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【2021年版】中小企業の経営や労務に関連した法改正は?

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法改正は企業の経営にさまざまな影響をもたらします。2021年から適用される法改正で、中小企業の経営に関連するものについて、ポイントを解説します。

1.2020年は法改正により、働き方改革が加速

まずは、2020年の法改正を振り返ってみましょう。大きなトピックとしては、働き方改革関連法案の中の残業時間の罰則付き上限規制(※)です。大企業では2019年4月から施行されていましたが、中小企業においても2020年4月から適用となりました。残業時間は原則として月45時間(1日2時間程度)、年360時間までと定められ、特別な事情がなければこれを超えることはできません。例外として残業時間が月45時間を超える月があったとしても年間6ヶ月まで、月100 時間未満、年720時間以内が上限となります。

(※)厚生労働省「働き方改革特設サイト」

このルール自体は改正前の法律でも定められていましたが、違反しても罰則はなく行政指導のみでした。改正後は罰則が科されるなど、より厳しい条件となりました。こうした状況に加え、新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークを推進する企業も増えたため、業務効率化や働き方の見直しに迫られる企業が多かったといえるでしょう。

10月には、中小企業の廃業を防ぐとともに、積極的な事業展開や成長できる環境を整備する中小企業成長促進法(※)が施行されました。コロナ禍における事業継続や雇用維持を後押しする側面もあり、中小企業にとっては事業継承がしやすくなる、事業規模の拡大がしやすくなる、海外展開がしやすくなる、などのメリットがあります。

(※)経済産業省「中小企業成長促進法について」

2.2021年、中小企業が対応すべき法改正

2020年は、法改正によって働き方改革の推進や中小企業の事業継続が図られました。
次に、2021年の法改正でビジネスに関連したものや、人事・労務などに影響するものをピックアップして紹介します。

2021年、中小企業が対応すべき法改正

著作権法改正(2021年1月施行)
違法にインターネット上に掲載されたコンテンツのダウンロードに対する取り締まりが強化されました。従来は音楽や映像が規制の対象となっていましたが、小説や漫画、論文などあらゆる著作物に拡大されました。コンテンツ製作に携わる企業はもちろん、そのほかの企業でも、販促やPRのためにコンテンツを作成したり、インターネット上のコンテンツを利用したりすることがあるでしょう。その際には、よく調べて著作者の権利を侵害しないように注意が必要です。

(※)文化庁「令和3年1月1日施行 侵害コンテンツのダウンロード違法化について」

育児・介護休業法改正(2021年1月施行)
今回の改正によって、子どもの看護や家族の介護が必要になった際には、時間単位で休暇を取得できるようになりました。改正のポイントは2つあります。

1つは、今までは半日単位での取得でしたが、改正以降は1時間単位での取得が可能になったことです。これにより、出勤を少し遅らせる、あるいは業務終了を少し早めて、子どもを病院に連れて行ったり、介護に時間を割いたりすることができるようになりました。

もう1つは、雇用形態や労働時間などにかかわらず、すべての働く人が取得できること。以前は1日4時間以下の勤務の労働者は休暇取得の対象外でしたが、現在ではすべての労働者に権利が認められています。中小企業もこの新しいルールに基づいた就業規則の整備が求められます。

なお、育児・介護休業法は2021年6月にさらに改正され、男性の育児休業取得を促進するための、より柔軟な育児休業の枠組み創設などが盛り込まれました。2022年4月から段階的に施行される予定です。

(※)厚生労働省「育児・介護休業法について」

障がい者法定雇用率の引き上げ(2021年3月施行)
一定規模以上の企業や団体は、障がい者を雇用することが求められており、雇用すべき割合のことを「法定雇用率」といいます。従来は、民間企業に求められる障がい者の法定雇用率は2.2%でしたが、2021年3月から引き上げられ、2.3%となりました。

それに伴い、この法定雇用率の対象となる企業の範囲が、「従業員数45.5人以上」から「従業員数43.5人以上」に拡大されることになります。つまり、従業員数が44人の企業などは、これまでは法定雇用率の対象外でしたが、今回の改正により障がい者雇用の義務が生じます。

対象となる企業の雇用主には、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告することや、障がい者の雇用の促進と継続を図るため「障がい者雇用推進者」を社内で選任することなども求められます。今回の改正によって、新たに法定雇用率の対象となる企業は特に注意が必要です。

(※)厚生労働省「令和3年3月1日から障害者の法定雇用率が引き上げになります」

中小企業の「同一労働・同一賃金」の義務化(2021年4月施行)
大企業では2020年から適用されていた「同一労働・同一賃金」が中小企業でも義務化されました。現在、日本では多くの人がパートや派遣社員といった非正規雇用で働いていますが、そうした非正規雇用労働者の中には、仕事内容や責任の重さが正社員と同様であっても、賃金や待遇に不合理な格差を設けられている人が少なくありません。

今回の法改正はそうした状況を是正するためのものです。今後、事業主は労働者の雇用形態によって待遇に違いがあるかどうかを点検したうえで、もしそれが不合理なものであれば、就業規則や賃金規定の見直しをすることが求められます。

中小企業の「同一労働・同一賃金」の義務化(2021年4月施行)

(※)厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」

高年齢者雇用安定法改正(2021年4月施行)
高齢者が意欲や能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的とした法律で、これまでは希望する人は65歳まで雇用することなどが求められていましたが、今回の改正でさらに拡大され、70歳までの就業確保措置を努力義務としました。

具体的には、「70歳まで定年年齢を引き上げる」もしくは「定年制の廃止」、「70歳までの継続雇用制度(定年後も希望に応じて雇用を延長する制度)を導入する」といった取り組みです。努力義務なので強制ではありませんが、高齢者の雇用確保は社会的な要請となっているため、真摯な対応が求められます。

(※)厚生労働省「改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月から施行されます」

外国人に対する脱退一時金の支給上限年数の引き上げ(2021年4月施行)
脱退一時金とは、外国人労働者が年金の受給資格期間である10年を満たさずに帰国する時に、納めた年金保険料の一部を返金してもらえる制度です。その支給上限が、3年から5年に引き上げられました。

たとえば、日本の会社に5年間勤務した後に帰国する外国人の場合、以前はそれまでに納めた保険料のうち3年分までしか脱退一時金支給の対象となっていませんでした。それが今回の改正により、5年まで拡大されたのです。外国人労働者にとっては、より長い期間、安心して働くことができる制度です。

外国人を雇用している企業や、これから雇用したいと考えている企業は、こうした新しいルールを従業員に対して説明できるように、内容を把握しておきましょう。

外国人に対する脱退一時金の支給上限年数の引き上げ(2021年4月施行)

3.2022年は雇用保険法改正やパワハラ防止法の義務化などが中小企業に影響

2021年は、育児・介護休業法や高年齢者雇用安定法の改正などにより、より多様な人材が活躍できる環境の整備が進められました。こうした流れは、2022年以降も加速するようです。たとえば2022年1月には、雇用保険法の改正(※)によって複数の事業主に雇用される65歳以上の労働者に対して雇用保険が適用されるようになります。

(※)厚生労働省「雇用保険制度の改正内容について」

加えて、労働者が不当な扱いを受けないためのルールの徹底も、より厳しく求められるでしょう。2022年の4月にはすでに大企業では義務付けられているパワーハラスメント防止法(※)が、中小企業でも義務付けられます。

(※)厚生労働省 東京労働局「パワーハラスメント対策等」

さらに、内部告発を行った労働者を保護するための「公益通報者保護法」の改正法(※)も同年6月までに施行される予定です。これによって、企業は、従業員がより安心して内部通報を行えるような体制を整備することが求められます。個人情報保護法も、企業による個人データの活用についてのルールがより厳格化され、2022年から全面施行される予定です。

(※)消費者庁「公益通報者保護法と制度の概要」

近年の法改正によって、働く人を巡る環境にはさまざまな変化が生じており、中小企業にも対応が求められています。法改正に応じて、社内の体制やルールを変えていくことは手間やコストもかかることですが、対応を怠れば、罰則などを受けることはもちろん、社会的信頼の失墜などさまざまなリスクにつながる可能性があります。この機会に、法改正について最新の状況を把握し、自社の対応を見直してみてはいかがでしょうか。

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