嫌いな人の理由として「味にクセがある」「飲んだあと口に残る」「ニオイが嫌いだ」が上位に挙げられます。これらは、製造時の加熱殺菌が原因で起きる加熱臭がポイントです。加熱しすぎるといやな臭いが出てしまう。反対に、加熱殺菌が上手くできると搾りたての牛乳のようなフレッシュなおいしさが味わえます。

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そこで、酪農大国であるベルギーに8つの会社を展開しており、高い技術力を誇るピュアナチュール社と2018年に技術提携を結びました。

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この出会いも追い風となり、パンユーザーをターゲットにした新しい牛乳が生まれたわけです。そのため、PR戦略としても通常の牛乳の宣伝というよりは、ベーカリーマーケットと絡めながら展開しています。例えば、多くのパン好きが集まる「青山パン祭り」などに出店しました。

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出店を機にインスタ投稿が非常に多くなり、いま日本で一番「牛乳」が付くハッシュタグの投稿が多いのがわれわれです。なぜなら、通常の牛乳単体でわざわざ投稿する人はほとんどいないからです。また、テレビの情報番組や新聞でも取り上げていただいたこともあり、売り上げは順調に拡大しています。

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酪農家を支援したいという“想い”が礎

差別化しながら新たな市場を開拓してきたわれわれですが、単純に乳製品事業をやっているわけではありません。事業の礎となっているのが、「酪農家さんを支援していきたい」という酪農家への想いです。これは、SDGs的視点を踏まえ、社会の課題解決という観点でカネカとして取り組んでいるひとつの事業でもあります。

酪農業は現在、後継者不足や労働力不足などから厳しい環境にさらされており、労働人口の減少や離農の加速など後継者不足が問題になっています。下のグラフをご覧ください。左上のグラフは日本における酪農家さんの戸数ですが、昭和56年から劇的に減少しています。

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それと並行するかのように、国内の生乳生産量の生産も減っています(上図、左下のグラフ)。そのため今後、日本国内の自給生乳量は逼迫していくと予測されています。
一方、右上は牛乳や乳製品の原料となる生乳価格(乳価)に関するグラフです。乳価設定は指定団体と各乳業メーカーの間で毎年決められ、1年間単位で同じ値段や条件で取り引きされます。酪農家戸数と生乳生産量が減っていることもあり、乳価は値上がりを続けています。このような社会課題が背景にあるなかで、カネカとして乳製品事業で国内の酪農家支援ができないか模索しているわけです。

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具体的な事業のスキーム図として、乳製品の商品を製造・販売するだけではありません。こだわった生乳をつくっている酪農家さんと直接契約し、ピュアナチュール社の技術でテコ入れした差別性のある商品を開発、生活者に届けるという、川上から川下まで一貫したソリューションの提供と、乳製品のプラットフォーム作りを行っています。

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乳製品事業の売り上げ目標として200億円という数字はもちろんありますが、われわれが最終的に目指しているのは、日本における有機乳製品市場の開拓です。現在、日本の有機乳製品はほとんどありません。海外では需要が順調に伸びていることを考えると、日本の市場はまだ未開拓な状態でありブルーオーシャンと言えます。

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今後は、酪農家さんの支援を通じた社会課題の解決という志を大切にしながら、中長期的な視点では有機乳製品の拡大で市場におけるカネカのプレゼンスを高めていきたいです。私の発表は以上になります。ありがとうございました。

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会場に用意された、「パン好きの牛乳」と「パン好きのカフェオレ」

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ブレイクタイムでは、「パン好きの牛乳」と「パン好きのカフェオレ」が配られました。「パン好き」と謳ってはいますが、濃厚だけどスッキリした味わいに、牛乳嫌いな人も思わず「おいしい!」と歓喜の声をもらすほど。これまでの牛乳の概念を覆すほどフレッシュな味わいに、カネカさんの技術力の高さを実感することができました。

 

→ 講演3― セイコーウオッチ株式会社 ―
「グランドセイコーの感性価値訴求のART的アプローチ~役に立つだけのものから、意味のあるものへ~」へ

2019年10月24日(木)

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