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株式会社AIRDO 客室部長 番平 智氏

株式会社AIRDO
客室部長

番平 智氏

「VRならば、全体的なイメージとして飛行機内の360度空間を捉えることができ、訓練生の理解度が向上できると考えました」

株式会社AIRDO 客室訓練グループリーダー 新保 知子氏

株式会社AIRDO
客室訓練グループリーダー

新保 知子氏

「副次的な効果として、従来紙や口頭で伝えるしかなかった緊急時に必要な知識をVR映像を用いて伝えることができ、非常救難対策訓練にも役立っています」

 

課題

実機訓練の機会が少ない中でも訓練成果を上げるために

株式会社AIRDO(エア・ドゥ)(以下、AIRDO)は、1996年に北海道国際航空株式会社として設立。1998年に新千歳ー羽田線で運航を開始し、2012年には株式会社AIRDOに社名を変更、現在まで「北海道の翼」として親しまれている。現在の従業員は878名。2014年には同社初の国際線チャーターフライトを実施するなど、日本の空を代表する1社として成長を続けている。

同社は従来から、業務改革を目指しICTの導入を進めていた。その中で客室部では、客室乗務員の教育において積極的に活用してきた経緯がある。2017年にはタブレット端末を全客室乗務員約230名に貸与。従来、紙の資料として配ってきた規程書類や日々の周知事項をデジタル化することでペーパーレスを推進。さらには訓練動画も視聴可能とし、乗客向けには機内販売のカード決済用端末としても利用するなど活用し、タブレット端末は客室乗務員の業務端末として深く浸透している。

しかし、客室部には大きな課題があった。それは訓練生となる新入社員に対して行う2カ月間の訓練だ。この訓練は、大きく分けると会議室などで知識を学ぶ訓練、飛行機の実物大モックアップが用意された訓練センターでの非常救難訓練、空港に駐機している実機の中で行う訓練、の3つに分けられる。この訓練を終えた後、OJTとして実際に乗客の搭乗している飛行機でフライトトレーニングが実施される。

当然、飛行機内訓練で見込まれる学習効果は高い。しかし「さまざまな制約により実機での訓練機会を捻出するのは難しい状況です。また、訓練センターは他の航空会社の施設を借りる形で利用していますので、機動性、可動性を考えると一定程度制限があるというのが現状です」とAIRDOの客室部長、番平智氏は述べる。

このような環境の改善を目指し、客室部は2018年度のアクションプランとして「最新技術を積極的に活用して訓練の効率を向上させる」という旗を上げ、よりリアリティの高い教材を作るためにVirtual Reality(VR)技術の活用について検討を開始した。

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対策

タブレット端末を使って訓練研修にVRを活用

VR元年と呼ばれた2016年から市場の盛り上がりもあり、番平氏はVRを課題解決のために活かせないかと考え、展示会などに赴き、情報収集を開始した。

番平氏は「従来の研修で使用していた紙の資料では平面的な見せ方しかできませんが、VRならば、飛行機内全体を360度空間として捉えて疑似体験することができます。また訓練生の能力はそれぞれ異なるため、学習の進捗度合いに合わせて柔軟に教材を進めることが可能になります」と評価した。

ただし、客室乗務員の訓練は非常に多岐にわたるが、すぐに難易度の高い訓練にVR教材を結び付けられるわけではない。その点は後々の課題として、まずは訓練生向けのベーシックな教材として導入を検討した。

こうして数社からの提案を受け、2018年9月に最終的に採用されたのが、NTTコミュニケーションズの「仮想現実ソリューション(VR)」だった。その理由は大きく3つあったという。1つ目は、今導入検討しているVRコンテンツに加えて、今後の展開など発展性のある提案があったこと。2つ目は、初導入で予算などに大きな制限がある中でも細かな対応があったこと、3つ目は、導入実績とそこから導き出される信頼性があったことだ。

さまざまな検討の結果、仮想現実ソリューションの導入をスタートさせた同社。VRといえばゴーグル型デバイスをイメージするが、同社が導入を進めたコンテンツは、タブレット端末を使ってVR空間を体験できるというものだった。実際の機内を360度カメラで撮影した映像をタッチ操作やタブレット端末を傾けることによって視点移動などが行えるようVR 化し、非常用器材などが設置された場所にアイコンを配置。それをタップすると写真と解説文が表示されるというものだ。客室乗務員という業務の訓練において、ゴーグル型のVRデバイスを装着するとメイクが崩れてしまうという指摘があったことと、ベーシックなコンテンツなので、現在配布しているタブレット端末でもゴーグルと同じ感覚で十分に理解ができることから、まずはタブレット端末での導入を進め、将来的には訓練内容によって他のVRデバイスも検討することになった。

AIRDOでは訓練生の傾向を分析し、過去の訓練生が陥りやすいポイントを洗い出した。その上で内容や写真の厳選を行いながらコンテンツ制作を進行した。同社ではボーイング767と737の2機種を運航しており、767は仕様が異なる機種が存在するため、計3パターンの仕様が存在する。客室乗務員が行う機内の点検業務は飛行機ごとに非常用器材の配置や数が異なるため、それらすべてを頭の中に入れなくてはならない。そこで、機種ごとに個別のVR教材を用意し、酸素ボトルや消火器といった非常用器材の配置をリアルに再現。また乗客が安全に離着陸できるか、固定物がしっかり固定されているかといったチェックもより実機感覚を持ちながら訓練できるようにした。

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効果

機内の360度映像による疑似体験で訓練の理解度が向上

客室訓練グループリーダーの新保知子氏は「いままでは紙資料に、飛行機の設計図と機材などの写真を載せて、『このあたりに設備があります』という教え方をしていました。ですが、仮想現実ソリューションによって『実際にこのポジションに行ってみましょう』と誘導し、機内を360度の映像として確認しながら場所を把握できるようになったのです」と話し、体験をベースにした新しい訓練の様子を説明した。

実際のコンテンツ制作では、情報の取捨選択、そして専門用語の取り扱いに苦労したという。限られたVR空間の中に、アイコンや文章を入れ込むため、いかにポイントを絞るかがカギとなったそうだ。

新保氏は「初めての取り組みでどう対応していいか悩む部分もありましたが、NTTコミュニケーションズさんと協力して実施することができました」と笑顔で語る。

導入して間もないため効果検証は今後実施することになるが、こうして作られたVRコンテンツの導入によって、訓練の品質向上につながることを期待しているという。その1つは、疑似体験による訓練によって訓練生の理解度が向上すること、もう1つはそうした機内をイメージしやすい訓練を積むことでOJTでのフライト中にスピーディな対応が期待できること。さらに副次的な効果として、非常救難対策訓練への活用も行えるようになった。これは、従来口頭で伝えるしかなかった緊急時に必要な機内の構造などの知識を映像として伝えることができたためだという。この他、機内の器材に関する他部署とのコミュニケーションもスムーズになったという。

同社は今後、この仮想現実ソリューションを訓練生以外の既存の客室乗務員へも展開するとともに、2019年に導入する新型飛行機にも対応させる予定だ。また、一般社員に対して実施している安全研修においても、高い臨場感を持って行えるようVRコンテンツの導入を考えている。将来的にはサービス品質の向上や、より高度な訓練にも活用していく予定だ。

安全が絶対的な使命となる航空業界の訓練に利用されているNTTコミュニケーションズの仮想現実ソリューション。今回の事例は、訓練におけるVRの使い方の先達として、多くの企業の手本となりそうだ。

「今回初めてVRを導入しましたが、訓練生たちはまったく違和感なく受け入れました。今後、さらなる課題の解決を考えるためには、今どういうICTが存在するのかというアンテナを常に張っていなければならないでしょう。そんなときに、今回のNTTコミュニケーションズさんのように、悩みを相談できる会社がいれば、思いのほかすんなりと解決策は見つかるものだと感じました。今後も情報への感度を高めながら改革を続けていきたいと思います」(番平氏)

機内を360度の映像として確認可能。VR映像の各所に、アイコンを設置。
アイコンをタップすると、写真や訓練生が見落としやすいポイントなどが表示される。

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株式会社AIRDO

株式会社AIRDO

事業概要
「北海道の翼」AIRDOは1996年11月、北海道をベースとする航空会社として誕生、2018年に就航20周年を迎えた。現在運航する10路線は、すべて北海道内の空港を発着している。

URL
https://www.airdo.jp/


 

 

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(掲載内容は2019年3月現在のものです)


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