1.コロナ禍でライブ配信のシェアが急上昇
新型コロナウイルス感染症の流行によって、エンターテインメント業界は大打撃を受けました。特に2020年、2021年の緊急事態宣言中に実施が予定されていた多くのライブイベントは、感染防止のために中止を余儀なくされました。
しかし、すべてのイベントが無くなったわけではなく、むしろ急成長を遂げているイベントも存在します。それが、チケット制の有料オンラインライブ市場です。
劇場などリアルなスペースでのイベントは、感染防止の観点から、観客が声を出すことを禁止したり、換気の時間を設ける必要があるなど、どうしても開催内容に制約が生じます。しかしライブ配信であれば、観客は現地に居らず、自宅など遠隔地から画面越しに鑑賞するため、コロナ対策の干渉を受けることがありません。
ライブ会場に観客を入れず、配信のみ行なう「無観客ライブ」も、コロナ禍に入って以降、多く開催されています。
2.ライブ配信“だからこそ”見られる映像がある
とはいえ、ライブ配信は画面越しで見ることになるため、現地での鑑賞と比べると、“リアルさ”においては分が悪いのは否定できません。しかしながらテクノロジーの進化により、ライブ配信のマイナス面は改善されつつあります。
その核となるテクノロジーが「5G」です。2020年にスタートした5Gは、高速・大容量通信により、低遅延のサービス、多数端末同時接続が可能になったことで、たとえスマートフォンでライブ配信を視聴したとしても、遅延を抑えた、リアルタイムの配信が可能になりました。
この5Gを活用することで、ライブ配信ならではの映像も提供できるようになりました。たとえばドコモビジネスの「SwipeVideo」というサービスでは、撮影対象を取り囲むように複数台のカメラを設置し、そのカメラが撮影した映像を、5G回線を通じてクラウド上のサーバにアップロードします。
視聴者は画面をスワイプすることで、ライブ映像を任意の角度から鑑賞することが可能になります。
つまり、SwipeVideoを用いることで、リアルイベントでは不可能な、ライブ配信でしか体験できない付加価値経を視聴者に提供することが可能になった、というわけです。
3.ライブ配信をするためには、大掛かりな機材は
要らない
こうしたライブ配信を行なうためには、もちろんそのための撮影機材が必要になります。しかし、決して大掛かりな機材が必要というわけではありません。
たとえば屋外でライブ配信を行なう際には、ドコモビジネスが提供している5G対応の小型映像中継機「LiveU」を利用すれば、高画質な映像による配信が手軽にできます。
Live Uは、カメラが撮影した映像データ・音声データを、5Gのモバイル回線・LAN・Wi-Fiなど複数のネットワークに分散し、安定的に伝送する装置です。高価な衛星通信を使うことなく、映像・音声を中継することが可能になります。4Gのモバイル回線では安定して転送できなかった4Kの高画質の映像も、安定して配信できます。
LiveUは小型サイズのため、カメラの撮影者がリュックなどに入れて持ち運ぶことも可能です。すでにライブ配信やスポーツ中継でも活用されています。
もしカメラやLiveUのような撮影機材が無い場合は、専用のスタジオを借りて配信することもできます。ドコモでは東京・新宿に、ライブ配信に特化したスタジオ「BLACKBOX³」(ブラックボックス)をオープン。同スタジオにはライブ配信のためのテクノロジーが用意されており、たとえばVRやARなどの「XR技術」を活用した、ハイクオリティな映像演出が可能になります。
4.ライブ配信はもはやリアルイベントの
代替手段ではない
これらの配信テクノロジーは、エンターテイメント業界以外でも活用法はあります。
たとえば製造業や美容、調理といった専門学校などの技術教育分野であれば、実技の細かい動きや作業の過程をさまざまな角度の映像で撮影し、それを配信したり電子教材化することで、生徒の理解度の向上に役立てることができます。
さらに、LiveUのような5Gを使った配信システムは、基幹病院と診療所をつなぐ遠隔診療ツールや、自動運転を支える遠隔監視ツールとしての利用も可能です。
ライブ配信は、もはやコロナ禍におけるリアルイベントの代替的な存在ではなく、リアルイベントでは見られない映像を視聴者に伝えるツールとなっています。もし自社のビジネスにおいて映像を用いる機会があるのであれば、今回紹介したような映像配信ならではの表現方法を試してみてはいかがでしょうか。