すっかり定着したテレワーク、でも自宅で働く人の環境は快適なのでしょうか?アフターコロナを見据えて、テレワーク環境をもう一度見直してみませんか。
1.テレワーク中のPCに関する課題
コロナ禍の影響で、働く環境は大きく変わりました。2020年4月の緊急事態宣言の時には「事態が収束するまで、とりあえずテレワークができる環境にしよう」という企業が多かったことでしょう。しかし、コロナ禍が長期化する中でテレワークが浸透し、新たな働き方として多くの企業で受け入れられました。アフターコロナにおいても、時間や場所を選ばない働き方として定着していくとみられています。
しかし、皆さんの会社ではテレワークをこれからも続けられる環境になっているでしょうか。東京商工会議所が2021年6月に発表した調査によると、テレワークの実施の課題として「情報セキュリティ」「PCや通信環境の整備状況」といった回答が、前回調査結果(2021年1月)と比べて未だに多く、改善が進んでいないことが分かります。改めて、現在のテレワークの環境に課題がないか、確認しておく必要があるでしょう。

※ 東京商工会議所「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」(2020年6月)
「PCや通信環境の整備状況」ついては、大きく分けて使用するPCのスペックと、自宅のインターネット接続環境という2つの問題があります。また「情報セキュリティ」も大きな課題です。自宅で使用するPCは、管理が行き届かなくなり、紛失のリスクもあります。そのためサイバー攻撃の足掛かりとして悪用され、情報流出を引き起こす要因となります。そこで、次章から課題別に解決するソリューションをご紹介します。
2.課題①:自宅にWi-Fi環境がない
厚生労働省の資料によると、「自宅にインターネット環境が整備されていないため、在宅勤務を命じてもできない社員がいる」と回答した企業が大企業で34%、中小企業で36%にのぼりました。モバイルの普及により、自宅に光回線を引いていないケースも増えており、テレワークの課題になっています。

※ 厚生労働省「テレワークを巡る現状について(参考資料)」(2020年8月)
この場合におすすめしたいのが、LTE対応のWindows PCやChromebookの活用です。本体にSIMカードが搭載されており、起動すると自動で接続されるため、Wi-Fi設定の手間がありません。またLTE通信は傍受されにくい強固なセキュリティで保護されており、場所によって接続環境が異なるWi-Fiよりも高い信頼性があります。常時接続のため、遠隔からPCのロックやデータ削除ができる製品もあります。
モバイルWi-Fiルーターの導入という選択肢もありますが、接続のたびにルーターの起動が必要となるといった手間があるほか、ルーター自体の紛失リスクも無視できません。価格や管理のしやすさを比較し、選択しましょう。
3.課題②:PCに情報を残したくない
テレワーク用の端末として、持ち運べるノートPCが配布されるケースが多くなっていますが、ノートPCは紛失のリスクが大きいことに注意しなければなりません。IPAによると情報漏えいの約3割が「紛失・置き忘れ」、約2割が「盗難」によるもので、この2つで過半数を占めます。社外に情報資産を持ち出すことが、いかに大きなリスクになるかがわかります。このような問題を解消するには、社外に持ち出す端末にデータを残さない仕組みが必要となります。
端末に情報を残さない方法としては、iPadやChromebook の端末からSplashtop(スプラッシュトップ)で社内のPCを遠隔操作する方法があります。
Splashtopは、法人向けのリモートデスクトップツールです。接続先・接続元の端末にアプリをダウンロードして社内のPCと信頼関係を設定することで、遠隔から社内にあるPCの操作が可能となります。自宅の端末にはデータが残らないため、流出のリスクが抑えられます。
一般にリモートデスクトップでは、画面の描画が遅れたり、接続が安定しないといった問題がありますが、Splashtopは1秒あたり30フレームの高速描画により、遠隔でもスムーズな操作が実現します。また、接続の安定性には定評があります。
さらに、ドコモが提供する「あんしんマネージャー」のようなMDM(モバイルデバイス管理)を組み合わせて端末を管理すると、利用アプリの制限や、万一紛失した際のリモートワイプ(遠隔操作でデータを消去する)が可能です。
4.課題③:PCのスペックが低い
コロナ禍以前から政府によってテレワークは推進されてきましたが、対象範囲はごく一部に限られていました。ところがコロナ禍の影響により、多くの人がリモートワークに切り替えたため、大量の自宅用PCを配布しなければなりませんでした。そのため、コストの面からPCのスペックが抑えられているケースもあります。PCのスペックが低いことで、アプリケーションの動作が遅延する、ファイルの書き込み・読み込みに時間がかかるなど、生産性を低下させるさまざまな弊害が出てきます。
この場合、課題②でご紹介したSplashtopを活用するのも一つの方法です。リモートデスクトップの場合、自宅の端末は画面の出力情報とキーボードやマウスからの入力情報しか扱わないため、スペックが低くても快適に操作できます。
また、Google WorkspaceやMicrosoft 365などのクラウドアプリケーションを利用し、業務環境をクラウド化することで、ソフトウェアのインストールやローカル環境でのアプリケーション起動を減らし、端末のリソースを効率化するのも一つの手でしょう。これは、PCの低スペック対策だけでなく、場所を選ばない働き方やBCP(事業継続計画)を実現するためにも重要なことと言えます。
5.PCを安全・快適に使える環境整備を
これからの日本は、労働力不足や労働生産性の低さなどさまざまな課題を解決する必要があります。総務省では、テレワークの活用によるGDP押し上げ効果を約4,300億円と試算しており、日本が抱える課題を解決するための重要な要素として、テレワークを推進しています。今回ご紹介したように、PCを安全・快適に使える環境整備を本格的に進めていけば、テレワークのメリットを最大限に引き出し、生産性の向上が期待できます。
ドコモでは、アフターコロナを見据えたテレワークの環境整備を支援しています。蓄積した知見をもとに、ツールの導入や運用サポートなど、お客様の状況に合わせて最適なものをご提案します。お気軽にご相談ください。