コロナ禍により、社員研修のスタイルも変化を見せており、オンラインを活用した研修も増えています。しかし、不正アクセスや情報漏洩といったリスクには注意が必要です。
1.オンライン研修を行っている企業は7割を越えている
企業の研修といえば、受講生たちが会議室や研修施設に一同に集う「集合研修」スタイルをイメージする人は多いでしょう。新入社員向けの基本的なビジネスマナーを学ぶ研修はもちろん、管理職向けの研修、スキルアップ研修なども、集合研修スタイルで行われてきたケースが多かったはずです。
これ以外にも、先輩社員の指導の下、実際に業務を進めながら必要なスキルを身につけていくOJT(On the Job Training)を採用しているという企業も多いでしょう。座学による研修よりも実践的で、個人の理解度や状況に応じて教えることが可能です。
しかし、新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、集合研修やOJTのような、人と人が直接会って研修が実施できず、オンラインでの研修へ切り替える企業は増えているようです。『月間総務』が全国の総務担当者113名に対して行った調査(※)によると、73.4%の企業が「対面研修のオンライン化に着手した」と回答しました。コロナ禍において、人と人との距離を保ったまま研修が行えるオンライン研修は、もはや当たり前の選択肢になりつつあるようです。

※ 月刊総務「アンケート調査(2020年12月22日)」 を基に編集部で作成
2.オンライン研修のメリット
このようにオンライン研修はコロナ禍の影響によって増えてきていますが、感染拡大予防のほかにもメリットがあります。
たとえば集合研修であれば、会場や講師の手配をする必要があり、全国に支社や営業所がある企業の場合、社員を研修会場に集めるために交通費や宿泊費といったコストも発生します。オンライン研修であれば、こうした手間や費用を削減することが可能です。

一方、研修を受ける従業員の視点に立った場合にも、対面を前提とした研修にはない利点があります。たとえば、どうしても都合が悪く当日研修に参加できないケースです。この場合、オンラインであれば研修の映像を録画し、後日視聴することも可能です。また、研修内容の理解を深めるために、何度も繰り返し視聴できることもメリットでしょう。
3.オンライン研修に潜むセキュリティの不安をどう解決する?
メリットも多いオンライン研修ですが、一方で問題点もあります。それは、セキュリティ面のリスクです。
特に注意しなければならないのは、不正アクセスによるトラブルです。オンラインの会議や研修では、URLやパスワードがわかれば、第三者でも入り込める可能性があります。不正な手段でアクセスした第三者が、不適切な音声や映像を流すなどの妨害行為を行うというケースがあります。場合によっては、研修で使用した資料や動画などが不正アクセスした者によって、盗み見られてしまうといったトラブルも起こり得るのです。
情報をオンラインで公開しているということは、不特定多数の人物にアクセスされる危険性を孕んでいます。安全に実施するためのセキュリティ体制の強化が重要になります。
ここでいう「セキュリティ体制の強化」とは、どのようなことを指すのでしょうか。具体的なポイントとしては、まずは研修で使用する会議システムについて、最新版のものを利用することが挙げられます。オンライン研修や会議で利用されているシステムは、セキュリティ向上のため、アップデートが頻繁に実施されています。すでにインストールしている場合も、最新版にアップデートした状態で使用すべきです。パスワードについても、都度新しいものを設定する方が安全です。
加えて、使用するツールも重要です。オンライン配信のシステムにはさまざまなものがありますが、特にビジネスで利用する場合は、セキュリティが強固なサービスを選ぶことが求められます。たとえば、IPアドレスやドメインなどを指定し、アクセス制限をかけられる機能など、セキュリティが徹底されたツールを選ぶべきでしょう。
オンライン研修はうまく活用すれば、業務の効率化やコスト削減、従業員のスキル向上などさまざまな効果が期待できます。不正アクセスや情報漏えいが起きないよう、しっかりとセキュリティ対策を講じた上で、運用していきましょう。