PROJECT11

2021.04.12

AI技術を超高齢化社会にどう活かす?
コミュニケーションAI「COTOHA®」の可能性


いま、さまざまな分野で注目されるAI技術。そのなかでもNTTコミュニケーションズが注力しているのが、自然言語処理技術と音声認識・合成技術です。気づけば今や私たちの身近なサービスにも多数使われていますが、今後日本社会が抱える問題にも寄与していく可能性が大いにあります。どのような業界でどのように活用されていくのか、NTTコミュニケーションズで音声認識・合成技術の開発とサービスの考案を行う勝田亮がご紹介します。

日本が直面する課題をAIで解決

現在、ライフスタイルが多様化したことで、消費者一人ひとりに寄り添った体験設計が求められています。しかし、高齢化と人口減少が進むなかで、日本語話者の人材を確保するのは至難の業。

そこで活用されるのが、日本語の自然言語処理(※1)技術や音声処理技術です。webサイトなどでのチャットボットを使った顧客対応や音声アシスタントはその一例。さまざまな企業で技術向上が図られ、汎用性が高まっていますが、より高度な活用にはハードルが残っているのが現状です。

※1:人が生活のなかで使っている言語のこと。

大きな壁となっているのは、数ある言語の中でも難しいとされている日本語の処理。主語・目的語を省いても文章の意味が成り立つことや、主語・補語・目的語などの順番を自由に入れ替えられること、同じ漢字でも、どの文脈で語られているかによって読み方が変わることなどが難関言語の理由として挙げられています。技術が発展した今も、話の文脈を理解して自然言語を処理することは難易度が高く、自然言語処理技術全般の課題となっていました。

そこで、COTOHA® APIではNTTグループが40年以上にわたって研究を重ねた自然言語処理技術や音声処理技術をもとに、世界最大級の基本語辞書と専門用語辞書を合わせた210万語超の日本語辞書を活用したAPIを提供。非構造データの解析や表記ゆれの正規化などの前処理、自動字幕起こし、チャットボットでの回答やバーチャルアシスタントによる対話など、さまざまな場面で活用されています。

プロジェクトイメージ

AI技術は超高齢化社会で何ができる?

高齢化・人口減少が顕著となっている業界の一つが、介護業界。1997年の介護保険制度が施行されて以降、介護労働者は増加しているものの、介護が必要な人口と比較すると不足しているのが現状。2025年度には約55万人の介護人材の確保が必要だと言われます(※2)。自然言語処理技術と音声認識・音声合成技術は、そんな介護業界の課題にも寄り添うことができると考えています。

※2:厚生労働省「介護人材の処遇改善について」を参照。

介護現場では通常、その日行った介護内容の記録を作成しますが、とある介護業界の調べでは、報告書を作成するのに全体の30%ほどの業務時間を割いているという報告もあります。しかし、AI技術で補助できれば、より重要な業務に時間や労力を割くことができるはず。そこで、介護現場のDXを推進し、業界全体の業務改善を支援したいという思いで開発したのが「COTOHA® Speech Note(仮)」です。「COTOHA® Speech Note(仮)」は、前述のCOTOHA® APIを活用して開発されたサービス。作業しながらでも音声で記録し、要約を行うこともできます。

これまで記録を作成するときは作業を中止したり、1日の業務を終えてからでなければなりませんでした。介護労働者は外国人も多く、日本語の筆記は会話に比べてハードルも上がります。しかし、音声で記録することができれば、業務時間を格段に短くすることができるはずです。

また、COTOHA® APIでは元々搭載されている世界最大級の日本語辞書(210万語超)に加え、ユーザーが独自に辞書を作成することも可能。介護や医療の現場は専門用語が頻出しますが、そうした専門用語や、社内用語、商品名、サービス名、人物名などの固有名詞を登録し、業界や企業に合わせてカスタマイズできるのです。

「COTOHA® Speech Note(仮)」は現在PoC(※3)段階で、介護現場とリハビリテーション現場で実証実験しています。リハビリの現場では、理学療法士や作業療法士が指導をする際に、患者さんとの会話内容を「COTOHA® Speech Note(仮)」で記録。介護現場では要介護者への負担を考慮し、作業が終わったあとに別室や廊下などで「COTOHA® Speech Note(仮)」と接続する「COTOHA Voice DX Basic(※4)」の連絡先に電話をかけ、作業内容を音声で吹き込むことで、テキストとして記録しています。こうして、それぞれの現場に合わせた形で導入できるのもメリットです。

※3:新しいアイデアの実証を目的とし、試作開発の前段階における検証を指す。
※4:電話とAIを組み合わせたコミュニケーションを実現するSaaS。「COTOHA® Speech Note(仮)」との連携では、電話を受け取った人がメッセージへの返事を音声もしくはプッシュボタンで入力すると、AIがテキストに変換してチャットで返してくれる機能のみを組み合わせて使用。

導入現場からのフィードバックに手応えを覚えつつも、音声認識や要点抽出の精度はブラッシュアップの必要性を感じています。要点抽出においては、話したことを単に要約するのではなく、お客さまが何を記録したいのかによってAIがアレンジできるようになるのが理想です。また、日本語話者でなくとも活用できるよう、翻訳技術を取り入れることも視野に入れました。今後も、COTOHA® APIの自然言語処理技術や音声認識・合成技術を活用して、日本が抱える社会課題に貢献できるサービスを考えていきたいと思っています。

COTOHA® API、コラボレーションの可能性

他にもさまざまな活用方法があるCOTOHA® API。その一部をご紹介します。

・企業のマーケティングとコラボレーション

COTOHA® APIの複数のAPI機能を組み合わせて利用することで、テキスト中にあるインサイトを抽出することができます。アンケートデータやレビューデータ、SNS投稿内容、コールセンターにおける対応ログなどを分析することにより、数値だけでは見えてこない「ユーザーの声」もマーケティングへの活用が可能です。

・店舗施策とのコラボレーション

COTOHA® APIは、顕在化された課題の解決だけでなく、他社とのプロトタイプ開発も積極的に行っています。「AI SCANNER powered by COTOHA®」は、リアルタイムで即時的な言語処理ができることや、まるで人が喋っているかのように滑らかな発音の音声合成ができるCOTOHA® APIの特徴をふまえてつくられたプロトタイプです。
台の上に本を置くと、上部に設置されたカメラが本のページを撮影し、撮影データからテキスト部分をデータ化。そのテキストデータがCOTOHA® APIに送られ、要約したデータと音声化されたデータが返ってきます。要約データはモニタに表示され、同時に音声でも読み上げられる。さらには要約した内容がプリントアウトされて、ユーザーが持ち帰ることができます。

こうしたプロトタイプをつくることができるのも、COTOHA® APIが多彩な機能を備えているからこそ。コロナ禍で表出した課題に対してもさまざまなアプローチを行っており、COTOHA® APIの可能性が広がっています。

担当者よりメッセージ

COTOHA® APIを活用した「COTOHA® Speech Note(仮)は、労働人口不足が顕在化する医療や介護、建設、製造、物流などさまざまな業界で活用していただけると思います。他にも適応できる業界や業務もあるかもしれません。共創によるプロトタイプ開発も行っているので、興味のある方はぜひお声がけください。

COTOHA® API or COTOHA®サイト

PROFILE

勝田 亮

NTTコミュニケーションズでサービス開発担当として従事。
心拍数や体表の微弱な電気信号を計測できる着衣タイプのウェアラブル技術「hitoe®(ヒトエ)」を使い、バスやトラックの運転手のバイタル情報を計測して、交通事故を防ぐ安全管理サービスを手がけた後、現在はAIを活用したCOTOHA® APIを担当。COTOHA® APIのラインナップとして音声認識・音声合成機能を加え、その音声技術を用いた新しいサービスを開発するチームのプロダクトオーナー。

NTTコミュニケーションズでサービス開発担当として従事。心拍数や体表の微弱な電気信号を計測できる着衣タイプのウェアラブル技術「hitoe®(ヒトエ)」を使い、バスやトラックの運転手のバイタル情報を計測して、交通事故を防ぐ安全管理サービスを手がけた後、現在はAIを活用したCOTOHA® APIを担当。COTOHA® APIのラインナップとして音声認識・音声合成機能を加え、その音声技術を用いた新しいサービスを開発するチームのプロダクトオーナー。

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