オープンPaaSのデファクトスタンダード「Cloud Foundry」とは | クラウドスペシャリスト・リレーインタビュー第2弾

オープンPaaSのデファクトスタンダード「Cloud Foundry」とは

NTTコミュニケーションズ株式会社
クラウドサービス部クラウドスペシャリスト
千徳 永氏

アプリケーションを構築および稼働させるための土台となるプラットフォームをサービスとして提供するPaaS(Platform as a Service)。 その中でも、オープンソースのPaaSとしてデファクトスタンダードといえるのがCloud Foundryです。 推進母体となる「Cloud Foundry Foundation」には、米国の ヴイエムウェア、EMC、ヒューレットパッカード、IBM、Intel 、Pivotalや欧州のSAPがプラチナメンバーとして名を連ねており、NTT(日本電信電話株式会社)もゴールドメンバーとして参画しています。

そもそもDXとはどのような考えなのでしょうか。そして、ITを活用する企業は、何を念頭にDXと関わるべきなのでしょうか。 今回は、「Cloud Foundry」を利用するメリットや、先端事例について、NTTコミュニケーションズのクラウドスペシャリスト千徳 永(せんとく ひさし)氏に聞きました。

「Cloud Foundry」とは

― 「Cloud Foundry」という名前を初めて耳にする人もいると思いますが、どのようなものでしょうか。

NTTコミュニケーションズ 千徳氏(以下、千徳):

「Cloud Foundry」は、現在のクラウドの主流となっているようなネットワーク、ハードウェアや仮想サーバーを提供するIaaSとは異なり、ミドルウェアやOS、そして冗長化機能をも含めたPaaSを構成するための基盤ソフトです。  PaaSには、ベンダーが独自に構築する「プロプライエタリPaaS」と、ソースコードが公開され誰でも利用できる「オープンPaaS」がありますが、「Cloud Foundry」はオープンPaaSの中で、デファクトスタンダードともいえるものになっています。

― 「Cloud Foundry」がなぜ注目されているのでしょうか。

Gartnerは企業のコアアプリの75%が2020年までに個別開発になると予測しています。既製のソフトウェアではビジネスを差別化できなくなるとして、各企業がソフトウェア開発に専念する必要があります。また、ビジネススピードを向上させるため、開発と運用を小さなサイクルで一体に回していくアジャイル開発とDevOpsが、システムの開発運用の方法論の主役になりつつあります。

千徳:

伝統的なウォーターフォール開発では、大きな単位で開発を行いリリースは年に数回程度でした。しかし、アジャイル開発においては、はるかに高頻度で開発とリリースが実現します。Amazon, GitHub, Cookpad等先進的なIT企業において、毎日何十回もリリースしていることは有名です。しかし、リリース頻度が高くてもトラブルは滅多におこしません。これは、リリースの単位が小さくエンジニアがリリース内容を把握しやすいうえに影響範囲が小さいため、リスクが極小化されているからです。

Cloud Foundryではテスト環境や商用環境を単一の基盤で運用でき、アプリをデプロイするだけで動作させることができ開発環境の管理も不要なため、アジャイルやDevOpsに最適なプラットフォームと言えます。

― 「Cloud Foundry」がなぜ注目されているのでしょうか。

アジャイルで高度なシステムを開発するには、各機能を最小化(=マイクロサービス化)する必要があります。マイクロサービスであれば、各機能(=サービス)は独立して開発リリースが出来、スクラップ&ビルドでさえ容易です。実際、私たちが提供するEnterprise Cloud自体も多数のマイクロサービスで構成されています。システムの変更、拡張、発展がきわめて柔軟なアーキテクチャです。しかし、マイクロサービスを進めすぎると、各サービス間の関連が複雑になりすぎ、トラブルの原因となる場合があります。アプリケーションがマイクロサービス化すると、より小さな単位でアプリケーションを管理できるコンテナへの移行が進んでいくでしょう。

千徳:

コンテナは仮想サーバーに比べ、集積度が上がるだけでなく、スケールアウトやシステムの構成変更も高速で容易です。

「Cloud Foundry」利用のメリット

― 「Cloud Foundry」を利用すると、利用者にはどのようなメリットがありますか。

千徳:

IaaSを利用した場合と比べ、①冗長構成の構築管理からの解放 ②監視運用の省力化 ③セキュリティパッチ運用の省力化が大きなメリットです。これらの直接的メリットは、「Cloud Foundry」以外のPaaSでも得られますが、「CloudFoundry」はソースコードが公開されており、運用する事業者が多数いるため、利用者が特定のベンダーにロックインするリスクが低く、アプリケーションの可搬性を高く保てるという重要な特徴があります。

また、「Cloud Foundry」にはJava,PHP等一般的なプログラム言語を利用できるという特徴があります。PaaSの中にはベンダー独自の言語や独自のAPIを利用する必要があるものもありますが、「Cloud Foundry」では汎用的な方法でアプリケーションを開発することが出来ます。主要なプログラム言語やミドルウェアには標準で対応していますし、それ以外の言語やミドルウェアを使用したい場合でも、Build Packという機能により、ユーザー側で希望のミドルウェア構成を実現することも可能です。

このようなことから、「CloudFoundry」は、ソフトウェアのデプロイが容易にできるのでアジャイル開発との親和性が高く、開発者はネットワークやミドルウェアの環境を考えずに、アプリケーション開発や運用に集中できるようになります。

NTTコミュニケーションズの取り組み

― 実際に、NTTコミュニケーションズでは「Cloud Foundry」を使って、どのようなサービスを提供してきているのでしょうか?

千徳:

NTTコミュニケーションズでは、2011年の黎明期から米国ヴイエムウェアと協業して「Cloud Foundry」の商用化に取り組んでおり、2012年には、アジアパシフィックで初めての商用サービス「Cloudn PaaS」を提供しました。また、2016 年3月には、「Enterprise Cloud Cloud Foundry(以下、ECLCloud Foundry)」(図3)としてグローバルでも提供を開始しました。

千徳:

ECL Cloud Foundry」には、「Shared」と「Virtual Private」の2種類の提供形態があり、「Shared」は、文字通り共有リソース上でアプリケーション実行環境を提供するため、他のユーザーのインスタンスの影響を受ける可能性がある反面、安価に利用できるという特徴があります。一方で「VirtualPrivate」は、1社専用のリソースになるため、他のユーザーの影響を受けずに利用できると同時に、「Arcstar UniversalOne」とつないで、セキュアな環境でアプリケーションの開発、運用が可能です。

実際に「Virtual Private」を利用して、工場のセンサー情報の解析をされているお客さまがいらっしゃいます。

千徳:

このプロジェクトでは、工場の生産ラインでIoTの基盤となる「ビックデータ解析プラットフォーム」を構築したのですが、センサー情報などのデータはインターネット経由で収集し、「ECL CloudFoundry」上のプログラムでデータ解析を行い、その結果を工場の稼働環境の把握や、サプライチェーンマネジメントに活用しています。解析を実行する環境は、プライベート接続の通信環境になるため、セキュリティ面でも安心してご利用いただいています。

― 最後に、「Cloud Foundry」の活用について、今後の展望を教えてください。

千徳:

NTTコミュニケーションズは、株式会社NTTデータ、Pivotalジャパン株式会社、Intel Corporationと協力してクラウドネイティブソリューション(図5)の開発・提供に向けて取り組んでいます。

千徳:

これは、「Cloud Foundry」にて、クラウドアプリケーションの開発や運用に最適な基盤を提供した上で、コラボレーション・フレームワークを通じてサードパーティを含む各種アプリケーションやサービスを提供します。さらに、それらを組み合わせて、お客さまのビジネスにあわせたインテグレーションサービスをしたり、その延長として、企業のクラウドネイティブ化をサポートするようなコンサルティングサービスの展開も検討しています。また、2016年9月には「CloudFoundry Certifiedプロバイダ」の認定も取得しました。これは、異なるプラットフォーム間でのアプリケーションポータビリティを保証するプログラムで、日本国内ではNTTコミュニケーションズが初めての認定事業者となります。このように、信頼性、利便性が高いPaaSのプラットフォームとそれを活用するナレッジをあわせてご提供することで、お客さまが、デジタルトランスフォーメーションを早期に実現することをサポートしたいと考えています。

※Enterprise Cloudは2021年5月26日に「SDPFクラウド/サーバー」に名称変更しました。

サービス案内

  • 基幹システム総合マネジメント

    オープンソースプロダクトとして高い評価を得ている「Cloud Foundry」を採用し、ベンダーロックインの不安がないPaaS環境を提供するサービスがNTT Comの「Enterprise Cloud Cloud Foundry(PaaS)」です。IoTにおけるデータ解析基盤などさまざまな用途で活用することが可能であり、デジタルトランスフォーメーションを支援します。

    Enterprise Cloud Cloud Foundry(PaaS)