IT・デジタル人材不足の原因と対策 DXやAIをスムーズに推進するには?

社内インフラやソフトウェアの更新やクラウド移行を進めたいのにIT人材が慢性的に不足していて頓挫しているといった課題はありませんか?現状では何とかすでにあるリソースでやりくりできているものの、このままだといつか業務が破綻してしまうという不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。IT人材はなぜ不足してしまうのか、その原因と対策方法を解説します。

DXの遅れにより2025年には最大で年間12兆円の経済損失

AIやIoTのほか、インターネットを介したサービスの拡大に伴い、IT業界の市場は急成長を遂げています。その提供されるサービスに比例して、必要とされるエンジニアも多くなり、人材不足が加速しています。

既存システムの見直しをして、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現しようにも、人手が足りなければ進みません。経済産業省の「D X レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」では、DXの遅れにより、2025年には最大で年間12兆円の経済損失が発生する可能性があると予測されています。

2030年には79万人も不足?IT人材が不足する原因と不足数の見込み

では、具体的にどのくらい人材が不足する見込みなのでしょうか。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)社会基盤センターのIT人材白書2019によると、IT企業によるIT人材の不足感は、2016年は75.5%だったのが、2年後の2018年は92%にも及んでいる状況が伺えます。

IT企業のIT人材の“量”に対する不足感【過去5年の変化】

画像:IT企業のIT人材の“量”に対する不足感【過去5年の変化】

IPA「IT人材白書2019」図表3-1-5 P.109を元に作成 https://www.ipa.go.jp/jinzai/jigyou/about.html

では今後2030年までにIT人材の需要はどう変化していくのでしょうか。経済産業省委託事業の調査によると、もっとも悪いシナリオで79万人、中間のシナリオでも45万人が不足すると予測されています。

2019年の大卒の民間企業就職希望者数が43.2万人、転職者数が351万人でしたので、この数字がいかに大きいかがわかります。つまり2030年には新卒者よりも多く、新卒者とすべての転職者を含めた人数を合計してもその10%以上IT人材が足りなくなることが予測され、各社が争奪戦を繰り広げることになるであろうことは明らかです。

IT人材需給に関する主な試算結果①②③の対比
(生産性上昇率0.7%、IT需要の伸び「低位」「中位」「高位」)

画像:IT人材需給に関する主な試算結果①②③の対比

経済産業省委託事業 平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (IT 人材等育成支援のための調査分析事業) - IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書 p20を元に作成

今後必要になると考えられるIT人材のスキルセット

IT人材のスキルセットや役割はかなり多様です。経済産業省の「IT 人材等育成支援のための調査分析事業」では、IT 人材需給の試算の対象として以下が挙げられています。

  • 情報サービス・ソフトウェア企業の人材
  • Web企業の人材
  • ユーザー企業の情報システム部門の人材
  • ユーザー企業の情報システム部門以外の事業部門でITを活用する人材

この調査では、システムエンジニアやプログラマ以外のITを利活用する人材もIT人材に含まれています。

今後、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されていくと、直接開発やサービスの導入に関与する担当者以外でも、IT・デジタルの知見が求められるようになると考えられます。

特に不足するのがAI関連の人材です。AIの年平均成長率を16.1%とした場合、2030年には、最大14.5万人の人材需給のギャップが拡大すると予測されています。

2030年のAI人材需給ギャップの推移

画像:2030年のAI人材需給ギャップの推移

経済産業省委託事業 平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (IT 人材等育成支援のための調査分析事業) - IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書 p61を元に作成

AIの研究者や開発者が不足するだけでなく、AIを利活用した事業の立ち上げや運営をする人材などの育成、配置転換が必要になります。

現状でAIを事業に活用していない企業が、これからIT人材をAI担当に切り替えせざるを得ない状況になると、ネットワークやサーバーなどの保守運用業務を担当している人材の需給はますます逼迫することが見込まれます。

企業がIT人材不足に備える対策方法

今後多くの会社でIT人材が不足する傾向が避けられない状況において、企業が取るべき対策にはどのようなものがあるのかを次から解説していきます。

効率化、自動化による必要人員の削減

AIアプリケーションの活用は、人手不足への備えになります。

例えば、情報システム部門に頻繁に寄せられる質問や相談の内容がデータベースにあれば、AIチャットボットを社内WikiやFAQポータルなどに実装することで、対応稼働の人的負荷が軽減できます。

現状の業務のうち、本当にIT人材で対応すべき業務はどれなのか、ツール活用で自動化できる作業の有無を精査してみることが効率化の第一歩です。

アウトソーシングの活用

ITに関連したすべての業務を社内人員だけで対応する必要はありません。外部に任せられる業務と社内に残すべき業務の整理も検討すべきでしょう。

IT投資を多くかけずとも、ネットワークやミドルウェアシステムなど、保守業務の運用アウトソーシング活用でリソースを削減できている例もあります。

情シス担当者は、ミッションクリティカルな開発案件や成長戦略に欠かせないコア業務に集中できるため、持続的な生産性が確保できます。

NTTコミュニケーションズのIT人材不足に対応するサービス

NTT Comでは、ICT環境の構築や見直しをトータルでサポートするサービスを提供しています。人手不足でDXが進まないという課題を抱えるお客さまに対し、実績、経験の豊富なエンジニアがお客さまの状況にあわせてICT環境を構築します。

サービス案内

  • ICT環境のトータルサポート

    複雑化したお客さまのIT環境を実績豊富なエンジニアが訪問、ヒアリングを実施。Google Workspace、Microsoft 365などの利用に伴うLBO対策はもちろん、事業継続を支える冗長化対策、働き方改革に向けたWi-Fi環境整備など、従来はSEを投入するSI案件でしか解決できなかった経営課題をサービスの枠内(NI案件)で容易かつ経済的に解決します。

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